M&AでのDD(デューデリジェンス)の手続き方法!DD項目別に注意点も解説!

M&AにおけるDD(デューデリジェンス)をご存知でしょうか?M&AにおけるDDとは、売却側・企業側の評価価値を決めるとても大事な要素です。今回は、M&AにおけるDDについて詳しく解説します。また、DDの項目別における注意点にも触れます。


目次

  1. M&Aとは
  2. DD(デューデリジェンス)とは
  3. M&AでのDD(デューデリジェンス)の目的
  4. M&AでのDD(デューデリジェンス)の手続き方法
  5. DD(デューデリジェンス)の必要資料一覧
  6. M&A実施におけるDD(デューデリジェンス)の注意点
  7. DD(デューデリジェンス)の種類と項目別注意点
  8. DD(デューデリジェンス)の必要性
  9. DD(デューデリジェンス)までの簡単な流れまとめ
  10. まとめ

1. M&Aとは

M&Aとは

DD(デューデリジェンス)について解説していく前に、まずはM&Aについて解説します。

M&Aとは、英語の「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の頭文字を取った言葉です。

Mergers(合併)とは、複数の会社が一つの会社になること、Acquisitions(買収)とは、売却側企業の株式の過半数を買い取ったり、資産を買い取ったりすることです。

M&Aは、広義では資本提携や業務提携を含みますが、狭義では企業(事業)の経営権を移転させることを意味します。一般的には、後者の意味でよく使われます。

合併と買収の観点でM&Aの種類を分けると、以下の種類があります。

  • 合併:吸収合併、新設合併など
  • 買収:株式買収(株式譲渡など)、事業買収(事業譲渡など)

M&Aの目的とは?

売却企業側と買収企業側で分けると、M&Aには次の目的があります。

  • 売却企業側:事業承継(後継者対策)、事業(企業)の再生、事業の集中化
  • 買収企業側:事業の規模拡大、新規事業の獲得、人材・技術の獲得

それぞれ目的は違いますが、基本的に「合併・買収することで事業(企業)を発展させること」です。

M&Aは何をもって成立する?

今回のテーマであるDD(デューデリジェンス)もそうですが、M&Aは、手続きが多いイメージがあります。何をもってM&Aは成立となるのでしょう?

M&Aは選択するスキーム(方法)によって成立が異なります。例えば、株式譲渡の場合、契約内容の確認をして締結を行った後、売却側の株主が株式を譲渡し、買収企業側の株主が対価を支払うことで成立します。

事業譲渡では、資産と負債と譲渡対象が個別に選べるため、手続きが多くなります。最終契約の締結後も、資産などへの確認作業を行ってから対価の支払いとなるので、契約書の締結日とクロージング日(売買取引完了日)が違うケースが多い特徴があります。

M&A成立までには、いくつかの手続きが必要です。今回紹介するDDも、M&Aにおいて大事なプロセスの一つです。

2. DD(デューデリジェンス)とは

DD(デューデリジェンス)とは

ここからは本題の「DD(デューデリジェンス)」について解説します。M&AにおけるDDとは、何なのでしょうか?

M&Aにおける役割

DD(デューデリジェンス)とは、英語で「due diligence」と書きます。そのまま訳すと「当然の努力」という意味です。M&Aにおける意味では、買収企業側による売却企業側への買収監査です。DDを行うことで、互いの企業に対する情報量の差異を埋めます。

DDは、主に次のように分けて詳しく調査します。

  • ビジネスDD
  • 人事DD
  • 技術DD
  • 法務DD
  • 事業DD
  • 財務DD

M&Aで各種のDDをすることで、売却企業側が持つ問題点が契約前に明らかになります。DDで問題点が見つかった場合、買収価格を減額してもらうことも可能です。買収企業側は、安心してM&Aを進めることが可能です。

依頼費用

M&Aの売買価格やM&Aの判断にも大きな影響を与えるDD(デューデリジェンス)ですが、M&Aの専門家に依頼すると、費用はどれくらい必要なのでしょう?

