アライアンスとは?M&Aとの違いや戦略、目的を解説

経営戦略としてアライアンスかM&Aを用いる場合、それぞれの特徴を理解して適切な方法を選択する必要があります。本記事では、アライアンスとM&Aの違い、アライアンスの戦略とその目的、アライアンスを用いる際の注意点などについて解説します。


目次

  1. アライアンスとは?
  2. アライアンスとM&Aとの違い
  3. アライアンスの戦略
  4. アライアンスの目的
  5. アライアンスを行う際の注意点
  6. アライアンスの実施の際におすすめの相談先
  7. まとめ

1. アライアンスとは?

アライアンスとは?

アライアンスは、重要な経営戦略のひとつとして、毎年数多く行われています。しかし、アライアンスがどのようなものなのかをご存じない方も少なくないでしょう。

本記事では、アライアンスの特徴や目的などをM&Aと比較しながら紹介していきますが、まずはアライアンスの意味や種類について解説します。

アライアンスの意味

M&Aにおけるアライアンスとは「提携」を意味します。提携とは共同で特定の事業などに取り組むことです。

企業はアライアンスによって経営上の課題に共同で取り組み、単独では成し得なかった目標の達成を目指します。

企業はアライアンスによって技術やノウハウ・人材・販路などを共有し、両社が目的を達成できるように協力していきます。

つまり、アライアンスの特徴は両社が平等な立場で関係を築くことにあり、M&Aとは異なる点のひとつです。

アライアンスの種類

アライアンスは提携の仕方によって、業務提携・資本提携・資本業務提携に分けられます。ここでは、それぞれの特徴について解説します。

業務提携

業務提携とは、アライアンスの中でも資本関係を持たずに、特定の事業・業務で協力関係を築く提携方法です。資本関係がないので企業同士のつながり方としては最も緩いといえます。

業務提携は、特定の業務でのみ関係を構築することが多く、提携関係の構築と解消が比較的簡単な点が特徴です。

例えば、直近の事例では、2020年4月に高島屋とSBI証券がファイナンシャルサービス分野で業務提携を結び、高島屋はファイナンシャルサービス事業に参入しています。

また、ミナトホールディングスはジャパンM&Aソリューションと業務提携を結ぶことで、自社グループのM&A推進力を強化しています。

このように、環境変化の速い近年のビジネス環境では便利な方法です。しかし、M&Aよりも相手企業との関係性が薄い分、信頼関係の構築・維持には注意が必要です。

資本提携

資本提携とは、アライアンスのなかでも支配関係が生じない程度に提携関係を築く方法です。資本提携は支配関係が生じないものの緩い資本関係にはあるため、広い意味でM&A手法のひとつに含まれます。

資本提携は業務提携よりも企業同士の関係性は強く、M&Aよりも結び付きは弱いという中間的な位置付けです。

資本提携では、基本的に支配関係が生じないように関係を結びますが、出資企業の出資割合によっては出資先企業の利益を自社の連結決算に反映させることもできるなど、柔軟な関係を築くことができます。

そのため、アライアンスの目的やアライアンスの進捗具合によって、関係性の強弱をコントロールするケースが多くみられます。

資本業務提携

資本業務提携とは、資本関係を築きながら共同で業務も進めていく提携方法です。アライアンスは多くの場合、中長期的に技術開発や人材交流などを行い、事業を育てていくために結ばれます。

そのため、資本提携によって企業同士の中長期に渡る関係性を築きつつ、業務提携によって特定事業の協力関係を明確にすることが重要です。

業務提携や資本提携を別々に結ぶのではなく、資本業務提携の形でアライアンスを結ぶケースが最も多く、また、資本業務提携によって生み出される付加価値はさまざまです。

直近では、異色の事例として、ソニー・ミュージックエンターテインメントとSuper Duperの資本業務提携があります。Super DuperはAIによるレストランメニューサービスを開発・運営している企業です。

ソニー・ミュージックエンターテインメントは、Super Duperのサービスに音楽のプレイリストのようなシステムを導入することで、新しい付加価値の創出を図っています。このように、意外なコラボレーションが生まれ得ることも資本業務提携のメリットです。

2. アライアンスとM&Aとの違い

アライアンスとM&Aとの違い

アライアンスは広い意味でM&Aに含まれますが、その特徴にはさまざまな違いがあります。ここからは、アライアンスとM&Aの違いを特徴やメリット・デメリットの面から比較していきます。

