TOB(公開買付)の規制ルール!違反するとどうなる?

この記事では、TOB(公開買付)の規制ルールに関してTOBの概略をはじめ、TOBの実施、取引に伴う主な規制ルールなどを取り上げます。そのほかにも、海外の規制ルール・TOBの違反における罰則・TOBにおすすめの相談先などを紹介します。


目次

  1. TOB(公開買付)の規制ルール
  2. TOB(公開買付)の主な規制ルール
  3. TOB(公開買付)の主な取引規制
  4. 海外のTOB(公開買付)のルールについて
  5. TOB(公開買付)の規制ルールに違反した場合のペナルティ
  6. TOB(公開買付)を行う際の相談先
  7. まとめ

1. TOB(公開買付)の規制ルール

TOB(公開買付)の規制ルール

さまざまな企業で行われているTOBを実施する際は、規制に気をつけなければなりません。TOBの概略およびTOBの規制ルールをまとめましたので、TOBの実施を望む場合は下記の項目に目をとおしてください。

TOB(公開買付)とは

TOBは、買付に取り掛かる対象会社が株式数・価格・期間などの条件を公開し、不特定多数の株主から対象会社の株式を集める方法です。

市場の株価よりも高い値をつけることで一度に多くの株式を確保できるため、ターゲット会社の経営権を獲得する場合にも有効な方法です。

TOBは、対象会社との関係性によって2つの種類に分けられます。自社の経営陣が会社の経営権を獲得する際は友好的TOBと呼ばれ、第三者が対象会社の同意を得ずに進めるケースは敵対的TOBと判断します。

また、TOBによって買付条件を公開しても買取希望の数が条件に達しない場合は、買付の中止が認められるので、リスクを回避できる手法といえるでしょう。

友好的TOBと敵対的TOBの特徴

友好的TOBは、相手の経営陣の同意を得たうえで実行します。両者合意のうえ行われるため、買収防衛策を取られる心配がなく、スムーズに終わることが多いです。

日本ではほとんどが友好的TOBで、グループ傘下の子会社を完全子会社化するときなどによく使われます。

一方、敵対的TOBは、競合企業の経営権を取得する目的などで、相手の経営陣から同意を得ずに行います。

相手への事前の告知をせずに行うことが多く、相手は公告で買収の意思を知るので、買収側へ不信感を抱きます。そして、買収に反対の姿勢で買収防衛策を取るケースがほとんどです。

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TOB(公開買付)の規制ルールとは

TOBの規制・ルールとは、買付に付帯する決まりのことです。TOBでは多くの株式を集められるため、経営権が他社へ移ったり株価に影響が与えられたりすることから、株主をはじめとした関係者に影響がおよんでしまいます。

これらの事態を回避するために明らかにする株式の取引情報によって、取引の公平性を保ち、関係者に与える不利益を抑えます。

2. TOB(公開買付)の主な規制ルール

TOB(公開買付)の主な規制ルール

取引を行う機関・全株式に対する保有分の割合・取引相手の人数など、TOBの実行ではいくつかの規制が設けられています。

  1. 義務的公開買付の規制
  2. 5%ルール
  3. 1/3ルール
  4. 大株主の買増(他のTOB時)
  5. そのほかのルール

①義務的公開買付の規制

多数の株式を買い取るTOBでは、株主によって買付価格を変えたり一部の株主のみと取引を行ったりすることを認めると、透明性を欠き株主に不利益が生じる場合があります。

そのため、公平な取引が行われるように義務的公開買付を設け、市場外で取得した株式の情報(株式数・価格など)を公にすると定められています。

②5%ルール

市場の外で、有価証券報告書を提出している会社の株式などを買い付ける際に、ターゲット会社の株式などについて、全体に占める比率が5%を上回るケースでは、TOBを用いた義務的公開買付を行うことが求められます。

しかし、少数者と見なされる者たちから株式などを取得しても、全体に占める比率が1/3を上回らなければ、TOBの適用外と判断されます。

③1/3ルール

少数と見なされる者たちから買付を行い、全体に占める株式などの分量が1/3を上回ると、TOBの実行が求められます。

少数と見なされる人数は、10人以下です。対象は、買付相手と、買付の60日前までに市場外で買付を行った相手の人数のため、買付け前に市場の外で買付を行っているなら、相手方の人数を確かめましょう。

