TOB(株式公開買付)とは?手続き方法やメリット/デメリットを解説

本記事では、TOB(株式公開買付)とは何かについて、手続きの方法やメリット・デメリットなどを解説します。保有している株式がTOBの対象となった場合の手続きとは何か、実際に行われた友好的TOBおよび敵対的TOBの事例についても紹介しています。


目次

  1. TOB(株式公開買付)とは
  2. TOB(株式公開買付)の手続き方法とは
  3. 売り主にからみたTOB(株式公開買付)の流れ
  4. TOB(株式公開買付)の成立・不成立の条件とは
  5. TOB(株式公開買付)のメリット・デメリットとは
  6. TOB(株式公開買付)が株価に与える影響とは
  7. TOB(株式公開買付)に関する注意点
  8. TOB(株式公開買付)の事例
  9. 敵対的TOBから会社を守る手段とは
  10. TOB(株式公開買付)の相談先
  11. まとめ

1. TOB(株式公開買付)とは

TOB(株式公開買付)とは

TOB(株式公開買付)とは、上場企業の株式を証券取引所を通さずに購入する手段のことです。一般的に、上場企業の株式は、証券会社を介して東京証券取引所や大阪取引所といった証券取引所で売買されます。

一方、TOB(株式公開買付)では株式を売却してくれる株主を公告で募り、証券会社を仲介して市場外で株式を購入します

TOB(株式公開買付)の目的・意味とは

上場企業の株式を証券取引所を通して売買すると株価に影響を与えます。株式を購入したい人が増えればその分株価は上がり、売却する人が増えれば株価が下落します。

もし、一度に大量の株式を購入してしまうと、株価が急に大きく変わって市場に混乱を起こしてしまい、これをマーケットインパクトといいます。

一方で、TOB(株式公開買付)は市場での取引とは異なり、決まった価格で決まった株数を購入することができるのが特徴です。

市場を通さないので比較的混乱が起こりにくく、買主は購入にかかるコストを予想しやすいというメリットがあります。

また、TOBが公開で行われるのには、ほかの投資家が不利益を被らないように公平性を保つ目的があります。

大量の株式売買を非公開で行うと、ほかの投資家からみれば原因不明の大きな値動きが発生することになり、投資判断の公平性を失い不利益を被る可能性があるからです。

TOB(株式公開買付)の種類とは

TOB(株式公開買付)は、株式を全部買い付けるか一部を買い付けるかといった分け方もありますが、そのほかに友好的TOBと敵対的TOBという分類方法もあります。ここでは、友好的TOBと敵対的TOBの特徴を解説します。

【TOB(株式公開買付)の種類とは】

  • 友好的TOB
  • 敵対的TOB

友好的TOB

友好的TOBとは、TOB(株式公開買付)によって株式を売却する対象企業が、そのTOB(株式公開買付)について同意していることをいいます。

TOB(株式公開買付)は、敵対的TOBがメディアで大きく取り扱われることもあり、無理やり相手の会社を買収するようなイメージを持つ人もいますが、実際はほとんどのTOB(株式公開買付)は友好的TOBです。

敵対的TOB

敵対的TOBとは、相手先企業の了承を得ずにTOB(株式公開買付)を実施することです。

TOB(株式公開買付)を持ちかけられた企業は、そのTOB(株式公開買付)に同意するか反対するかを表明する必要があるので、あるTOB(株式公開買付)が友好的TOBか敵対的TOBかは明確に区別することができます。

友好的TOBが年間数十件ほど行われるのに対して、敵対的TOBが行われるのは年に1,2件程度です。

2. TOB(株式公開買付)の手続き方法とは

手続き方法

この章では、TOB(株式公開買付)の手続き方法とは何かについて、大まかな流れを解説します。

大企業の経営者でない限り、自分がTOB(株式公開買付)の手続きをすることは少ないかもしれませんが、手続き方法とは何か知っておくことは、中小企業経営者や個人投資家にとっても有益でしょう。

TOB(株式公開買付)の手続きは、おおむね以下のような流れで実施されます。

【TOB(株式公開買付)の手続き方法とは】

  1. 公開買付開始公告・公開買付届出書の提出
  2. 買収先企業の意見表明報告書の提出・回答
  3. 公開買付説明書の交付
  4. 公開買付報告書の提出

1.公開買付開始公告・公開買付届出書の提出

TOB(株式公開買付)を行う手続きはいろいろありますが、上場株式を広く一般から買い付ける取引なので、まずはTOB(株式公開買付)を行う事実を広く一般に知らしめる必要があります。

