M&Aの売却価格相場はどう決まる?算出方法と相場アップ法を解説

M&Aにおける売却価格の相場は会社の価値や売上とは異なるため、算定には専門的な知識が必要です。この記事ではM&Aの売却価格相場を算出する方法と、相場アップのポイントなどについて解説します。M&Aでの会社売却を考えている方は、ぜひ参考にしてください。


目次

  1. M&Aの相場は主観で大きく変わる?
  2. M&Aの相場・適正価格を正しく把握するには
  3. 業界別に見るM&A譲渡価格の相場
  4. おおよそのM&A相場を算出する方法とは?
  5. M&Aの譲渡価格相場を決める3つのポイント
  6. M&Aの譲渡価格相場をアップさせるには?
  7. M&Aの価格相場について聞ける場所とは?
  8. 【参考】株式譲渡・事業譲渡でかかる税金
  9. M&Aの相場についてはM&A総合研究所へご相談ください
  10. まとめ

1. M&Aの相場は主観で大きく変わる?

買い叩きを防ぐため、M&Aにおいて売却価格を知ることは非常に重要です。

しかし本来、M&Aにおける売却価格相場は明確に決まっておらず、買い手の主観によって実際の金額は大きく変わってきます。

もちろんM&Aの手法や会社の規模によって、「おおよそこのくらい」という大まかな相場はあります。しかし相場が1,000万円の会社であっても買い手が将来価値を大きく見込めば5,000万円でM&Aが成立するため、最も重要なのは買い手の考え方だと言えるでしょう。

ここからはM&Aにおける売却価格相場の基本や売り手と買い手、それぞれの考え方について解説していきます。

1-1.M&Aの相場が決定する仕組み

M&Aの売却価格相場について法的な定めはないため、売り手と買い手が納得していればどんな金額であっても成立します。

もちろん同じような規模の会社を参考にしたり、市場相場を見てアドバイザーが売却価格を決定することもあるでしょう。しかし買い手が売り手企業の将来性を高く評価した場合、相場よりはるかに大きな額での買収もあり得ます。

そのため適正価格を正しく算出するだけでなく、買い手との話し合いの中で他社から見た自社の将来性を理解することが重要です。

1-2.買い手側のM&A相場に対する考え方

買い手側の多くは優秀な会社を買収し、将来自分の会社を成長させるためにM&Aを行います。そのため買い手が重視するのは、今売り手が持っている資産ではなく、売り手企業が今後どれだけの価値を生み出せるかです。

大手企業の場合、M&Aの売り手を選定するための独自基準を設けていることも少なく無いので、適正価格の通りに価格を提示してくる買い手は少ないでしょう。

また当然のことですが、買い手は少しでも安く、将来性のある企業を買収したいと考えています。そのため価格交渉の中で買い手は買収価格をなるべく下げようとしてくるはずです。

1-3.売り手側のM&A相場に対する考え方

会社全てを手放す場合、売り手にとって最も重要なのは「現在、どれくらいの価格で売れるか」であり会社の将来性はそれほど気にしません。

またこれまでの経営してきた会社だからこそ、「本来の価格はもっと高いはずだ」「これだけ苦労して来たんだから1億円は出してもらいたい」と会社の価値を高く見積もってしまうケースが多いです。

もちろん売り手は「少しでも高い金額でM&Aを成立させたい」と感じてしまうものですが、金額にこだわりすぎると譲渡が成立しにくくなってしまいます。

そのためまずは、専門家と共に自社の正しい価値を把握することが大切です。

ここからは売り手と買い手、双方の考え方を踏まえM&Aの相場・適正価格を正しく把握する方法を解説します。

2. M&Aの相場・適正価格を正しく把握するには

M&Aの大まかな相場を把握する方法は多数ありますが、最終的な価格を決めるのは買い手との交渉です。

会社を少しでも高い金額で売却したいと考えている場合、自社の魅力を最大限アピールし売却価格をアップさせることも可能でしょう。しかし交渉力の強い買い手に影響され、気づけば相場よりかなり低い額でM&Aを成立させてしまった、というケースも少なくありません。

買い手とのM&A交渉を少しでも有利に進めるためにも専門家からの適切なアドバイスが必要です。

多くのM&Aアドバイザーは実際に買い手との交渉の場に同席してくれるので、不利な状況になることはまずないでしょう。ですから、豊富なM&Aサポート経験を持つ専門家に相談し、交渉を有利に進めるように動くべきです。

会社売却を考えている方が候補にするべきM&A仲介会社については、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連】M&A仲介会社を徹底比較!口コミ・評判・実績情報まとめ!

