M&Aの失敗の原因まとめ!20個の失敗例から徹底解説!

M&Aは注意して行わないと失敗することがあります。それは大手企業でも中小企業でも同じです。M&Aの失敗の要因を知ることで対策を講じることができます。そこで今回は、M&Aを失敗する原因を20個の失敗例から徹底解説していきます。


目次

  1. M&Aの失敗の定義
  2. 日本でのM&Aが失敗する割合
  3. 有名なM&Aの失敗事例
  4. M&Aの失敗の原因20個
  5. M&Aに失敗しないための対策
  6. まとめ

1. M&Aの失敗の定義

M&Aの失敗の定義

買い手にしてみれば、M&Aは投資と一緒です。成功もあれば失敗もありますが、ここでは失敗に焦点を当てて、どんなことがM&Aにおける失敗と言えるのか、その定義について解説します。

①投資額が大きすぎる

投資対効果が得られなかったというのは、M&Aの失敗事例の中で一番多い要因です。

特に多いのは、不動産の購入と同様、同じ企業は他には無いと思ってしまい、どうしてもその企業や事業が欲しい時や、競争相手がいる場合に高値でM&Aをしてしまう場合です。

勢いでM&Aを行ってしまうと、たとえ事業がうまくいったとしても、投資対効果という点では失敗に終わってしまいます。

②のれんの減損処理を行う

「①投資額が大きすぎる」と通ずる話ですが、買収時の評価額の査定が甘かったことにより、M&A後にのれんの減損で巨額の損失を計上してしまうことがあります。

M&Aで企業を買収する場合は、通常買収先の純資産に加えて、買収先の持つブランド力や技術力・人的資源や地理的条件・顧客ネットワークなどの見えない資産価値を加えた金額で買収します。この見えない資産価値(「超過収益力」と言われることもあります)が「のれん」です。

日本の会計基準を採用する場合、こののれんは貸借対照表上に無形固定資産として発生益仕訳をし、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって規則的に償却しなければなりません。つまり、高く買った分だけM&A後に損失を計上しなければならないということになります。

③事業の業績悪化により廃業する

企業や事業を買収したものの、事業がうまくいかず、最悪の場合はそれらの廃業に追い込まれるケースがあります。

M&Aのプロセスに問題がないのに廃業に追い込まれる事態がが起こった場合は、単に投資の失敗が要因です。買収に要した費用と、再生するために要したM&A後の投資額がそのまま損失になります。事業が上手くいっておらず、安値で企業をM&Aをした場合ほど、このリスクを負わなければなりません。

一方で、デューデリジェンスをしっかりやることを怠ったがために、M&Aした企業の不正や不良資産に気づくことができず、破綻にまで追い込まれることがあります。これはM&Aのプロセスにそもそも問題があったことによる失敗ですが、最悪の場合は、買収した企業そのものの破綻にまでつながりかねません。

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2. 日本でのM&Aが失敗する割合

日本でのM&Aが失敗する割合

M&Aは日本だと成功が30%、失敗が70%と言われています。しかし失敗の大半は、海外M&Aでの失敗事例が多いようです。

日本国内の失敗事例にはいくつかの共通する要因が含まれていますが、それは後述する「M&Aの失敗の原因20個」の通りです。これに加えて海外M&Aにおいては、日本と海外の以下の違いから失敗が起こりえます。

海外M&Aとの違い

M&Aの失敗は、海外M&Aが大半であることを述べました。つまり海外M&Aは、それだけ成功へのハードルも上がるわけです。

その理由としては、国が違えば文化や慣習、また法律までもが違うことです。日本国内のM&Aにおいても売り手側と買い手側の企業文化の違いは当然のようにありますが、海外M&Aではそれに加え、そもそもそこにいる人たちは全く違う生活習慣の下で暮らしています。

それを理解しないで、日本国内のM&Aと同じように海外へのM&Aを進めても、意図したように進むことはまずありません。したがって海外M&Aを行う場合は、しっかりと現地調査を行ったうえで、その現地に合わせた統合プロセスを策定する必要があります。

また現地調査を行ったうえでも、想定外の出来事は海外M&Aにはつきものです。そうしたことに柔軟に対応できるかどうかも、海外M&Aの成功のカギとなります。

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3. 有名なM&Aの失敗事例

M&Aの失敗事例

大手企業であっても、M&Aは失敗することがあります。中には想定しえない出来事によりM&Aが上手くいかないこともあり、それを失敗と言うべきかどうかは判断が分かれますが、思った効果を上げられず損失が発生した、日本企業がかかわったM&A失敗事例を3つ見ていきます。

