M&Aの税務!株式譲渡・事業譲渡で税金は違う?税金対策はできる?

M&Aには、合併・株式譲渡・事業譲渡などさまざまなスキームがあり、そのスキームごとに税務処理の方法は異なります。この記事では、M&Aの株式譲渡・事業譲渡・組織再編の3つのスキームにおける税務や税金、また税金対策について解説しています。


目次

  1. M&Aに関する税務とは
  2. M&Aの税務 株式譲渡の場合
  3. M&Aの税務 事業譲渡の場合
  4. M&Aの税務 組織再編の場合
  5. M&A税務 クロスボーダー(国際間取引)の場合
  6. 税金対策が可能なM&A手法
  7. M&Aの税務を学べる書籍紹介
  8. M&Aの税務処理はM&A仲介会社への相談がおすすめ
  9. まとめ

1. M&Aに関する税務とは

M&Aに関する税務とは

近年、M&Aの成約件数は増加傾向にあり、特に中小企業が関わっているM&Aの成約件数が急増しています。

M&Aでは多額の資金が移動するため、買い手・売り手ともにM&Aに関する税金が多く発生します

買い手側はM&A後の資金留保のため、売り手は今後の生活や新規事業の資金のため、節税を行うことは非常に大切です。

M&Aに関する税務や税金対策について述べる前に、まずは税務とはどのようなものをさすのかについて解説します。

税務とは

税務とは、税金を賦課したり徴収したりするのをいいます。一般企業や経営者の場合は所得や利益を申告し、その申告をもとに国税庁などの関係機関が税務を行います。日本の税務は自己申告をもとに行われているため、我々は所得や利益を虚偽なく申告しなければなりません。

M&A後の経営に関して、どのくらいキャッシュが手元に残るかを正確に計算するために、M&Aの税務は非常に重要であると考えられます。

税務に関しては会計士や税理士、キャッシュフローを含めたM&A後の経営戦略についてはM&Aの専門家に相談する必要はありますが、経営者自身もM&Aの税務についてある程度は把握しておくようにしましょう

2. M&Aの税務 株式譲渡の場合

M&Aの税務① 株式譲渡の場合

ここからは、M&Aの税務について、それぞれのスキームごとに紹介します。まずは、株式譲渡によりM&Aを行ったときの税務について、買い手側、売り手側、適格税制・税制非適格の3点を解説していきます。

①買い手側にかかる税金

M&Aの際、株式の時価と譲渡される株式数で譲渡する金額が決まります。原則として、それと同じ対価もしくはのれん代などを上乗せした対価を支払います。

しかし、場合によっては時価よりも安い価格で株式が譲渡される場合があります。この場合、買い手側に利益が生じるため、その利益に対して課税されることになります。

以下では、買い手側に利益が生じた場合に課税される税金について解説します。なおこの記事では、法人が課税される税金だけでなく、個人(事業として株式譲渡を行っていない個人)についても紹介します。

個人の場合 贈与税

個人から個人に株式譲渡される場合、買い手には贈与税が課税される場合があります。無償で株式譲渡された場合は、その株式の時価総額分すべてが利益になるため、それに対して贈与税が課税されます。

また、時価よりも安値で株式譲渡された場合も、株式の時価と売却金額との差額分が利益になるため、それに対しても贈与税が課税されます

当然ですが、時価もしくは時価よりも高い金額で株式譲渡した場合は、もうけがないため、支払うべき税金は発生しません。

個人の場合 所得税

法人から個人に譲渡されるときは、所得税が課税される場合があります。先ほどと同様、無償株式譲渡された場合はその時価総額分が、時価よりも安値で株式譲渡された場合は、時価と売却金額との差額分が利益となるため、その差額分が所得税の課税対象となります。

なお、同じ利益でも株式譲渡される個人によって、その利益が給与所得なのか一時所得なのかが異なります。

譲渡される法人と譲受する個人が雇用関係を結んでいる場合、譲受する個人が得る利益は給与所得になります。一方、その両者間に雇用関係がない場合、その利益は一時所得として計上します。

同じ所得税でも、給与所得と一時所得とで税率や控除額が異なります。そのため、適切に計上しないと税金を払いすぎる場合や、逆に過少申告で追徴課税させる場合があるので注意が必要です。

法人の場合 法人税

次は、買い手が法人の場合の税金について解説します。まず、株式譲渡の利益分について、法人に課税される税金は法人税です。

これも先ほどと同様、無償で株式譲渡された分はその時価総額分が、時価よりも安値で譲渡された分は、時価と売却金額との差額分が利益とみなされ、利益に対して法人税が課税されます。なお、譲渡する側が個人・法人のいずれであっても同様に法人税が課せられます。