3. 業界別に見るM&A譲渡価格の相場

業界全体の動向や注目度によって、M&Aにおける譲渡価格相場は異なります。

将来性の高い業界であれば、会社の規模から考えられる相場価格よりも高い値段で売却することも可能です。

まずは以下の表で、業界別の相場を見てみましょう。

業界 会社売却の相場
IT・ソフトウェア業界 1,000万円~数十億円
人材派遣業界 100万円~3.000万円
スポーツクラブ業界 1,000万円~数百億円
印刷・製本業界 3,000万円~数億円
介護業界 3,000万円~数億円

様々な会社から注目されるIT・ソフトウェア業界の売却価格は、最大で数十億円と非常に高くなっています。

M&Aの相場はトレンドに左右されるところも大きいので、M&A市場に詳しい専門家と相談しつつ適切なタイミングで譲渡を進めましょう。

ここからはおおよそのM&A相場を算出する方法を解説するので、専門家に相談する前に自社の価値を知っておきたい方は参考にしてください。

4. おおよそのM&A相場を算出する方法とは?

一般的なM&Aでの売却価格を算出する方法は以下の2つです。

ただし、おおまかな相場を算出するもので、必ずこの金額になるというわけではないので参考にする程度にとどめてみてください。

  1. 純資産の額+営業利益の3年分
  2. 経常利益の5年分

M&Aでの売却価格は、買い手がどれだけ将来性を見出すかによって大きく変わります。

会社の場合では周辺に競合が少ない、経営状態が良好でサービスの質も高いなどの理由で、相場よりも価格が大きくアップすることも少なくありません。

また昨今は人材確保を目的としたM&Aが多いため、優秀な従業員を多く持つ会社であれば相場よりかなり高い金額での譲渡もありえます。

しかしM&Aに関しては譲渡のエリアやタイミング、会社の経営状況によっても価格が変わってくるので、詳しい相場については一度専門家に聞いてみてください。

5. M&Aの譲渡価格相場を決める3つのポイント

M&Aで売却相場を決めるポイントは以下の3つです。

  1. 会社の売上
  2. 在籍する人材の質
  3. 拠点の立地・設備などの状況

適正価格相場を正しく見極めるためにもポイントを考慮して考えてみてください。

ポイント1.会社の売上

会社の売上は、譲渡相場にも大きく影響するポイントです。

売上が出ているということは、将来性も高く利益が出やすいことを買い手側に伝えることができます。単純に売上が出ているから良いと決めるのは危険ですが、赤字よりも黒字で経営している企業の方が将来性が見込めることから好まれるのです。

特に「安定した収益を得ている」という場合や、「10%以上の市場シェアを獲得している」という場合には相場よりも高値が付くこともあるでしょう。

会社の売上は譲渡価格を決める重要な要素ですから、今どの程度の利益が出ていて将来性はどのくらいあるのか明確に調べておくと相場を算出しやすいです。

ポイント2.在籍する人材の質

会社の売上に続いて、在籍する人材の質も譲渡相場に大きく影響するポイントです。

資格を保有している、技術力が高い、独自技術やノウハウを会得しているなどの人材がいる場合は、相場よりも高く算出されることがあります。なぜなら、多くの企業で深刻な『優秀な人材不足』を抱えているからです。

