M&A戦略のメリット・デメリット26選!買い手・売り手サイドから解説!

M&A戦略とは、M&Aの利点を生かして経営上の目的を達成する戦略のことです。M&Aにはさまざまな利点やデメリットがあります。本記事ではM&A戦略のメリット・デメリットについて、買い手側と売り手側に分けて26パターンをご紹介します。


目次

  1. M&A戦略とは
  2. M&A戦略の種類
  3. 買い手側のM&A戦略のメリット・デメリット13選
  4. 売り手側のM&A戦略のメリット・デメリット13選
  5. M&A手法別のメリット・デメリット
  6. M&A戦略の相談なら
  7. まとめ

1. M&A戦略とは

M&A戦略とは

M&A戦略とは、経営上の目的を達成するためにM&Aをどう有効に活用するか、方策を立てることを言います。

10年ほど前まではM&Aに対してネガティブなイメージが強く、一部の大企業だけが行うものと思われていたM&Aですが、現在ではM&Aを積極的に活用する中小企業も増えています。しかし目的も無くM&Aを実行しても失敗の可能性が高くなるだけです。

M&Aの成功率は3割から5割ほどとも言われています。M&Aの利点を最大限に引き出し、デメリットを極力抑えるためには、M&A戦略をしっかりと策定する必要があるのです。

2. M&A戦略の種類

M&A戦略の種類

M&Aはさまざまな目的で行われますが、特に以下の目的で用いられることが多くあります。

  1. 統合・再建を目的とするM&A
  2. 経営の効率化を目指したM&A
  3. 事業拡大などを目的としたM&A

①統合・再建を目的とするM&A

これまで事業を続けてきたものの、想定していたような結果が得られていない、または債務が膨らみ、立て直しが必要な状況にまで陥っている。そのような状態の場合、経営の見直しや立て直しのためにM&Aを活用することがあります。

統合・再建目的のM&Aでは、売却側は他社の経営資源を活用することで事業を立て直すことができ、買収側は事業を再建することでさらなる成長が期待できるでしょう。

②経営の効率化を目指したM&A

新商品の開発や新規事業の立ち上げなどを行うには多くの手間と時間、資金が必要です。また、事業が大きくなるにつれて非効率な面が増えていき、改善に多くのコストがかかることがあります。

これら新規事業や事業改善を自社だけで行うには多くのコストがかかり、リスクも高くなります。そこで、M&Aによって新規事業を買収したり、不採算事業を売却したりすることで、効率良く事業を行うことができます。

③事業拡大などを目的としたM&A

国内の消費が落ち込む中、競争の激しい業界で生き残るには、競合他社よりも速いスピードでシェアを広げなければなりません。

M&Aであれば、事業の多角化や販売網の拡大など、短期間で競合他社と差を広げることができます。また、事業規模の拡大は他社からの買収に対抗する手段にもなります。

M&A戦略の策定方法!目的や注意点も解説!事例あり | M&A・事業承継ならM&A総合研究所

3. 買い手側のM&A戦略のメリット・デメリット13選

買い手側のM&A戦略のメリット・デメリット13選

まずは買い手側のM&A戦略のメリット・デメリットについて解説します。

買い手側のM&A戦略のメリット7選

買い手側のM&A戦略には以下の利点があります。

  1. 低コストで新規事業への参入ができる点
  2. M&Aにより事業の成長が短時間で可能な点
  3. M&Aにより事業の多角化を目指せる点
  4. M&Aにより事業を強化することができる点
  5. 新規の顧客や取引先を獲得できる点
  6. 技術の向上や人材の確保ができる点
  7. M&Aにより節税対策ができる点

メリット①低コストで新規事業への参入ができる点

新規事業を収益性のある事業にまで育てるには、多くの時間と資金、人材が必要です。特に未知の分野に参入する場合は失敗のリスクが高くなります。

しかし参入予定だった事業を買収することにより、ゼロから事業を育てるよりも低コストで新規事業に参入でき、失敗のリスクも減らせる利点があります。

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メリット②M&Aにより事業の成長が短時間で可能な点

新商品の開発や新店舗の設置などをひとつずつ進めていくと時間がかかります。しかしM&Aによって商品や店舗を買収できれば、短期間での成長が可能です。スピード感が求められる近年の経営環境において、M&Aによる短期間での成長戦略は大きな利点となります。

