M&Aのための資金調達のやり方とは?調達手法やLBO、MBOも解説

本記事では、M&Aの資金調達のやり方について、その手法や成功のポイントを解説します。直接金融と間接金融の違いといったM&Aの資金調達における基本的な概念や、少ない資産でも大規模な取引が可能となるLBOやMBOについても解説します。


目次

  1. M&Aと資金調達の関係
  2. M&Aのための資金調達のやり方
  3. 借入・負債・融資の調達手法
  4. M&Aのための資金調達を行う際のポイント
  5. M&Aのための資金調達を検討中の際は専門家に相談
  6. まとめ

1. M&Aと資金調達の関係

M&Aと資金調達の関係

M&Aには、最適な売買先の選択・価格交渉・買収後の統合プロセス・後継者の育成など、成功させるために必要なポイントが多く存在します。

「M&Aに必要な資金調達をどうするか」ということが大きな問題となることも多く、M&Aで買収したい会社があっても資金調達に難航して踏み切れないケースも少なくありません。

しかし、適切な資金調達方法を知らないためにチャンスを逃しているとすれば、非常にもったいないです。本記事では、M&Aにおける資金調達について詳しく解説します。

M&Aとは

M&Aとは「合併と買収(Mergers and Acquisitions)」の頭文字をとった用語で、会社を買収・売却したり、分割・合併したりする取引の総称です。

かつてM&Aは、大企業の再編や不良債権処理などを目的としたものが多かったですが、近年は中小企業の事業承継手段として重要性が認知されています。

中小企業の事業承継というと、以前は親族を後継者に据える親族内事業承継が主流でした。しかし、近年は少子化で子供がいないケースや、子供がいても他の職に就いており事業を継がせられないケースが増え、代わりにM&Aによる事業承継が普及しています。

M&Aにはいろいろな手法があるので、個々の事例に応じて最適なスキームを選択することが大切です。

一般的には、株式を譲渡して経営権を移動させる株式譲渡や、株式ではなく事業そのものを個別に売買する事業譲渡などがよく利用されます。

M&Aにおける資金調達とは

M&Aではどのスキームを用いるにしても、株式や事業資産を買い取るための資金調達が必要です。

資金調達の方法には、銀行などから融資を受ける間接金融、新株を発行するなどして投資家から直接資金調達をする直接金融があります。

それぞれの手法にメリット・デメリットがあるので、それらを正しく理解したうえで最適な選択をすることが重要です。

また、LBO(レバレッジド・バイアウト)やMBO(マネジメント・バイアウト)といった資金調達方法もあるので、これらについても後で詳しく解説します。

M&Aの買収対価

M&Aで買収対価が何になるか、そして誰に対して支払うかは、選択したスキームによって変わります

例えば、株式を譲受企業に売却して経営権を譲る株式譲渡の場合は、譲受企業は買い取った株式の所有者に対して現金を支払います。

一方で、事業にかかる資産を個別に売買する事業譲渡では、譲受企業は買い取った資産の対価を現金で譲渡企業に支払います。

なお、事業譲渡の場合、株式の売買は行われないので、株主に対して対価は支払われません。

【関連】LBO(レバレッジドバイアウト)を事例付きでわかりやすく解説!【図解あり】

2. M&Aのための資金調達のやり方

資金調達のやり方

M&Aの資金調達の手段はいろいろありますが、大きく「直接金融」と「間接金融」の2種類に分類されます。

直接金融と間接金融は仕組みが大きく異なるので、それぞれのメリット・デメリットを把握したうえで、適切な手法を選ぶことが重要です。

この章では、直接金融と間接金融について、主な手法やメリット・デメリットについて解説します。

【M&Aの資金調達の種類】

  1. 直接金融
  2. 間接金融

①直接金融とは

M&Aにおける直接金融による資金調達の種類は、主に公募増資・株主割当増資・第三者割当増資の3つがあります。

公募増資は新しく株主を募って資金調達をすること、株主割当増資は既存の株主から資金調達をすること、第三者割当増資は特定の個人や法人に株を買ってもらい資金調達をすることをいいます。いずれも新株を発行して、資金調達をします。