DDの費用は、大まかに「弁護士1時間当たりの単価(2~5万円)×作業時間数」です。時給にして一万円以上の高額です。

「DDは依頼費用が高くなるのか」と思うかもしれませんが、これはDDには、高い専門知識が要求されるためです。例えば、株式に関する知識にしても、法的な知識経験が求められます。

そのため、最終的にDD全体で何百万の金額になります。ただし、DDは売却企業側の規模や構成によるので、詳細な費用は一度M&A専門家に尋ねてみるとよいでしょう。

DD(デューデリジェンス)期間

DD(デューデリジェンス)にかかる期間は、一連の流れでは、非上場企業で約1ヵ月、上場企業で約2~3ヵ月ほどです。実際に対象となる企業の現地に赴いて調査を行う際は、短くて約2~3日、長くて約1~2週間くらいが一般的です。

費用と同様に、DDの期間も対象企業の規模や構成によります。

【関連】M&Aの法務DD(デューデリジェンス)の役割とは?フローや実務内容を解説!

3. M&AでのDD(デューデリジェンス)の目的

M&AでのDD(デューデリジェンス)の目的

DD(デューデリジェンス)はM&Aにおいて、大事な役割を果たすことがわかりました。ここでは、さらに具体的な目的について解説します。

ディールブレイカーの確認

M&Aでは、ディールブレイカー(deal breaker)の有無を確認する必要があります。ディールブレイカーとは、DD(デューデリジェンス)によってわかった問題点の中で、M&Aを断念せざるを得ない問題点や課題点のことです。

ディールブレイカーも解決策があればよいですが、解決策が見当たらない場合、M&Aは断念せざるを得なくなります。例えば、売却側企業の持つ技術を目的にM&Aを進めようとしたのに、肝心の技術を実は持っていなかった場合です。

ディールブレイカーは、DDの中でも初期段階で見つけたい要素です。

M&A先企業の企業価値評価

DD(デューデリジェンス)は、人事・技術・法務・事業・財務などさまざまな角度から、売却企業側の価値を調査します。そして、その企業価値は本当に正しいのか検討し、企業価値評価をつけます。

特にM&Aの売買を決める価値で大事なDDが、事業DDです。売却企業側の事業に関して、市場の位置付けと価値を事業DDから分析します。

M&A手法の検討および決定

DD(デューデリジェンス)によって、M&Aの手法(スキーム)の検討・決定ができます。場合によってはM&Aの手法を変更することも視野に入れます。というのも、M&Aの手法を検討・変更することはリスク対策となるからです。

例えば、株式譲渡でM&Aを進めるはずだったのに、DDで調べた結果、実は売り手側企業が資産総額を上回る負債総額の債務超過であることがわかったとします。この場合、株式譲渡から事業譲渡に手法を変更します。

事業譲渡を手法として選ぶと、資産と負債を譲渡する対象が選べるため、リスクの大きい負債を引き継がずにM&Aができます。

M&Aの手法は、株式譲渡など簡単な方を選びたくなりますが、契約締結後の経営統合作業(PMI)を踏まえて選ぶことが大事です。

判明している問題を含んだ契約内容の作成

DD(デューデリジェンス)をしたことで、新たな問題や課題が浮上した場合、改めてM&Aの最終契約書を作成し直す必要があります。後のトラブルを回避するためです。

債務超過の問題点が判明した場合、売買価格を下げたり、クロージング手続きが完了する前に解消させたりするなど、問題点の回避を盛り込むよう最終契約書を作成します。

最終契約書の表明保証条項では、正確な情報を開示することが保証されています。もし簿外債務などの問題が判明した場合は、売却企業側に賠償させることも可能です。買い手側企業は、問題点を負わないことを契約書に記載します。

売却側企業は、DDでマイナスとなる要素を隠すと後ほど問題の種になりかねません。

M&Aの手続きを開始

DD(デューデリジェンス)でわかった内容を元にして、M&Aの手続きを行います。

売却企業側によっては、持っている資産や権利を確認するだけでかなりの量になり、法的手続きも必要な場合があります。手続きを怠ることがあれば、罰則も発生しかねません。

M&A専門家の力を借りてM&Aの手続きを進めることが大切です。

M&A後における運営方針のための情報収集

M&Aは、クロージングを終えた後も、契約締結後の経営統合作業(PMI)があります。統合作業は、M&Aの実質的な成功の鍵を握るともいわれており、「事前交渉が2割、PMIが8割」ともいいます。

M&Aの事前交渉であるDD(デューデリジェンス)を正確に行うことで、M&A後の運営方針も定まります。DDをM&A後の経営に役立てることが可能です。

【関連】M&Aのクロージング手続き・流れを解説!期間はどれぐらい?