  1. 失敗事例:芝によるウェスチングハウスへのM&A
  2. 失敗事例:キリンによるスキンカリオールへのM&A
  3. 失敗事例:ウォルマートによる西友へのM&A

①東芝によるウェスチングハウスへのM&A

2006年に東芝が、アメリカの原発大手ウェスチングハウスに対するM&Aを実施した事例です。

失敗した要因

買収した企業の収益が悪化したことによる失敗事例です。

この買収で東芝は、巨額ののれんを計上していた一方、2011年の東日本大震災の影響により、世界的に原発の安全性に対しての懸念が強まりました。結果、買収した原発の事業も、M&A時に想定された収益を挙げられないことが見込まれ、3,300億円ののれんから2,600億円もの減損処理をする必要に迫られました。

②キリンによるスキンカリオールへのM&A

2011年に飲料メーカーのキリンが、ブラジルビール大手のスキンカリオールを買収した事例です。

失敗した要因

海外市場の動向を見誤ったことによる失敗事例です。

キリンは日本国内での人口減少と市場縮小が見込まれる中で、海外の新興国であるブラジルに進出し活路を見出そうとしました。

ブラジルでの市場拡大は見込まれていたものの、一方でこの買収後に景気が低迷してしまいました。M&A時に想定された収益を挙げられないことが見込まれ、2015年には1,100億円もの減損損失を計上しています(買収額は約2,000億円)。

③ウォルマートによる西友へのM&A

2002年アメリカ小売大手のウォルマートが、日本の西友(SEIYU)とのM&Aにて資本提携をした事例です。

失敗した要因

経営不振にあえいでいた西友を立て直す意図を持ったM&Aでしたが、その見通しの甘さによる失敗に終わった事例です。

M&Aの後も西友は、業績不振からは脱却できませんでした。2005年に子会社化したものの業績は伸びず、2007年にさらに1,000億円追加投資して完全子会社化となっています。

トータルでの最終的な投資資金は2,470億円を超えたとれていますが、これは2002年に完全子会社化していれば1,000億円で済んでいたと言われているものでした。

またこの買収は、ウォルマートがアメリカで行っていた小売りの手法(Everyday Low Price)を西友にて実施しましたが、これが日本の消費者相手には上手くいかなかったと言われています。だとすると失敗の根本原因は、日本の文化や慣習の違いに対する調査・理解不足といえるでしょう。

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4. M&Aの失敗の原因20個

M&Aの失敗の原因20個

M&Aが失敗する要因はさまざまですが、この章では以下の失敗要因20個について解説します。
 

  1. 希望売却・譲渡額にこだわりすぎる
  2. 株主名簿や株券の整備が整っていない
  3. 議事録がないため信用性に乏しい
  4. 役員や株主の承諾が得られない
  5. 仲介会社やFAに任せっきり
  6. 企業評価額をロジックなく算定する
  7. 経営者や従業員の意思確認不足
  8. M&A先企業を見誤る
  9. 双方の対応が不誠実
  10. M&A中に業績が悪化
  11. デューデリジェンス不足
  12. コンプライアンスに違反している
  13. チェンジ・オブ・コントロール条項に注意
  14. M&Aのゴールを見誤る
  15. 簿外帳簿の可能性
  16. シナジー効果を過剰に想定する
  17. 最終契約直前の条件変更の申し出
  18. 契約書の内容を曖昧にする
  19. 統合プロセスを行わない
  20. 敵対的買収による従業員などの流出

①希望売却・譲渡額にこだわりすぎる

売り手側の立場からですが、M&Aの交渉においては自社が考えもよらなかった点が買い手側に高く評価されたり、低く評価されることは珍しくありません。

もちろん高く評価されれば結構なことですが、低く評価された点があったからといってむやみに買い手の出した条件を突っぱねるようなやり方を続けていては、いつまでたってもM&Aの成約に結び付けられない可能性があります。

どんな評価や条件も、意見の一つとしてまずは検討するのは必要です。もちろん、むやみに譲歩する必要はなく、別の対案を出すことも可能です。

②株主名簿や株券の整備が整っていない

中小企業に多いのは、株式の整備不足です。株券と株主に関する情報が記録されておらず、経営者が記憶しているだけの状態となっている場合です。

このような状態では、経営が移った時に株式の実態が分からなくなり、そもそも交渉が進んだ段階で発覚したら、誤った情報を元に交渉していたということになり、会社の信用度にも疑問が生じます。最悪の場合、いくら良い話し合いが進んでいても、M&Aが頓挫してまうことにもなりかねません。

