M&Aでの買取価格の目安と算定方法まとめ!赤字会社の企業価値も解説

M&Aでは、買い手と売り手の交渉で買収価格を最終的に決定します。この記事では、買収価格を理想に近づけ、スムーズにM&Aを成立させるポイントを解説します。また、買い取り価格の目安と算定方法、赤字会社の企業価値についても解説します。


目次

  1. M&Aでの買収価格とは
  2. M&Aでの買収価格の目安(相場)
  3. M&Aでの買収価格の算定方法
  4. M&Aでの買収価格を算定する際の注意点
  5. M&Aにおいて赤字会社の企業価値とは?
  6. 赤字会社のM&Aで買収価格を上げるには
  7. M&Aでの買収価格を理想に近づけるためには
  8. まとめ

1. M&Aでの買収価格とは

M&Aでの買収価格とは

M&Aの買収価格は、買い手側が投資すべきか否かの判断基準として、重要になる要素のひとつです。買い手側は、買収価格をできるだけ安くしたいと考えるため、高すぎる売却価格を算定してもM&Aを成立まで持っていくことができないこともあります。

当記事では、M&Aでの買収価格の算定方法や算定する際の注意点を解説します。また、納得できる価格でM&Aを成功させるポイントにも触れています。

M&Aとは

M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略であり、日本語に訳すと「合併と買収」になります。

合併は、複数の企業が合わさり1つの企業として事業を行っていくことをいい、「吸収合併」と「新設合併」の2つがあります。

吸収合併では、吸収される側の企業を解散させ、もう一方の企業に全ての資産が移されます。一方の新設合併は、新しく企業を設立して互いの企業を解散させ、新しい企業に資産を移します。

また、買収は企業の株式や経営権の一部を買い取ったり、事業や企業自体を買い取ることをいいます。つまり、M&Aは企業や事業を継続させるための戦略のひとつです。

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買収価格とは

買収価格とは、M&Aを行う際に判断する企業やその株式などの価値のことです。買収価格の目安を算出する方法はありますが、最終的にはM&Aの交渉で価格が決まります。

目安を算定する方法は記事後半で解説しますが、最終決定時に納得できる価格でM&Aを成立を目指しましょう。

買収価格の決めては交渉力

買収価格を納得できる値段で成立させるためには、交渉力が重要になってきます。買収価格は、買い手と売り手の交渉で決定するため、巧みな交渉力が必要です。

買い手側は買収価格を安く抑えたいと考えるものであり、逆に売り手側は高い価格でM&Aを成立させようと考えるものです。そのイメージの差が原因で、時には熾烈な交渉を強いられることもあります。

買収価格の交渉は、M&A成立を左右するプロセスなので、交渉を上手く運ぶために仲介会社などの中立的な立場の人間を置くことが非常に有効です。

2. M&Aでの買収価格の目安(相場)

M&Aでの買収価格の目安

M&Aでの買収価格に、明確な相場というものは存在しません。というのも、買収側の企業の規模や成長具合によって判断されるため、それぞれの企業によって価格が違ってくるからです。

そのため、数百百万で取引されるケースもあれば、数十億のケースもあります。最終的に買収価格は売り手と買い手の交渉で決定されるものですが、その際に基準となるのは企業価値評価の算定結果です。

つまり、企業価値評価を算定すれば、どの程度の価格になるのかを把握することも可能です。しかし、買収価格を算定する方法には数種類あり、より正確な評価を行うためには専門的な知識と複雑な計算が必要になります。

M&A仲介会社などの専門家に依頼すれば、企業価値評価を算定してもらうことができます。簡易的な企業価値評価は無料で行っているところもあるので、そのような会社に依頼するのもよいでしょう。

3. M&Aでの買収価格の算定方法

M&Aでの買収価格の算定方法

買収価格を算定する方法には、主に以下3つの方法があります。この3つの手法には、算定する際の観点に違いがあります。

【M&Aでの買収価格の算定方法】

  1. コスト・アプローチ
  2. インカム・アプローチ
  3. マーケット・アプローチ

コスト・アプローチ

コスト・アプローチでは、企業の資産や負債に着目して買収価格を算定します。コスト・アプローチを細かく分けると、時価純資産法と薄価純資産法の2つの算定方法があります。

大企業でのM&Aでは一般的に使用される手法であり、客観性に優れた評価方法です。ここからは、2つの手法の違いについて解説していきます。

時価純資産法

時価純資産法は、企業の負債や資産を時価に置き換えて株式価値を算定する方法です。この方法で算定すると、現時点での買収価格を出すことができます。

しかし、既存の資産や負債の時価を求めるため、将来の収益については一切評価されない点がデメリットです。算定時の評価のみで、企業の将来の伸びしろに対しての評価は加味されません。

