M&Aの標準プロセス!具体的な手順・流れを解説!

M&Aは通常、1年程度かかるプロセスを考えておく必要があります。通常はM&A仲介会社のサポートを得ながら進めることになりますが、その過程で自社で検討すべきことも多岐にわたります。最初に知っておくべき、M&Aの標準プロセスを紹介します。


目次

  1. M&Aとは
  2. M&Aの標準プロセスについて
  3. M&Aの標準プロセスを実行する際の注意点
  4. M&Aの標準プロセスの具体的な手順や流れ
  5. M&Aのプロセスに必要な書類
  6. M&Aのご相談は仲介会社まで
  7. まとめ

1. M&Aとは

M&Aとは

M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略で、企業の合併と吸収を意味します。

さらに詳しくは、広義的な意味でのM&Aは複数の企業が一つの目標に向けて協力すること一般を意味しますが、狭義的な意味でのM&Aは、複数の会社が一つになる合併やある会社が他の会社を買収する統合のみを意味します。よく使われるM&Aの意味は、狭義的な意味のM&Aです。

さらに中小企業のM&Aにおいては、狭義的な意味のM&Aのうちの、株式譲渡と事業譲渡の手法で行われることが9割以上です。

本記事では、中小企業がM&Aを進めるにあたっての標準プロセスをまず解説し、それ以下に各プロセスにおいてすべきことを詳しく紹介していきます。

M&Aの手法と特徴をどこよりも詳しく解説! | M&A・事業承継ならM&A総合研究所

2. M&Aの標準プロセスについて

M&Aの標準プロセスについて

M&Aは一種の企業間のディール(Deal)です。ディールとは、売買や取引を意味します。そして、このディールを成立させるためのM&Aのプロセスが、標準プロセスです。

しかし、M&Aの標準プロセスには、このディールのために具体的な交渉などを行う前にやるべきことも含まれます。

プレディールとディールがある

中小企業におけるM&Aの標準プロセスは、約1年ほどが見込まれています。しかしこの1年の間のすべてが、取引交渉に費やされるプロセスのみを指しているわけではありません。交渉の前にM&A戦略の策定から、ターゲット候補先の選定までのプロセスも、時間を取って慎重に行う必要があります。

このM&A戦略の策定やターゲット候補先の選定は、ディールの準備段階ということができます。そこでこのプロセスを、プレディールのプロセスと呼びます。

プレディールが終わり具体的な交渉に入ったら、それはまさにディールで、M&Aの取引を成立させるためのプロセスとなります。

プレディールの標準プロセス

先にも述べましたが、プレディールはM&Aにおける交渉の準備と考えることができます。以下にプレディールの知っておくべきポイントと注意点を紹介します。

①M&A戦略の策定する

まずは、M&A戦略の策定のプロセスです。具体的に検討すべきことは、「M&Aの標準プロセスの具体的な手順や流れ」で紹介しています。

M&A戦略の策定は、M&Aを進めるにあたって、最も大事な軸を定めることになります。後述のターゲットの選定から評価、さらにはディールの標準プロセスにおいての交渉から契約も、よほどのことがあって変更しない限りここで定めた軸に従っていることが求められます。

②M&Aのターゲットを選定する

M&Aのターゲット選びも、プレディールです。

M&Aの戦略に沿ってターゲット選びをしていきますが、この段階ではあまり絞り込みすぎないことも大事になってきます。なぜなら、この段階で選定したターゲットが交渉に応じてくれるとは限りません。またそもそも、M&Aは成立までたどり着くのが2割程度と言われています。

したがってこの段階で絞り込みすぎてしまうと、その後の展開で候補先がなくなり、また一からこのプロセスに戻ることになりかねません。

③ターゲット企業の評価を検討する

M&Aのターゲットを選定したら、そのターゲット企業を評価していきます。

企業は千差万別ですので、色々と検討していくと理想的に見えたり、あまり理想的には見えなかったりする企業に分けられてきます。その過程で自然に、優先順位なども検討されます