 

  • 【取引市場外】
  • 【取引市場内の特定売買等】
  • 【急な買付】

【取引市場外】

買付を市場外に限定して行い、全体に占める分量が1/3を上回るケースにも、1/3ルールが当てはまるため、買付場所にも注意を払いましょう。

【取引市場内の特定売買等】

また、市場内における有価証券などの取引でも、TOBの実施が適用されることがあります。

買付を内閣総理大臣が定めたJ-NETやToSTNeTなどの立会時間外取引で行い、全体に占める株式などの比率が1/3を上回るとTOBの適用とみなされるので、注意が必要です。

【急な買付】

以下に挙げるすべての条件に該当すれば、急な買付と見なされて、TOBの実行を求められます
 

  1. 3カ月の期間で、市場の内外で株式などを取得し、全体との比率が10%を上回る
  2. 買付を市場外と立会時間外取引で行い、全体に対する株式などの比率が5%を超える
  3. 上記2つが当てはまり、全体に対する株式などの分量が1/3を上回る

④大株主の買増(他のTOB時)

他者がTOBを実行に移すと、その間における買付はTOBに限られます。TOBの実行期間に、大株主が株式などを集められる状況がつくられると、公平性を損なう恐れがあります。

また、大株主の情報が入らなければ投資家は株式などを買い取ってもらう相手を決めにくいため、大株主にもTOBの実行を課します。

ターゲット企業の株式などが全体に占める分量の1/3を超える大株主が、他の者がTOBを実行している間に5%を上回る買付をすると、TOBが求められます。

⑤そのほかのルール

5つ目に取り上げるTOBの主な規制は、そのほかのルールです。PTS(私設取引システム)を介した取得では、5%の規制が当てはまらないものの、1/3ルールは遵守することが求められます。

また、買付けた株式の全体に対する比率に、実質基準に該当する特別関係者の分も加味する急な買付のケースであってもTOBが求められるので、関係者が取得した株式も確かめる必要があるでしょう。

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3. TOB(公開買付)の主な取引規制

TOB(公開買付)の主な取引規制

買付における規制のほか、TOBには取引に関しても規制を設けているので、TOBの実施を考えるなら、事前に規制内容を把握しましょう。

  1. 法的手続きと情報の開示
  2. 買付期間の設置
  3. 買付価格の均一性
  4. 別途買付禁止
  5. 買付条件の変更
  6. TOBの撤回に関する制限
  7. 買付の平等性

①法的手続きと情報の開示

TOBに付帯する取引規制では、必要な法的手続きを踏んだ情報の開示が求められます。

【求められる手続き】

  1. 公開買付開始の公告
  2. 公開買付届出書の提出
  3. 公開買付説明書の作成と交付
  4. 意見表明報告書の提出
  5. 対質問回答報告書の提出
  6. 公開買付結果公告
  7. 公開買付報告書の提出
  8. 買付通知書の送付

公開買付開始の公告

義務的にTOBを行う者が、TOBの目的・買付額・買付を考えている株式の数・買付を行う期間・受け渡しと決済・買付の条件といった情報を公告すると定めています。

公開買付届出書の提出

公開買付者は、公開買付開始公告日に合わせて内閣総理大臣に公開買付届出書を提出しなければならず、怠った場合は買付に伴う勧誘行為が禁止されます。

加えて、公開買付届出書を提出した後は、速やかに公開買付届出書の写しを株券などの発行者へ送ることも義務化されています。

また、買付の対象とされる株券などが上場あるいは上場に準じると政令で定められているケースでは、金融商品取引所または政令で定める認可金融商品取引業協会にも送付することが求められます。

公開買付説明書の作成と交付

公開買付者は、公開買付説明書をつくり、買付に応じた株主へ渡す必要があります。

意見表明報告書の提出

公開買付の株式などを新たに作り出す者は、内閣府令の規定に沿って、公開買付の公告日から政令で決めた期間内に、意見表明報告書を内閣総理大臣に提出します。

この意見表明報告書の中身は、公開買付に関わる意見・公開買付者への問い合わせなどがあり、そのほか、買付をはじめとした期間を延長するための請求と理由も含まれます。

また、意見表明報告書の提出に合わせて、意見表明報告書のコピーを公開買付者や、政令で定める認可金融商品取引業協会または金融商品取引所に送付します(買付の株式などが条件に該当する場合)。