特徴からの比較

まずは、アライアンスとM&Aとの違いを特徴の面から比較していきます。

アライアンスの特徴

M&Aと比較した場合のアライアンスの大きな特徴は、独立性を保てる点です。M&Aでは多くの場合において経営権の移行が伴いますが、アライアンスを結んでも各企業の経営権が相手企業へ移行することはありません。

環境変化の速い近年のビジネス環境では、M&Aによる固定的な強い結び付きは柔軟性に欠けることからリスクになることもあります。そのようなリスクを避けたい場合に、アライアンスが戦略上有効な手段となります。

例えば、ラーメンチェーンの幸楽苑ホールディングスは、2019年にとんかつ専門店などを展開するアークランドサービスホールディングスとアライアンスを結びました。

アライアンスによって幸楽苑HDは不採算店を閉め、からあげ専門店として再開する戦略を進めています。このような大胆な戦略を素早く低リスクで実施できる点がアライアンスの特徴です。

M&Aの特徴

アライアンスと比較した場合のM&Aの大きな特徴は、経営権が移行する点です。M&A手法で最も多く用いられる株式譲渡では、買い手は相手企業の議決権付株式を50%超取得することを目指すケースがほとんどです。

50%超取得すると相手企業は子会社となり、経営上のさまざまな決定を買い手企業が行うことが可能です。

また、買い手企業は相手企業の全株式取得を目指すケースも多くみられます。全株式を取得すると相手企業は完全子会社となり、買い手企業は経営上のすべての決定権を手に入れます。

メリットの比較

続いて、業務提携と資本提携、M&Aをメリットの面から比較していきます。

アライアンス(業務提携)のメリット

アライアンス(業務提携)のメリットは関係性の機動力です。資本関係を構築しないので、M&A手法に比べて関係を構築しやすく、関係解消も速やかに行うことができます。

また、M&A手法のように買収・被買収関係にならないので、平等な協業関係を築くことが可能です。さらに、目的の業務だけに絞って協力できる点もアライアンス(業務提携)のメリットです。

アライアンス(資本提携)のメリット

アライアンス(資本提携)の場合、M&Aのように支配関係が生じるほど資本関係を築かないので、出資を受けた側は出資による資金を獲得しつつ、自社の独立性を保つことができます。

また、出資した側もM&Aによって子会社化するよりも出資額が少なく済むので、低いリスクで協業関係を築くことが可能です。

そのため、はじめはアライアンス(資本提携)によって共同で事業を進め、事業が軌道に乗ってさらに成長が見込める場合は、M&Aによって親子関係を築くなどの戦略を組むこともできます。

M&Aのメリット

M&Aはアライアンスよりも企業同士の結びつきが強いので、相手企業の経営資源をフル活用することができます。そのため、M&Aによって得られる事業シナジーも提携より大きくなります。

また、アライアンスとは違いM&Aは買収側の権限が強いので、統一された迅速な意思決定が可能です。

売却側にとっても、M&Aによって買い手企業の資本力や技術・ノウハウ、人材などを活用できるので、会社の存続を図ることができます。

デメリットの比較

最後に、業務提携と資本提携、M&Aをデメリットの面から比較していきます。

アライアンス(業務提携)のデメリット

アライアンス(業務提携)はそれぞれの企業で意思決定がバラバラなので、協業がスムーズに進まなかったり、途中で頓挫したりする可能性があります。

また、共同で技術やサービスを開発しても、相手企業が上げた利益は自社の利益として反映することはできません。さらに、情報漏洩や技術・ノウハウの目的外利用などのリスクも考慮しなければなりません。

自社の技術やノウハウなどが盗まれるケースだけでなく、自社が相手企業の技術やノウハウなどを盗んでしまうケースにも注意が必要です。また、意図しなくとも結果的に相手企業から得た情報を契約範囲外で使ってしまうかもしれません。

提携による技術流出の有名な事例に、ソニーと韓国サムスンの提携があります。ソニーはサムスンと液晶の生産でサムスンと提携を結びましたが、想定していたような成果を得ることができず、提携は解消されました。

結果的にソニーは提携の成果が得られなかっただけでなく、韓国企業に多くの技術が流出したといわれています。

アライアンス(資本提携)のデメリット

アライアンス(資本提携)の場合、出資する企業は出資を受ける企業に対して発言権を持つことになります。M&Aほど大きな影響力ではありませんが、出資を受ける企業は出資企業よりも弱い立場になる可能性があります。

