2019年10月29日公開
2021年02月05日更新
M&Aの仲介手数料の種類や支払うタイミング、相場を徹底解説!
M&Aの仲介手数料について知識を持てば、低コストで仲介会社への依頼も可能です。しかし、M&A仲介会社によって手数料の相場や支払いのタイミングが違うことから、失敗する人も少なくありません。M&A仲介手数料の相場やポイントを理解し、仲介会社を有効活用しましょう。
目次
1. M&A仲介手数料の6つの種類と相場
M&A仲介手数料は仲介会社によって異なりますが、大きく6つの種類に分けることができます。
6つの種類とは以下です。
- 相談料
- 着手金
- 企業調査手数料
- 月額報酬(コンサルタント料)
- 中間報酬
- 成功報酬
各M&A仲介会社の公式サイトで各種手数料の金額が記載されていますが、内容がわからない人も多いです。そのため、それぞれの手数料について詳しく説明します。
①相談料
相談料とは、M&A仲介会社に依頼するときに発生する手数料のことです。
自身に合った仲介会社を選び動き出すときは、必ず相談するところから始まります。相談料は1時間5,000円〜1万円程度が相場です。近年は、「相談料無料」とするM&A仲介会社が増えているので確認しましょう。
相談をすれば、専門家の目線で以下のアドバイスを受けることが可能です。
- M&Aで自社が売れるのか
- どれくらいの価格で売れるのか
- スケジュールはどれくらいになるのか
M&Aを検討し始めるとき、「どうしたら良いのかわからないので相談してみよう」と考える経営者が多いです。
M&A仲介会社に専門家目線からのアドバイスをもらったり、M&Aが成立したときの手数料総額を見積もりで出してもらったりしましょう。
②着手金
着手金とは、相談を受けたM&A仲介会社が実際に動き出すときに発生する手数料のことです。
相談後、正式にM&A仲介業務を依頼すると決めたら、アドバイザリー契約を結びます。アドバイザリー契約時に着手金を支払います。
着手金の相場は、50万円〜600万円程度と仲介会社によって違いが出る部分です。会社の規模によって変動する仲介会社もあれば、一律で決まっていることもあるので事前に確認しましょう。
ちなみに、この着手金はM&Aの成功・不成功にかかわらず返金されません。
着手金を支払っても必ず成立が保証されるわけではありません。そのため、指導やアドバイスをもらいながら、書類や手続きを進めるために必要なものと割り切りましょう。
出費を徹底的に抑えたい人は、無料のところを探すことをおすすめします。
③企業調査手数料
企業調査手数料とは、仲介会社による売り手企業の内部調査のために支払う手数料のことです。
M&Aでは正しく企業価値を算定するために、仲介会社が売り手の内部調査を行います。財務や法務などを調べ、M&Aを実施しても問題ないかチェックするのです。
企業調査手数料の相場は、数十万円〜数百万円と幅があります。
一方、着手金に企業調査手数料が含まれているケースや無料としているケースもあるので、事前に確認してください。
「費用がかなりかかるので、調査をしないで進めていきたい」と考える人もいるでしょう。しかし、企業調査を省くとM&Aの相手企業を正しく選出できなかったり、売却価格の予測を立てることができなかったりします。
中には「思わぬ負債や訴訟を抱えていた」というケースもあるので、トラブルを未然に防ぐためにも必ず調査をしましょう。
④月額報酬(コンサルタント料)
月額報酬とは、助言や指導を行う専門家に支払う手数料のことです。
リテイナーフィー(定額顧問料)と呼ばれ、M&Aを成立させるための活動費・アドバイス料として支払います。月額報酬の相場は月額30万円ほどです。
助言や指導などを、専門家目線でもらえるので、そのお礼としての報酬です。M&Aは長い時間を要するため、ある程度資金に余裕をもって依頼しましょう。
近年では、月額報酬を成功報酬に含めて途中請求しない仲介会社が増えている傾向があります。しかし、弁護士事務所などの士業事務所がM&A仲介業を行う場合は、月額報酬が必要となるケースがあるので必ず確認してください。
M&Aの活動中に費用を抑えたい人は、月額報酬が必要ない仲介会社を選びましょう。
⑤中間報酬
中間報酬とは、基本合意書を交わしたときに支払う手数料のことです。第一次成功報酬と呼ぶこともあります。
基本合意書を交わすとデューデリジェンスで問題がなければ、そのままM&Aは成立します。そのため、第一段階をクリアしたという意味合いで支払う手数料と考えましょう。
中間報酬の相場は、50万円〜200万円程度です。手数料の額を決めずに、M&A成立時に支払う「成功報酬の10%」と定める会社もあるので確認してください。