【M&Aにおける直接金融の種類】

  • 公募増資
  • 株主割当増資
  • 第三者割当増資

公募増資

公募増資とは、上場企業が不特定多数の投資家に向けて、新しい株式を発行し資金調達をすることです。これに対して、特定の投資家に対して株式を発行して資金調達をするのが「私募増資」です。

公募する株式の価格は、既存の株主の利益を守るために時価よりやや低い価格に設定するのが一般的で、時価より高く設定したい場合は、株主総会で既存株主の承諾を得なければなりません。

公募増資は上場企業がM&Aを実施したいときの資金調達手段として有用ですが、株式の発行数を増やすと1株当たりの価値が薄まるため、それを嫌った株主が株式を売却して株価が下がることもあります。

公募増資で資金調達をしてM&Aを行う際は、「1株当たりの価値が薄まっても保有し続けたい」と思える株主にとって魅力のある増資理由を提示できるかが重要です。

株主割当増資

株主割当増資とは、既存の株主に対して新株を発行する資金調達方法であり、新株の割当は、既存株主が保有する株式数に比例して行われます。

例えば、100株保有している株主に新株を1株割り当てる場合は、200株保有している株主には2株割り当てます。

株主割当増資は、株主の構成が変わらず各株主の持株比率も変わらないのが特徴です。持株比率が変化してしまうと比率が下がる株主は不利益を被るため、比率は必ず一定に保たなければなりません。

また、株主の構成が変わらないので、新しい株主が力を持ってしまい思うような経営ができなくなる、といったケースもあります。

しかし、株主割当増資では、既存株主が必ずしも増資に応じるとは限りません。株主にとっては持株比率が増えないので、新株を買ってもメリットがないと判断されることもあります。

第三者割当増資

第三者割当増資とは、特定の個人や法人に対して新株を発行する資金調達方法です。

新株を発行する対象は、既存の株主あるいは新しい株主だけでなく、取引先や金融機関、自社の役員でもかまいません。

第三者割当増資は、昔からの取引先や会社の役員など、会社のことをよく知っている者に対して行うことが多い特徴があり、経営状態が悪く公募増資や株主割当増資が見込めないときや、取引先や提携先との関係を強化したいときなどに利用されます。

なお、第三者割当増資の手続きは会社法で詳細に規定されているので、それに従って発行しなければなりません。

例えば、有利な価格で新株を発行するときは、既存株主の利益を守るために、株主総会の特別決議の承認を得なければならないことなどが定められています。

M&Aにおける第三者割当増資について

第三者割当増資では、既存株主の株式はそのまま保有されるので、大きな議決権を手に入れるためには使いにくい手法です。

そのため、M&Aでは資本業務提携を行いたい場合の資金調達方法として、第三者割当増資がよく利用されます。一方、事業譲渡や会社売却では、第三者割当増資はあまり利用されません。

また、「最終的には完全子会社化するつもりだが、いったん第三者割当増資で一定の議決権を得て段階的に子会社化していく」といった使い方もできます。

第三者割当増資のメリット

第三者割当増資は、銀行などから融資を受ける間接金融と違って、資金調達をしたお金が会社の資本金になるので、返済の義務がないのがメリットの一つです。

また、非上場企業で公募増資ができない場合や、既存株主に対して株主割当増資ができない場合でも、第三者割当増資なら実施できる可能性があるのもメリットといえるでしょう。

事業譲渡などのM&A手法に比べ、第三者割当増資の手続きは比較的簡単であるため、時間をかけずに買収を実行したいときには有力な選択肢の一つです。

【第三者割当増資によるM&Aのメリット】

  • 返済の義務がない
  • 公募増資や株主割当増資ができないときでも実行可能
  • 手続きが比較的簡単

第三者割当増資のデメリット

第三者割当増資による資金調達は、株主割当増資とは異なり、新株発行により株主の持ち株比率が変化します。

そのため、既存株主の持株比率が減少する場合は、他の株主が力を持ってしまい自由な意思決定ができなくなる可能性があります。

第三者割当増資で資金調達をする際は、あらかじめ誰にどれくらいの増資をするか検討し、納得したうえで行う必要があります。

そのほかにも、第三者割当増資で資金調達をし、M&Aを実施した場合、のれんの償却ができず節税メリットが得られないケースや、事業譲渡と違って簿外債務を引き受けなければならない可能性があるのも、デメリットの一つです。