③議事録がないため信用性に乏しい

株主総会議事録や取締役会議事録を整備していない企業は、それらが未整備というだけで、信用度を落としかねません。

会社法では、以下の決定を行うには株主総会の決議が必要で、かつその議事録は必ず残す必要があります。
 

  • 会社の基礎的事項に変動をもたらす事項(定款の変更、合併、株式交換・移転、会社分割、資本減少、解散など)
  • 会社機関の選任・解任に関する事項(取締役、監査役、会計参与、会計監査人の選任・解任、精算人の選任・解任など)
  • 会社の計算に関する事項(計算書類の承認)
  • 株主の重要な利害関係に関する事項
  • 取締役・取締役会に委ねると利益相反の恐れのある事項

この中にはM&Aに関わるものが入っているので、M&Aはその決議をした株主総会議事録がなければなりません。ただしそれ以外であっても、法的に定められた事項の議事録が残っていない場合は、そもそもが法律違反であることに加え、現在の会社の姿や運営に対する信用性が一気に落ちます。

また、取締役会も議事録が必要な決議事項があるので、同様に注意が必要です。

④役員や株主の承諾が得られない

売り手側は株式を移転する必要がありますし、買い手側はM&Aによって会社資産が小さくない規模で変更となります。

スキームによりますが、M&Aは基本的に株主総会または取締役会の決議を必要とすることが、法律で定められています。したがって、売り手側・買い手側問わず円満なM&Aの成立には、株主の承諾が必要不可欠です。特に中小企業においては、株主全員の承諾を得ておくべきです。

少なくとも交渉を進める前には、株主に対してM&Aについてのコンセンサスを得ておくべきであり、交渉の途中で株主の意志がまとまっていないと、相手側に不明瞭な返事をせざるを得ず、大きな負担をかけてしまう恐れがあります。

⑤仲介会社やFAに任せっきり

M&Aを進めるにあたっては、M&A仲介会社をはじめとするM&A専門会社のサポートはなくてはならないものですが、そこから持ち込まれた話に、言われるがままにM&Aを進めてしまって失敗するケースもあります。

具体的には、シナジー効果について確たる考えがなかったり、検討が不十分なまま同業者の候補先を勧められてM&Aを進めてしまっての失敗です。

またM&A仲介会社によっては、他社がすでに色々情報を得て検討したものの、なかなかM&Aの成約に結びつかない候補先ばかりを紹介してくることもあります。そういった候補先は、何らかの問題を抱えている可能性もあります。

もちろんしっかり検討した結果、自社にとって良い候補先であれば問題ないですが、このしっかり検討するプロセスを怠ればM&Aは失敗します。また、信頼できるM&A仲介会社を選択することも怠ってはいけません。

⑥企業評価額をロジックなく算定する

売り手側が、自社を過大評価しているために高めの価格設定をしてしまい、買い手の候補が見つからない、もしくはベストな候補先だったのに交渉しても話が流れてしまって失敗するケースがあります。

中でも多いのは、高く売却された他社の買収事例を参考に、妥当性を欠いた思い込みによる価格設定をしてしまうことです。M&Aには妥当性があると考えられる価格の算出方法があります。絶対に従わなければいけないものではないですが、この妥当性のある価格の目線を外してしまうために失敗が起こりえます。

また、買い手側も妥当性のある価格を全く顧みず、高値で買収してしまったことによる失敗があります。

⑦経営者や従業員の意思確認不足

特に売り手側の問題になる要因ですが、規模の大きな企業ほどすべての従業員の意思を統一するのは難しくなります。

大切なのは経営者や従業員のM&Aに対する理解と、M&A後もそれ以前と変わらず勤務してもらうことの意思を確認しておくことです。

このプロセスを怠ると、本格的にM&A後の経営がスタートする前から、売り手側において重要だった人的資源が減る恐れがあります。そそうなれば当然ながら、期待されていたシナジー効果の発揮が困難となります。

⑧M&A先企業を見誤る

売り手側・買い手側双方に言えることですが、候補先のイメージや条件は、特に最初の方は可能な限り絞ったほうが良いと言えます。幅広く検討していて、ターゲット企業、あるいはその像を間違った方向で考えていたまま進めて、M&Aを実行してしまったことによる失敗が見られます。