法人の場合 寄付金

税金の計算で、減税の効果がある勘定項目が寄付金です。寄付金とは、金銭や資産などの見返りを求めずに相手に贈与するのをいいます。

株式譲渡の場合、譲受する相手に見返りを求めずに安価に譲渡した場合、損失分に関しては寄付金として計上できます。

寄付金は損金として計上できるため、本業などの利益から控除でき、支払うべき税額を減らせます。

しかし、損金に算入できる寄付金の金額には上限があるのに注意が必要です。

②売り手側にかかる税金

次は、株式譲渡したときの売り手にかかる税金について解説します。株式譲渡の際、時価よりも高値で売却した場合、その差額が利益となるため、その利益は課税対象となります。

したがって、株式譲渡の売り手側も課税される場合があります。以下では、売り手にかかる税金について、個人の場合と法人の場合に分けてみていきましょう。

個人の場合 譲渡所得税

売り手が個人の場合、譲渡所得税が課税される場合があります。譲渡所得税は給与所得とは異なっており、利益額によらず一定の税率が課せられます

譲渡所得は、売却額から取得費と手数料などを引いたものです。取得費は、その株式を取得際に要した費用で、創業者であった場合は会社設立で出資した資本金が取得費にあたります。

取得費が不明な場合は、概算取得費の計算方法として、売却代金の5%を計上します。また手数料はM&A仲介会社などに支払うものです。

譲渡所得税は一律で20.315%が課せられ、その内訳は所得税が15.315%、住民税が5%となっています。なお、売り手の利益は、株式譲渡したときの売却金額からその株式を取得するためにかかった費用を差し引いて算出します。

つまり、株式の取得金額やそれにかかった手数料などを費用として控除できます

個人の場合 贈与税もしくは所得税

贈与税もしくは所得税は、個人が時価よりも高値で株式譲渡したとき、得た利益に対して課税される税金です。

株式の時価から取得金額を差し引いた利益分については譲渡所得税が課せられますが、売却金額から時価の差額分については、贈与税もしくは所得税が譲渡所得税とは別に課税されます

売却相手が個人の場合は贈与税、法人の場合は所得税が課せられます。なお、法人と雇用関係がある場合は給与所得として、雇用関係がない場合は一時所得として計上します。

法人の場合 法人税

法人が売り手の場合、取得金額よりも高値で売却すると、その差額に対して法人税が課せられます

この利益も個人のときと同様、株式の取得金額や手数料などを控除した金額を利益として計上します。

法人の場合 寄付金もしくは賞与扱い

寄付金や賞与扱いとなるのは、時価よりも安値で株式を売却したときの損失分です。ほかの法人や雇用関係のない個人に安値で売却した場合は寄付金扱い、雇用関係のある個人に売却した場合は賞与扱いになります。

いずれの場合も損金として算入でき、納税額を低くできます

③税制適格

税制適格とは、M&Aなど組織再編を行ったときに、一定の要件を満たせば課税が繰延される制度のことです。

近年、経済成長率はほぼ横ばいであり、自社の経営資源だけでは安定した成長、雇用の維持が困難になってきています。

政府としても、経済の活性化や雇用の安定化を実現するためには、経営陣にM&Aなどの思い切った戦略を実行してほしいと願っています。

それを実現するために、税制適格の要件を満たす企業のM&Aに関しては税務面で優遇し、M&Aを促進していると考えられます。

適格税制の要件について

適格税制要件は、株式譲渡数やグループ内外の再編かによって異なりますが、最低限、以下2つの要件のうちいずれかを満たす必要があります

  • グループ内の組織再編であるかどうか
  • ビジネス上の合理性がある組織再編かどうか

グループ内の組織再編であるかについては、M&A後の株式保有率が50%超であること、移転事業を継続させるなどをすれば税制適格の要件を満たせます。

ビジネス上の合理性がある組織再編については、株式保有率が50%以下であっても、事業に関連性があることなどで税制適格の要件を満たせます。

適格税制を受けたときの節税について

M&Aにより、買収した企業が得た利益は課税対象になり、原則として、その利益は時価総額として算出しなければなりません。

しかし、適格税制を受けている企業のM&Aについては簿価をもとに算出できます。つまり、簿価よりも時価の方が利益の高いときに節税されることになります

また、適格税制を受けると時価で算出する必要がないため、それぞれの資産を時価で算出するためのコストも削減ができます。

株式譲渡でM&Aを行うときの注意点については、以下の記事で詳しく紹介していますので、是非ご覧ください。

【関連】事業承継を株式譲渡でする時の流れやポイント・税金の注意点を解説!