【第三者割当増資によるM&Aのデメリット】

  • 既存株主の持株比率が減少する
  • のれん償却ができない
  • 簿外債務を引き継ぐ可能性がある

②間接金融とは

間接金融とは、お金を貸す人と借りる人との間に、金融機関などの第三者が入る資金調達方法のことです。

間接金融の代表的なものが、銀行預金です。銀行に預金すると、銀行はそのお金を企業などに融資して利益を得ます。そして、その利益の一部を預金者に利息として配分します。

間接金融ではリスクを銀行が負うので、直接金融と違って預金者が損害を被ることはありません。その代わりに得られる利息は、直接金融に比べて少なくなります。

M&Aで間接金融という際は、預金のことではなく、会社が銀行などから融資してもらう資金調達方法のことをさします。

借入・負債・融資

間接金融では借入・負債・融資といった用語が出てきますが、これらにはどのような違いがあるのでしょうか。

まず、借入とは一般に金銭や物品を借りることで、個人同士における少しの物の貸し借りでも使われる言葉です。

しかし、間接金融で借入という場合は、個人や企業が銀行やノンバンクからお金を借りることをさします。

負債は、銀行から借りたお金や仕入れの買掛金など会社が持つマイナスの財産をさし、短期間で返さないといけないもの(流動負債)、長期間たってから返済するもの(固定負債)、利息を支払う負債(有利子負債)、利息を払わない負債(無利子負債)があります。

融資は、お金を借りたい人にお金を貸すことをいい、個人の少額な融資では「ローン」「キャッシング」と呼ぶこともあります。

3. 借入・負債・融資の調達手法

借入・負債・融資の調達手法

この章では、M&Aにおける借入・負債・融資の調達手法として、LBO(レバレッジド・バイアウト)とMBO(マネジメント・バイアウト)を解説します。

【M&Aにおける借入・負債・融資の調達手法】

  1. LBO(レバレッジド・バイアウト)
  2. MBO(マネジメント・バイアウト)

①LBO(レバレッジド・バイアウト)による資金調達

LBOは「レバレッジド・バイアウト」の略で、少ない資金で大規模な買収を行いたいときに利用するM&A手法です。

M&Aで会社を買収したいのに資金が足りない場合、どこかからお金を借りて資金調達をしなければなりませんが、一般的には、買収する側の企業が担保を用意するなどして融資を受けて資金調達をします。

しかし、LBOでは、これから買収しようとする会社の資産やキャッシュフローを担保にします。

銀行などからお金を借りる一般的な資金調達の場合、その返済義務は買収する側の企業が負いますが、LBOでは買収される企業が返済義務を負うのが大きな違いです。

中小企業の場合

中小企業が事業承継を目的とする際は、買い手側にLBOで資金調達を行ってもらい、傘下の子会社などになる手法があります。M&Aによりシナジー効果が生じる買い手を見つけると、このように間接的な資金調達で事業を承継できるでしょう。

しかし、LBOにより融資する側は、対象企業の事業がスムーズに進み資金返済が可能となることを判断材料にするので、M&A後の資金回収・キャッシュフローが良くなることを表す事業計画書が必須です。

②MBO(マネジメント・バイアウト)による資金調達

MBOは「マネジメント・バイアウト」の略で、会社の経営陣が株式を買い取って経営権を掌握する行為のことです。

経営陣ではなく従業員が行う場合はEBO(エンプロイー・バイアウト)、経営陣と従業員が共同して行う場合はMEBO(マネジメント・エンプロイー・バイアウト)、金融機関など外部の機関が行う場合はMBI(マネジメント・バイイン)と呼びます。

MBOは株式を上場する意義が薄くなった会社が、上場廃止するためなどに利用します。上場廃止すると敵対的買収リスクの抑制や、多数の株主の意見に左右されない長期的視点の経営が可能です。