メリット③M&Aにより事業の多角化を目指せる点

近年は大企業を中心に事業の多角化を進める企業が増えています。本業とは別分野の事業を自社で立ち上げることにはリスクもあり、失敗の確率が高いとも言われます。

しかしM&Aによって、すでに軌道に乗っている事業を買収するのであれば、失敗のリスクが下がるだけでなく、事業のシナジー効果が得られるメリットもあります。

特に大企業の場合は、多角化経営を進める世界の競合他社に対抗するためにも、M&Aによる多角化が必要です。

メリット④M&Aにより事業を強化することができる点

多くの企業には得意分野と不得意分野があります。得意分野は伸ばし、不得意な分野は弱点を埋めたいと考えますが、自社の努力だけではなかなかうまくいかないことも多いものです。

例えば技術力はあるけど営業力は弱いという企業の場合、営業力のある人材を採用したり営業部門を強化したりと、さまざまな施策が結果につながるまでには時間とコストがかかります。

経営資源の分散は強みである技術部門にもデメリットとなります。外注によって補強することもできますが、自社資産にはなりません。そこで、M&Aを用いることで短期間で事業を強化でき、自社の資産として育てられる利点もあります。

メリット⑤新規の顧客や取引先を獲得できる点

M&Aによって顧客や取引先を獲得できる点も大きなメリットです。特にブランド力が必要な業界の場合、ゼロから顧客を集めるのは非常に苦労します。

M&Aによって、ある程度の認知度を持った企業を買収することで、買収先の顧客や取引先だけでなく、買収後の顧客集めや取引先との交渉がスムーズになるメリットがあります。ただし、M&Aをきっかけに顧客や取引先が離れてしまうこともあるでしょう。

そうならないためにも、事前に統合後の計画を綿密に立てたり、取引先への説明をきちんと行うなどの対応が必要です。

メリット⑥技術の向上や人材の確保ができる点

高度な技術や優秀な人材を確保できることもM&Aの大きなメリットです。特に現在は、どの業界であっても先端のIT技術を駆使しなければ生き残れない時代となっています。

しかしIT技術者の数は需要に対して全く足りず、激しい奪い合いが起きている状況です。資金が豊富な大企業や優秀な人材の獲得が難しいベンチャー企業は、事業ではなく技術を持った人材を獲得するためにM&Aを行うほどです。

M&Aによって技術や人材を確保する方法は大きな利点がありますが、同時に短期間で流出するリスクも抱えることになります。貴重な技術や人材をいかに失わないようにするか、戦略を立てることも重要です。

メリット⑦M&Aにより節税対策ができる点

M&Aで用いるスキームによっては、節税ができる場合もあります。

例えば事業譲渡によって事業を買収する際、買収先事業の現在の価値に、今後その事業が生み出すであろう付加価値分の金額を上乗せして買収します。その差額は「のれん」として計上され、税務上損金算入できることがあります。

また、赤字企業を買収することによって、その企業の繰越欠損金を利用して節税できることもあります。

ただしのれんも繰越欠損金も、適用されるには条件があり、メリットだけでなくデメリットもあるため、節税効果を期待する場合は買収のメリット・デメリットを総合的に判断したうえで行う必要があります。

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買い手側のM&A戦略のデメリット6選

買い手側のM&A戦略には以下のデメリットもあります。

  1. 期待していたシナジー効果が生まれないことがある点
  2. 統合プロセスを失敗することがある点
  3. M&A先の従業員の意識が低下することがある点
  4. 人材が流出する可能性のある点
  5. 簿外債務などが見つかる可能性がある点
  6. のれんの減損リスクがある点

デメリット①期待していたシナジー効果が生まれないことがある点

M&Aのメリットの1つに、買収先の事業と事業シナジーが生まれる点があります。しかしM&Aの成功率が3割から5割と言われるように、結果的にシナジー効果が得られず失敗に終わるケースも少なくありません。

思ったようにシナジー効果が得られないデメリットを防ぐためにも、買収先企業のデューデリジェンス(企業調査)を綿密に行い、PMI(統合後の経営計画)を的確に実行する必要があります。

しかし想定通りのシナジー効果が得られるかどうかは、業界の動向や日本経済の動向にも左右されるため、難しい面もあるでしょう。

これらのデメリットを極力回避するためにも、業界に精通したM&Aの専門家に依頼するなど、成功率を上げるための対策が必要です。

デメリット②統合プロセスを失敗することがある点

M&Aの実行にはいくつものプロセスを踏まなければなりません。

売買価額などの条件交渉や、取締役会の承認、株主総会での承認、M&Aのスキームによっては従業員や取引先、債権者の承諾も必要です。これらの交渉に失敗しM&Aが頓挫する可能性がデメリットとしてあります。

