M&A(買収)ファイナンスとは?資金調達をする手順や注意点を知って賢く買収しよう

M&A(買収)ファイナンスとは、企業がM&Aをするときに必要な買収資金の調達のことです。今回はM&A(買収)ファイナンスの種類や方法、資金調達の手順を詳しく解説します。注意点や融資のポイントを知って、買収を成功させましょう。


目次

  1. M&A(買収)ファイナンスとは
  2. そもそも買収とは
  3. M&A(買収)ファイナンスの種類
  4. M&A(買収)ファイナンスと銀行の関係
  5. M&A(買収)ファイナンスの2つの方法
  6. M&A(買収)ファイナンスの手順
  7. M&A(買収)ファイナンスを利用する際のポイント
  8. M&A(買収)ファイナンスの返済期間の目安
  9. M&A(買収)ファイナンスを利用する注意点
  10. M&Aを検討しているなら、まずM&A仲介会社に相談しよう
  11. まとめ

1. M&A(買収)ファイナンスとは

M&A(買収)ファイナンスとは

M&Aファイナンスとは、企業がM&Aをするときに必要な買収資金の調達のことです。そのため、買収ファイナンスとも呼びます。

銀行などの金融機関や投資家から買収資金を調達することが一般的です。もちろん、自己資金で買収をすることもありますし、自社の株式を買収の対価として譲渡するケースもあります。

今回は、M&A(買収)ファイナンスの種類やどのようにして行うのかといった詳しい手順を解説していきます。そもそも買収とはどういった意味なのかということから確認していきましょう。

2. そもそも買収とは

そもそも買収とは

そもそも「買収」とはどのような意味なのでしょうか。

買収とは、ある企業が他の企業の経営権を支配するために発行済み株式を買い取る行為のことです。経営権を支配するためには、半数以上の株式を保持しなければなりません。

また、買収する対象は企業そのものだけでなく、特定の事業や特定の資産に限定されることもあります。

このような買収は、M&Aの一種です。

M&Aは「合併」と「買収」という意味を持っています。買収は説明した通り、会社が別の会社や事業を買い取ることですが、合併は2つ以上の会社が1つの会社になることです。

たとえば、A社がB社に吸収されてA社の1社となる吸収合併や、A社とB社を新しく設立したC社に統合される新設合併があります。いずれの場合も、買収されたA社は消滅してしまいます。

このようにM&Aには「合併」と「買収」の2つの意味を持っており、2つは違う手法です。しかし、「M&Aを実施すること」行為自体を「買収する」と表現することもあります。

つまり、広義の意味でM&A(買収)ファイナンスは、合併および買収をするときに必要な資金調達といえるのです。

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2つの買収主体

買収の意味がわかったと思いますが、買収には2つの主体があります。ストラテジック・バイヤー(戦略的投資家)とファイナンシャル・バイヤー(金融投資家)です。

ストラテジックバイヤーは、主に自社の持つ事業と買収する事業のシナジー効果を期待して買収を行います。シナジー効果とは、買収をしたことで1+1以上の結果を残すことです。

たとえば、化粧品メーカーがECサイトを運営する会社を買収することでECサイトでの顧客を獲得し、さらに売り上げを逃すこと等がシナジー効果といえます。

一方、フィナンシャル・バイヤーとは、経営権を支配し経営戦略を変えることで株式の価値の引き上げを狙う投資ファンドのことです。つまり、買収した企業や事業の価値を自分たちの力であげ、そこで利益を上げようとします。

このように、両者にとって会社や事業を買収する意味は異なるのです。しかし、M&Aを実施するにあたって入札で競合することも多々あります。

ストラテジック・バイヤーは、シナジー効果を加味した買収価格を提示するため、高い入札価格を提示する傾向です。一方で、フィナンシャル・バイヤーは積極的にLBOによる資金調達を活用するため有利に働くケースもあります。

LBOとは

LBOとは、Leveraged Buyout(レバレッジド・バイアウト)の略です。

買収対象の企業のキャッシュフローや資産を担保にして借入を行うので、少ない資金で大きな利益を得ることができます。

通常、M&Aでは買収する側の企業が金融機関などから借り入れを行いますが、LBOではその逆となっているのです。小さな力で大きなものを得ることができるという意味で「レバレッジ=てこの原理」と名付けられています。