税制非適格について

税制適格の要件を満たさない場合は、税制非適格として税務処理をします。しかし、税制適格が特別扱いであるため、税制非適格では通常の税務処理をします

税制非適格では、課税所得を計算するためにすべての資産を時価で評価して、課税額を計算しなければなりません。

したがって、簿価よりも時価の方が高い場合は納税額が増え、資産の時価評価にもコストがかかります。これらのことから、税制適格を意識したM&Aを行うのをおすすめします。

3. M&Aの税務 事業譲渡の場合

M&Aの税務② 事業譲渡の場合

続いて、事業譲渡によりM&Aを行ったときの税務について解説します。事業譲渡も株式譲渡のときと同様、買い手側、売り手側の2点とのれん代の注意点についてみていきましょう。

①買い手側にかかる税金

まずは、買い手側(事業を買い取る側)に生じる税金について、解説していきます。基本的には、時価よりも安値で事業を買い取りができれば、その利益分に対して税金がかかります。

しかしながら、事業譲渡では株式譲渡によるM&Aとは異なり、消費税も課税されることに注意が必要です。

消費税、不動産取得税、登録免許税

事業譲渡では株式譲渡と異なり、消費税が課税されます。事業譲渡は、対象資産やその営業権についての売買契約です。スーパーでの買い物と同じ売買行為であるため、当然、譲渡価格に対して消費税が課税されます。

また、事業譲渡について不動産の譲渡も行われた場合には、その不動産の取得についての税金である不動産取得税がかかります。

さらに、譲渡された不動産の登記は書き換える必要があるため、登録免許税もかかります。

所得税(個人の場合)

事業を時価よりも安値で譲り受けた場合、所得税が課税されます。特に、法人から個人へ事業譲渡された場合は、その利益分について所得税が課せられます

雇用関係のある法人から安値で事業を譲り受けた場合は給与所得、雇用関係のない法人から安値で事業を譲り受けた場合は一時所得になり、それぞれの税率で課税されます。

贈与税(個人の場合)

一方、個人から個人へ対象事業を時価よりも安値で譲り受けた場合、その利益分に対して贈与税がかかります。

なお、一定の要件(親族内事業承継など)を満たせば特例税率を適用できるため、贈与税額を抑えられます

法人税(法人の場合)

法人が対象事業を時価よりも安値で譲り受ける場合、その利益分は受贈益とみなされ、それに対して法人税が課せられます。

なお、譲り渡す相手が個人であっても法人であっても、受贈益に対して法人税がかかります

②売り手側にかかる税金

次に、売り手側(事業を譲り渡す側)に生じる税金について解説します。基本的には、時価よりも高値で事業を売却ができれば、その利益分に対して税金がかかります。

また、売り手側についても、事業譲渡では消費税が課税されることに注意が必要です

消費税

売り手側にも消費税がかかりますが、これは事業譲渡が売買契約にあたるからです。しかし、その対象となる売却資産のすべてが消費税の課税対象となるわけではありません。

譲渡資産には課税資産と非課税資産があり、土地・有価証券・債権などの非課税資産には、消費税はかかりません。なお、買い手側に課税される消費税についても、同様に計算されます。

所得税、贈与税(個人の場合)

売り手側の所得税や贈与税も、株式譲渡のときと同様に考えられます。対象事業を時価よりも高値で売却した場合、時価から取得金額を差し引いた分の利益と、売却金額から時価を差し引いた分の利益に対して別の税金がかかります

まず、前者の利益に対しては譲渡所得税がかかり、対象事業に対して20.315%(所得税が15.315%、住民税が5%)分が課税されます。

後者の売却金額から時価を差し引いた分の利益については、譲渡する相手が個人の場合には贈与税がかかります。

譲渡する相手が法人で雇用関係がある場合は給与所得として、雇用関係のない場合は一時所得として計算され、税額が算出されます。

法人税(法人の場合)

売り手側が法人の場合、対象事業を時価で売却しても、時価よりも高値で売却しても取得金額との差額分が利益として計上され、その利益額に対して法人税がかかります。

寄付金もしくは賞与扱い(法人の場合)