対質問回答報告書の提出

内閣府令の定めに従い、意見表明報告書のコピーを受け取った公開買付者は、受け取った日から定められた期間内に、質問への答えを内閣総理大臣へ差し出すことが求められます。

また、答える必要性を持たないケースでも、その理由を記載した対質問回答報告書を内閣総理大臣へ差し出す必要があります。

公開買付結果公告

公開買付期間末日の翌日に、公開買付の実施者は、公開買付の結果を広く一般世間に発表することが求められます。

公開買付報告書の提出

公開買付の結果を広く一般世間に発表した日に、公開買付者はその内容や事業を書き入れた書類を内閣総理大臣に差し出すことが求められます。

買付通知書の送付

公開買付の終了に合わせて、公開買付者は、集めた株式などの数・買付額をはじめとした必要事項を買付通知書に書き入れて、買付に応じた株主へ送ります

②買付期間の設定

2つ目に挙げるTOBの主な取引規制は、買付期間の設定です。TOBはある程度の期間をもうけて買付に取り掛かることが求められます。設定できる期間は、原則として公開買付を世間に知らせた日から20日以上60日の営業日以内です。

ただし、買付期間が30日の営業日未満で、TOBのターゲット会社が意見表明報告書で買付期間の延長を申し出た場合は、買付期間が30営業日まで延長できます。

また、買付条件に変更が加えられたり競合による対抗買付が行われたりした場合は、60日の営業日を超えた期間の設定も可能です。

買付条件の変更では10日の営業日が加算され、対抗買付では対抗買付者が決めた買付期間の末日までの延長が認められています。

③買付価格の均一性

3つ目に挙げるTOBの主な取引規制は、買付価格の均一性です。買付に応える株主たちの権利を尊重して、株式の種類に見合った価格をつけるとしています。

しかし、買付額に関しては、指標となる基準が設けられていないため、均一性の範囲内なら、市場の株価より割高・割安に設定することも認められています。

④別途買付禁止

4つ目に挙げるTOBの主な取引規制は、別途買付禁止です。公開買付を行う者やその関係者は、主に公開買付の期間内で、公開買付以外の手段による買付が禁止されています。

⑤買付条件の変更

5つ目に取り上げるTOBの主な取引規制は、買付条件の変更です。条件を変更すると、応募した株主などが不利益を被るため、原則的に価格を下げる・買付数を減らす・買付期間を短くすることを禁止しています。

ただし、上記のような内容以外を変更する場合は、変更情報の開示・訂正届出書の提出・考慮期間の設定を行えば買付条件の変更が可能です。

⑥TOBの撤回に関する制限

6つ目に挙げるTOBの主な取引規制は、TOBの撤回に関する制限です。公開買付を実施すれば、原則として撤回することは認められません。これは、TOBが撤回されると株主や市場に影響がおよび、不正な取引を誘発する恐れがあるためです。

ただし、公開買付者やその子会社に買付者の死亡・破産手続きの開始決定・解散・免許の取り消し・株式の上場廃止などが生じ、業務を維持できなくなり買付に支障をきたす場合はTOBの撤回が認められます。

⑦買付の平等性

7つ目に挙げるTOBの主な取引規制は、買付の平等性です。買付に応じる株主などには、平等に売却の機会を与えることを求めています。

そのため、応募数が買付数を上回る場合は、すべてを買い付けるか、按分比例に基づいて応募株式などを買い取る必要があります。

4. 海外のTOB(公開買付)のルールについて

海外のTOB(公開買付)のルールについて

日本でのTOBに対する規制・ルールを解説しましたが、国外ではどのような規制・ルールが定められているのでしょうか。ここでは、アメリカとイギリスのTOBに関する規制・ルールを紹介します。