3. M&A(買収)ファイナンスの種類

M&A(買収)ファイナンスの種類

M&A(買収)ファイナンスには2つの種類があります。2つの種類とは、以下の通りです。

  1. コーポレート・ファイナンス
  2. ノンリコース・ファイナンス

2つの種類について違いを確認しましょう。

種類1.コーポレート・ファイナンス

コーポレート・ファイナンスとは、買い手企業が主体となって資金調達することです。基本的に、コーポレート・ファイナンスは買い手企業によって行われ、買い手自信の与信で資金調達することができます。

「M&A(買収)のための資金」という扱いではなく、設備投資などをするときと同じように資金調達をします。ストラテジック・バイヤーが好む資金調達手段です。

種類2.ノンリコース・ファイナンス

ノンリコース・ファイナンスとは、買収目的で設立したSPC(特別目的会社)が資金調達をすることです。買い手企業の信用力ではなく、SPCや買収会社の信用が与信となります。

SPCとは、買収を行うためだけに設立する会社です。ペーパーカンパニーで、実態はありません。ノンリコース・ファイナンスが活用されるのは、経営陣によるMBOや投資ファンドによるM&Aのときだけです。

MBOや投資ファンドのときにはLBOによる資金調達がよく活用されます。LBOとは、買収会社が金融機関などから借り入れを行うことです。

4. M&A(買収)ファイナンスと銀行の関係

M&A(買収)ファイナンスと銀行の関係

M&A(買収)ファイナンスを利用するためには、銀行に申し込む必要があります。

メガバンクではM&Aファイナンスは実施されていて、当然M&Aを実施する時に活用することが可能です。地方銀行でも取り扱っていることがあるので、出入りしている銀行があれば担当に聞いてみましょう。

銀行はM&A(買収)ファイナンス以外にも、さまざまなM&Aのサポート業務を行っています。例えば以下のようなサービスがあるので確認しておきましょう。

  • M&Aの企画・提案・マーケティング
  • 売り手企業候補の提案
  • 企業評価
  • デューデリジェンスの支援
  • 売り手企業との交渉
  • クロージングの支援

このように、M&Aを総合的にサポートしてくれる存在です。

M&A(買収)ファイナンスだけでなく、M&Aで困っていることは相談すると良いでしょう。
 

  • 「M&Aを行いたいけど資金の用意で困っている」
  • 「M&Aの知識がないから専門家のバックアップがほしい」


といった要望を持っているのであれば、銀行は心強いパートナーとなってくれるはずです。

ただし、これらのサポートを受けるためには費用もそれなりに必要ととなります。銀行にはM&A(買収)ファイナンスを依頼し、M&A仲介会社に総合的なサポートをしてもらうのも手です。

M&A総合研究所であれば、M&Aが成立するまで着手金や中間報酬などの費用が一切かかりません。

M&A(買収)ファイナンスを利用するには、銀行をどのように活用すべきかもしっかりと検討しておきましょう。

5. M&A(買収)ファイナンスの2つの方法

M&A(買収)ファイナンスの2つの方法

実際にM&A(買収)ファナンスを利用する前に、どのようなファイナンスを知っておきましょう。

M&A(買収)ファイナンスには2つの方法があります。

  1. シニア・ローン
  2. メザニン・ファイナンス

一般的には、リスクの低いシニア・ローンを利用します

しかし、シニア・ローンに加えて資金を調達したい時にはメザニン・ファイナンスも利用するケースもあるのです。

それぞれどのようなファイナンスなのか確認しましょう。

方法1.シニア・ローン

シニア・ローンとは、株式の買取資金を普通株出資によって調達する方法です。買収の資金調達のなかで最も大きく、必要な費用の50%〜80%を湿ることもあります。

シニア・ローンの貸付は、貸付時に担保が付けられることが一般的です。担保とは、返済が滞った時に代わりに補填をするための財産のことを指します。

たとえば、会社が保有する不動産などを担保として保証し、返済不能になった場合は担保を売却して金融機関は資金を回収するのです。このようにシニア・ローンでは、担保保証をすることが一般的です。

担保保証があるため、金融機関にとってはローリスクとなり、貸付けがしやすいとされています。

シニア・ローンのメリット

シニア・ローンのメリットは、金利が低いことです。低金利で資金調達することができ、毎月の支出を抑えることができます。長期的にみても負担を少なくすることが可能です。

特に借り入れ金額が大きければ大きいほど、金利の高低は大きな問題となるでしょう。負担を軽くするためにも、M&A(買収)ファイナンスを利用するなら、シニア・ローンを利用することをおすすめします。