4. M&AでのDD(デューデリジェンス)の手続き方法

M&AでのDD(デューデリジェンス)の手続き方法

M&AにおけるDD(デューデリジェンス)の手続きの流れについて、解説します。

M&A先のDD(デューデリジェンス)を依頼

まずは、売却企業側であるM&A先に、DD(デューデリジェンス)を依頼します。DDは、譲渡対象となる事業を中心に調査します。

中には対象事業以外にもDDが必要な場合があります。対象事業と密なやり取りをしている企業がある場合、その企業もDDしていきます。

M&A先企業の資料確認

はじめに必要な手続きが、売却企業側(M&A先企業)の資料開示請求です。この時点では、買収企業側には売却企業側の具体的な情報はないともいえます。資料を元に売却企業側の分析が行われます。

売却側企業に、DD(デューデリジェンス)の素材となる必要な資料の開示を請求し、用意してもらいます。相手先の業種や現在の状況などを踏まえ、ほぼ全ての資料開示が求められます。

M&A戦略ミーティングおよび調査範囲の確認

DD(デューデリジェンス)で開示された資料は、DDの当日に資料室に集めてもらったり、送付してもらったりするのが一般的です。

小規模のM&Aであれば、売却企業側が十分に資料を持たない可能性もあります。その場合は、資料を一部除くことも考慮します。その資料を持たなかった場合は、「該当資料存在せず」の回答になることもあるでしょう。

買収企業側は、資料開示の漏れがないよう開示請求を行わなくてはいけません。開示された資料を元に、M&A戦略を練っていきます。

M&A先企業の事前分析

売却企業側から用意・開示してもらった資料を詳細に調べていきます。場合によっては、追加資料が発生することもあります。このとき売却企業側は、開示要求のなかった資料に関しては開示しなくても問題ありません

M&A先企業の資料リストの閲覧および分析

開示された資料の閲覧・分析を行います。資料の詳細な調査のことをデスクトップDD(デューデリジェンス)と呼びます。中には、デスクトップDDでDDが完了することもあります。

M&A先関係者へのインタビュー・現地調査

資料を元にM&Aの方針が決定した後は、売却企業側(M&A先)のマネジメント関係者(M&A担当者や役員、経営者など)を中心にインタビューを行います。

M&Aによっては、売却側企業の重要な施設などを管理している関係者にインタビューするケースもあります。インタビューには、開示資料の内容に関する確認作業や、資料では確認できなかった情報を補完する目的があります。

インタビューが完了したら、DD(デューデリジェンス)を行う企業へ現地調査に行きます。不動産関係の資産は、資産の見た目の確認や、法律違反をしていないかなど、現地調査が大事です。

こういったDDは、M&A関係者以外の従業員などに悟られないようにするために、日程を考慮する必要があります。

DD(デューデリジェンス)の報告書を作成

DD(デューデリジェンス)を行う前の対象企業の評価価値では、一般的な問題点しか反映されていません。ここまでDDを進めてきた結果から得た情報を、企業の評価価値として報告書に反映・作成します。

DD(デューデリジェンス)報告書の提出および確認

以上のDD(デューデリジェンス)のプロセスを経て、DDの報告書を確認・提出します。

報告書の内容から見つかった問題点がすぐに対処可能であれば、クロージングが完了するまでに「売却企業側に対処してもらう」などの内容を条文として契約書に盛り込ませるなど、最終契約書の内容を見直します。

また、DDの結果からM&A後の統合作業(PMI)も検討しなければなりません。

5. DD(デューデリジェンス)の必要資料一覧

DD(デューデリジェンス)の必要資料一覧

用意してもらう資料開示について解説しましたが、ここでは主な資料について紹介します。

例として財務DD(デューデリジェンス)で必要な資料を挙げます。財務DDでは、「対象企業の財務がわかる資料であること」が求められます。主に資産勘定や負債勘定に関する資料です。必要な資料の保存期間は過去3期分です。