また、出資企業は議決権の20%以上を取得するなどの影響力を持つことで、出資した企業を持分法適用関連会社化することが可能です。関連会社化すると連結決算書類に反映することも可能です。

しかし、出資割合がそれ以下の場合は連結決算に反映できません。アライアンス(資本提携)を結ぶ場合は、いくら出資するか、出資を受けるかが重要になります。

M&Aのデメリット

独立性を保ちたい企業にとって、M&Aによって買収されることは独立性を失うことになるので、デメリットとなるでしょう。また、買い手にとってM&Aにかかる費用や時間、手間は小さくありません。

そのため、M&A後の事業シナジーが想定通り得られなかった場合のダメージは大きいものとなります。

事業シナジーが得られなかった場合、アライアンスよりも関係の解消が簡単ではない点にも注意が必要です。

アライアンスとM&Aの比較まとめ

ここまで紹介したアライアンスとM&Aの特徴、メリット・デメリットをまとめると以下のようになります。
 

  アライアンス M&A
特徴 支配関係が生じない 支配関係が生じるケースが多い
メリット・デメリット ・関係の構築・解消がしやすい
・意思決定の統一が図りにくい
・意思の統一が図りやすい
・関係の構築・解消に手間がかかる

アライアンスとM&Aどちらが経営戦略上有効に機能するかは、達成したい目的や自社が現在抱えている課題などによって変わります。

アライアンスかM&Aどちらを活用するか検討する際は、専門家による戦略的なアドバイスが必要となるでしょう。

【関連】M&Aとは?メリットや流れ・費用を解説!仲介会社ランキングや成功事例も紹介!

3. アライアンスの戦略

アライアンスの戦略

アライアンスでは、生産提携・販売提携・技術提携3つの戦略的提携が結ばれます。生産提携とは、製品を生産する場所や設備、人材、ノウハウなどを提携によって委託または受託する方法です。

また、販売提携とは、販売チャネルや販売地域などを提携によって共有する方法です。そして、技術提携とは、開発技術やノウハウ、人材などを共有して共同開発を行う方法です。

これらを企業が単独で達成するには、経営資源が足りないことも少なくありません。また、近年は競走のグローバル化や先端技術進化の短期化が加速していることから、企業単独の努力では追いついていくことが難しくなっています。

そこで、戦略的アライアンスを組むことで、迅速かつ柔軟に環境変化についていくことができるようになります。

【関連】M&A戦略のメリット・デメリット26選!買い手・売り手サイドから解説!

4. アライアンスの目的

アライアンスの目的

アライアンスは、企業間の協力関係を深め、弱みの相互補完や強みのさらなる強化を通じて双方が事業を成長させることを目的としています。

具体的には以下のような目的を達成するためにアライアンスが手段のひとつとして用いられます。

  • 経営効率の改善
  • 新サービスの創出
  • 既存サービスの付加価値強化
  • 研究開発力の強化
  • 新商品の開発加速
  • 既存商品の品質向上
  • 販売チャネルの増加
  • 顧客の共有
  • 新たな需要獲得

M&Aによってもこれらの目的を達成することが可能です。しかし、アライアンスとM&Aにはそれぞれメリット・デメリットがあります。

そのため、自社の経営状況や相手企業の状況、業界の現状などさまざまな経営判断から最適な方を選ぶ必要があります。

5. アライアンスを行う際の注意点

アライアンスを行う際の注意点

アライアンスを行う際は、どのような点に注意しておけばよいのでしょうか。ここでは、アライアンスを行うときに特に意識しておきたい3つのポイントを解説します。

【アライアンスを行う際の注意点】

  1. 各種契約書は専門家に確認してもらう 
  2. アライアンスの本質を理解して両社の利益を考える
  3. アライアンスの契約違反に気をつける
  4. 専門家に相談を行う

1.各種契約書は専門家に確認してもらう

アライアンスは多くのメリットがある一方で、情報漏えいや自社技術・ノウハウの盗用などの可能性もあります。

トラブルの際にしっかりと対応できるように、各種契約書は法律の専門家に監修してもらいながら作成しなければなりません。

ただし、同じ弁護士でも普段は個人向けの仕事がメインで、企業法務には詳しくない弁護士も多くいます。アライアンスの契約書作成は企業法務に精通した弁護士に依頼する必要があります。