無事M&Aの手続きが完了したとしても、統合の過程で経営幹部が離脱したり、従業員が馴染まなかったり、社内システムやルールの統合がうまくいかなかったりと、さまざまなトラブルが起きるリスクがデメリットとして存在します。

デメリット③M&A先の従業員の意識が低下することがある点

M&Aのデメリットとして気を付けなければならない点が、従業員のモチベーションです。よくある事例としては、株式譲渡によって子会社になった企業の従業員が、親会社との待遇の違いや経営方針の違いに不満を持つパターンです。

また、事業譲渡や会社合併によって同じ職場で働くことになった場合に、従業員同士がなかなか馴染まず不和が起きたり、担当する業務の変更に不満を持つパターンもあります。

このような従業員のモチベーションに関するデメリットは対策が難しい面もあるため、あらかじめ徹底した準備が重要です。

デメリット④人材が流出する可能性のある点

M&A戦略では優秀な人材の獲得も重要な目的の1つなので、M&A後に人材が流出してしまうことは大きなデメリットとなります。M&Aの際は会社に残ったとしても、その後退社されてしまっては意味がありません。

統合後の事業マネジメントと共に、人材マネジメントも専門家の協力を得るなどしてしっかりと行う必要があります。

デメリット⑤簿外債務などが見つかる可能性がある点

M&Aスキームによっては、簿外債務を引き継いでしまう可能性があります。簿外債務とは、帳簿上には表れない隠れた債務のことです。例として、ポイントカードに付与したポイントを会計処理していないケースがあります。

事業を引き継いだ側は、ポイント引当金の債務があることに気が付かないまま事業を引き継ぐことになります。しかし実際にポイントの還元資金を負担するのは事業を引き継いだ側であることから、大きなデメリットとなります。

このような簿外債務がM&A後に発覚しないように、デューデリジェンスをしっかりと行わなければなりません。

会社売却・M&Aで問題になる簿外債務とは?粉飾発見方法と対処方法 | M&A・事業承継ならM&A総合研究所

デメリット⑥のれんの減損リスクがある点

のれんの減損処理が生じるリスクにも注意が必要です。メリットで前述したように、のれんで場合によっては節税できるメリットがあります。

しかし買収後に企業の価値が大幅に下がった場合、のれん代との差額を減損処理しなければならないケースもあります。のれん代は買収の際すでに支払っているので、実際に資金が減るわけではありませんが、業績に影響します。

4. 売り手側のM&A戦略のメリット・デメリット13選

売り手側のM&A戦略のメリット・デメリット13選

続いて売り手側のM&A戦略のメリット・デメリットについて解説します。

売り手側のM&A戦略のメリット6選

売り手側のM&A戦略には以下の利点があります。

  1. 後継者問題が解決できる点
  2. 大手資本により従業員の雇用を確保できる点
  3. 事業の拡大や継続が可能な点
  4. 経営不振の事業を切り離すことができる点
  5. 廃業にかかるコストを削減できる点
  6. 譲渡・売却益を手にできる点

メリット①後継者問題が解決できる点

中小企業の後継者不在問題は深刻化しています。原因はさまざまですが、経営者の子どもなどが事業を引き継がなくなってきていることが大きな要因の1つです。国や地方自治体でもさまざまな対応策を打ち出していますが、まだ大幅な改善とはいかない状況です。

中小企業庁のアンケート調査によると、廃業予定企業の半数が、事業自体に継続性、将来性はあるものの、後継者不在が原因で廃業せざるを得ないと回答しています。

事業の継続が可能であるにもかかわらず廃業する企業が多く存在する現状は、廃業する企業だけでなく、顧客や取引先、地域にとっても大きなデメリットです。

しかしM&Aによって第三者が事業を引き継ぐことで、後継者問題が解決できる利点があります。

メリット②大手資本により従業員の雇用を確保できる点

経営者にとって、廃業によって長年働いてくれた従業員の仕事を失わせることは大きな悩みです。そこでM&Aによって従業員も引き継ぐことができれば、経営者にとっても従業員にとってもメリットとなります。

ただし従業員が売却先企業で不当な待遇を受けないように、M&Aの際には待遇についてもよく交渉し、契約書に盛り込むなどの対策が必要です。

メリット③事業の拡大や継続が可能な点

事業をさらに成長させる場合や、事業の行き詰まりを打破する場合もM&Aには利点があります。売却先企業のノウハウや技術、人材などのリソースを活用することで、自社だけでは不可能だった事業の成長、継続が実現できます。