TOB(株式公開買付)を広く知らしめるための手続きが、公開買付開始公告です。

日刊新聞かEDINET(エディネット)にTOB(株式公開買付)を行う事実について掲載すると、公開買付開始公告手続きが認められます。

EDINET(エディネット)とは、インターネット上で公告が行える電子情報開示システムのことで、日刊新聞とは、朝日新聞や読売新聞といった毎日発行されている新聞のことです。

公告を行ったら、次は内閣総理大臣に公開買付届出書を提出します

2.買収先企業の意見表明報告書の提出・回答

公開買付開始公告と公開買付届出書の提出手続きが終わったたら、次はTOB(株式公開買付)で買収される側の企業が意見表明報告書の提出手続きを行います

意見表明報告書とは、そのTOB(株式公開買付)について、買収される側の企業が賛成するか反対するかなどを記載したものです。

事前の連絡なく突然TOB(株式公開買付)を仕掛けられた場合や、TOB(株式公開買付)に応じるつもりがない時でも、意見表明報告書の提出手続きは必ず行わなければなりません。

意見表明報告書には、そのTOB(株式公開買付)に関する質問が記載することができます。

もし意見表明報告書に質問が記載されていた場合、TOB(株式公開買付)を実施する側の企業は、その質問に対する回答を記した「質問回答報告書」の作成手続きを行わなければなりません

3.公開買付説明書の交付

TOB(株式公開買付)を行う企業は、その内容について記した公開買付説明書の交付手続きを行わなければなりません

4.公開買付報告書の提出

買付が終わったら、TOB(株式公開買付)が成立したかしなかったかに関わらず、その取引内容を公開買付報告書として提出しなければなりません

交付買付撤回書の提出

公開買付の手続きを開始してしまった後で、予期せぬ事情が発生しTOB(株式公開買付)を止める事態になることもあるでしょう。

その場合は、交付買付撤回書の提出手続きを行うことで、TOB(株式公開買付)手続きを撤回することができます

3. 売り主にからみたTOB(株式公開買付)の流れ

TOB(株式公開買付)の流れ

TOB(株式公開買付)が実施された時、対象企業の株式を保有している株主が選択できる方法には、TOBに応じる・市場取引で株式を売却・保有を続けるの3つがあります。

株主は自身の利益が最大になるように、この3つの手続きから最善の手段を選択することができます。

【売り主からみたTOB(株式公開買付)の流れとは】

  1. そのままTOBに応じる
  2. TOBには応じず市場取引で株式を売却
  3. TOBに応じず、市場で売却もせず保有を続ける

1.そのままTOBに応じる

自分が持っている株式がTOB(株式公開買付)になったら、TOB(株式公開買付)に応じて株式を売却するのが一般的です。

TOB(株式公開買付)で売却すると普通より高く株式を売却できるので、株主にとってほとんどの場合メリットのある取引となります。

売却できる証券会社があらかじめ決められているのは、TOB(株式公開買付)で売却する時の注意点です。

他の証券会社を利用している株主は、TOB(株式公開買付)のために新たに口座開設手続きを行わなければなりません。

また、TOB(株式公開買付)は応募すれば必ず売却できるわけではなく、応募者が多いと抽選に外れて売却できないこともあります

2.TOBには応じず市場取引で株式を売却

TOB(株式公開買付)は株主にとって強制されるものではないので、TOB(株式公開買付)には応じず、普段通り株式市場で売却することもできます。

市場で売却してしまうとプレミアムが付かないので損だと思うかもしれませんが、たいていのTOB(株式公開買付)は買付期間中に市場価格が買付価格に近付く値動きをするので、価格に関してはそれほどのデメリットがないことも多いです。

しかし、基本的にはTOB(株式公開買付)に応じた方が、売却価格が高くなりやすい傾向があります。

また、人気の高い一部買付けでTOB(株式公開買付)に応じても売却できそうにない場合は、市場で売却したほうが約定しやすいメリットもあります。

3.TOBに応じず、市場で売却もせず保有を続ける

TOB(株式公開買付)実施後は対象会社が上場廃止となることが多いですが、一部買付けの場合は上場が維持されることもあります。

もし、一部買付けでTOB(株式公開買付)終了後も対象企業が上場廃止しない場合は、TOB(株式公開買付)に応じず市場で売却もせず、そのまま株式を持ち続けることも可能です