資産勘定に関する資料

  • 現金出納帳・預金通帳・手形帳
  • 得意先元帳
  • 棚卸表
  • 固定資産台帳
  • 固定資産税課税明細
  • 出資証券・保険証券 など

負債勘定に関する資料
  • 支払手形記入帳
  • 仕入先元帳・請求書
  • 残高証明書
  • 金銭消費貸借契約書
  • 退職金規程・積立年金 など

また、財務DDと事業DDで共通する資料も記載しておきます。
  • 会社案内・沿革
  • 商業登記簿謄本(全部履歴)
  • 定款
  • 役員一覧役員変遷表(過去3~5期間程度分)
  • 組織図(人数含む)
  • 工場・事業所の一覧
  • 業務フロー
  • 株主一覧
  • 経理規程・原価計算規程・会計処理マニュアル
  • 人事関係規程(就業規則・賞与規程・退職金規程・役員退職慰労金規程)

必要な資料は、業種など、対象企業によって異なります。

6. M&A実施におけるDD(デューデリジェンス)の注意点

M&A実施におけるDD(デューデリジェンス)の注意点

DD(デューデリジェンス)を実施する際に、注意すべきことを見ていきましょう。

DD(デューデリジェンス)の依頼はプロに任せる

DD(デューデリジェンス)の実施には、高い専門知識が求められます。DDは、M&Aでの売買価格は元より、M&A契約締結後の経営統合作業(PMI)に大きな影響を与えます。

例えば、財務DDであれば、資産のチェックなどが必要になるため、専門知識を持った公認会計士と税理士が担当します。

法務DDであれば、主に弁護士が担当しますが、許認可に関しては行政書士、登記関係は司法書士が担当することが多いです。

見とおしのないままDDを行うと、「成立するはずだったM&Aが成立しなかった」という事態になりかねません。各々の専門知識を持ったプロが集まることで、円滑なDDが可能になります。DDの依頼は、素直にプロに任せしましょう。

DD(デューデリジェンス)の実施時期は綿密に

DD(デューデリジェンス)が実際に実施されるのは、売却企業が決まり、トップ面談を終え、基本合意契約書の締結が完了した後です。

この時点で、売却企業側に関する情報はほぼ出揃った状態ですが、DDを行って「M&Aをして本当に大丈夫なのか」「売買価格は正しいか」などを改めて詰めます。

後の経営統合作業(PMI)にも影響を与えるため、DDの実施時期は綿密に計画を立てましょう。

DD(デューデリジェンス)の方針を明確に

DD(デューデリジェンス)は、DDごとにそれぞれ方針が異なります。例えば、財務DDは、賃借対照表に計上されている資産と負債をチェックすることです。

資産であれば、実際にあるのか実在性の確認、負債であればM&A後にどのように影響してくるのかなどを分析する必要があります。

また、DDは対象となる売却企業によって、調査の重点を置く部分が異なります。集めた資料を元にして、戦略や調査範囲、DDの方針を明確にしておきましょう。

M&A先関係者へのインタビューは信頼できる協力者に

M&A先関係者へのインタビューは、マネジメント関係者として、M&A担当者や役員、経営者などがいます。

DD(デューデリジェンス)の種類によっては、専門的な技術分野を担う社員にも、インタビューを行うことがあります。インタビューの内容は弁理士などの専門家が評価します。

M&Aの最終契約書の締結前ということや、資料やインタビューを元にしてDDの報告書を作ることなどから、インタビュー相手は信頼できる関係者に依頼しましょう。

チェックリストを活用する

各DD(デューデリジェンス)において、やや標準化されたチェックリストがあります。そして、その項目を基にして調査・分析が行われます。

そのため、譲渡企業はこのチェックリストを活用して事前にチェックを行えば、自社の価値やリスクを把握しやすくなるでしょう。

7. DD(デューデリジェンス)の種類と項目別注意点

DD(デューデリジェンス)の種類と項目別注意点

DD(デューデリジェンス)は、主に6つに分けられます。ここでは、それぞれのDDごとに解説します。

①ビジネスDD(デューデリジェンス)

まずは、ビジネスDD(デューデリジェンス)について見ていきましょう。

目的と業務

ビジネスDD(デューデリジェンス)とは、引継ぎ後に「どのようにビジネスを進めていくか」「円滑にビジネスを進められるか」を目的としたDDです。

ビジネスDDで分析すべきポイントは、売却企業側のビジネスモデル、営業スタイル、業務フローなどです。これらは全て企業の経営実態が確認できる要素です。

M&A後に企業がどのように成長していくのか、あるいはどのようなリスクが潜んでいるのかを調査します。得た情報は企業内の収益や統合作業(PMI)にも使われるため、企業の具体的なビジネス面と直結します。