ただし、法人が時価よりも安値で対象事業を売却した場合、株式譲渡のときと同様に、損失分を損金として算入でき、減税できます

売却相手が法人もしくは雇用関係のない個人の場合は寄付金として、雇用関係のある個人の場合は賞与扱いとして損金に算入できます。

③のれん代に関する注意

事業譲渡で対象事業の時価よりも安値で買い取った場合、さまざまな税金がかかることは先ほど述べたとおりですが、逆に対象事業の時価よりも高値で買い取った場合、その差額分はのれん代として計上できます

以下では、のれん代に関する注意点について解説していきます。

のれんとは

のれんとは、将来性が見込まれる事業や競争優位性が持続すると思われるノウハウや技術の譲渡について、有形資産の時価とは別で評価して取引価格に加えられる金額のことをいいます。

時価にプラスアルファとして取引価格に加えられることから、のれんのことを買収のオプションとも呼びます。

少しわかりづらいので、A社とB社によるC社への同一の事業譲渡を例に説明します。A社はその事業の純資産額が1,000万円であることから、C社は1,000万円で買取の提示をしました。

一方、B社もA社と同様に純資産額が1,000万円であることから、C社は1,000万円で買取の提示をすると思われました。

しかし、B社の売却する事業では、徹底したコストカットなど固有のノウハウを持っていることから、C社は1,400万円で買取る提示をしました。

つまり、この差額の400万円が事業譲渡後、C社にのれんとして計上されます。なお、時価よりも安値で事業譲渡された場合、負ののれんとして計上できます。

のれん代の税務について

のれんは、その事業を買い取るためにかかった費用として計上します。しかし、のれん代を一括で費用に計上はできません。

のれん代も減価償却と同様、その事業が利益に貢献している期間に渡って均等に分配し、償却する必要があります

しかしながら、その事業がどの程度貢献し続けるかは客観的に判断できないため、日本会計基準では最大20年にわたって償却できるとしています。

なお、のれん代を償却するときは費用として計上されますが、償却していない分についてはその事業の資産価値と考えて貸借対照表の資産の部に計上されます。

4. M&Aの税務 組織再編の場合

M&Aの税務③ 組織再編の場合

次に、組織再編によりM&Aを行ったときの税務について解説していきます。

組織再編とは

そもそも、組織再編とは、経営資源を有効活用し、事業を強化するために会社の組織を改めることをいいます。

M&Aにおける組織再編の手法には、合併株式交換・株式移転の3種類があります

M&Aでの組織再編においても株式譲渡や事業譲渡と同様に利益が生じると、その利益に対して税金が課せられます。

その税金は買い手、売り手ともに事業譲渡と同じ税金ですので、ここでの説明は割愛いたします。

政府としても、経済の安定的な成長のためにM&Aを促進させようとしています。その促進方法として一定の要件を満たした組織再編のM&Aに関して減税を行っています

【関連】M&Aの形態「合併」と「買収」の違いは?メリット・デメリットを比較

税制適格

まずは、合併などの組織再編における税制適格を受けるための要件と、その税務の内容について解説していきます。

税制適格の要件

税制適格を受ける要件ですが、買い手と売り手がどのような関係であるかで満たすべき要件は異なります。

買い手と売り手の間で、支配関係はないが共同事業を行っている関係性であるとき、以下の6つの要件を満たす必要があります

  1. 合併対価要件
  2. 事業関連要件
  3. 事業規模または経営参画要件
  4. 従業者引継ぎ要件
  5. 移転事業引継ぎ要件
  6. 株式継続保有要件

①は合併時の対価を自社の株式以外で支払っていないこと、②は両社の事業に関連性があるのが要件です。

③は被合併会社の事業規模が基準以内であり、かつ被合併会社の役員が合併後、合併会社の役員になる見込みであるのが要件です。

④は被合併会社の従業員の80%以上が合併会社に引き継がれること、⑤は移転した主要事業が引き続き行われること、⑥は被合併会社の株式を引き続き保有するのが要件です。

グループ内での組織再編の場合、完全子会社の関係のときは①の要件のみを満たせば、税制適格の適用を受けられます

株式の保有割合が50%超100%未満の場合は、①④⑤の要件を満たせば税制適格の要件を受けられます

税制適格の内容

税制適格の適用が受けられると、M&Aの税務において以下の優遇を受けられます

  1. 被合併会社から資産や負債を引き継ぐ際、それらの簿価で税額を計算きること。
  2. 被合併会社の欠損金を引き継げること。

①については、被合併会社が成長中の会社であれば、時価よりも安値で税額を計算できるため、減税ができます。また、時価で評価する必要がないため、その算出にかかるコストを削減できます。