4. TOB(株式公開買付)の成立・不成立の条件とは

成立・不成立の条件

TOB(株式公開買付)では、株式が最低何株集まったら成立させるかを、実施する企業が自由に設定することができます。

もし、その株数まで集めることができればTOB(株式公開買付)は成立し、集まらなければ不成立となります。不成立の場合は、応募された分の株式も買付されません。

友好的TOBが不成立になることはほとんどありませんが、敵対的TOBで対象企業が防衛策をとった場合は、売却してくれる株主が集まらず不成立になることもあります。

また敵対的TOBの場合、ホワイトナイトで友好的TOBを仕掛けた側が不成立となり、敵対的TOBが成立しててしまうというケースもあります。

実際、2017年に佐々木べジ氏がソレキアに仕掛けた敵対的TOBでは、ホワイトナイトとして参戦した富士通のほうがTOB不成立となり、佐々木べジ氏の敵対的TOBが成立しています。

【関連】TOB(株式公開買付)が不成立やディスカウントになる理由は?【廣済堂/ソレキア事例】

5. TOB(株式公開買付)のメリット・デメリットとは

メリット・デメリット

TOB(株式公開買付)は、上場企業の株式を大量に買い付ける取引であるため、買収する側に立つのはごく一部の大企業経営者です。

そのため、ほとんどの中小企業経営者や個人投資家にとっては、自社が買収される側になったり、保有株式がTOB(株式公開買付)の対象になった時の、手続きやメリットが気になるところでしょう。

この章では、TOB(株式公開買付)のメリット・デメリットについて、対象会社と株主それぞれの立場から解説します。

メリット

まずは、対象会社と株主のTOB(株式公開買付)のメリットをみていきましょう。

対象会社のメリット

対象会社にとって、TOB(株式公開買付)は相手から提案されて受動的に行うものなので、TOB(株式公開買付)の対象となること自体に特にメリットはありません。

しかし、友好的TOBで望む企業の傘下に入る場合、対象会社にとってもTOB(株式公開買付)はメリットのあるものになります。

規模の大きい上場企業でも、買収してもらって傘下に入ることができるのは、TOB(株式公開買付)という手法のメリットだといえるでしょう。

株主にとってのメリット

一般的なTOB(株式公開買付)では、市場株価にプレミアムを付けて買い取るので、株主にとっては売却益が得られるのが大きなメリットです。

最近は、あえて市場株価より安く買い付けるTOB(株式公開買付)も増えていますが、この場合は売却せずそのまま保有していればよいだけなので何も問題はありません。

デメリット

続いてTOB(株式公開買付)を行う際の、対象会社と株主のデメリットをみていきましょう。

対象会社のデメリット

敵対的TOBの場合、買収防衛策を実施しないとならないため、対象会社にとってはデメリットの大きい取引となります。一方で友好的TOBの場合、これといったデメリットはありません。

株主にとってのデメリット

株主にとっては、TOB(株式公開買付)実施後に対象企業が上場廃止してしまうと、その株式を保有できなくなるデメリットがあります。

上場廃止する株式を売却せずに保有していても、最終的にはスクイーズアウトで売却されてしまうことになります。スクイーズアウトとは、少数株主に対して同意を得ずに株式を売却することです。

長期保有によるリターンを目指して投資していた場合、TOB(株式公開買付)のせいでその計画がふいになってしまいます。

また、一部買付けの場合はTOB(株式公開買付)に応募しても売却できないことがあったり、証券会社の口座を新たに開設しなければならないことがあるのもデメリットの一つです。

6. TOB(株式公開買付)が株価に与える影響とは

株価に与える影響

ある上場企業の株式がTOB(株式公開買付)されることが発表されると、市場株価が大きく変化ケースが多くみられます。

上場企業経営者や上場企業の株式を売買している投資家の方は、この値動きを理解しておくことが重要です。

典型的なのは、TOB(株式公開買付)の買付価格付近まで一気に株価が上昇し、買い付け期間中はその近辺で推移した後、TOB(株式公開買付)終了後はまたもとの株価付近に戻るという値動きです。

ただし、これはあくまで典型的な例の一つであり、敵対的TOBやディスカウントTOBなど、状況によっては典型的な値動きにならないこともあります。

【関連】M&A・買収で株価は上がる?上昇・下落要因を事例から解説!