一方、金融機関にとっても担保があるため資金の回収可能性が高いというメリットがあります。

シニア・ローンのデメリット

シニア・ローンのデメリットは、融資要件や審査が厳しいことです。そのため、資金調達に失敗する可能性があります。

もし、シニア・ローンを活用できない場合は、メザニン・ローンを活用しましょう。

一方、金融機関にとってはリターンが少ないことがでメリットです。ローリスクローリターンの融資の形といえます。

方法2.メザニン・ファイナンス

メザニン・ファイナンスとは、シニア・ローンと比較して返済順位が後回しとなる貸付けです。返済順位が低い代わりに、高い金利が設定されます。

返済順位が低いので柔軟に返済をしたり、比較的借り入れしやすいといったメリットがあるのです。

一方で、メザニン・ファイナンスは金利が高いので、利用すると毎月の返済の負担が重くなってしまいます。長期的に見ると負担が大きいため、シニア・ローンでもM&Aの費用が足りない場合に活用します

金融機関にとっては、高い金利で貸付ができるので多くの利益を得ることができるといったメリットがあります。一方で、返済不能となった場合には、融資資金の全額を回収できないかもしれません。このように、金融機関にとっては、リスクの高い貸付けとなります。

6. M&A(買収)ファイナンスの手順

M&A(買収)ファイナンスの手順

ここからは、実際にM&A(買収)ファイナンスを利用するときの手順を確認していきましょう。

今回は一般的に利用されるシニア・ローンの場合で確認します。

シニア・ローンを利用するための手順は、以下の通りです。

  1. インディケーション・レターの取得
  2. コミットメント・レターの取得とタームシートの合意
  3. 買収契約・ローン契約の締結
  4. 担保・保証の差し入れ
  5. 債権管理・ローンの返済

詳しく確認していきましょう。

手順1.インディケーション・レターの取得

まずは、インディケーション・レターを取得します。

インディケーション・レターとは、金融機関とスポンサーの間で融資を行う金額や融資の条件などをまとめた書類のことです。

金融機関とスポンサーは、守秘義務契約を締結し、会社情報や買収取引の詳細が開示されます。この情報をもとにスポンサーは融資の検討を行うのです。

インディケーション・レターは、これらの検討の後に初期的な融資条件の提示として重要な役割を持っています。

手順2.コミットメント・レターの取得とタームシートの合意

金融機関の融資の意思表示としてコミットメント・レターが提出されます。

コミット・レターとは、融資の意思表示と確約、シニア・ローン契約の締結・融資の条件などが記載された書類です。

シニア・ローンの契約締結前に金融機関から企業に対して提出されます。具体的な融資条件などの交渉はタームシートを通じて行うこととなります。

具体的に、融資金額や金利、期限前弁済、表明保証などの条件を決めていきます。最終的にタームシートの合意を取ってローン契約の締結へと進むのです。

手順3.買収契約・ローン契約の締結

タームシートで、さまざまな条件が決定したら買収契約・ローン契約を締結します。ローン契約を締結する際には、以下のようなことを契約書に記載しましょう。

  • 資金使途 
  • 前提条件 
  • 弁済に関する事項 
  • 表明保証 
  • 誓約事項
  • 期限の利益損失事由 
  • 債権譲渡に関する事項 
  • 権利調整に関する事項