②については欠損金を特別損失として計上できるため、当期純利益は減少しますが、税額を減らす効果はあります。

税制非適格

先ほども紹介したとおり、税制適格での税額の計算方法は特例的扱いであり、税制非適格での計算方法が原則的な扱いになります

通常、組織再編におけるM&Aの税務は時価での評価が原則であり、時価で算出される利益をもとに税額を求めます。

時価で評価するためのコストがかかるうえに、場合によっては簿価よりも税金が高くなる場合があります。

5. M&A税務 クロスボーダー(国際間取引)の場合

M&A税務 クロスボーダー(国際間取引)の場合

クロスボーダーのM&Aは、M&Aの対象会社が海外の企業の場合や、海外の子会社を有している、海外に拠点があるケースなどです。

各国の税法はそれぞれの国の課税権にもとづき定められています。国際的な経済活動を行う場合は、国際間において税務上の問題が発生します。課税が重くなりすぎたり、軽くなりすぎたりするケースが想定されるため、調整するのが目的です。

複数の国にわたり取引が行われる場合、国際的二重課税が発生するのを防ぎます。例えば日本法人が国内の法人税に加え、海外の現地でも法人税を課せられる場合があります。その際、公平性を保つために租税契約や外国税額控除といった制度が設定されているのです。

一方、法人税率が低い国も存在します。そのため可能な限り税率の低い国に所得を集中させ、企業の税額を減少させるなど意図的に租税回避などを行う企業も存在します。

そのため,タックスヘイブン対策税制や移転価格税制などの租税回避を防止するための仕組みが国際的に強化されているのが状況です。

6. 税金対策が可能なM&A手法

税金対策が可能なM&A手法について

ここまでは、それぞれのM&Aの手法についての税務について紹介してきましたが、節税対策はどのように行えば可能なのでしょうか。

この章では、それぞれのM&A手法について、税金対策を行う方法について解説していきます。

①株式譲渡の際の税金対策

株式譲渡の際にかかる税金は、株式の取引価格から株式の取得費用や手数料を控除した金額に、それぞれの税率をかけて算出します。

そのため、取引価格を小さくするもしくは取得費用・手数料を大きくすれば、節税ができます

しかし、いずれの方法をとったとしても、手元に残るキャッシュフローは小さくなるので、有効な節税対策であるとはいえません。

そこで裏技的な方法として株式の取得費用を売却価格の5%として計算する方法があります。これは、税額を計算するうえで、株式の取得費用がわからないときは売却価格の5%として計算できます。

この方法を用いて、株式の売却価格が取得費用の20倍を超えたとき、つまり、売却価格の5%下回ることきは、株式の取得費用を5%として計上すると節税ができます。

②事業譲渡の際の税金対策

買い手側と売り手側で、それぞれ事業譲渡の際の税金対策はあります。まず、買い手側は買収価格の内、のれん代が発生したときはその分を節税できます

のれん代は先ほども紹介したように、有形資産の時価とは別の資産について、評価額を取引価格に加える費用のことです。また、のれん代は最大20年にわたって償却できるため、その期間にわたってのれん代の費用分について節税できます。

一方で売り手については、役員退職慰労金で所得を圧縮させられます。事業譲渡を行った際、その事業に関係していた役員が解雇される場合があります。

その際に支払われる退職金は、役員退職慰労金として事業譲渡の際の費用として計上できます。つまり、その分は節税ができます。

③組織再編の際の税金対策

組織再編で節税を行う方法の1つに、繰越欠損金の取り込みがあります。繰越欠損金は、ある年度で発生した赤字額を繰越期間内まで繰り越せる損失分のことをいいます

合併相手が赤字会社の場合、繰越欠損金を抱えている場合が多いため、その分を買い手側の決算に取り込み、利益額を小さくして節税できます。

節税を目的として、意図的に赤字会社と合併するM&Aがあるほど、一般的な節税方法であると思われます。なお、繰越欠損金を取り込むためには税制適格の要件を満たす必要があります。

7. M&Aの税務を学べる書籍紹介

最後にM&Aの税務を学べる書籍について紹介します。この記事で紹介する書籍は以下の3つです。

  1. 図解+ケースでわかる M&A・組織再編の会計と税務〈第2版〉
  2. M&A・組織再編スキーム 発想の着眼点50(第2版)
  3. 組織再編における繰越欠損金の税務詳解(第5版)