7. TOB(株式公開買付)に関する注意点

TOB(株式公開買付)に関する注意点

TOB(株式公開買付)はルールが厳密に定められているので、それを逸脱しないように注意しながら手続きを進めていく必要があります。

特に注意しておきたいのは、TOB(株式公開買付)での買付が義務づけられる5%ルールと1/3ルールです。

この章ではこれらのルールを中心に、TOB(株式公開買付)の際に注意しておきたいポイントを解説します。

持ち株比率について

持ち株比率とは、会社が発行している株式の総数に対して、ある株主が何パーセントの株式を保有しているかを示すものです。

株式会社では持ち株比率が高いほど、会社の経営や重要な決定に対する発言権が強くなります。

持ち株比率で特に重要なのは、3分の1・2分の1・3分の2です。株式会社では会社の重要な意思決定は株主総会で決められますが、株主総会には普通決議と特別決議があり、普通決議は2分の1の賛成、特別決議は3分の2の賛成で可決されます。

よって、持ち株比率が3分の1より多ければ特別決議を否決することができ2分の1より多ければ普通決議を可決することができ、3分の2より多ければ特別決議を可決することができます

TOB(株式公開買付)の一部買付けで51%や33.4%を取得するケースが多いのは、2分の1または3分の1より多い議決権を得るためです。

義務的公開買付について

義務的公開買付とは、市場外取引で大量の株式を売買する時は、その取引内容を公にしなければならないという規則です。

ここでいう市場外取引とは、東京証券取引所や大阪取引所といった証券取引所を利用せず、店頭で株式を売買することです。

大きな売買を非公開で行うとほかの株主が不利益を被る恐れがあるため、公平性を保つためにこのルールが設けられています。

5%ルールについて

TOB(株式公開買付)に関連する義務的公開買付のルールの一つが、5%ルールというものです。

5%ルールとは、ある会社が発行している株式の5%超を市場外で取得する時、その取引はTOB(株式公開買付)で行わなければならない規則です。

ただし、著しく少数の者、具体的には10人以下の株主から買付けをする場合は、TOB(株式公開買付)を行わなくてもよいと定められています。

大量保有報告書の提出義務も5%ルールと呼ばれているので、用語が混乱しないように注意しましょう。

1/3ルールについて

1/3ルールとは、株式を購入した結果持ち株比率が1/3を超える場合は、その取引はTOB(株式公開買付)で行わなければならない規則のことです。

持ち株比率が1/3を超えると、株主総会の特別決議を否決でき大きな権力を持つことになるので、このようなルールが定められています。

1/3ルールは5%ルールと違い、10人以下からの買付けの場合でも適用されます。ToSTNeTやJ-NETを利用した立会外取引は市場内取引ではありますが、こちらも市場外取引と同様に1/3ルールが適用されます。

その他のルール

TOB(株式公開買付)の際に押さえておきたい主なルールは5%ルールと1/3ルールの2つですが、TOB(株式公開買付)にはそれ以外にもルールがあるので、規則を逸脱しないように注意しなければなりません。

例えば、公開買付の実施者以外の株主の中に持ち株比率1/3超の大株主がいて、公開買付期間中にその大株主が5%超の株式を購入する場合は、TOB(株式公開買付)を実施しなければならないといったルールがあります。

【関連】TOB(公開買付)の規制ルール!違反するとどうなる?

8. TOB(株式公開買付)の事例

TOB(株式公開買付)の事例

この章では、日本で実際に行われたTOB(株式公開買付)の事例の中から、最近行われた事例や有名な事例を紹介します。友好的TOB・敵対的TOBをそれぞれ3例ずつピックアップします。

友好的TOB

まず、日本で実際に行われた友好的TOBの事例の中から、最近の事例や有名な事例を3例ご紹介します。友好的TOBは、日本で年間数十件ほど実施されており、これ以外にも事例はたくさんあります。

【友好的TOBの事例とは】

  1. ZホールディングスによるZOZOへの友好的TOB
  2. KDDIによるカブドットコム証券への友好的TOB
  3. ソフトバンクによるボーダフォン日本法人への友好的TOB

①ZホールディングスによるZOZOへの友好的TOB

出典: https://www.z-holdings.co.jp/

2019年に、ZホールディングスがZOZOの株式を友好的TOBで取得して子会社化しました。

持ち株比率は50.1%で、取得価額は約4000億円となっています。Zホールディングスはソフトバンクグループ傘下の持株会社で、ヤフーやジャパンネット銀行、PayPayなどを子会社に持っています。

ZOZOはファッション通販サイト「ZOZOTOWN」などを運営する会社です。このTOB(株式公開買付)は全株式は取得しない一部買付けの事例で、約1億5000万株の買付予定数に対して、約2億5000万株の応募がありました。