「あまり絞ってしまうとM&Aができないのでは」という意見も出てきますが、間違った相手とM&Aをして失敗してしまうことの代償よりは、M&Aができないことによる代償のほうが小さくて済みます。また中小企業には、幅広く検討する社内リソースは少ないため、多少時間がかかっても相手を絞っての情報収集や交渉を重点に置くべきでしょう。

特に、M&Aの目的や期待することが明確になっていないと、この間違いは起こりがちです。また、相手選びはM&A専門会社のサポートがとても大事になってきます。

⑨双方の対応が不誠実

買い手側と売り手側の双方に当てはまることですが、交渉や情報のやり取りで不誠実な対応は取るべきではありません。

売り手側の不誠実な対応としてありがちなのは、希望条件が満たされないことがわかって、情報の提供を渋ったり、急な条件変更を持ちかけたりすることです。売り手側としてはしっかりと意見を言うべきですし、断るべきことは断らないと、タイミングが大事なM&Aにおいて次に進むことは出来ません。

一方で買い手側にありがちなのは、引き継ぐ資産や事業、従業員などの扱い方で不誠実になってしまうことです。いざ買収したとしても、不誠実な対応によって資産の引継ぎがスムーズに行われず、また従業員の積極的な協力もなければ、シナジー効果は期待できず、M&Aは失敗に終わります。

⑩M&A中に業績が悪化

M&Aの成約までには、交渉から成約まで一般的には3ヶ月~12ヶ月はかかります。急な経済危機などが起こった場合は、当事者の努力だけでは解決できないこともありますが、特に多いのは交渉から成約までの間に業績が悪化してしまうことです。

経済危機などの場合は諦めざるを得ないこともありますが、最も避けるべきことは、経営者がM&Aに力と時間を割きすぎてしまい、本職の経営が疎かになった結果の業績悪化です。このような事態を避けるためには、M&A仲介会社やアドバイザーを活用することが大事です。

売り手側が顧客や取引先を大きく失ったとしたら、その企業をM&Aで買収するメリットも大きく減ります。また、買い手側も業績が悪化すれば、買収資金をねん出する余力はなくなってしまう可能性もあります。

⑪デューデリジェンス不足

デューデリジェンスはM&Aのプロセスの中でとても大事なものですが、デューデリジェンスが不十分だったことによる失敗もあります。

不十分なデューデリジェンスを行ってしまう理由として挙げられるのが、費用が掛かることに加え、デューデリジェンスの段階ではまだ買収が決まっているわけではないことです。

しかし、不十分なデューデリジェンスでM&Aを進めてしまうと、その何倍ものリスクがM&Aの後に顕在化する可能性があります。M&Aを進めようと決意した段階で、デューデリジェンスに対する十分な予算を見積もっておかなかったために起こり得る失敗です。

⑫コンプライアンスに違反している

M&Aに限ったことではないですが、現代は特にコンプライアンスを疎かにしてはいけません。コンプライアンス違反を犯すと、訴訟や行政処分などのトラブルに発展する可能性があります。

社会に大きなインパクトを与えるコンプライアンス違反ほど、取引先や顧客などが離れ、業績の大きな悪化につながります。それは売り手側の場合、直接的に企業の売買価格が大きく下がることにつながりますが、買い手側の場合にも、売り手側から買い手側が買収することへの反対意見が出たり、買収できたとしても従業員が辞めていってしまうことなどが起こり得ます。

⑬チェンジ・オブ・コントロール条項に注意

チェンジ・オブ・コントロール条項とは、商取引契約書などにおいて、契約当事者に支配権(コントロール)の変更があった(チェンジ)ときの扱いを定めた条項です。具体的には、支配権の変更があった場合に、その相手方への通知義務や、それによって相手方が契約の解除をすることができる、などの内容です。

注意すべきは、売り手側と取引先、売り手側と顧客などとの間で交わされている契約におけるチェンジ・オブ・コントロール条項です。なぜならこの条項によって、売り手側の会社とその取引先の契約が解除となることがあるからです。

売り手側の大きな取引が解除となると、買い手側は本来得られるはずであった取引先・顧客を失ってしまいます。それは買い手側がM&Aの目的としていた根幹を揺るがすレベルの事態ともなります。