①図解+ケースでわかる M&A・組織再編の会計と税務〈第2版〉

図解+ケースでわかる M&A・組織再編の会計と税務〈第2版〉

1つ目に紹介する書籍は、図解+ケースでわかる M&A・組織再編の会計と税務〈第2版〉です。のれん・負ののれん・段階取得・追加取得・一部売却等、複雑な実務に対して130の事例を挙げて解説をしています

また、難解なM&Aにおける会計・税務から、税効果会計までを具体的に詳解している書籍です。また、付録として主要なM&Aスキームの比較表も掲載されています。M&Aの税務について詳しく知りたい方におすすめの書籍である一冊です。

図解+ケースでわかる M&A・組織再編の会計と税務〈第2版〉 | 小林 正和 |本 | 通販 | Amazon

②M&A・組織再編スキーム 発想の着眼点50(第2版)

M&A・組織再編スキーム 発想の着眼点50(第2版)

2つ目に紹介する書籍はM&A・組織再編スキーム 発想の着眼点50(第2版)です。この書籍は、スクイーズアウト税制や非上場株式の評価方法など、税制の大改正に対応した最新版です。

法人税の取り扱い方や、経営者個人の所得税・贈与税・相続税の扱い方についても言及しています。M&Aや経営統合を行う際に、目の前にある課題に対してどのように考えていくべきかについて、より実務に即して簡潔に紹介するのを念頭に記載されている書籍です。

税務に関して詳細に記載されていますので、税理士や会計士などの実務家向けの一冊です。

M&A・組織再編スキーム 発想の着眼点50(第2版) | 宮口 徹 |本 | 通販 | Amazon

③組織再編における繰越欠損金の税務詳解(第5版)

組織再編における繰越欠損金の税務詳解(第5版)

3つ目に紹介する書籍は、組織再編における繰越欠損金の税務詳解(第5版)です。この書籍は組織再編に関する税実務で関心が特に高い繰越欠損金を中心に解説しています

特定資産の定義など、平成29年度税制改正についても対応しています。繰越欠損金について詳しく知りたい方には参考になる一冊といえるでしょう。

組織再編における繰越欠損金の税務詳解(第5版) | 佐藤信祐 |本 | 通販 | Amazon

8. M&Aの税務処理はM&A仲介会社への相談がおすすめ

M&Aの税務処理はM&A仲介会社への相談がおすすめ

この記事では、M&Aに関する税務処理の方法について紹介してきましたが、詳細については税理士や会計士などの専門家やM&A仲介会社のM&Aアドバイザーに相談するのが良いでしょう。

M&Aの税務処理や税金対策についてのご相談は、ぜひM&A総合研究所への無料相談をご利用ください

M&A総合研究所では、M&A専門のアドバイザーが税金対策・M&Aの税務処理など、ご相談内容に応じてサポートいたします。独自に有するネットワークにより最短一週間での買い手候補探しや、最短3ヶ月でのM&A成立を実現しています。

また、着手金・中間報酬は無料の完全成功報酬型を採用しており、手数料は業界最安値の水準に設定していますので、コスト面でも安心してM&Aの仲介依頼をしていただけます

M&Aの実施・M&Aの税務処理や税金対策については、ぜひお気軽にM&A総合研究所へご相談ください。

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9. まとめ

まとめ

M&Aの税務処理について紹介してきました。この記事をまとめると以下のようになります。

・株式譲渡、事業譲渡、組織再編に関するM&Aの税務について
→M&Aで利益が生じたときには課税の対象となるので適切に所得として計上するようにしましょう。
→例外として、税制適格・税制非適格、のれん代があることを知っておきましょう。
 
・M&Aの税務処理が学べる書籍について
→この記事では3冊紹介しましたが、理解を深めるためにはたくさんの書籍を読む必要があります。

税務処理の原則は「利益が出るとそれが課税対象となる」です。

しかし、その利益がどの所得として計上するべきなのか、所得の計上方法の例外を守れているのかの2点については確定申告する前に勉強するか、M&Aアドバイザーなどの専門家に相談しておく必要があります。

M&A総合研究所では、M&A専門のアドバイザーが在籍しているので、M&Aに関する税務処理の相談ができるだけでなく、クロージング後の統合プロセスなどについてもご相談いただけます

また、M&Aの実施前に相談していただければ、M&A専門のアドバイザーが専任に就き、M&Aプロセス・税務面についてフルサポートいたします。

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