このとき、買収取引に関する契約内容も金融機関に共有しなければなりません

契約内容によっては、ローン契約の内容も変わるからです。そのため、ほぼ同時に進行させる必要があります。

ローン契約の締結後、買収資金の融資として相応の費用が振り込まれます。その後、買収資金の決済を行いましょう。

手順4.担保・保証の差し入れ

金融機関から融資された後は、担保の設定をしましょう。

条件によっては、補償を差し入れたり、保有資産を担保として提供しなければなりません

担保・保証の差し入れはしますが、返済に滞りがないよう毎月計画的に返済を行いましょう。

手順5.債権管理・ローンの返済

融資が行われたあとは、ローン契約の内容に合わせてローンの返済を行っていきましょう。

金融機関は本当に買収が実行されたのか、買収先の会社の調査などを実施します。また、借入人は元本返済期限までに借入元本の全額を返済しなければなりません

以上が、シニア・ローンを利用するときの流れです。シニア・ローンだけで足りない場合は、メザニン・ファイナンスの利用も検討しましょう。

7. M&A(買収)ファイナンスを利用する際のポイント

M&A(買収)ファイナンスを利用する際のポイント

シニア・ローンは、融資要件や審査が厳しいとお伝えしましたが、どういった点を金融機関はチェックしているのか気になりますよね。

シニア・ローンを検討しているのであれば、5つのポイントを押さえておきましょう。

  1. キャッシュフロー状況
  2. 損益状況
  3. 有形固定資産
  4. 事業計画書
  5. のれんの有無

順番にポイントを確認していきましょう。

ポイント1.キャッシュフロー状況

まずは、会社のキャッシュフロー状況をチェックされます。キャッシュフローは、金融機関が融資をする時に一番にみるポイントです。

融資を受ける買い手企業のキャッシュフローはもちろん、買収先会社のキャッシュフロー状況も厳しくチェックが入ります。買収先会社の財務能力がちゃんとあるかも、デューデリジェンスでしっかりと把握しておきましょう。

ポイント2.損益状況

損益状況もチェックポイントの1つです。M&Aを実施した後は、財務内容のコントロールが複雑化します。そのため、事前に損益状況を確認しようとするのです。

ポイント3.有形固定資産

続いて、有形固定資産もチェックされるポイントです。有形固定資産も、買い手企業・買収先企業ともにチェックされます。

M&A(買収)ファイナンスを行う場合、金融機関は買収先企業に価値があるかどうかを確認します。価値判断の1つに有形固定資産がふくまれるのです。

現在価値や将来の価値変動予測も重要となります。もちろん、買収先企業の価値判断は無形固定資産も重要です。しかし、無形固定資産の価値は値段がつけにくく、融資を前提とした評価の場合には、有形固定資産が重要となります。

ポイント4.事業計画書

M&A(買収)ファイナンスでは、事業計画書も重要です。というのも、M&Aを行ったあと、将来どのように会社を発展させていくのかを金融機関は知りたいと思っています。

具体的には、どのように利益を上げて融資した資金を返済してくれるのかを知りたいのです。そのため、できるだけ具体的に利益がどれくらい見込まれているのかを記載しましょう。

設備投資などの融資を受ける際も、事業計画は大事です。M&Aも同じように、「この計画なら融資した資金の返却がされるだろう」と納得させられる事業計画書を作成しましょう。

ポイント5.のれんの有無

最後のチェックポイントは、のれんの有無です。のれんとは、M&Aを行った時に発生する買収先企業の時価評価資産と買収価格の差額のことを指します。

のれんが発生するM&Aは、M&Aによるシナジー効果などによって純資産よりも価値のある事業を買収することが一般的です。つまり、多くの費用を払ってでも取得したい技術や販路があるときに限ります。

しかし、金融機関にとって、「なぜ差額が発生するのか」を理解することは難しいことなのです。そのため、のれんが発生する場合は「なぜ高い費用を支払ってまで取得したいのか」「その効果は何か」を理解し、納得してもらわなければなりません。

のれんが発生するM&Aでは、より力を入れて事業計画書を書くべきと言えるでしょう。

のれんについて詳しくは以下の記事でまとめていますので、こちらもご覧ください。

【関連】M&Aにおけるのれんとは?事例を交えて償却・減損も詳しく解説!

8. M&A(買収)ファイナンスの返済期間の目安

M&A(買収)ファイナンスの返済期間の目安

M&A(買収)ファイナンスの返却期間の目安が気になりますよね。そこで、一般的に金融機関から融資を受けたときの返却期間の目安を確認してみましょう。

8−1.返却期間の目安

一般的な金融機関から融資を受けるときの返却期間の目安を確認していきましょう。

何のための融資かによって返却期間の目安は変わります。

  1. 設備資金
  2. 運転資金

それぞれの場合に分けてみていきましょう。

①設備資金の返却期間の目安

設備資金の場合、一般的に10年〜15年の返却期間が目安です。設備資金は、新しい機械の導入や工場の建設など、比較的高額な融資額となります。

そのため、月々の負担が小さくなるように比較的長めに返却期間が設定されるのです。

②運転資金の返却期間の目安

運転資金の場合、一般的に5年〜7年が目安です。長い場合でも、10年以内が限度でしょう。運転資金は、会社の運営に必要な資金です。

例えば、経費の支払い、仕入れ、在庫処分などの資金に充てられます。そのため、運転資金は数ヶ月単位で運用していかなければなりません。長期間借りることは難しく、設備資金よりも短い設定をされることが多いです。