2.アライアンスの本質を理解して両社の利益を考える

相互協力によって双方が利益を得ることがアライアンスの目的です。M&Aによって相手企業を子会社化した場合、子会社は自社グループなので利益は共有できます。

しかし、アライアンスの場合、相手企業の利益は基本的に自社の決算に反映できません。逆に、アライアンスを結んでいる時以外は、相手企業がライバルになることもあるでしょう。

だからこそ、アライアンスでは、両社が共に利益を得ることを第一に考えているという意思がしっかりと伝わるような対応が重要になります。

アライアンスの有名な失敗事例に、シャープとソニーのアライアンスがあります。シャープとソニーは液晶パネルの生産で提携しましたが、シャープは自社向けのパネル生産を優先し、ソニー向けの液晶パネルは何度も納入遅れを起こしている状況でした。

結果的にシャープとソニーのアライアンスは解消となり、シャープはその後苦しい経営を強いられることとなります。

3.アライアンスの契約違反に気をつける

アライアンスを結んで共同で事業を進めているうちに、アライアンス契約に含まれていない相手企業の技術やノウハウを、自社の製品やサービスに転用してしまうケースがあります。

これは意図的である場合と意図的ではない場合があり、従業員が独断でやってしまう場合もあるでしょう。

M&Aによって相手企業が完全な子会社化になっている場合とは違い、アライアンスの際に知った相手企業の技術やノウハウなどはあくまで相手企業の資産です。

契約違反によってアライアンスが途中で解消となるだけでなく、訴訟リスクや業界での信用を失うリスクがあることを念頭に置き、契約違反防止対策は入念に行う必要があります。

4.専門家に相談を行う

アライアンスを成功させるには、アライアンスを行う目的を明確にし、目的に合った相手企業を選び、トラブルなくアライアンスを進めて両社が目的を達成できるようにしていかなければなりません。

そのためには専門家によるサポートが必要となりますが、M&Aの専門家はアライアンスの専門家でもあるので、M&Aの専門家に相談することにより円滑にアライアンスを実施できるでしょう。

【関連】M&Aコンサルってどんな仕事?仲介会社との違いや選び方を解説!

6. アライアンスの実施の際におすすめの相談先

アライアンスの実施の際におすすめの相談先

アライアンス実施の際は、企業法務に詳しい弁護士の存在が欠かせません。また、アライアンスの効果を最大限得るためには、自社と相手企業の事業を客観的に分析する必要があり、ビジネス領域に詳しい会計士の存在も不可欠です。

M&A総合研究所ではM&A専門の会計士と弁護士、アドバイザーがチームを組んでアライアンスをサポートするので、満足のいくアライアンスの実現が可能です。

M&A総合研究所では無料相談を随時受け付けております。また、M&A業界では対面での面談が慣習となっていますが、M&A総合研究所では2020年4月からテレビ電話やメールでの無料相談も開始しております。

M&Aやアライアンスをご検討の際は、どうぞお気軽にM&A総合研究所の無料相談をご利用ください。

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7. まとめ

まとめ

本記事では、アライアンスの特徴をM&Aと比較しながら紹介しました。アライアンスとM&Aには各々メリット・デメリットがあるため、自社の経営状況・相手企業や業界の現状などから総合的に判断し最適なほうを選ぶ必要があります。

【アライアンスの種類】

  • 業務提携
  • 資本提携
  • 資本業務提携

【アライアンスとM&Aの特徴とメリット・デメリット比較】
  アライアンス M&A
特徴 支配関係が生じない 支配関係が生じるケースが多い
メリット・デメリット ・関係の構築・解消がしやすい
・意思決定の統一が図りにくい
・意思の統一が図りやすい
・関係の構築・解消に手間がかかる

【アライアンスを行う目的】
  • 経営効率の改善
  • 新サービスの創出
  • 既存サービスの付加価値強化
  • 研究開発力の強化
  • 新商品の開発加速
  • 既存商品の品質向上
  • 販売チャネルの増加
  • 顧客の共有
  • 新たな需要獲得

【アライアンスを行う際の注意点】
  1. 各種契約書は専門家に確認してもらう 
  2. アライアンスの本質を理解して両社の利益を考える 
  3. アライアンスの契約違反に気をつける 
  4. 専門家に相談を行う

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