ただし、M&Aが成立に至らなくても、中間報酬の返金はありません。成立した場合は、中間報酬を差し引いて成功報酬を支払います。この点は、留意点として覚えておきましょう。
⑥成功報酬
成功報酬とは、M&Aが成功したときに支払う手数料のことです。当然、M&Aが不成立の場合は、支払いの必要はありません。
成功報酬の額は、取引金額などに応じて一定の料率をかけて算出するレーマン方式という計算方法を用いて算出します。会社の規模によって、大きく金額が左右します。
そのため、費用相場という考えはありません。最低報酬額を設定している仲介会社もあるので、解説します。
最低成功報酬とは
最低成功報酬とは、最低限支払わなければならない成功報酬の金額のことです。
最低成功報酬が1,000万円の設定と仮定しましょう。取引金額が800万円であっても、1,000万円を仲介会社に支払わなければなりません。
最低成功報酬の額によっては、レーマン方式で算出した金額よりも高い価格を支払うケースもあります。レーマン方式については、次の章で詳しく見ていきましょう。
別途料金がかかる可能性のある手数料
M&A仲介会社によっては、紹介した手数料以外に発生する手数料があります。
例えば、以下のものは別途料金がかかります。
- 契約書作成費
- 相手企業紹介料
- 弁護士など専門家の紹介料・顧問料
- デューデリジェンス費用
- 不動産鑑定や登記費用
- 打ち合わせや視察などのための実費(交通費・宿泊費)
これらは必ずかかる費用ではなく、別途請求される可能性があるものです。
これらの細かい金額については説明がないことが多いです。不要なトラブルを避けるために確認しておけば、失敗をしなくて済むでしょう。
ここまで手数料について詳しく解説しました。
次は、料金に大きく関係するレーマン方式について具体例を用いて説明するので確認してください。
2. 成功報酬の算出で使うレーマン方式とは?
レーマン方式とは、取引金額などに応じて一定の料率をかけて算出する方法です。一般的にM&A仲介会社や弁護士事務所などの成功報酬を算出するときに使われます。
レーマン方式は、以下の料率を使うことが一般的です。
- 5億円以下の部分:5%
- 5億円超・10億円以下の部分:4%
- 10億円超・50億円以下の部分:3%
- 50億円超・100億円以下の部分:2%
- 100億円超:1%
提示した料率は、M&A仲介会社によって違うので注意しましょう。
レーマン方式を使った成功報酬の算出例
料率だけを見ても、どのように計算するのかわからないものです。レーマン方式を使った成功報酬の算出例を確認しましょう。
算出方法がわかりやすいように、取引金額を高く設定して計算方法を見ていきます。
- 取引金額が20億円
このとき、以下のように計算します。
- 5億円(5億円以下の部分)× 5%
- 5億円(5億円超・10億円以下の部分)×4%
- 10億円(10億円超・50億円以下の部分)×3%
これらを全て足すと以下です。
- 2,500万円+2,000万円+3,000万円=7,500万円
取引金額が20億円のとき、成功報酬は7,500万円です。
同じレーマン方式でも「元」になる費用によって報酬額が異なる
レーマン方式で気をつけなければならないのが、「元」になる費用によって算出される報酬額が異なることです。
同じ料率であっても、移動総資産ベースか株式価格ベースかによって、報酬額は大きく変化します。
移動資産ベースとは、株式価格に上乗せして負債総額まで含めた金額を取引金額とすることです。一方、株式価格ベースなら株式価格が取引金額です。
たとえば、以下のような会社のM&Aで違いを確認しましょう。
- 株式価格・・・5億円
- 負債総額・・・1億円
このとき、移動資産ベースにおける取引金額は「5億円+1億円=6億円」です。
移動資産ベース
- 5億円(5億円以下の部分)× 5%=2,500万円
- 1億円(5億円超・10億円以下の部分)×4%=400万円
- 成功報酬=2,500万円+400万円=2,900万円
一方、株式価格ベースにおける取引金額は5億円です。
株式価格ベース
- 5億円(5億円以下の部分)× 5%=2,500万円
- 成功報酬=2,500万円
このように、取引金額が大きくなると成功報酬も高くなります。つまり、株式価格ベースを採用するM&A仲介会社の方が成功報酬の金額は低くなるのです。
同じレーマン方式でも「何を取引金額とするのか」を事前にチェックしましょう。
3. 仲介手数料を払ってでもM&A仲介会社に依頼すべき!
