MBOとは?わかりやすく徹底解説【実例あり】

近年、MBOが行われる件数は増加しており、MBOとは何かについて非常に注目されています。この記事では、MBOとは何かについてわかりやすく解説しています。また、MBOのメリットやデメリット、MBOが実際に行われた事例についても紹介します。


目次

  1. MBOとは
  2. MBOの流れ
  3. MBOを行うケース
  4. MBOのメリット・デメリット
  5. MBOを行う上で注意する事
  6. MBOが活用された事例
  7. MBOを成功させるには
  8. まとめ

1. MBOとは

MBOとは

事業承継の方法の1つに、MBOがあります。MBOの実施件数は少しずつ増加しており、2019年の1~3月期のTOB(株式公開買い付け)によるMBOの件数は4件となっており、前年同時期と比べて増加しています。

この記事では、MBOとはどのような手法なのかについて、メリットやデメリットを交えてわかりやすく解説していきます。

MBOの意味・目的

まずは、MBOの意味や目的など、基本的な内容について解説します。

MBOの意味

MBOとは、英語の「Manegement BuyOut」の略であり、対象企業の現経営陣あるいは経営に関与しているクラスの人物が、株式を買い取って経営権を取得することをいいます。

株式会社の場合、発行済株式の半分以上取得することで経営権を掌握できますが、MBOは非上場化を前提としたM&Aスキームであるため、経営陣が対象企業の全株式を譲り受けることになります。

そのため、現経営者以外が対象企業の株式を所有していた場合、TOBなど実力行使でMBOを行うことがあります。

MBOの目的

MBOが行われる目的には、事業承継・経営権の確保・上場廃止などがあります。MBOが行われる例として、中小企業の事業承継があります。

例えば、中小企業の社長の高齢化に伴い事業承継する際、取締役に就いている人物が自社株式を買い取って、事業を引き継ぐ場合はMBOに該当します。

MBOと類似した言葉

MBOと類似した言葉に、MBI・EBO・LBOがあり、いずれも事業承継や買収の際に使われる方法です。以下では、MBI・EBO・LBOについて、MBOとの違いをみていきましょう。