このように、何のための融資かによって返却期間は異なります。M&A(買収)ファイナンスはどちらかというと、設備資金に当てはまるでしょう。

しかし、返却期間は会社の状況や融資金額などによってさまざまな設定がなされます。どのように返却期間を決めるべきかも確認していきましょう。

8-2.返却期間を決める2つのポイント

M&A(買収)ファイナンスの返却期間を決めるときには、設備資金・運転資金の一般的な返済期間を確認しつつ、今後どれほどの利益が見込めるのかを見据えて設定しなければなりません。

最適な返却期間を決めるためには、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。

  1. キャッシュフローの生まれるポイント
  2. 軌道に乗るタイミング

それぞれのポイントを確認し、最適な返却期間を設定しましょう。

ポイント1.キャッシュフローの生まれるポイント

まずは、M&A実施後、「いつキャッシュフローが生まれるのか」を考えておきましょう。

もし、M&Aをして何かを共同開発したいと考えているのであれば、どれくらいの期間で開発が成功し、利益に結びつくのかを考えるのです。

たとえば、1年で利益が出ると考えるのであれば据え置き期間を1年に設定したり、予想利益に合わせて返却期間を逆算していきます

ポイント2.軌道に乗るタイミング

つづいて、軌道に乗るタイミングもポイントとして考えましょう。

M&A実施後は、統合作業に時間を使うためなかなかシナジー効果が発揮できません。そのため、M&A実施後すぐに軌道に乗るわけではないのです。

そこで、どれくらいの時間をかけて統合作業を行うのか、いつころから軌道に乗り出すのかを予測しておきましょう。また、売り上げがあっても入金のタイミングにズレがあれば、金融機関へ返却することができません。

このようにM&A実施後、いつ軌道に乗るのかを予測し、逆算して返却期間を決めっていきましょう

9. M&A(買収)ファイナンスを利用する注意点

M&A(買収)ファイナンスを利用する注意点

M&A(買収)ファイナンスを利用する前に、注意点もしっかりと理解しておきましょう

気をつけなければならない注意点は、以下の2つです。

  1. 自社に利益があるのか検討しよう
  2. M&A仲介会社は自社で探そう

それぞれの注意点を確認しましょう。

注意点1.自社に利益があるのか検討しよう

M&Aファイナンスを利用するときには、自社に利益のあるファイナンスなのかをしっかりと検討しましょう

なぜなら、銀行などの金融機関も営利団体だからです。自分たちに有利なファイナンスを勧めてくる可能性も十分に考えられます。

とくに、金融機関のほうからM&Aの話を持ちかけられた時には注意しましょう。金融機関の利益になるM&Aをすすめてきている可能性が高いです。

そのため、以下のことをしっかり検討すべきです。

  • 融資条件や返済期間などを含め自社に適切なファイナンスなのか?
  • そもそもM&Aを実施することが自社の利益につながるのか?

M&Aを実施したり、M&Aファイナンスを利用することは、会社にとっても大きな衝撃を与えます。

成功すれば大きな利益につながりますが、失敗すると大きな赤字となって取り返しのつかないことになりかねません。

強引に話を進めてきたり、意見を聞いてもらえないと感じたりするのであれば、一度案件をストップさせましょう。また、「美味しいだけの話はない」と肝に銘じ、担当の話を鵜呑みにしないよう注意する必要があります。

注意点2.M&A仲介会社は自社で探そう

M&A仲介会社は自社で探すことをおすすめします。金融機関はM&Aのサポート業務を行っていることがありますが、結局M&A仲介会社を紹介されるケースも多いです。

この場合、銀行はM&A仲介会社から紹介料としていくらかキックバックをもらっている可能性があります。つまり、自分の利益を獲得するためにM&A仲介会社に紹介しているのかもしれないのです。

そうした場合、自社に最適なM&A仲介会社ではなくキックバックの多いM&A仲介会社に紹介されていることも考えられます。

そのため、M&A仲介会社は自社で探すべきです。また、銀行の担当者がM&Aのサポート業務をしてくれることもありますが、すべてにお金がかかってしまいます。

一方、M&A仲介会社は企業評価やM&Aの相手探しなどを無料で行ってくれるケースが多いです。金融機関には資金面での支援をしてもらい、M&A仲介会社には総合的なコンサルティングをしてもらうと良いでしょう。