ただし、売却先企業と本当にシナジー効果が生み出せるかどうか、よく交渉や調査を行わなければなりません。

メリット④経営不振の事業を切り離すことができる点

M&Aによって不採算事業を売却することで、コア事業に経営資源を集中できるなどのメリットがあります。

経営者としては、不採算事業を買い取る企業などあるのだろうかと不安にもなりますが、買い手側にとって魅力的な要素が詰まっていて、思わぬ価額で売却できることもあります。

事業売却をきっかけに買い手企業と協力関係を築けるなどの複合メリットが得られる場合もあるでしょう。

メリット⑤廃業にかかるコストを削減できる点

廃業するには解散・清算手続き費用がかかります。専門家に依頼した場合はさらに代金が必要です。事業によっては、設備の処分費用や在庫商品の処分費用もかさみます。

一般的に企業規模が大きくなるほど廃業コストも大きくなるでしょう。しかしM&Aによって店舗や設備などを一部でも売却できれば、廃業にかかるコストを削減できるメリットが得られます。

ただし、M&Aにかかる費用や売却益、税金なども総合的に加味してメリット・デメリットを判断する必要があります。

メリット⑥譲渡・売却益を手にできる点

M&Aで手にした譲渡益によって、リタイア生活の資金に充てたり、借金を返済したり、新事業を始めたりと、さまざまなメリットが得られます。事業譲渡によって最低限生活していけるだけの事業を残し、小さく事業を続けるという選択をするケースもあります。

M&Aのやり方や相談先がわからない、他人に事業を渡したくないなどの理由で廃業を選ぶ中小企業経営者は多いでしょう。

しかし、公的支援機関である事業引継ぎ支援センターに相談する、M&A仲介会社や事業承継支援に取り組んでいる金融機関、士業事務所に相談するなど、まずは相談してみるだけでもメリットが得られる可能性があります。

売り手側のM&A戦略のデメリット7選

売り手側のM&A戦略には以下のようなデメリットがあります。

  1. 希望額での事業譲渡・売却ができないことがある点
  2. 買い手が現れない可能性がある点
  3. 企業文化が合わない可能性がある点
  4. M&Aにより従業員が離職する可能性がある点
  5. M&Aにより取引先の反発をうけることがある点
  6. M&Aにより顧客の流出がある可能性がある点
  7. M&A後に雇用・労働条件の変更がある可能性のある点

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デメリット①希望額での事業譲渡・売却ができないことがある点

M&Aの際、売り手側は自社の企業価値を分析し、目安となる売却価額を算定します。また買い手側は、デューデリジェンスによって買収先企業の買収価額を算定します。

売り手と買い手が算定した価額を基に、交渉によって最終的な価額を決定しますが、交渉次第では希望売却額よりも低い価額で売却することもあるでしょう。

M&Aの専門会社は業務形式によって、アドバイザリー形式と仲介形式があります。

M&Aアドバイザリーはどちらか一方と専属契約を結ぶので、できる限り希望の条件を達成できるように交渉してもらえるメリットがあります。しかし交渉が難航し長引きやすい点がデメリットです。

M&A仲介会社は売り手と買い手両方と契約を結んで仲介するので、交渉がスムーズに進みやすいメリットがあります。しかし両方の妥協点を探ることになるため、希望の条件に達しない可能性がある点がデメリットです。

M&Aの専門家に依頼する際は、業務形式ごとのメリット・デメリットにも注意が必要です。

デメリット②買い手が現れない可能性がある点

M&Aによる売却を希望しても、買い手がつかない可能性がある点は念頭に置いておかなくてはなりません。M&Aの専門家の中には、買い手がつきやすいように企業価値を上げる施策をアドバイスしてもらえるところもあります。

また近年は、AIやビッグデータを活用して最適なマッチング機会を提供しているM&Aの仲介会社もあり、マッチングの機会は以前よりも増えています。

M&Aの仲介会社などにマッチングを依頼する際は、買い手の数や自社と合いそうな買い手が登録しているかなど、よく確認して専門家を選ぶ必要があるでしょう。

デメリット③企業文化が合わない可能性がある点

好条件でM&Aが成立したとしても、統合後に企業文化が合わないことが原因で円滑に事業が進まないケースがあります。企業文化の違いは従業員の不和や流出、経営陣の離脱などさまざまなデメリットを引き起こします。