注意すべきは、ここでも戦略のところで定めた軸に従うことです。M&Aを成立させることに躍起になり、M&Aを成立させられそうだという観点からターゲット企業の評価をしてしまうことがありますが、それは避けるべきです。

ディールの標準プロセス

交渉からディールを完了させるまでのプロセスが、ディールのプロセスです。以下にディールにおいて知っておくべきポイントと注意点を紹介します。

①M&A基本合意書を締結する

プレディールの後の交渉は、まずこの基本合意書の締結の為に行われます。

なぜなら、基本合意書の締結をもって初めて、売却側と買収側双方が、具体的にM&Aを進めることを約束したことになるからです。

したがって基本合意書の締結後は、双方がもはや他の候補先を検討することはなく、お互いを具体的なターゲットとするM&Aの成立のみに注力することが可能となります。

②ターゲット企業の詳細な評価を実施する

プレディール時にもターゲット企業の評価の話が出てきましたが、このディールのプロセスにおける評価はそれとは異なります。

この段階でのターゲット企業の評価は、M&A後の統合プロセス(PMI)を見据えたものです。M&Aがそのシナジー効果を発揮するには、後述の「M&Aの標準プロセスの具体的な手順や流れ」で紹介する統合プロセス(PMI)を計画性をもって行う必要がありますが、それをM&Aのディールが成立してから検討し、計画するのでは遅すぎて失敗を招きます。

基本合意書の締結によって、M&Aを進めることに双方が合意できているわけですし、デューデリジェンスの実施によって売却側の情報もより詳しく明らかになります。したがってこの段階では、ターゲット企業の情報はより詳らかに明らかにされます。

こうした情報を元に、ターゲット企業を詳細に評価し、それを統合プロセスに反映させていきます。

③M&A最終契約の締結する

M&Aの最終契約書を締結することになります。

ただ、最終契約書が締結したら即座にM&Aのディールは終わるわけではありません。通常、最終契約書には様々な前提条件が規定され、これらの条件が満たされた場合に、M&Aのクロージングが行われることが定められます。

ただし前提条件といっても、この段階で実現可能性の低い条件は普通は課されません。事務的に進めていけば十分クリアできる条件となります。

④ディールの完了

前提条件が満たされたら、最終契約書に定められたクロージング日において、M&Aの完了手続きと対価の決済を行います。

これにて、M&Aのディールのプロセスは完了です。

M&Aと事業承継の違いは?メリット・デメリットを解説! | M&A・事業承継ならM&A総合研究所

3. M&Aの標準プロセスを実行する際の注意点

M&Aの標準プロセスを実行する際の注意点

中小企業のM&Aは、M&A仲介会社にサポートをお願いして進めるべきです。法律や税金、会計など幅広い知識を持ったM&Aアドバイザーや専門家によるサポートで、中小企業が自社単独でM&Aを行うよりもはるかにスムーズにM&Aを進めることが可能となります。

しかし、上記で紹介したM&Aの標準プロセスにおけるプレディールとディールのプロセスで、その活用についての考え方が少々異なります。

プレディールの標準プロセスの注意点

プレディールのプロセスにおける、M&A戦略の策定やターゲット企業の選定・評価を、M&A仲介会社が中小企業に代わって行うことはできません。もちろんM&A仲介会社が、それらを行うための情報提供などを積極的に行ってくれるメリットはとても大きいですが、最終的な戦略の判断は中小企業自身が行うべきです。

つまりプレディールのプロセスは、M&Aの標準プロセスの中でも、中小企業の労力が大きい部分です。そこで、このプレディールの段階における注意点を以下に加えておきます。

M&A、会社売却をするための動機を明確にする

M&Aは大きなイベントとなりますので、ある程度は時間をかけて粘り強く交渉をしたり買い手を探す方が、結果的にはM&Aを成功に導くことができる可能性が高くなります。

そこで大事になってくるのが、「どれだけ良い条件で売れるか?」という事で、それを突き詰めれば「どうして会社売却、M&Aをするのか?」という動機がとても大事になります。