ビジネスDDは、買収企業側の総務部長や、営業部長、経営コンサルタントなどが行います。

注意点

ビジネスDD(デューデリジェンス)は、M&A後の具体的なシナジー効果と直結するため、重要な位置を占めます。

売却企業側が行っていたビジネスモデルは、M&Aに大きな影響を与えます。買収企業側は、M&A後のリスクや、自分たちがどのようなビジネスを進めていくのかしっかりと決めてビジネスDDを行う必要があります。

②人事DD(デューデリジェンス)

人事DD(デューデリジェンス)とは、売却企業側の人事面について調査するDDです。

目的と業務

人事DD(デューデリジェンス)の目的は、売却企業側全体の人事の把握、組織風土の確認、現在の会社像や体制の確認から、契約締結後の統合作業(PMI)で行われる人事異動について検討することです。

事前にキーパーソンとなる人物や人事コストを把握しておくことで、キーパーソンとなる人物の流出による現場のモチベーション低下を防ぐことや、M&Aの統合後の無駄な人事コストを抑えることにつながります。

人事DDでは、全体の人事や売却企業側のキーパーソン(役員や技術者など)の調査、人件費の調査、労働組合の有無の確認、社内の人間関係について調査します。他にも、相手企業の価値観や、風土なども人事DDにおいて大事な調査事項です。

注意点

人事DD(デューデリジェンス)で注意したいのは、M&Aに合意できない企業内のキーパーソンや、出資の受け入れができない労働組合の反対などが、M&Aの妨げとなることです。違う企業が一つになるわけですから、当然互いの風土の違いに戸惑うこともあります。

人事DDは他のDDと比べて軽視されがちなDDです。企業は人がいないと成り立たないからこそ、慎重に行うべきDDです。

③技術DD(デューデリジェンス)

技術DD(デューデリジェンス)とは、売却企業の持つ技術、商品やサービスなどを開発し、販売する技術力について調査するDDです。

目的と業務

技術DD(デューデリジェンス)の目的は、売却企業側の持つ技術がどれほどの力を持っているか、そこから市場での位置付けを調べる目的があります。

技術DDでは、企業の独自性も問われるため、産学連携(民間企業と大学が共同で研究し、商品やサービスの開発をする事業のこと)型の研究開発を行っている企業や、ベンチャー企業とのM&Aでの判断基準にもなります。

技術DDでは、弁理士などが調査を行います。

注意点

技術DD(デューデリジェンス)は、大企業だと商品やサービスの量に比例して、所有する技術が多くなります。そのため、調査に多くの時間が必要となるケースがあります。

技術DDは、大きな企業が相手の場合、綿密に計画を立てましょう。

④法務DD(デューデリジェンス)

法務DD(デューデリジェンス)とは、売却企業側の法律面に関するDDです。

目的と業務

法務DD(デューデリジェンス)の目的は、売却企業側が、企業活動の中で締結している契約内容とコンプライアンスの励行を調査することです。

法務DDでM&Aを行っても、法律面においてリスクが発生しないか確認する必要があります。

法務DDは、社内規定の閲覧を行い、そこから法律に関係する規定を検討します。

また、最終契約書の内容との照らし合わせ、許認可の詳細な調査などを行い、いくつかのプロセスを経た後、最終的に最終契約書に反映させます。企業の現状の確認から、最終的な価格反映までつなげるのです。

法務DDは主に弁護士が担当し、許認可に関しては行政書士、登記関係は司法書士が担当することが多く、外部の公平かつ中立的な立場の人間に任せます

注意点

近年、ビジネスにおいて叫ばれるコンプライアンス(法令遵守)は、M&Aにおいても法務DD(デューデリジェンス)の存在が重視され、よく行われています。

法律違反は企業の存続そのものに大きく関わるため、法務DDはしっかりとした調査が必要です。

例えば、売却側企業がなんらかの訴訟リスクをはらんでいるにもかかわらず、法務DDで見落としていた場合、後々企業の財務に大きな影響を与えたり、評判を落としたりすることになりかねません。

⑤事業DD(デューデリジェンス)