アメリカのTOB(公開買付)の規制・ルール

アメリカのTOBの規制・ルールは、連邦法と州法の2つによって定められています。各法律による規制・ルールは、以下のとおりです。
 

  • 連邦法
  • 州法

連邦法

連邦法による主な規制・ルールは、次のとおりです。
 

  • 上場会社の株式を5%以上取得する場合は、取得する買付者の情報開示・買付届出書の提出・定められた方法による買付を義務づける
  • 対象企業の株式について5%以上を取得した買付者は、10日以内にSEC(米国証券取引委員会)に届け出なければならない
  • 純粋な投資を目的とする場合でも、情報の開示義務がある(米国証取法)
  • 対象会社は10日以内に、意見表明書を提出する
  • 詐欺行為と見なされる表示の禁止
  • 公開買付期間は20日営業日以上
  • 別途買付の禁止
  • 按分比例に基づく買付
  • 証券を保有する者を平等に扱う
  • 買付条件の変更

州法

アメリカの各州では、主に以下の規制・ルールが設けられています。

【一般的会社法】

  • 敵対的買収への対抗における取締役の善管注意義務は、対象会社を設立した際の州の会社法に規制される

【買収禁止法】
  • 株式の取得が、買付者と関係のない対象会社の株主によって承認されなければ、買付者には議決権が与えられない(規制を定める州は26)
  • 取締役会か社外の株主から承認を得ずに定めた割合を超えて株式を買付けた者が、初回で買付けられなかった株式を得るために実施する合併を禁止している(規制を定める州は33)

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イギリスのTOB(公開買付)の規則・ルール

イギリスのTOBの規則・ルールでは、市場の関係者によって定められた「テイクオーバー・コード」に基づき、以下の規則があります。

 

  1. 保有割合が1/3を超える場合
  2. 買付を実施する可能性を公表した場合
  3. 買付の対価に現金を用いる場合
  4. 株主の承認を得られない場合

保有割合が1/3を超える場合

買付で株式の保有割合が1/3を超える場合は、全株主に対し、直近の12カ月において最も高い価格による現金での買付を提示し、応募のあった全株主の売却に応じなければなりません。

買付を実施する可能性を公表した場合

買付者によって買付を実施する可能性を公表した場合、執行機関のテイクオーバー・パネルに対し、期間内に買付実行の有無を明らかにすることが求められます。

買付の対価に現金を用いる場合

買付の対価に現金を用いる場合、必要な現金を用意できることについて、FAなどの証明が必要です。

株主の承認を得られない場合

対象会社は株主の承認を得られなければ、TOBに対する防衛策を講じてはならないとしています。

5. TOB(公開買付)の規制ルールに違反した場合のペナルティ

TOB(公開買付)の規制ルールに違反した場合のペナルティ

公開買付の規制ルールに違反した場合は刑事罰の対象となり、違反とみなされれば、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科せられます。

そのため、公開買付では情報開示・届出書の提出・各種手続きなどが規制ルールに反していないか確かめることが重要です。

また、公開買付の違反は、違反者が属する法人や違反者が代表を務める場合も、両罰規定により5億円以下の罰金刑が科せられます。

公開買付開始公告を実施しなかったり、公開買付届出書を提出しなかったりする場合に適用されるので、注意が必要です。

また、公開買付の義務がありながら公開買付開始公告を実施せずに買付を行った場合も、課徴金の対象となることがあります。課徴金はプレミアム分を加味して、買付価格×買付数×0.25で計算されます。

違反して取得した株式の扱い

違反して取得した株式は、有効・無効の判断を明確にしていません。そのため、買付者が違反を犯して罰を受けたとしても、取得した株式が有効と見なされ、対象会社の経営権を獲得するケースも考えられるといえます。

6. TOB(公開買付)を行う際の相談先

TOB(公開買付)を行う際の相談先

TOBを行う際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、中堅・中小企業のM&A仲介を支援する会社です。

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7. まとめ

まとめ

当記事では、TOB(公開買付)の規制ルールについて、TOBの概要や主な規制ルール、取引規制などを紹介しました。TOBは、不特定多数の者から大量の株式を取得できるものの、株式の保有割合や取得期間などが規定に該当すれば、規制の対象とされます。

TOBは規制に違反すると刑事罰を科せられますし、違反して取得した株式については有効性がはっきりと認められていません。

買付けた株式が無効とみなされればTOBが意味をなさなくなるため、TOBを実施する際はM&Aに精通した専門家に相談することをおすすめします。

M&A総合研究所は、主に中堅・中小企業のM&A仲介を支援しており、経験豊富なM&Aアドバイザーが、クロージングまで案件をフルサポートいたします。

無料相談を行っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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