最初の動機はしっかり記録しておくべき

後継者不足や事業再編、セミリタイアなど、中小企業のM&Aの動機は人それぞれです。

時間のかかる、時には厳しい交渉実務において、こうした動機はM&Aを成し遂げるためのモチベーションとして非常に重要です。動機は記録しておき、M&Aの各プロセスにおいていつでも見直せる状態にしておくことが大事になってきます。

M&Aの目標、目的を明確にする

動機がはっきりしたら、M&Aの目標と目的が大事になってきます。

具体的に、M&Aをしてどうなりたいのか?何が欲しいのか?といったことも記録しておき、行動の指針にすることです。

交渉の場面で非常に沢山の選択を迫られることなりますが、ここがぶれなければ迷いも少なく、判断力を欠くことなくプロセスを前に進められます。

目標としては、今後の会社運営面も含めて、少なくとも以下は設定しておくべきだと考えられます。
 

  • M&A、会社売却で得たい資金の金額
  • 会社のガバナンスや経営者自身のその後の身の振り方などの会社運営について
  • 給与水準をや人事においての約束事、解雇の条件など、従業員をどうするかについて
  • 取引先との関係

M&Aのことについてまずは知る

動機と目的がしっかりと定まった後は、実務に向けてM&Aについての知識を最低限でも良いので持つようにする必要があります。

基本的には専門家やM&A仲介会社の手を借りなければ、中小企業のM&Aの実務は進みません。高い専門性と知識が豊富なM&Aのエキスパートが対応してくれるため、そのプロセスにおいて任せられるところは任せても大丈夫ですが、任せっきりにしてしまうと思わぬところで失敗をしてしまう可能性があります。

失敗しないM&Aを進めるために、自身で少しはM&Aに関する知識を身につけておくプロセスは必須です。

ディールの標準プロセスの注意点

ディールのプロセスの段階ではもはや具体的なM&Aの相手も決まり、M&Aの成立に向けて突っ走る段階と言えます。

もちろん、ディールのプロセスにおける契約書の締結やクロージングに向けた動きの中にも、実行に向けて検討すべき事柄は多くあります。

しかしディールのプロセスでは、検討項目や事務的作業などの具体的にやるべきことがもはや明確になっていますので、M&A仲介会社にサポートをお任せして進められる部分が多くなります。M&A仲介会社お任せできる部分はどんどんお任せしていくことが、ディールの標準プロセスをスムーズに進めるポイントとなります。

ただし注意すべきは、いくらお任せしても、最終的な契約の確認などは自社でしっかり行う必要があることです。

M&Aのプロセスまとめ! | M&A・事業承継ならM&A総合研究所

4. M&Aの標準プロセスの具体的な手順や流れ

M&Aの標準プロセスの具体的な手順や流れ

M&Aの標準プロセスを具体的に紹介していきます。
 

標準プロセス プロセスNo プロセス
プレディール M&Aの目的を決める
M&A戦略を検討する
M&Aの仲介会社を決める
M&Aの手法を決定する
M&Aのターゲット企業を選ぶ
ターゲット企業の価値や分析を行う
ターゲット企業にアプローチする
ネームクリアを実行する
企業概要書を提示する
ディール トップ同士の面談を実施する
M&A基本合意書・意向表明書の締結を行う
デューデリジェンスを実施する
M&A最終契約を締結する
クロージング
統合プロセス(PMI)を実施する

 

①M&Aの目的を決める

まずは、M&Aの目的を定めるプロセスです。

ただしM&Aは、あくまで経営戦略の手法であり、M&Aをすることが目的となってはいけません。なぜM&Aをおこなうのか、M&Aをおこなうことで、どんなメリットが考えられ、どのようなデメリットが危惧されるのか、しっかりと目的を明確化することが大切です。