「M&A仲介会社などは手数料がかかるので依頼しにくい」という人もいます。しかし、手数料を出してでも相談するべきです。
M&A仲介会社へ依頼することで、成功率が格段に上がります。なぜなら、M&Aは個人で進めるには難しい交渉や手続きなどが多いからです。まったく知らないことを調べながら進めると、多大な時間と労力が必要です。
例えば、現状の経営を維持して売り上げを落とさず交渉に必要な時間と戦略、手続きを不備なく進めることはできるでしょうか。
多くの場合、法務・税務・手続き・交渉などに無理が出ることから、スムーズに進めることはできません。また、M&Aに集中すると、本業に集中できないことから、経営に影響を与えることもあるのです。
では、依頼した場合はどうでしょうか。M&A仲介会社はM&Aのプロなので「相手企業探しから交渉まで、あらゆる業務を任せる」ことができます。本業にも集中できるので、経営状態も維持できるでしょう。
取引の適正を確保
仲介手数料を払ってでもM&A仲介会社に依頼すべき理由に、取引の適正を確保できることも挙げられます。M&A仲介会社に依頼すると、取引自体が適正であるかどうか判断できるのです。
売り手は「できるだけ高く売りたい」と考え、買い手は「できるだけ安く買いたい」と考えます。このような状況で、M&A仲介会社は第三者の視点から、適正な金額・条件を判断して交渉を行います。
買い手に専門家がいる場合でも、自社の専門家が代わりに交渉してくれるので、希望の売却価格における取引が成功しやすくなります。
このように、手数料を払ってでも、M&Aをスムーズに進めるためには仲介会社に依頼することが大切です。しかし、依頼するときは、いくつか知っておくべきことがあります。まずは、起こりやすいトラブルについて見ていきましょう。
4. M&Aの仲介手数料で起きうるトラブル3選
M&A仲介会社に依頼すべきではあるものの、M&A仲介会社と手数料の内容やサービス面でトラブルが起きることがあります。事前に知っておけばトラブルを回避できるので確認しましょう。
今回は、トラブルに発展しやすい3つのケースを紹介します。
- 見積もりに入っていない手数料がかかる
- 経験の少ないアドバイザーに当たってしまった
- 無理にM&Aを成立させられた
3つのトラブルについて見ていきましょう。
①見積もりに入っていない手数料がかかる
よくあるトラブルとして知っておきたいのが「見積もりに入っていない不鮮明な請求」です。
十分な説明を怠り、実際に支払う段階になってから見積もりになかった請求が含まれる不誠実なケースは少なからずあります。公式サイトを参考に費用の目安としていても、変更されているのに更新されてなく大きく異なる請求が出ることもあるでしょう。
このようなトラブルを防ぐためにも、M&A仲介会社に相談した段階で全ての手数料を支払うケースで見積もりを作ってもらうことをおすすめします。疑問があればその場で率直に質問して、トラブルを回避しましょう。
また、その日に契約するのではなく別の仲介会社でも見積もりをもらい、比べてみるのも効果的です。自身で判断できない場合は、社内での話し合いを設けるなどしてください。
料金に関しては焦ると失敗しやすいので、冷静に判断できる環境で進めましょう。
②経験の少ないアドバイザーにあたってしまった
「専門家からのアドバイスを求めるために、仲介会社に相談したにもかかわらず経験の少ないアドバイザーにしか対応してもらえなかった」というトラブルもあります。
経験の少ないアドバイザーにあたると、M&Aを一方的に進めようとしたり買い手との交渉を適当に済ませたりすることもあります。
プロの知識を期待して仲介手数料を払うわけですから、できるだけ質の高いサービスを受けたいと思うのは当然です。担当アドバイザーに不安を感じたら、別の人に代わってもらうなどの相談をしてください。
なぜなら、完全に任せている間に意図していない内容での契約が進んでしまう可能性が、捨てきれないからです。他にも、条件をいつの間にか緩和して、あまりメリットのない契約になってしまうこともあります。
これはあくまでも最悪の場合を想定しているため、必ずしもこのようになるとは限りません。しかし、専門家はあくまでも力添えをする立場ですから、「何を目的としてどのようにしたいのか」という意思は必ずもって選んでください。
まったく知識がないよりも、最低限の知識を持てるよう学んでおくと、トラブルを未然に防ぐこともできるでしょう。
③無理にM&Aを成立させられた
「無理にM&Aを成立させられた」というトラブルもあります。