M&Aの際は条件だけで決めるのではなく、経営者の価値観や企業の雰囲気など、数字に表れない面も大事にしなければなりません。

デメリット④M&Aにより従業員が離職する可能性がある点

M&A戦略によって、従業員は環境や待遇、業務内容などが大きく変化し、不満を抱くことがあります。従業員も貴重な資産として引き継ぐため、途中で離職されることは売り手と買い手双方にとってデメリットとなります。

場合によっては契約違反としてトラブルになることもあるでしょう。従業員の流出を防ぐためにも、人材交流を促したり、待遇に関する契約を綿密に行ったりと、さまざまな対策が必要です。

また、どうしても流出されては困る経営幹部やキーとなる従業員がいる場合は、人事に強いM&Aコンサルに依頼するなどの方法も有効です。

デメリット⑤M&Aにより取引先の反発をうけることがある点

取引先の中には、M&Aに対して反対するところや、表立って反対しなくとも、不満や不安を持つ取引先が出てくることがあります。

M&Aスキームによっては取引先の承諾も必要になるため、取引先に納得してもらうことが重要です。主要な取引先には早めに経営者が直接説明に行くなど、適切な対応が必要です。

デメリット⑥M&Aにより顧客流出の可能性がある点

M&Aをきっかけに顧客が流出するリスクにも備えなければなりません。特に似たような商品、サービスが多く競争の激しい業界の場合、少しの変化やトラブルで顧客が多数流出することもあります。

顧客流出を防ぐためにも、KPI(重要業績評価手法)などのマーケティング分析手法で常に顧客の動向を分析・把握しておくなど、迅速な対応が重要です。

デメリット⑦M&A後に雇用・労働条件変更の可能性がある点

一般的に買い手側はM&Aの際、売り手企業の従業員の不満や流出を防ぐために、待遇を高い方に合わせます。しかしM&A後しばらくして、何らかの事情で待遇が下方修正されてしまう可能性もあります。

売り手側は急な解雇や労働条件の変更をさせないよう、契約書に項目を設けるなどの対応が必要でしょう。M&Aや法律の専門家に依頼して対応してもらうと間違いありません。

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5. M&A手法別のメリット・デメリット

M&A手法別のメリット・デメリット

M&A戦略のメリット・デメリットについて解説してきましたが、M&Aの手法によってもメリット・デメリットがあります。

株式譲渡のメリット・デメリット

株式譲渡には以下のメリット・デメリットがあります。

  1. 手続きが簡便
  2. そのまま事業を継続できる
  3. 簿外債務リスクがある
  4. 株式の買い集めに苦労する可能性がある

メリット①手続きが簡便

株式譲渡は他のM&A手法に比べて手続きが簡便なので、中小企業のM&Aで最も多く採用されています。株式譲渡は株式を引き継いで経営権を移すだけで、取引先や従業員、債権者から個別に同意を得る必要もありません。

メリット②そのまま事業を継続できる

株式譲渡は経営権が移るだけで社内の再編が必要ないので、M&Aの前後で変わらず事業を継続することができます。手続きの簡便さと共に、社内再編の手間とコストがかからない点も利点です。

デメリット①簿外債務リスクがある

株式譲渡は会社を丸ごと引き継ぐので、債務も引き継ぐ必要があります。もし譲渡企業に簿外債務があった場合は大きなデメリットとなります。

デメリット②株式の買い集めに苦労する可能性がある

買収側は株式譲渡によって完全子会社化を目指すことも多いですが、株式譲渡に賛同しない株主がいた場合、株式の買い集めに苦労することになります。また、株式の買い取りコストが上昇する可能性もあります。

事業譲渡のメリット・デメリット

事業譲渡には以下のメリット・デメリットがあります。

  1. 譲渡資産を選択できる
  2. 債務を引き継ぐ必要がない
  3. 手続きが煩雑
  4. 税負担が大きい

メリット①譲渡資産を選択できる

株式譲渡や合併と事業譲渡が大きく違う点は、譲渡する資産を個別に選択できる点です。必要な資産と不要な資産を選べるので、効率の良いM&Aが可能です。

メリット②債務を引き継ぐ必要がない

事業譲渡では債務を引き継ぐ必要がないので、簿外債務などの無用なリスクを回避することができます。債務を引き継がない場合は債権者の承諾も必要ありません。

デメリット①手続きが煩雑

事業譲渡は取引先や従業員を引き継ぐ際、個別に契約をし直さなければなりません。また、各種許認可なども取り直す必要があるので、手続きに手間がかかります。

事業規模が大きいほど引き継ぐ資産も多くなり、手続きが煩雑になるので、事業譲渡は大企業には向かないM&A手法です。

デメリット②税負担が大きい

事業譲渡は個別資産の売買取引なので、消費税が課されます。事業譲渡は税負担が大きく、大企業であるほどデメリットが大きくなります。逆に小規模事業者はデメリットが少なくメリットを享受できるので、小規模の中小企業や個人事業主でよく用いられます。