薄価純資産法

薄価純資産法では、帳簿上の資産と負債を基に算定します。資産から負債を引くことで純資産を算定し、純資産を株式価値とします。

メリットは、帳簿上の数値を基に評価を行うため算定方法としては簡易的であり、客観性を保った評価を行うことができます。

しかし、時価純資産法のように、時価に置き換えて算定時の評価をするわけではないので、実際の買収価格との差異が生じる可能性があります。

インカム・アプローチ

インカム・アプローチは、企業が将来得ることができるであろう収入を基に、買収価格を算定する手法であり、インカムには「収入」という意味があります。

インカム・アプローチには、DCF法と配当還元法手法の2つがあり、将来の企業としての能力や固有の性質を評価することができます。

DCF法

DCF法は、インカム・アプローチのなかでもポピュラーな手法です。将来、得ることができるフリーキャッシュフロー全体を割引率で引くことで、買収価格を算定します。

算定する時の計算は複雑であり、専門知識が必要となりますが、個別資産の特殊性を踏まえた評価を行うことができます。

配当還元法

配当還元法は、株主への配当額を基に、株主価値を評価する手法です。特に、少数株主としての株式評価にはれています。

期待配当額が一定の割合で増加し続けるという想定で、簡単な計算式で算出できます。しかし、企業自体のストックやフローを意識しないため、評価するには限界がある手法です。

マーケット・アプローチ

マーケット・アプローチは、売り手側の企業と類似の企業を基に、買収価格を算出する方法です。マーケット・アプローチには、類似会社批準法と市場株価法の2つの手法があります。

非上場企業が上場した場合に、株価がどのようになるのかを目的に算出します。そのため、類似した企業は、上場企業のなかから選ぶことが一般的です。

類似会社批準法

類似会社批準法は、評価対象の企業と類似した企業を選び、PERやPBRを基に、買収価格を算定する方法であり、DCF法と併せて使用されることが多いです。

客観性の高い評価を打ち出すことができますが、類似した企業の選定は慎重に行わなければなりません。

もし評価対象と離れた企業を選んでしまった場合、実際の買収価格と大きく差ができてしまう可能性があります。

市場株価法

市場株価法は、上場企業が採用する算定方法で、毎日の終値の1~3ヶ月程度を平均で取り、買収価格として算定する方法です。

客観性の高い評価を打ち出すことができますが、出来高が少ない銘柄や不自然な変動をしている銘柄では、合理的な買収価格を算定することは難しくなります。

【関連】M&Aの売却価格を決める方法は?算定方法と価格アップ法を解説

4. M&Aでの買収価格を算定する際の注意点

M&Aでの買収価格を算定する際の注意点

この章では、M&Aでの買収価格の算定の際に注意しなければならない点を解説します。M&A成立までの間に、トラブルが起きないように注意点を把握しておくことが大切です。

【M&Aでの買収価格を算定する際の注意点】

  1. のれん代に注意する
  2. 価格の決め方はあくまでも目安
  3. 無価値資産に注意する

のれん代に注意する

「のれん代」とは、買い手側企業が入手するのに困難なものや、入手するまでに時間がかかる財産を価値に換算したものです。例えば、ブランド・技術・市場シェアなどの無形財産が「のれん代」と呼ばれています。

M&Aの際に、回収可能額と帳簿価額に大きな差が生じてしまった場合、もう一度見直す必要があります。この差を「のれん代の減損」といいます。

評価対象の企業にブランドがあって、大きな収益を見込める場合には、のれん代に対して大きな価値が付けられます。

逆に、収益を見込めないと評価されてしまった場合、価値が付かなくなる可能性があるので注意が必要です。

価格の決め方はあくまでも目安

買収価格の算出方法をいくつか解説しましたが、これらはあくまでも目安であることを前提と考えておく必要があります。

実際にM&Aを行った時に算出した額と違う可能性もあり、また、M&Aの買収価格は、最終的に交渉で決まります。

そのため、買収価格を高くすることだけを考えるのではなく、交渉を見据えたうえで価格を算出することも重要です。

無価値資産に注意する

買収価格を算出したにも関わらず、実際のM&Aでの買収価格と大きな差が生まれてしまうこともあります。それは、無価値資産の影響で起こり得ることです。

というのは、売り手側にとって価値のあるものだとしても、買い手側からは価値があると思われない場合があるためです。算定する際は、客観的な視点を置いたうえで買収価格を算出するこが必要です。

5. M&Aにおいて赤字会社の企業価値とは?

M&Aにおいて赤字会社の企業価値とは?

赤字会社がM&Aを行う時、買い手が現れにくいと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、経営状態がよくなかったとしても、適切な処理を行っていくことでM&Aを行うことは可能です。

また、赤字だからといって必ずしも負債が原因とは限りません。一時的な投資によって赤字になっている場合もあり、投資によって成功していると見込めれば、将来的に赤字が減る可能性があります。

赤字会社でも、さまざまな視点を持つことで買収価格がつき、M&Aを成立させることも可能になります。

赤字会社でも買収価格がつく理由?