しかし、経営陣が株式を買い取るのに十分な資金を個人的に所有していることはまれなので、金融機関などからの借り入れによって資金調達をするのが一般的であり、資金調達にLBOが利用されることもあります。

MBOによる資金調達では、まず経営陣と金融機関、および投資ファンドが特別目的会社(SPC)を設立し、SPCと買収される会社が合併する手法が多いです。

【関連】M&A(買収)ファイナンスとは?資金調達をする手順や注意点を知って賢く買収しよう

4. M&Aのための資金調達を行う際のポイント

資金調達を行う際のポイント

M&Aのための資金調達を行う際は、以下のポイントが重要です。

【M&Aのための資金調達を行う際のポイント】

  1. 損益状況・キャッシュフロー
  2. 有形固定資産の価値
  3. のれん代

①損益状況・キャッシュフロー

銀行から資金調達をしてM&Aを行うために最も重要なのが、損益状況とキャッシュフローです。これは買収される側、買収する側双方に当てはまります。

銀行から資金調達をしてM&Aを実行すると、M&A実行前より財務状況が複雑になるので、銀行は計数管理能力がしっかりしているか慎重に審査します。

損益状況を記載した損益計算書、キャッシュフローを記載したキャッシュフロー計画書に加え、貸借対照表を加えたいわゆる財務三表が、M&Aによる資金調達で重要です。

②有形固定資産の価値

銀行から融資を受けてM&Aの資金調達をする際は、それに見合う資産を有することが必要です。

資産には不動産などの有形資産と特許などの無形資産がありますが、M&Aの資金調達では、わかりやすく評価しやすい有形固定資産の価値が重要です。

資産を評価する銀行側としては、価値がわかりにくい無形資産よりも、不動産などの有形固定資産が評価しやすいからです。

資産の多くが無形資産である会社がM&Aで資金調達をしたい場合は、資産内容をわかりやすく説明できるかがポイントになります。

③のれん代

のれんとは目に見えない資産のことで、M&Aによる買収の際は、純資産にのれん代を加えたものが買収価額になります。目に見えない資産とは、例えばブランドイメージ・技術力・地理的な優位性・顧客のネットワークなどです。

のれん代の評価は、ほとんどの場合に客観的な裏付けがないので、買い手と売り手の恣意的な判断によることが多いです。

そのため、M&Aで資金調達を行うにあたり、のれん代の根拠を銀行側にしっかりと説明できるかどうかが重要です。

銀行側としては、のれん代を大きく評価しすぎたために融資を回収できなくなるリスクや、故意にのれんをかさ増しすることで他の用途に資金を使われる事態を避けたいと考えます。

M&Aで銀行から資金調達をするには、のれんについてわかりやすい構図を提示できるようにしましょう。

【関連】M&Aにおけるのれんとは?事例を交えて償却・減損も詳しく解説!

5. M&Aのための資金調達を検討中の際は専門家に相談

専門家に相談

M&Aの資金調達にはいろいろな手法があるので、その中から最適な手段を選択することが大切です。しかし、その見極めには幅広い知識と経験が必要になるため、経営者だけで判断するのは難しいこともあるでしょう。

M&A総合研究所には、M&Aの資金調達に詳しいM&Aアドバイザーが在籍しており、資金調達からクロージングまでM&Aの全行程をフルサポートいたします。

また、料金体系は成約時に成功報酬が発生するのみの完全成功報酬制を採用しています。成約に至らなければ費用は一切かかりませんので、コストを抑えて納得のいくM&Aが実現できます。

無料相談を行っておりますので、M&Aの資金調達をご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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6. まとめ

まとめ

本記事では、M&Aの資金調達について詳しく解説しました。資金調達は直接金融と間接金融に分けられ、直接金融はさらに公募増資・株主割当増資・第三者割当増資に分類されます。

そして、多額の資金を調達することも可能なLBO・MBOといった資金調達手段の中から、最適な手法を選択することが重要です。

M&Aの資金調達をお考えの方は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&Aの資金調達に精通したM&Aアドバイザーが徹底したサポートを提供いたします。

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