これは、M&Aのクロージングの後におこなわれる、PMIの実施に深く関わります。クロージング後のPMIの実施によって、どのような企業を目指したいのかを考えることが、M&Aの目的明確化につながります。

例を挙げると、企業は後継者不足に困っており、M&Aを考えていたとします。この場合の目的は、後継者を見つけることです。後継者を見つける手法は、M&Aだけに限りません。人員の募集をかけることも、後継者不足の解消につながる可能性があります。このように、目的を明確化することで、今後の経営改善に最適な方法を見つけることが大切です。

②M&A戦略を検討する

M&Aの目的が定まったら、M&A戦略を定めるプロセスです。

具体的には、以下の項目を一つ一つ決めていきます。
 

  • 全部の事業を売却するのか、それとも一部にするのか
  • 売却価格をいくらに設定するか
  • どんな方法で売却するか

また、この売却条件にもしっかり優先順位を決めておくことで、交渉がうまく進まないときにも、自社が譲れるものと譲れないものを明確にし、プロセスを前に進めやすくなります。

③M&Aの仲介会社を決める

少なくとも具体的なターゲット企業を探す前までに、サポートをお願いするM&A仲介会社を決めておく必要があります。これには、M&A仲介会社との秘密保持契約とアドバイザリー契約を結ぶプロセスがあります。

M&Aの候補先を自社の情報のみで選定するとなると、自社とつながりがある企業の中から選定をおこなわなければなりません。候補にできる企業が少なければ少ないほど、統合や買収に最適な対象企業を見つけ出すことも難しくなります。

また交渉における金額や株式の話などの条件を詰めていくことや、必要な手順を踏むことも困難になります。

したがってM&Aをおこなうときは、M&A仲介会社にサポートを依頼するのが一般的です。M&A仲介会社を利用することで、仲介業者がもっている幅広いネットワークを利用することができるだけでなく、M&A担当者の負担をかなり軽減することができます。

④M&Aの手法を決定する

M&A仲介会社へ相談した後は、より具体的なM&Aの見通しを立てることになります。

まずはM&Aの手法の検討するプロセスですが、最終的な決定は相手先との交渉結果による部分も大きいですので、この段階では自社が取りえる手法、取りえない手法を、それぞれの手法のメリット・デメリットや自社がM&Aを行う目的に照らして絞っておきます。

⑤M&Aのターゲット企業を選ぶ

M&A仲介会社からは、買収を検討している候補先企業をいくつか提案してもらえますので、その中から自社のM&Aの目的、戦略に照らして合いそうなターゲット企業を選ぶプロセスに入ります。

後のプロセスにおけるターゲット企業の価値や分析、および交渉打診の段階で、ここで選んだすべての候補先全てが面談まで進むことはほとんどありません。したがってまずは、表面上の情報から全く検討対象外になる候補先を外すくらいで大丈夫です。

⑥ターゲット企業の価値や分析を行う

M&Aをおこなう企業にとって最大の目的となるのは、お互いの企業のシナジー効果を引き出すことです。シナジー効果とは相乗効果のことで、単に会社または事業を足し合わせた以上の成果を生み出すM&Aの効果のことです。

M&Aの実現可能性だけを単に検討するのではなく、M&A後の事業展開とそれによるシナジー効果までを見据えてターゲット企業を選ぶことが大事になってきます。

特に売却側は、売却の実現可能性だけに目が行きがちですが、このシナジー効果を発揮できそうな候補先の方が、自社を高く売却できる可能性が格段に上がります。したがって、シナジー効果の観点からターゲット企業の価値や分析を行い、それを元にターゲット企業を絞り込んで優先順位をつけるプロセスが大切になってきます。

⑦ターゲット企業にアプローチする

ターゲット企業の優先順位の高い順に、その企業へのアプローチを行うプロセスに入ります。

まずはじめに、ノンネームシートと言われる、企業名を伏せた紹介資料を相手企業に提出します。

ノンネームシートとは、通常、A4用紙1枚程度に、「業務内容」「地域」「社員数」「売上高」「譲渡理由」「特徴」などが記されていますが、具体的な会社は特定されないように伏せられているものです。これは、買収側がまだ検討するかどうかわからない段階での情報漏洩を防ぐために、このようになっています。