M&A仲介会社のほとんどは、M&A成立時の成功報酬で利益を出します。すると、条件を緩和・変更してでも契約させる可能性は捨てきれません。
では、どのようにこのようなことを防げるのでしょうか。それは、口コミのチェックや話し合いで見極めるしかありません。
また、交渉を進める中で納得いかないことがある場合は、弁護士などの専門家に相談するのも良いでしょう。契約書の内容を第三者にチェックしてもらうことで、不利な条件で契約するリスクを防ぐのです。
少しでもおかしいと感じたら、「M&Aをしない」という判断をすることも大切です。
以上のように、M&A仲介手数料によってトラブルが生じることも考えられます。しかし、しっかり注意することで避けることができるトラブルばかりです。
相談時には必ず見積書を提示してもらい、アドバイザーやコンサルタントに違和感があれば交代してもらうなどして対処しましょう。トラブルを回避し、M&Aを進めてください。
もしM&A仲介会社選びにお悩みであれば、ぜひM&A総合研究所にお任せください。
M&A総合研究所には、M&Aの経験や知識が豊富なM&Aアドバイザーが在籍しており、親身になって案件をフルサポートいたします。
料金システムは完全成功報酬制を採用しており、着手金や中間手数料、月額報酬などはありません。そして、もし仮にM&Aが成約しなければ、手数料の請求はないのが完全成功報酬制です。
成功報酬額は、株式価額を基準額とするレーマン方式で国内最安値水準であり、安心してリーズナブルにM&Aの実現が目指せます。
まずは無料相談からご利用ください。
5. できるだけM&A仲介手数料を下げる3つのコツ
M&Aでまとまった資金を得られるとしても、必要な費用をできるだけ抑えて進めたい人がほとんどです。
経費を減らすことができれば、その分手元に残る資金が増えるので、以下3つのコツを参考にしてください。
- 着手金・中間金なしの仲介会社を選ぶ
- 短期間でM&Aを成立させる
- 複数のM&A仲介会社を比較する
順番に確認しましょう。
①着手金・中間金なしの仲介会社を選ぶ
1つ目に考えたいのが、「着手金・中間金なしの仲介会社」を探して選ぶことです。
M&Aの成功・不成功にかかわらず必要な経費なので、とてもリスクが高いといえます。少なくとも3ヶ月から1年程度は成立までにかかるので、成立しても赤字になることがあり得るのです。
このようなリスクを減らすためにも探したいのが「完全成功報酬型の仲介会社」です。
文字通り、M&Aが成立しなければ費用を請求されません。成立までの間に資金繰りなどの不安や出費を抑えるためにも効果的です。
②短期間でM&Aを成立させる
2つ目に意識したいのが、短期間でM&Aを成立させるように動くことです。
M&A仲介会社を利用した場合はどれだけ時間を短縮できるかが重要です。例えば、月額報酬を採用している場合は、長引くほど毎月の支払いに費用がかさみます。
任せきりにしても成立までの時間を短縮できますが、無理のない範囲で協力すると良いでしょう。スピード成約が可能な仲介会社を最初から意識して探すのも効果的です。
このような短期間でM&Aを成立させるための動きは、出費を抑えるのにも良いので試してください。
ただし、焦りすぎて失敗しないためにも確認は徹底しましょう。
③複数のM&A仲介会社を比較する
3つ目に意識したいのが複数のM&A仲介会社に依頼をして比べてみることです。
複数のM&A仲介会社に依頼して見積もりを出してもらい、出費が無理のない範囲の仲介会社で先を見据えて検討する方法もあります。もちろん費用だけで決めるのはよくありませんが、多くの出費を抱えてしまってはM&Aに集中できません。
どのような内容でどれだけの費用がかかるのかを事前に知るだけで、社内でどうすべきかの検討も簡単に相談できます。このように、冷静に判断できる材料を揃えるだけでも失敗は格段に減らすことができるでしょう。
少し手間はかかりますが、複数のM&A仲介会社から納得のいく料金設定のところを選んでください。
6. まとめ
M&A仲介会社で必要となる費用について解説しました。依頼する仲介会社によっては必要のない費用もあるので、必ず事前に確認しましょう。
M&A仲介会社選びにお悩みの際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。
M&A総合研究所の料金体系は、完全成功報酬制です。また、M&Aに精通したM&Aアドバイザーが在籍しており、案件をフルサポートいたします。
無料相談を行っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。