事業DD(デューデリジェンス)は、DDの中でも大きなウエイトを占めるDDです。事業DDは、はじめに紹介したビジネスDDともいいます。

目的と業務

売却企業の内部環境と外部環境の各視点からDD(デューデリジェンス)を行うことで、将来性を分析することが求められます。

事業DDにおける内部環境は、事業モデルや商品、サービス、市場占有率、ノウハウなどの分析から、企業の長所・短所を明らかにすることです。

外部環境とは、売却企業の環境を外から分析することで、その業界の将来性、ライバル企業との関係について分析します。外から売却企業の市場内における位置付けを見ていきます。

注意点

事業DD(デューデリジェンス)は、特に大事な部分のDDなので、しっかりとDDしていきます。

M&Aの目的は、基本的に「合併・買収することで事業(企業)を発展させること」であり、「M&Aを完了させること」そのものが目的ではありません。

売却企業の将来性やリスクについて、明確にしなかったりしっかりと把握しなかったりすると、M&A後に企業の価値が下がったり、リスクを見落としたりすることもあります。

⑥財務DD(デューデリジェンス)

最後は財務DD(デューデリジェンス)です。財務DDは、売却企業側の資産と負債のチェックを行います。財務、会計、税務に関する調査です。

目的と業務

財務DD(デューデリジェンス)を行うことで、売却企業側の賃借対照表で計上されている資産の確認や財務状態・経営状況の確認をしていきます。また、簿外債務や潜在債務の有無を確認することで、潜在的なリスクも確認します。

財務DDでは、主に損益計算書、賃借対照表、キャッシュフローの確認などが行われます。

財務DDは、ビジネス(事業)DD同様、大事なDDということもあり、ビジネスDDと情報を共有させて判断する場合もあります。

財務DDでは、公認会計士と税理士が担当します。

注意点

財務DD(デューデリジェンス)の主な注意点は下記の通りです。

  • 粉飾決算
  • 不適切な処理
  • 資産の過大評価
  • 潜在リスクの見落とし

【関連】M&A・買収のリスクの種類!買い手・売り手サイドから解説!PMIが一番のリスク?

8. DD(デューデリジェンス)の必要性

DD(デューデリジェンス)の必要性

M&AにおいてDD(デューデリジェンス)をしなければ、非常にリスクの大きなM&Aになります。

DDをせずにM&Aをすることは、売却企業側の持つ将来性やリスクを明確に分析せずに企業価値を決めることです。

企業の持つ価値を分析しないと、本来の価値よりも高額で売買してしまったり、隠れたリスクに何の対処もしないまま契約をしてしまったりする可能性が考えられます。DDをせずにM&Aをすることは、支払う対価が無駄になることもあるのです。

実際に、「M&Aで買収したものの、蓋を開けてみると実は破産状態だった」という実例が、海外でも日本国内でもたくさんあります。

M&Aは、売却企業側と買収企業側の価値観のすり合わせが大事です。M&A成立後のトラブルを招かないためにも、必要な資料を提示・分析することで、しっかりとDDを行いましょう。

9. DD(デューデリジェンス)までの簡単な流れまとめ

DD(デューデリジェンス)までの簡単な流れまとめ

M&Aのはじまりから、DD(デューデリジェンス)までの実務の流れがイメージしやすいように、流れを記載します。

  1. 専門のマッチングプラットフォームなどに相談
  2. 事前準備(ニーズや関係者の整理・調整)
  3. アドバイザー選定
  4. 対象企業の選定
  5. 秘密保持契約書の締結
  6. IM(企業概要書)提示
  7. トップ同士の面談実施
  8. 意向表明書の提示
  9. 基本合意契約書の締結
  10. デューデリジェンス(買収側企業による詳細調査)
  11. 条件交渉
  12. 最終譲渡契約書の締結
  13. クロージング
  14. PMI(M&A後の統合作業)
(M&Aのスキームによって異なる手続きもあります)

今回ご紹介したDD(デューデリジェンス)と、DDを受けた後の最終契約書に向けての交渉は、10・11番目です。DDの後もM&A後の統合作業PMIがあるので、慎重かつ確実にM&Aを進めましょう

10. まとめ

まとめ

M&AにおけるDD(デューデリジェンス)について解説しました。売却企業側の実態がわからないため、DDで資料を集め、関係者にインタビューをし、さまざまな角度から検証することで、売却企業がどのような企業なのか探ります。

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