MBIとの違い

MBIとは、英語の「Manegement Buy-In」の略であり、投資家が対象企業を買収するM&Aスキームです。

投資家が、MBIによって企業を買収する目的は、キャピタルゲインを獲得するためです。

投資家は、買収した企業に経営の専門家を送り込み、経営を立て直して企業価値を高め、利益を獲得します。

MBIは投資ゲームの1つのようにもみえますが、自身が創業した会社の経営がよくなったり、従業員の雇用が確保できたりというメリットがあります。

ただし、対象企業に強みや将来性がないと買収されないため、事業承継としては向かないスキームです。

EBOとの違い

EBOとは、英語の「Employee BuyOut」の略であり、対象企業の従業員がその企業を買収する手法です。

EBOは中小企業でよく使われる手法であり、経営者としては長年勤めている従業員が引き継いでくれるため安心感があることがメリットです。

長年自社に勤めている従業員であれば会社のことを熟知しているので、外部から後継者を招くよりも育成期間が短くて済むというメリットもあります。

その一方で、後継者となる従業員が買収に必要な資金を持っていることは少ないことや、会社の風土を大きく変えられないことなどがデメリットとしてあげられます。

LBOとの違い

LBOとは、英語の「Leveraged Buy-Out」の略であり、資金調達方法に焦点を当てた買収方法の1つです。

一般的に買収を行う場合、銀行などから融資を受けた資金で対象企業を買い取りますが、融資を受けるときには担保が必要になります。

買収側となる経営陣や従業員に担保となる資産があまりないと考えられるため、融資を簡単に受けることはできません。

そのような場合、対象企業を担保にして企業が銀行から融資を受けて買収資金にすることがあり、この方法がMBIです。

融資を受けた資金は経営者が売却益として受け取りますが、負債は対象企業が負うことになるので、後継者となる人物に個人資産がない場合でも事業を引き継ぐことが可能です。

2. MBOの流れ

MBOの流れについて

この章では、MBOを行う流れについて解説していきます。

【MBOを行う流れ】

  1. 買収目的の新会社(SPC)を設立
  2. 新会社による株式の買い集め
  3. 新会社を親会社にして自社と合併

1.買収目的の新会社(SPC)を設立

MBOを行うときは、まず買収目的の新会社(SPC)を設立します。新会社を設立する目的は、対象企業の株式の買い取るためです。

新会社が対象企業の株式を買い取ることによって、新会社と対象企業との間には親子関係ができ、対象企業が子会社になります。その後、株式を買い取るために必要な資金を、金融機関や投資ファンドから借り入れます。

2.新会社による株式の買い集め

新会社は、借り入れた資金によって対象会社の株式を買い集めます。MBOでは対象企業の発行済株式はすべて買い取ることになります。

事業承継によってすべての株式が譲渡される場合もあれば、TOBにより株式を買い取る場合もあります。これにより、対象会社は新会社の完全子会社になります。

3.新会社を親会社にして自社と合併

最後に、新会社を親会社として合併手続きを行えばMBOは完了します。このように、MBOは非常に簡単な手順で行うことができます

手順自体は簡単であるため特に注意すべき点はありません、MBOで一番問題になののは資金の借り入れです。資金をどのように借り入れ、何を担保にするのかなどを具体的に考えておきましょう。

3. MBOを行うケース

MBOを行うケースについて

ここでは、MBOが用いられるケースについて、以下の4つを紹介します。それぞれのケースのメリットや注意点をみていきましょう。

  1. 経営権を確保するとき
  2. 親会社からの独立するとき
  3. 事業承継をするとき
  4. 上場廃止するとき

1.経営権を確保するとき

1つ目のMBOを行うケースは、経営権を確保するときです。経営権を確保することによって、長期的視点での経営が可能になります

先述したように、MBOではすべての株式を次の経営陣が保有することになるため、株式が多くの株主に保有されている場合は、株主の意見を求める必要があります。

一般的に、株主は自身の利益を最優先するために、短期的な要求をする傾向にあります。そうなれば、経営者は株主の要求に応える必要があるため、短期的な視点での経営しかできなくなります。

しかし、株式を次の経営陣がすべて保有すれば会社の所有と経営を一致させることができるため、株主の意見に左右されずに将来を見据えた経営を行うことができます

会社の成長を考えると、株主の意見に左右されずに経営できる点はMBOを実施する大きなメリットであるといえるでしょう。

2.親会社からの独立するとき

2つ目のMBOを行うケースは、親会社から独立するときです。主に、事業部制や持株会社制を採用している会社から独立するときに用いられます。

事業部制や持株会社制では、下の部分にあたる事業部や子会社は、基本的には独立して経営を行っています。

しかし、重要な意思決定などは上層部で判断する必要があるため、判断が遅れたり判断に制約があったりすることもあります。

そのため、重要な意思決定についても自由化・迅速化させるために、事業部・子会社のトップがMBOにより買収して独立するケースがあります

意思決定の迅速化を理由に親会社から独立したMBO事例には、2019年のMAGES.のMBO(ドワンゴからの独立)があります。

3.事業承継をするとき

3つ目のケースは、事業承継をするときです。事業承継の方法には、誰が後継者になるかによって、親族内事業承継・親族外事業承継・M&Aによる事業承継ので3つに分類することができます。

経営者の子どもや身内などに後継者が見つからない場合、M&Aによる事業承継でしか事業を引き継ぐことはできません。

親族内事業承継あるいは親族外事業承継は、後継者となる人物がどのような立場であるかによって、EBOまたはMBOの呼ばれ方が異なります。

例えば、後継者が従業員の場合はEBOになり、後継者が取締役など経営陣の場合はMBOになります。

ほとんどの事業承継の場合、経営者視点が持てるように教育するため、後継者は取締役や専務など経営陣に入って仕事をしています。つまり、事業承継をする場合、ほとんどがMBOということになります。