⑭M&Aのゴールを見誤る

影響力の大きな大手企業の場合に見られるのが、M&AのゴールがM&Aの成立になってしまうことです。

このようなこと起こる理由に多いのは、「外部の投資家にM&Aをやると宣言してしまった」「ライバル他社がどんどんM&Aで規模拡大をしている」などという状況から、なりふり構わずM&Aに突っ走ったことです。

そもそも、M&Aは無数にある戦略オプションの中の一つです。また、M&Aは相手選びと成立後の統合がうまくできるか、またそれによってシナジー効果が発揮できるかによって成否が決まります。決して、M&Aの成立がゴールではありません。

⑮簿外帳簿の可能性

帳簿上に載っている債務はきちんと管理されているものをM&Aの交渉時に提示すれば良いですが、注意が必要なのは簿外債務です。簿外債務とは、貸借対照表に記載されていない債務のことで、ありがちなのが関連会社の債務保証です。関連会社が多く、中でも業績の悪い関連会社を抱えている場合には注意が必要です。

その他、製造業や商社に多いですが、外国との取引を行っている会社の場合はデリバティブの簿外債務があることが多いです。

簿外債務において最も良くないのは、交渉段階、もしくはM&Aがまとまってから簿外債務が次々と発覚することです。悪意が無かったとしても、そもそも簿外債務をしっかり把握していない時点で、リスク管理の観点から会社の信用度が大きく損なわれます。買い手側にしてみれば、一般的にそのような会社を買収することを躊躇します。

⑯シナジー効果を過剰に想定する

買い手側の話ですが、シナジー効果を期待しすぎた結果、高値で買収してしまい、投資の費用対効果が低くなってしまうことによる失敗があります。

もちろんシナジー効果はM&Aにおいて最も期待されることですので、これを見込むこと自体は間違っていません。

しかし、いくら検討に検討を重ねても、良くも悪くも想定外のことは起こります。実際には想定通りにシナジー効果を発揮させることの難易度は高いので、過信は禁物です。

⑰最終契約直前の条件変更の申し出

M&Aにおいては、最初は買い手側と売り手側の希望条件が異なるのは当たり前ですが、交渉や情報の開示を繰り返して徐々に一致点を見つけていきます。この過程で避けるべきは、一度出した条件をコロコロ変えてしまうことです。

仮に条件を変えたい場合は、きちんと合理的な理由があることを説明すべきであり、単に「日銀の発表で景気が悪くなる見通しだから譲渡価格を下げて欲しい(買い手)」のような内容では合理的な理由にはなり得ません。

相手の条件がコロコロ変わるようなことを繰り返すと、伝えられた側は何を返答してよいのか分からなくなり疑心暗鬼にもなります。交渉途中であればまだ良いですが、特に避けるべきは最終契約直前での条件変更です。最終契約直前での条件変更をやってしまうと、それまで積み重ねてきた信頼関係は一気に崩れ、まず間違いなく交渉は破綻するといえるでしょう。

 

⑱契約書の内容を曖昧にする

M&Aに限った話ではないですが、売り手側・買い手側共に契約書は入念に作成し、しっかり検討して過不足ないことを確認してから取り交わすべきです。特にM&Aのような金額も大きく、一世一代の取引にもなりかねない出来事についてはなおさらです。

また、M&Aの契約書については、ほぼ間違いなく弁護士などの専門家の知見が必要になってきます。手間や費用面から専門家に依頼しなかったり、M&Aに詳しくない専門家に依頼したことにより、不十分な契約書を取り交わしてしまったことによる失敗もたまに見られます。

M&Aの契約書には通常、簿外債務の取り扱いなど、M&Aの後にも影響を及ぼす事項が含まれます。内容が不十分だと、後で取り返しのつかない事態になり、結果としてM&Aの失敗にもなり得ます。

⑲統合プロセスを行わない

買い手側にとって、M&Aは候補先選びも大事ですが、同じくらいM&Aの後の統合プロセスも大事です。M&Aによるシナジー効果が発揮するには、統合プロセスをしっかり計画して実施に移すことが必要ですが、これが不十分で上手くできなかったことによる失敗があります。

中でも多いのは、M&Aの成立と実行に精力を使いすぎて、そのあとの統合プロセスをないがしろにしてM&Aを進めてしまうことです。M&Aが実行されてから統合プロセスを検討し実施していくのでは、従業員や取引先を含めた会社のステークホルダーは先の見えない状態に置かれ、場合によっては混乱し戸惑います。