⑧ネームクリアを実行する

ターゲット企業がノンネームシートによる自社の情報を元に、自社の情報をより詳しく知るべく興味を示した場合、ネームクリアを実行するプロセスです。

ネームクリアとは、ノンネームシートでは伏せられていた自社の社名を、明らかにすることです。ターゲット企業はこのネームクリアによって、具体的な相手(自社)を知ることが可能になりますので、より前に進んだ自社を対象とする買収の検討プロセスに入ります。

⑨企業概要書を提示する

ネームクリアに加え、さらに自社の企業概要書を、ターゲット企業に提示するプロセスです。

企業概要書とは、事業内容や財務状況等も含めた、売り手企業の詳細な情報が記載された自社の資料です。M&A仲介会社とのアドバイザリー契約後に提出した資料とヒアリングを元に、M&A仲介会社がA4用紙20~30枚程度の企業概要書を作成します。

この企業概要書により、ターゲット企業がさらに面談すべきかを判断します。

⑩トップ同士の面談を実施する

ターゲット企業が面談の意向を示したら、経営者同士のトップ面談のプロセスです。

ただし、一回の面談で交渉に入ることはあまりなく、最初はあくまでも交流が中心であることがほとんどです。オフィスや工場の見学がここで行われることもあります(ただし、M&Aを検討していることが不必要に漏れないことに注意が必要)。

その後、M&A仲介会社に緩衝材の役割を担ってもらいつつ、条件のすり合わせを行います。この手順でいう条件とは、例えば売却金額や売却予定日などです。

⑪M&A基本合意書・意向表明書の締結を行う

面談でターゲット企業が自社の買収を進めたい意向を示したら、ターゲット企業にて意向表明書が提出されます。意向表明書は、買い手側が売り手側に対し、M&Aを進める意向を伝える為の書面です。

また売り手側にとっては、複数の買い手側候補がいる場合、この意向表明書を具体的にM&Aの手順を進める相手を選ぶ際の判断材料とすることができます。

ただしこの意向表明書には法的拘束力はなく、省略されることもあります。

意向表明書を受けて、自社もターゲット企業を売却相手とするM&Aを進める意思があれば、今度は双方による基本合意書の締結プロセスになります。

ただしこのプロセスは、まだM&Aの仮契約であり、本契約ではありません。あくまでもM&Aの検討をお互いに続けることを確認する契約です。

この契約の中には、売却予定金額や譲渡予定日、買収監査の進め方、独占交渉権の付与などが記載されます。

⑫デューデリジェンスを実施する

デューディリジェンスは、M&Aにおける売り手側と買い手側の情報の非対称性の解消を目的として行われるプロセスです。

売り手側は自社の経営情報はよく把握していますが、買い手側にしてみれば、売り手側の内部情報は持っていないので、経営実態を的確に把握することができません。いわば、M&Aにおいては買い手側は情報弱者です。そこには情報の非対称性が存在することになります。

この非対称性を解消し、売り手側と買い手側が対等な立場で検討・交渉を行えるようにすることが、デューディリジェンスの重要な役割です。したがってデューデリジェンスは、買い手側(この場合はターゲット企業)が知りたい事柄に沿って行われます。