【関連】中小企業はM&Aで事業承継しよう!M&Aの進め方、成功のポイントを解説

4.上場廃止するとき

4つ目のケースは上場廃止をするときです。上場廃止をする理由には以下の3つが挙げられます。

  1. 短期的な利益を要求する株主の排除
  2. 情報公開の厳格化
  3. 株式公開にメリットがないから

1つ目の理由は先程紹介したためここでの説明は割愛して、2つ目以降の理由についてみていきましょう。

2つ目の情報公開の厳格化とは、株主は会社の所有者であるため財務情報など情報を共有する必要があり、場合によっては企業秘密と思われる情報も、株主総会などで共有しなければなりません。この共有による情報漏洩を防ぐため、企業は上場を廃止する場合があります

3つ目の株式公開にメリットがないというのは、株式公開を維持するためにはコストが必要であり、社会的責任なども大きくなるためです。

株式公開はメリットも大きいですがこのようなデメリットもあるので、両者を比較してデメリットが上回った場合は株式を公開することで損失が生じるため、MBOにより上場を廃止することがあります。

4. MBOのメリット・デメリット

MBOのメリット・デメリットについて

MBOを行うことにより、さまざまなメリットが得ることができますが、当然デメリットも存在します。したがってMBOを検討する際は、メリット・デメリットをあらかじめ把握しておくことが大切です。

この章では、MBOを行うことにより想定されるメリット・デメリットについて、くわしく解説していきます。

MBOのメリット

まずは、MBOを行う10のメリットついて解説します。

  1. 倒産回避
  2. リスクが少ないこと
  3. 従業員の離職確率が低いこと
  4. 資金の回収がしやすいこと
  5. 労働組合と折り合いが付きやすいこと
  6. 会社が団結すること
  7. 企業の秘密を外部に漏れないこと
  8. 手続きが簡単であること
  9. スムーズな意志決定ができること
  10. 上場廃止ができること

1.倒産回避

1つ目のメリットは、倒産が回避できることであり、これは上場廃止に起因するものです。

株式上場には多くのメリットがありますが、その反面で上場企業には義務が課せられることになるので、コストも必要になります。

例えば、決算書の場合は四半期ごとに報告することや、内部統制報告書の作成が義務付けられています。

規模の小さい企業ではこれらの義務にかかるコストは財務を悪化させてしまい、最悪の場合は倒産につながることもあります。

しかし、MBOにより上場を廃止すればコストを削減することができめ、倒産を回避させることもできます。

2.リスクが少ない

2つ目のメリットは、リスクが少ないことです。MBOでは、現経営陣に事業を引き継ぐため、外部の人間に引き継ぐよりリスクが少なくなります

例えば、社風が大きく変わる可能性が少ない、社外の利害関係者と面識があるなど、さまざまな面からみても自社の経営陣に引き継がせることは会社にとってリスクが少ないと考えられます。

3.従業員の離職確率が低い

3つ目のメリットは、従業員の離職確率が低くなることです。M&Aにより事業承継・事業譲渡を行うと会社のトップが交代するため、社風などが大きく変わる可能性もあります。


社風や企業理念など社内の雰囲気が大きく変わると、反発する従業員が出てくることもあり、離職につながるケースがあります

特に、年配で経験のある社員は変化に大きく抵抗する可能性があるため、離職率も高くなります。しかし、MBOの場合は従業員の知っている人物が後継者になるため、社内の雰囲気は大きく変わらず従業員の離職する確率も低くなります。

4.資金の回収がしやすい

4つ目のメリットは、資金の回収がしやすいことです。これは、MBOにより買収される経営者が得られるメリットです。

M&Aによる事業承継や事業譲渡でも資金(売却益)を得ることができますが、譲渡先企業が簿外債務を多く抱えている場合、資金が得られない可能性もあります。

MBOは面識のある現経営陣が買収をするため安心感があり、買収側の資金状態も考慮して買収額を決めるため確実な資金回収が可能です。

5.労働組合と折り合いが付きやすい

5つ目のメリットは、労働組合と折り合いがつきやすいことです。先述したように、通常のM&Aによる事業承継や事業譲渡では、少なからず離職する従業員が出てしまいます。

また、離職までとはいかなくとも、M&Aに不満を持つ従業員が一定数出ることも考えられ、M&Aに関して労働組合と折り合いがつかなくなるケースもみられます。

MBOの場合、次の経営陣は従業員との面識もあり社風も大きく変わらないので、従業員はMBOに関して不満を持ちにくく、労働組合との折り合いもつきやすいといえるでしょう。