その結果、M&A後のスタートが大きく後れ、シナジー効果も発揮できないという失敗につながります。

⑳敵対的買収による従業員などの流出

売り手側において、特定の買い手側の候補に会社を売却することに対する、従業員や取引先からの反発が起こることがあります。この特定の買い手側にとっては、これがもとでシナジー効果が発揮できない失敗につながるケースがあります。

具体的には、ファンドに多いいわゆる「ハゲタカ」のようなどんどん買収し次々に売って利益を出していくタイプや、買収対象とする企業の同意を得ないまま買収を進める敵対的買収の形の場合には、それに反発する従業員や取引先の流出を招くことがあります。

 

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5. M&Aに失敗しないための対策

M&Aに失敗しないための対策

M&Aを失敗しないために、特に気をつけたい点と対策としてすべきことを解説します。

①デューデリジェンスの徹底

失敗事例の「⑪デューデリジェンス不足」で紹介したことと裏表ですが、デューデリジェンスを甘く見てはいけません。

デューデリジェンスの結果は、M&Aの最終契約書に反映される、とても大事なM&Aのプロセスです。費用はかかりますが、費用だけを考えて疎かにするのは失敗の元です。

したがってデューデリジェンスの費用は、M&Aアドバイザーに確認して、予め多めに見積もっておくことが成功の為にも必要となります。

②有効的で真摯な対応を心掛ける

これは、失敗事例の「⑨双方の対応が不誠実」について、失敗しないためのものです。

M&Aに限ったことではないですが、交渉事や取引には友好的で真摯な態度が必要です。特にM&Aにおいては、設備や工場の投資よりも、従業員や取引先など、とても多くの人の協力を得ることが必要となります。協力が得られなければ、M&Aにおいて大事なシナジー効果は全く発揮できなくなります

したがって、買収する側だからと言って極端な強気や横柄な態度では、M&Aは失敗してしまいます。M&Aの成功のためには、交渉段階から相手に良い印象を与えるようにするべきです。

③M&Aのゴールを明確にしておく

かつてより身近になったとはいえ、M&Aの決断は一大決心が必要です。言うまでもなく、ゴールを明確にした上で戦略的に行っていくことが成功には必須です。

戦略は、実際にM&Aが動き出してから定めるものもありますが、少なくとも最初にM&Aを考えた段階で以下の軸となる部分は必ず定めておくことが成功のために必要です。

これをもとに、具体的な戦略は、信頼できるM&Aアドバイザーと相談しながら決めていきましょう。
 

  • M&Aのゴールというべき買いたい会社や事業(買収によってどのような技術やノウハウを得たいか)
  • M&Aにかける予算(買収予算から、M&A仲介会社へのフィー、デューデリジェンス費用も含む)

④統合プロセスをしっかりとする

失敗事例の「⑲統合プロセスを行わない」と裏表ですが、M&Aが成立してから統合プロセスを検討し実施に移したのでは遅すぎます。計画なしに色々進めた場合、特に元売り手側において不必要な混乱を起こし、職場が疲弊する原因になります。これはシナジー効果を阻害する失敗原因になり得ます。

買収する会社の規模にもよりますが、統合プロセスは遅くとも最終契約前あたりから仔細の検討を始めることがM&Aの成功には必要です。

⑤仲介会社やFAに相談する

M&Aアドバイザーの存在は、M&Aを成功するためには必要不可欠です。

優秀なM&Aアドバイザーは、さまざまなM&Aに携わってきた経験から、高い実務能力と、経営者とも対等に交渉ができるコミュニケーション能力を持っています。M&Aをしたいあなたの、力強い味方です。

M&A総合研究所に在籍するM&Aアドバイザーは、M&Aの経験豊富な人材が揃っています。

着手金、中間報酬は無料で、成功報酬は業界最安値水準のシンプルな料金設定になっています。M&Aを成功させるためには、M&A総合研究所へ、まずはお気軽にご相談ください。相談は無料です。

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6. まとめ

まとめ

M&Aは、買収側にしてみれば投資と同じです。成功もあれば失敗もあります。

M&Aは日本だと成功が30%、失敗が70%だと言われていますが、失敗の大半は、海外M&Aでの失敗事例だとも言われています。海外M&A失敗と、日本国内におけるM&Aの違いも紹介しました。

また、よくあるM&A失敗事例20個も紹介しました。よくある失敗事例ですから、これからM&Aを行おうという場合は、同じ轍を踏むのは避けたいところです。

M&Aをスムーズに進めるには、M&A総合研究所へご相談ください。成功に向けて力強くサポートさせて頂きます。

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