デューデリジェンスで必須と考えられている項目は、「財務」「法務」「労務」になります。

法務デューデリジェンス

会社が締結しているさまざまな契約書はM&Aを進めるうえで妨げにならないか、法令を遵守した経営がなされているか、などです。

労務デューデリジェンス

就業規則、賃金規定、退職金規定などの各種規程や残業代や有給休暇、会社の内規や稟議のルールなどです。

ビジネスデューデリジェンス

営業の進め方、在庫管理方法、集金方法などです。

⑬M&A最終契約を締結する

デューデリジェンスの結果をもとに、ターゲット企業とM&Aの最終条件や細目事項を決定し、M&Aの最終契約書案を作成するプロセスです。

最終契約書には、以下のような事項が入ります。 
 

  • M&A取引(売却)価格
  • 退職金をどうするか
  • 従業員の処遇
  • 役員の処遇
  • 支払い方法
  • 連帯保証や担保提供の解除方法
  • 契約書に書いていない債務が発生した場合どうするかなど
  • その他細目事項の決定(社宅をどうするか、骨董品やゴルフ会員権の取り扱い、役員人事等)

また、デューデリジェンスで指摘された事項があれば、その内容も条件に反映させます。もちろん、これらがターゲット企業と合意できたら、契約の締結です。

また、M&Aのクロージングに向けて、スケジュールの調整や場所の手配の実務、株券の準備が必要な場合は株券の準備の実務、最終契約書の製本の実務、売却後の引き継ぎ計画の実務の他、様々な実務も、M&A仲介業者や各専門家のサポートを得ながら進めていくことになります。

⑭クロージング

M&Aにおいて、株式譲渡であれば株式の譲渡、事業譲渡であれば事業の譲渡を完了させるための手続きと、その対価の決済手続のことをクロージングと言います。

M&Aにおいては、最終契約締結と同時にこのクロージングのプロセスが行われることもありますが、多くの場合は、最終契約書を締結した後日(1ヶ月程度後が多い)にこのクロージングのプロセスが行われます。

これは、通常M&Aの最終契約書には様々な前提条件が規定され、これらの条件が満たされた場合に、最終契約書で定められたクロージング日において、M&Aが実行されると定められていることによります。この、最終契約書の締結からクロージング日までの期間を、クロージング期間と呼びます。

クロージング期間は、最終契約書に定められたM&Aの前提条件を満たすための期間です。前提条件が満たされていることを確認してから、クロージング日においてM&Aの完了手続きと対価の決済を行います。

⑮統合プロセス(PMI)を実施する

M&Aはクロージングが終われば、ターゲット企業はもはやターゲット企業ではなく、同じ一つの会社です。

しかし、M&Aはクロージングをもって見た目のプロセスは完了しますが、M&Aが成果をあげるための作業はこれで終わりではありません。むしろシナジー効果の発揮のためには、クロージング後がとても大事です。

売り手側と買い手側の統合後の新体制のもとで、統合後のシナジー効果を発揮するために計画し、経営戦略に落とし込んで徹底していきます。この統合プロセスとマネジメントのことを、PMI(Post Merger Integration)と呼びます。

PMIの対象となる要素は無数にありますが、代表的なものとして以下3点は、具体的なスケジュールで進めていかなくてはなりません。このPMIは、場合によっては年単位の時間をスケジュールに入れる必要があります。
 

  • 経営戦略(ビジョン、戦略、ビジネスモデル、マーケティング等)
  • 管理体制(組織、業務管理、人事制度等)
  • 運用体制(業務、システム、従業員意識等)

会社売ります。買います。【M&A完全マニュアル】 | M&A・事業承継ならM&A総合研究所

5. M&Aのプロセスに必要な書類

M&Aのプロセスに必要な書類

M&Aはそのプロセスにおいて、多くの書類が必要となります。以下の書類の整理は、M&Aが進み始めた段階で着手しておけば、その後のプロセスをスムーズに進めることができます。

通常はしっかり管理されているか、簡単に取得できるものが中心ですが、中小企業の場合は管理が不十分だったりすることも珍しくはないので注意が必要です。

会社の基礎資料

会社の概要を説明する資料になります。M&Aにおいては以下のものが必要です。
 

  • 会社案内・会社経歴書・工場案内等
  • 定款(最新のもの)
  • 会社商業登記簿謄本(法務局より最新の履歴事項全部証明書)
  • 株主名簿
  • 議事録(株主総会、取締役会、経営会議等 添付資料含む)