6.会社が団結する

6つ目のメリットは、会社が団結することです。MBOによって親会社から独立する場合、所属する会社の規模が小さくなるため、会社のトップと従業員との距離が近くなり、会社の結束力が高まります。

また、MBOにより会社のトップになる人の人望が厚い場合、前社長よりも結束力を高めることもできるでしょう。

7.企業の秘密を外部に漏らさない

7つ目のメリットは、企業の秘密を外部に漏らすリスクが抑えられることです。これは上場廃止により得られるメリットですが、株主は会社の所有者であるため、場合によっては株主総会などで会社の機密事項も開示しなければなりません。

対象企業の株式を保有している人が多くなれば、企業秘密の外部漏洩のリスクは当然高まります。

しかし、MBOにより株主を排除することで会社の機密事項を開示する機会がなくなるため、情報漏洩のリスクを減らすことができます

8.手続きが簡単

8つ目のメリットは、手続きが簡単なことです。M&Aを行う場合は、相手先企業を選定してヒアリングやトップ面談を行います。

その後に基本合意書を締結してからデューデリジェンスを行い、最終合意書を締結して初めてクロージングを迎えます。

このように、クロージングまでには多くの行程や手続きを経なければならないため、M&Aが完了するまでには平均6か月程度要します。

MBOの場合は、買収金額の交渉と資金調達以外は手続きに時間はかからないため、通常のM&Aよりも短期間で行うことができます

9.スムーズな意志決定

9つ目のメリットは、スムーズな意思決定ができることです。通常、MBOは事業部制の部長もしくは持株会社の子会社社長が行います。部長や子会社社長は、本社あるいは親会社から大幅な権限移譲があります。

しかし、重要な意思決定については本社もしくは親会社で行うため、意思決定が遅れてしまったり自由に行えなかったりといった面もあります。

MBOを行い独立すれば、すべてのリスクは負うことになるものの、意思決定をスムーズに行うことができます

10.上場廃止

10個目のメリットは、上場廃止です。上場廃止をすることにより、コスト削減・株主の排除・情報漏洩リスクの低減などのメリットが得られますが、その一方で知名度向上などのメリットを失うことにもなります。

したがって、上場廃止を主な目的としてMBOを行う場合は、上場廃止におけるメリット・デメリットを把握し、よく検討してから行うことが大切です

MBOのデメリット

一方で、MBOを行うことによるデメリットもあるので、事前に把握しておくことが大切です。ここでは、以下6つのデメリットについて解説していきます。

  1. 売却価格が低くなること
  2. 経営陣の体質改善が難しいこと
  3. 投資が一部制限されること
  4. 少数の株主より反対される可能性があること
  5. 売り上げ減少の可能性があること
  6. 負債が増えること

1.売却価格が低くなる

1つ目のデメリットは、売却価格が低くなることです。これは、事業承継でMBOを行う場合のデメリットです。

通常、M&Aの場合は取引を行うときの株価をもとに売却価格を決定しますが、MBOの場合は事業を承継する経営陣が個人資産を十分に持っていない場合が多いため、株価で決めた売却価格では事業を引き継ぐことが困難だと言わざるを得ません。

また、希望の売却価格を押し付けたとしても、経営陣がMBOを拒否してしまう可能性もあり、事業承継ができなくなることも考えられます。そのようなことをを考慮すると、どうしても売却価格は低くなってしまうでしょう。