②KDDIによるカブドットコム証券への友好的TOB

出典: https://www.kddi.com/

2019年に、KDDIがカブドットコム証券の株式を友好的TOBで取得しました。このTOB(株式公開買付)は、KDDIの子会社であるLDF合同会社によって実施されています。

TOB(株式公開買付)後の筆頭株主は、KDDIではなく三菱UFJ証券ホールディングスなので、このTOB(株式公開買付)は子会社化ではなく資本業務提携を目的としたものになります。

このTOB(株式公開買付)によってカブドットコム証券は上場廃止となり、auカブコム証券と社名を変えてKDDIの顧客の取り込みを目指します。

③ソフトバンクによるボーダフォン日本法人への友好的TOB

出典: https://www.softbank.jp/

友好的TOBの有名な事例として、2006年に実施されたソフトバンクによるボーダフォン日本法人へのTOB(株式公開買付)が挙げられます。1兆円を超える大型買収として当時話題になりました。

このTOB(株式公開買付)によって、ソフトバンクは1500万人以上のボーダフォンの顧客と2000万を超える回線を手早く獲得し、現在の通信事業者としての地位を確立しました。

敵対的TOB

友好的TOBに比べて敵対的TOBの事例は少ないですが、それでもいくつかの敵対的TOBが最近でも行われています。

ここでは、日本で実施された敵対的TOBの事例の中から、最近の事例や有名な事例を3例ピックアップして紹介します。

【敵対的TOBの事例とは】

  1. HISによるユニゾHDへの敵対的TOB
  2. 伊藤忠商事によるデサントへの敵対的TOB
  3. 佐々木ベジ氏によるソレキアへの敵対的TOB

①HISによるユニゾHDへの敵対的TOB

出典: https://www.his.co.jp/

最近の敵対的TOBの事例としては、2019年のHISによるユニゾホールディングスへのTOBが挙げられます。

HISは旅行代理店の大手で、ユニゾホールディングスは不動産事業やホテル事業を手がける会社です。

HISはホテル事業での資本業務提携を目指してTOB(株式公開買付)を実施しますが、ユニゾホールディングスがこれに賛同しなかったために敵対的TOBとなりました

ユニゾホールディングスのホワイトナイトとして、アメリカの投資ファンドがTOB(株式公開買付)に参戦し、結果としてHISのTOB(株式公開買付)は不成立に終わりました

②伊藤忠商事によるデサントへの敵対的TOB

出典: https://www.itochu.co.jp/ja/

2019年に、伊藤忠商事がデサントに対して敵対的TOBを実施しました。伊藤忠商事は繊維・機械・金融・食料品などあらゆる事業を手がける総合商社で、デサントはスポーツウェアの製造・販売会社です。

両社はかつては非常に良好な関係を続けており、デサントの経営危機を伊藤忠商事が再建支援したり、共同で会社を立ち上げるなどしていました。

しかし、経営方針の違いなどから両社の関係性は悪化し、伊藤忠商事はデサントの経営陣の刷新などを目指してTOB(株式公開買付)を実施しました

③佐々木ベジ氏によるソレキアへの敵対的TOB

出典: https://www.solekia.com/

2017年に、機械製造メーカー「フリージア・マクロス」会長の佐々木ベジ氏が、電子部品商社であるソレキアのTOB(株式公開買付)を実施しました。

ソレキアは、このTOB(株式公開買付)に賛同せず、敵対的TOBへと進展します。ソレキアのホワイトナイトとして富士通がTOBに参戦し、佐々木べジ氏とのTOB合戦となります。

しかし、買付価格をつり上げた佐々木べジ氏に富士通が敗北し、佐々木べジ氏は敵対的TOBを成功させました

9. 敵対的TOBから会社を守る手段とは

会社を守る手段

敵対的TOBを仕掛けられた会社は、それを阻止するために様々な買収防衛策をとります。よく使われる買収防衛策は以下の5つです。

【敵対的TOBから会社を守る手段とは】

  1. ホワイトナイト
  2. ポイズンピル
  3. クラウンジュエル
  4. パックマンディフェンス
  5. ゴールデンパラシュート

1.ホワイトナイト

ホワイトナイトとは、別な会社に友好的TOBを実施してもらい、敵対的TOBを不成立に終わらせる防衛手段で、敵対的TOBの防衛策として最もよく使われる手段の一つです。