それぞれの役割にあった適切な業務を任せることで、M&Aを成功させることができるはずです。

10. M&Aを検討しているなら、まずM&A仲介会社に相談しよう

M&Aを検討しているなら、まずM&A仲介会社に相談しよう

M&Aを検討しているのであれば、M&A仲介会社に相談しましょう。

M&A仲介会社は、M&Aを行う売り手側と買い手側両方とアドバイザー契約を結び、M&Aの手続きを仲介します。M&Aアドバイザーが間に入ることで交渉が円滑に進み、スピーディに手続きが進められるメリットがあるのです。

M&A仲介会社に任せることのできる業務は、以下の5つがあります。

  1. M&A案件紹介や相手探し
  2. M&Aの際の交渉
  3. 買収先企業のデューデリジェンスを実施
  4. 契約書類の作成
  5. 統合プロセスの調整

順番に確認しましょう。

業務1.M&A案件紹介や相手探し

M&A仲介会社では、売却先・買収先の案件紹介をしたり、相手探しをサポートしたりします。案件は、M&A仲介会社がWEBサイトでノンネームシートを公開していることが一般的です。

サイトに行くだけで見られる場合もあれば、会員登録することで見られる場合もあります。また相手探しは、M&A仲介会社が直接交渉する方法や、最近ではAIを使ったマッチングシステムによって最適な相手を見つける方法などがあります。

業務2.M&Aの際の交渉

M&A仲介会社はM&Aに関する交渉を仲介します。売り手と買い手の直接交渉ではなかなか思っていることを伝えられなかったり、逆に感情的に伝えすぎたりして、交渉がスムーズに進まない事例もあります。

特に、自社に強い思い入れのある中小企業のオーナー社長同士の場合は、トラブルになることもあるでしょう。このようなケースでも、M&Aアドバイザーに交渉を代行してもらうことで、客観的で合理的な交渉を行うことができます

業務3.買収先企業のデューデリジェンスを実施

デューデリジェンスとは、買い手企業が買収先企業に対して行う企業調査のことです。買収先の企業価値算定やリスク要因の洗い出しなどを行います。デューデリジェンスを行うに、は会計・税務、法務などさまざまな知識が必要なので、専門家の力が必要です。

M&A仲介会社にデューデリジェンスを実施してもらうことで、M&A後のトラブルを防ぎ、統合効果を高めることができます。

業務4.契約書類の作成

M&Aでは基本合意契約書や最終契約書など、さまざまな書類を作成しながら手続きを進めていきます。

特に株式譲渡契約書や事業譲渡契約書などの最終契約書にどのような契約を盛り込むかは、M&A後のトラブルを防ぐ意味でも重要です。

契約書の記載事項は法令で定められていないので、契約書の質は作成者次第のところがあります。M&Aの経験豊富なM&A仲介会社に契約書類作成をサポートしてもらうことで、M&A後にトラブルが起きた際も自社の損失を抑えることができます。

業務5.統合プロセスの調整

M&A仲介会社によっては、M&Aの手続きだけでなく、M&A後の統合プロセス(PMI)もサポートしてもらえます。

M&Aの成功率は3割から5割程度と言われている中で、PMIは統合効果を高めるために重要な役割を果たします。M&A仲介会社にPMIを実施してもらうことで、期待していた統合効果を得やすくなります。

11. まとめ

M&A(買収)ファイナンスとは、企業がM&Aをするときに必要な買収資金の調達のことです。自己資金だけでは買収できないときに、銀行などの金融機関から買収資金を調達します。

M&A(買収)ファイナンスには2つの種類と2つの方法があるので、覚えておきましょう。

M&A(買収)ファイナンスの種類

  1. コーポレート・ファイナンス
  2. ノンリコース・ファイナンス

M&A(買収)ファイナンスの方法

  1. シニア・ローン
  2. メザニン・ファイナンス

また、M&A(買収)ファイナンスを受ける時には、必ず審査があります。特に、シニア・ローンを検討しているのであれば、審査や融資条件が厳しいので、以下のポイントを押さえておきましょう。

M&A(買収)ファイナンスを利用する際のポイント

  1. キャッシュフロー状況
  2. 損益状況
  3. 有形固定資産
  4. 事業計画書
  5. のれんの有無

金融機関にはM&Aをサポートする業務もありますが、それなりの費用がかかります。M&AのサポートはM&A仲介会社に任せると費用を押さえつつ、専門的なアドバイスをもらうことができるのでおすすめです。

それぞれの専門家に頼りながら、M&Aを成功させましょう。

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