2.経営陣の体質改善の難しさ

2つ目のデメリットは、経営陣の体質改善が難しくなることです。現経営陣が会社を引き継ぐため、経営陣の体質はほとんど同じになります。

つまり、MBO前から経営陣の体質が悪い場合は、そのまま引き継がれることになります

経営陣の体質改善が必要だと感じている場合は、社外取締役を入れるなどMBOの条件交渉の際に提示するようにしましょう。

3.投資の一部制限

3つ目のデメリットは、投資が一部制限されることです。MBOでは、その会社を買い取るために多額の資金を調達します。

その資金は負債とななるので、新たな投資を始めるための資金調達が困難になります。また、大きな負債を背負った後は、心理的にもリスクのある投資は難しいでしょう。

このように、会社の信用面・経営者の精神面などによる、投資の制限があるのもデメリットのひとつです

4.少数の株主より反対される可能性

4つ目のデメリットは、少数株主により反対される可能性があることです。対象企業が上場企業の場合、経営者がすべての株式を持っているわけではありません。

MBOに反対する株主は簡単に株式を売却しないため、スクイーズアウトやTOBなどの対策が必要になることもあります。

スクイーズアウトとは株主を大株主にする方法で、少数株主に対して金銭等を交付して強制的に排除します。

発行済み株式の3分の2以上保有している場合、株主総会で特別決議を可決させることができるため、スクイーズアウトを簡単に行うことができるので、上場企業でMBOを行う際は発行済み株式の3分の2以上を獲得するようにしましょう。

5.売り上げ減少の可能性

5つ目のデメリットは、売上が減少する可能性があることです。MBOは、社内から見るとあまり大きな変化がありません。

しかし、社外から見るとMBOにより会社のトップが交代するため、大きな変化があると判断されるものです。

社外の利害関係者には大きな影響を与えることになるため、場合によっては取引中止などの措置を取る取引先が現れる可能性もあります。MBO後は、売上が減少する可能性があることも念頭に置いておきましょう。

6.負債が増える

6つ目のデメリットは、負債が増えることです。これは買収する側のデメリットですが、MBO後は多額の負債を背負って経営を行わなければなりません

精神的なプレッシャーによりリスクが取れなくなり、安全策ばかり取る可能性があります。しかし、安全策ばかりでは経営はうまくいきません。

MBOを行う際には、メリットだけでなくデメリットも把握したうえで、大きな覚悟を持って行うようにしましょう。

5. MBOを行う上で注意する事

MBOを行う上で注意する事について

MBOを行えば多くのメリットを得ることができますが、その反面デメリットが多いことはここまで説明したとおりですが、経営者であればデメリットをできるだけ少なくしたいと考えるのは当然でしょう。

この章では、デメリットを少しでも抑えるために、MBOを行ううえでの2つの注意点について解説していきます。

1.MBOを行うタイミング

1つ目の注意点は、MBOを行うタイミングです。これは特に買い手側が注意すべきポイントになります。

MBOは、従業員だけでなく社外の利害関係者へも大きな影響を与えます。そのため、MBOのタイミングを見誤ると、従業員の離職や取引先に取引を停止される可能性があります

また、株価の高いタイミングで少数株主排除措置やTOBを行うと、想定よりも費用が掛かることもあるため、これらを考慮して、最も影響が少ないタイミングでMBOを行うことが大切です。

2.株式価格は買収側経営陣が決める

2つ目の注意点は、株式価格は買収側経営陣が決められることです。これは売り手側のデメリットになる要素ですが、通常では株式を買い取るときは株価をもとに売却価格を決定します。

しかし、MBOの場合はプレミアム価格を考慮したうえで売却価格が決められます。プレミアム価格とは、経営者自身の意思を引き継ぐことや事業事態を承継することに対して付けられる価格であり、株価から差し引かれて計算されます。

プレミアム価格は相談のうえで決定しますが、通常は買収側が提示した額をもとに修正して合意されます。

6. MBOが活用された事例

MBOが活用された事例について

次はMBOが活用された事例を2つ紹介します。

1.すかいらーくによるMBO

1つ目は、2006年に行われたすかいらーくによるMBOです。すかいらーくは、ガストやバーミヤンなどファミレスを運営している会社です。

2006年当時、すかいらーくは業績に苦しんでおり、上場廃止を目的にMBOを行いました。当時の経営陣は株式を非公開化し、株主を排除することで大胆な経営改革を行おうとしていました