会社合併のメリット・デメリット

会社合併には以下のメリット・デメリットがあります。

  1. 統合に現金が必要無い
  2. グループ再編がしやすい
  3. 統合作業が大変
  4. 合併コストの負担が大きい

メリット①統合に現金が必要無い

会社合併は、消滅会社の株主に株式か社債を交付することで手続きを進められるので、現金が無くても合併を行うことができます。合併には吸収合併と新設合併がありますが、吸収合併は現金の交付でも実行できます。

メリット②グループ再編がしやすい

合併はグループ企業の再編に向いています。吸収合併は親会社が子会社を吸収する際に用いることがあります。また新設合併は、複数の企業を1つに統合できるので、子会社同士の統合に用いられることがあります。

デメリット①統合作業に手間がかかる

合併は統合に手間がかかります。特に新設合併は必要な手続きが多いため、吸収合併に比べてほとんど用いられることがありません。

デメリット②合併コストの負担が大きい

合併は統合にかかるコストも大きくなります。また新設合併は吸収合併に比べて税負担が大きくなります。

6. M&A戦略の相談なら

M&A戦略の相談なら

M&A戦略によって経営上の目的を達成するには、メリットを最大化する施策や、リスクを極力抑えるための対策が必要です。しかしそれらを総合的に実行するには、M&Aに関する幅広い知識と豊富な実務経験が欠かせません。

M&A総合研究所のM&Aアドバイザーは、M&A戦略の立案から最適なM&A先の選定、条件交渉、統合後のサポートまでを一貫して行います。着手金や中間報酬は無料、成果報酬は業界最安水準となっています。まずはお気軽にご相談ください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

7. まとめ

まとめ

M&A戦略のメリット・デメリットについて解説してきました。M&A戦略とは、経営の目的達成にM&Aをうまく生かしていく戦略のことです。最後にメリット・デメリットをまとめます。

買い手側のM&A戦略のメリット

  1. 低コストで新規事業への参入ができる点
  2. M&Aにより事業の成長が短時間で可能な点
  3. M&Aにより事業の多角化を目指せる点
  4. M&Aにより事業を強化することができる点
  5. 新規の顧客や取引先を獲得できる点
  6. 技術の向上や人材の確保ができる点
  7. M&Aにより節税対策ができる点

買い手側のM&A戦略のデメリット
  1. 期待していたシナジー効果が生まれないことがある点
  2. 統合プロセスを失敗することがある点
  3. M&A先の従業員の意識が低下することがある点
  4. 人材が流出する可能性のある点
  5. 簿外債務などが見つかる可能性がある点
  6. のれんの減損リスクがある点

売り手側のM&A戦略のメリット
  1. 後継者問題が解決できる点
  2. 大手資本により従業員の雇用を確保できる点
  3. 事業の拡大や継続が可能な点
  4. 経営不振の事業を切り離すことができる点
  5. 廃業にかかるコストを削減できる点
  6. 譲渡・売却益を手にできる点

売り手側のM&A戦略のデメリット
  1. 希望額での事業譲渡・売却ができないことがある点
  2. 買い手が現れない可能性がある点
  3. 企業文化が合わない可能性がある点
  4. M&Aにより従業員が離職する可能性がある点
  5. M&Aにより取引先の反発をうけることがある点
  6. M&Aにより顧客の流出がある可能性がある点
  7. M&A後に雇用・労働条件の変更がある可能性のある点

M&A戦略で、上記のようなメリットを得てデメリットを極力避けるためには、幅広い知識と豊富な実務経験が必要です。

M&A総合研究所ではM&Aの手続きをサポートするだけでなく、M&A戦略の立案や最適な相手の選定と交渉、M&A後の円滑な統合計画の立案など、M&Aに関わるサポートをトータルで行うことができます。

小規模事業者でM&Aアドバイザーのサポートが必要ない場合などは、国内初である売り手・買い手双方が完全無料で利用できる、独自のAIシステムを導入したマッチングプラットフォームだけでM&Aを進めることもできます。

他にもM&A総合研究所には以下のような特徴があります。

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