ホワイトナイトとなってくれる企業がいれば非常に有力な手段ですが、もし防衛が成功しても、結局は別な会社の買収されてしまうことになります。

2.ポイズンピル

ポイズンピルとは、新株を発行して株式の数を増やし、敵対的TOBをする会社の持ち株比率を相対的下げることで、経営権を渡さないようにする防衛策のことです。

ホワイトナイトとともによく利用される防衛策ですが、新株を発行すると株価が下がってしまい、株主が不利益を被るのがデメリットです。

3.クラウンジュエル

クラウンジュエルとは、資産を関連会社などに売却して会社の価値を下げ、敵対的TOBの動機を失わせる防衛策です。

例としては、2005年にライブドアがニッポン放送に対して敵対的TOBを仕掛けた時に、ニッポン放送がクラウンジュエルを行うことを示唆したことで、ライブドアが撤退した事例があります。

ただし、この時はクラウンジュエルを実施する前にライブドアが撤退したので、実際に行われることはありませんでした。

クラウンジュエルは有効な防衛策の一つではありますが、たとえ防衛に成功したとしても、結果的に会社の価値が下がってしまうのがデメリットです。

4.パックマンディフェンス

パックマンディフェンスとは、敵対的TOBを仕掛けてきた会社に対して、逆に敵対的TOBを仕掛ける防衛策です。

パックマンディフェンスは十分な資金のある会社でないと実施できないので、ホワイトナイトやポイズンピルなどと比べると実施しにくい防衛策です。

5.ゴールデンパラシュート

ゴールデンパラシュートとは、取締役の退職金を高くすることで、もし敵対的TOBに成功しても、役員の刷新にコストがかかるようにする防衛策です。

もし敵対的TOBを仕掛けた企業が、高い退職金を支払ってまで役員の解任を行いたくないと判断すれば、TOBを中止する可能性があります。

10. TOB(株式公開買付)の相談先

TOB(株式公開買付)の相談先

TOB(株式公開買付)の実施を検討している方、またはTOB(株式公開買付)について相談したいことがある方は、ぜひM&A総合研究所へお問い合わせください。

M&A総合研究所には経験豊富な会計士・弁護士・アドバイザーが在籍しており、TOB(株式公開買付)の手続きや相談を親身にサポートします

料金は着手金・中間金無料の完全成功報酬制を採用しているので、コストを抑えて相談できるのもメリットです。

無料相談を随時受け付けていますので、TOB(株式公開買付)をお考えの方は気軽にお問い合わせください。

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11. まとめ

まとめ

TOB(株式公開買付)は上場企業を買収する手段なので、多くの中小企業経営者のとっては深く関わる機会が少ないですが、それでもTOB(株式公開買付)とは何かについて理解しておくことは有益です。

また、上場企業の株式を保有している株主にとっては、保有株式がTOB(株式公開買付)の対象になる可能性は常にあります。TOB(株式公開買付)の手続きやメリットを理解しておくことは非常に重要だといえるでしょう。

【TOB(株式公開買付)の種類とは】

  1. 友好的TOB
  2. 敵対的TOB

【TOB(株式公開買付)の手続き方法とは】
  1. 公開買付開始公告・公開買付届出書の提出
  2. 買収先企業の意見表明報告書の提出・回答
  3. 公開買付説明書の交付
  4. 公開買付報告書の提出

【売り主からみたTOB(株式公開買付)の流れとは】
  1. そのままTOBに応じる
  2. TOBには応じず市場取引で株式を売却
  3. TOBに応じず、市場で売却もせず保有を続ける

【友好的TOBの事例とは】
  1. ZホールディングスによるZOZOへの友好的TOB
  2. KDDIによるカブドットコム証券への友好的TOB
  3. ソフトバンクによるボーダフォン日本法人への友好的TOB

【敵対的TOBの事例とは】
  1. HISによるユニゾHDへの敵対的TOB
  2. 伊藤忠商事によるデサントへの敵対的TOB
  3. 佐々木ベジ氏によるソレキアへの敵対的TOB

【敵対的TOBから会社を守る手段とは】
  1. ホワイトナイト
  2. ポイズンピル
  3. クラウンジュエル
  4. パックマンディフェンス
  5. ゴールデンパラシュート

TOB(株式公開買付)とは何か、その手続きやメリットについて知りたい方、またはTOB(株式公開買付)を検討している方は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。

M&A総合研究所では、経験豊富な会計士・弁護士・アドバイザーが、親身になってサポートいたします。

無料相談を年中無休で受け付けていますので、TOB(株式公開買付)をお考えの方は電話かメールで気軽にお問い合わせください。

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