赤字会社でも買収価格がつく理由には、買い手側にとってデメリットよりもメリットの方が上回っていることがあげられます。

例えば、赤字会社でもブランドや技術力を持っている会社もあります。そのような会社は、資金力がないことが原因で赤字になっているケースもあります。

このような赤字会社とM&Aを成立させ資金をつぎ込んでいくことで、新規事業を立ち上げることができます。また、赤字会社の販路を利用して、売り上げ拡大を狙うこともできます。

赤字会社でM&Aを行う際の買収価格

赤字会社の買収価格は、先述したような3つの手法から最適なものを選んで算定されます。一般的に、赤字会社は、他社と比べてM&Aの買収価格が低くなります。

しかし、赤字会社であっても別の視点で算定すると高くなる場合があります。例えば、将来性が見込めると判断した場合、インカム・アプローチを用いて算定すると、買収価格が高く算定される可能性があります。

しかし、必ずしも高くなるとは限らず、また買い手側の判断と交渉によっても買収価格が変わります。

6. 赤字会社のM&Aで買収価格を上げるには

赤字会社のM&Aで買収価格を上げるには

ここでは、赤字会社のM&Aで買収価格を上げる6つのポイントについて解説していきます。

【赤字会社のM&Aで買収価格を上げるポイント】

  1. 事業に将来性がある
  2. 人材・技術・ノウハウをもっている
  3. 安定的に取引のあるクライアントがいる
  4. 自社のビジョンや企業理念などが似ている
  5. 情報開示を丁寧に行う
  6. 顧客リストを多く抱えている

1.事業に将来性がある

買い手側の企業は、事業拡大を図るためにM&Aを行うことがあります。そのため、長期的な視点でM&Aまでの判断を行っていきます。

その際に、将来的に拡大できる事業なのかを判断します。目の前の利益を優先せず、シェアを獲得できると判断された事業は、買収価格が高くつき、M&Aを希望する買い手が現れやすくなります。

2.人材・技術・ノウハウをもっている

人材や技術を確保するために、M&Aをする会社もあります。優秀な人材、独自の技術などは会社にとってコアコンピタンスになり、他社からは入手しづらいものとして評価されます。

条件としては魅力的で、事業を拡大させるために買収は有効な手段になります。M&A後の経営手段を広げるカギとして求めている会社があります。

3.安定的に取引のあるクライアントがいる

安定的に取引のあるクライアントがいると、M&A後もそのクライアントと取引できるため、安定して事業を引き継ぐことができます。

赤字会社のクライアントは、将来的な収益力に関する判断に影響します。経営が赤字でも、将来的に収益を見込めると、M&Aを希望する買い手が現れ、買収価格が高くつく可能性があります。

4.自社のビジョンや企業理念などが似ている

自社ビジョンや企業理念が似ていると、スムーズにM&Aを成立しやすいため、高い買収価格がつくことがあります。

買い手側の会社は、経営者のビジョンや人間性も見ています。経営者によって、会社のカラーも分かるので、買い手との共通意識もM&A成立までの大切な要素になります。

5.情報開示を丁寧に行う

情報開示を丁寧に行わない経営者は、「ダメな経営者」と見られることがあるため、買収価格が低くなったり、M&Aまでに行きつかない場合があります。

「よい経営者」は、情報開示などを丁寧に行っていきます。取引先や社員などに、しっかりと開示していると、数字を意識していると感じ取られます。

効率的に経営改善がしやすいため、赤字会社とM&Aを成立しても、買い手側にとって負担はそこまで大きくないことも多いです。

6.顧客リストを多く抱えている

顧客リストを多く抱えている会社は、赤字でも将来的に安定した売り上げが見込めます。新規参入を考えている会社にとって、新規事業の顧客を確保することは困難なことです。

そのため、顧客リストは買い手側にとって、新規参入の最初の難関を乗り越えることができる要素になります。顧客リストは、買い手側にとって貴重な要素で、買収価格が高くなります。

7. M&Aでの買収価格を理想に近づけるためには

買収価格を理想に近づけるには

買収価格は、買い手側と売り手側によるお互いの交渉によって決まります。交渉の段階までM&Aが進行すると、理想の買収価格にするための交渉力が試されます。

交渉を上手く進めるには、M&Aに関する専門的な知識を必要とすることもあるため、専門家やM&A仲介会社を利用することをおすすめします。

M&A総合研究所では、経験豊富なM&Aアドバイザーや公認会計士が多数在籍していて、M&Aのプロセスにをフルサポートいたします。

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8. まとめ

まとめ

今回は、M&Aでの買収価格について解説していきました。M&Aでの買収価格は、買い手側にとって、投資するかどうかの判断材料になります。そのため、買収価格を算定する際には、注意しなけらば行けないポイントがあります。

【買収価格を算定する際の注意点】

  1. のれん代に注意する
  2. 価格の決め方はあくまでも目安
  3. 無価値資産に注意する

【赤字会社のM&Aで買収価格を上げるには】
  1. 事業に将来性がある
  2. 人材・技術・ノウハウをもっている
  3. 安定的に取引のあるクライアントがいる
  4. 自社のビジョンや企業理念などが似ている
  5. 情報開示を丁寧に行う
  6. 顧客リストを多く抱えている

買収価格は、M&Aの交渉で最終決定しますが、交渉を上手く進めるには、M&Aの専門家と共に算定して備えることをおすすめします。M&A成立までの間に、トラブルが起きないようにしましょう。

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