財務関係

確定申告にあたって必要となるものが中心です。税理士事務所に相談しましょう。
 

  • 決算書・期末残高試算表・勘定科目内訳明細 3期分
  • 法人税・住民税・事業税・消費税申告書 3期分
  • 減価償却資産台帳(直近期末分)
  • 月次試算表(直近期1年分及び進行期分)
  • 支払保険料内訳・租税公課内訳(総勘定元帳の写しなど) 3期分
  • 固定資産課税明細書(最新分)
  • 土地・建物の登記簿謄本(法務局より最新の全部事項証明書)
  • 事業計画

営業・製造関係

自社の営業実態を詳細に説明する資料になります。M&A、会社売却においては、通常公開しないものも提出する必要があります。
 

  • 製品・サービスのカタログ
  • 店舗・事業所の概況(所在地、人員数等)
  • 採算管理資料(部門別・商品(製品)別・取引先別等) 3期分 要約したもの
  • 売上内訳(部門別・商品(製品)別・取引先別等) 3期分 要約したもの
  • 仕入内訳(部門別・商品(製品)別・取引先別等) 3期分 要約したもの

人事・労務関係

中小企業においては、きちんと作成・管理されていないケースも多い書類です。そのような場合はM&A、会社売却に取り掛かったら、できる限り揃えるように準備が必要です。
 

  • 組織図(組織別人員数もわかるもの)
  • 主要役員・部門長の経歴書
  • 従業員名簿(生年月日・入社年月日・役職・取得資格がわかるもの)
  • 社内規程(特に就業規則、給与、資金規程、退職金規程)
  • 給与台帳(直近期末分)

契約関係

各種の契約関係の書類です。契約があるものは準備しておく必要があります。
 

  • 土地・建物の賃貸借契約書
  • 銀行借入金残高一覧(返済予定表、差入担保一覧)
  • 保険積立金の解約返戻金資料(直近期末時点の金額)
  • 株式・ゴルフ会員権等の保有数量がわかる資料(取引残高報告書、現物集計など)
  • 金融商品・デリバティブ(為替予約、スワップ、仕組み債等)の最新時価資料
  • 取引先との取引基本契約書
  • 生産・販売委託契約書
  • リース契約一覧
  • 連帯保証人明細表
  • 株主間協定書
  • その他経営にかかわる重要な契約書

その他重要事項(許認可関係)

許認可はM&Aのスキームによっては買収先に引き継げない場合もありますが、自社の活動の根拠になるものなので、準備が必要です。
 

  • 事業活動に必要な全ての免許、許認可、登録、届出の各書類

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6. M&Aのご相談は仲介会社まで

M&Aのご相談は仲介会社まで

中小企業M&Aのプロセスをスケジュール通りに進めるには、専門家の協力が欠かせません。M&Aアドバイザーは法律や税金、会計など幅広い知識を持っています。

また、優秀なM&Aアドバイザーは、さまざまなM&Aに携わってきた経験から、高い実務能力と、経営者とも対等に交渉ができるコミュニケーション能力を持っています。M&Aしたい中小企業の、力強い味方です。

M&A総合研究所に在籍するM&Aアドバイザーは、M&Aの経験豊富な人材が揃っています。

着手金、中間報酬は無料で、成功報酬は業界最安値水準のシンプルな料金設定になっています。中小企業がM&Aを行う際は、M&A総合研究所へまずはお気軽にご相談ください。相談は無料です。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

7. まとめ

まとめ

M&Aは企業の合併と吸収のことです。日本における中小企業のM&Aでは、ほぼ9割が株式譲渡または事業譲渡のスキームで行われています。

M&Aにはディールを成立させるための、標準プロセスがあります。この標準プロセスはプレディールとディールに分けられ、それぞれの知っておくべきポイントと注意点をまず紹介しました。

その上で、各プロセスの詳細を紹介しました。

中小企業のM&Aのプロセスについての相談は、M&A総合研究所までご相談ください。M&Aについて詳しくご案内させて頂きます。

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