その結果、野村ホールディングス協力のもと特別目的会社を通じてTOBを発表し、無事MBOを成し遂げています。また、上場廃止から8年後の2014年には、すかいらーくの業績は回復し再上場を果たしています。

2.幻冬舎によるMBO

2つ目の事例は、2010年に行われた幻冬舎によるMBOです。冬幻社は、コミック・雑誌などを発売している出版社であり、株主排除と上場廃止を目的としてMBOが行われました。

近年はパソコンやスマートフォンの普及により、コミックや雑誌もデジタル化が進んでいます。そのような背景により、出版業界はビジネスモデル自体の変革が迫られていました。

冬幻社は既成概念にとらわれない大胆な経営改革を行いたいと考え、株主を排除するためにMBOを行うことにしました

現在も冬幻社は非上場であり、不況の出版業界の中で成功している数少ない企業として評価されています。

7. MBOを成功させるには

MBOを成功させるには

最後にMBOを成功させるポイントについて以下の4つを紹介します。

  1. MBOを行う目的を明確にすること
  2. 対象の企業価値を算出しておくこと
  3. 資金管理をすること
  4. 専門家に相談すること

1.MBOを行う目的を明確にする

1つ目のポイントは、MBOを行う目的を明確にすることです。ここまで述べたように、MBOを行ううえではメリットだけでなくデメリットについても把握しておかなければなりません。

MBOを行う目的を明確にしないまま進めてしまうと、メリットに比べてデメリットが多くなって失敗することもあります

MBOを行うためには多額の資金が必要であり、簡単に失敗することはできないため、MBOを行う前には必ず目的や戦略を明確にしておきましょう。

2.対象の企業価値を算出する

2つ目のポイントは、対象の企業価値を算出しておくことです。MBOは買収側が提示する金額で買収を行うため、うまく交渉できなければ売却益を得ることが難しくなります。

買収金額の交渉を始めるにあたって、買収金額の基準となる企業価値を算出してから、自身が有利になる計算方法で算出した金額から交渉を進めるようにしましょう。

交渉を始めると買収金額は提示した金額から下がりますが、提示していないときに比べると損失を抑えることができます

【関連】M&Aによる企業価値評価の算定方法を種類別に徹底解説!

3.資金管理

3つ目のポイントは、資金管理をしっかりすることです。具体的には、買収金額はいくらになり資金をどこから調達するかということを検討しておくことが必要です。

MBOを行うには資金が必要ですが、特にTOBによってMBOを行う場合は株主が納得した金額で強制買取を行うため時価よりも多くの資金が必要になります。

資金をどこから融資してもらうか、何を担保にするかなどについては、あらかじめしっかりと考えておかなければならないため、早い段階で金融機関や会計士・税理士などの資金の専門家に相談するとよいでしょう。

4.専門家に相談する

4つ目のポイントは、専門家に相談することです。資金調達に関しては、金融機関や会計士・税理士に相談すればスムーズに行うことができます。

しかし、MBOに関する戦略や対象企業の企業価値などは、M&A仲介会社などの専門家に相談することをおすすめします

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8. まとめ

MBO まとめ

当記事では、MBOについて徹底的に解説しました。MBOは、M&Aによる事業承継とは異なり、買収側・事業を引き継ぐ側のことも考えて行う必要があるため、難易度も高くなっています。

そのため、MBOをスムーズに進めるためには、M&A仲介会社などの専門家に相談し、サポートのもと進めていくのがよいでしょう。

【MBOを行うケース】

  1. 経営権を確保するとき
  2. 親会社からの独立するとき
  3. 事業承継をするとき
  4. 上場廃止するとき

【MBOを成功させるためのポイント】

  1. MBOを行う目的を明確にすること
  2. 対象の企業価値を算出しておくこと
  3. 資金管理をすること
  4. 専門家に相談すること

MBOや事業継承を行う際は、M&Aに関する知識や経験だけでなく、その業界に関して精通している必要があるため、専門家に相談しながら進めていく必要があります。

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