ですから、人材の質に不安を感じている場合には育成も視野に入れてみてください。

そうすることで、企業価値を向上して相場よりも高い価値での取引を実現できるようになるはずです。

ポイント3.拠点の立地・設備などの状況

拠点の立地・設備などの状況も大きく関係してくる可能性が高いです。

立地条件が良ければ、それだけ事業を進めやすくなりますから将来性を高く評価してもらえます。また、設備が整っているなら、整備への投資も少なくて済みますから「設備投資の分だけ」譲渡相場に影響してくるでしょう。

今後の収益性にも大きくかかわる立地や設備は、自身が想像しているよりも買い手にとって良いものである可能性が高いです。

ここまでM&Aの相場に大きく影響する3つのポイントについて解説してきました。

では、これらのポイントを踏まえながら「相場よりも高く売却する方法」についても確認しておきましょう。

6. M&Aの譲渡価格相場をアップさせるには?

M&Aの相場よりも高く売買するためには企業価値を高める必要があります。

ですから、以下の6つのポイントについて考えてみましょう。

  1. 優秀な人材を確保する
  2. 会社独自の強みや個性を発揮する
  3. 債務・債権を解消する
  4. 黒字に近づけられるようにしていく
  5. 複数の買い手にM&Aの打診を行う
  6. 専門家に相談する

それぞれわかりやすく解説していきます。

方法1.優秀な人材を確保する

まず1つ目が「優秀な人材を確保する」です。

人材が増え続けている業界もありますが、優秀な人材不足はいまだに深刻な問題として抱えている企業は多くあります。ですから、即戦力となる人材が多くいる場合には相場よりも高く評価してもらえる可能性が高いというわけです。

その他にも、人材を囲い込むことで競合他社との差別化などの目的を持つ企業も少なくありません。

このような需要がありますから、優秀な人材がいるだけでもかなりの強みを持っているといえます。資格の取得を目指す、多くの技術やノウハウを人材に習得させるなど様々な方法で優秀な人材を育てることができますので検討してみてください。

方法2.会社独自の強みや個性を発揮する

2つ目が「会社独自の強みや個性を発揮する」です。

今まで経営して築き上げてきた強みや個性があるのなら、自身が思っている以上に他社から見るとメリットとなります。競合他社との競争の激化によって、独自技術や個性は差別化に大きく貢献するからです。

例えば、取引先や顧客を確保するためのノウハウだったり、今の経営を安定化させてきた技術などは他の企業にはない魅力となります。他にも、専門性が高い業種である場合や、突出している技術があるなども強みとなり得るのです。

活発化しているM&Aの背景には競争の激化から個性を出そうとする動きを読み取ることができます。ですから、独自の強みや個性を発揮して交渉することができれば相場よりも高く評価してもらうことができるでしょう。

方法3.債務・債権を解消する

3つ目が「債務・債権を解消する」です。

債務や債権を解消することができれば、収益だけに目を向けることができるため目安よりも高く売買できます。自身が買い手となった場合に債務や債権があると気持ちよく売買できないと感じる方は多いはずです。

しかし、そう簡単に解消できていればM&Aなどによって戦略を考える必要もないでしょう。

ですから、解消できなくても改善策を講じるだけでも問題ありません。何もしないで負債を隠して経営するよりも、負債にも目を向けて改善していく姿勢などは相手にも悪い印象を与えないからです。

債務・債権についてはM&Aに動き出すと同時に再検討してみてください。必ず何かしらのアクションを起こして改善に近づけることができるはずです。負債を前向きにとらえて良い方向に進めるようにする姿勢は高く評価してもらえるでしょう。

方法4.黒字に近づけられるようにしておく

4つ目が「黒字に近づけられるようにしておく」です。

もちろん必ずしも黒字でなければならないわけではありません。できる限り黒字に近づけることができれば、企業価値はそれだけ高くなります。

売買のときには「安定した収益があるのか」はどこの企業も必ず確認する点です。ですから、黒字に近づけられるように経営戦略を練り、赤字であっても今後のプランを明確にして将来性を示していきましょう。

赤字に対しても前向きではなく、そのまま売却しようとしても良い結果には近づきません。

例えば、どのような原因があり「何をすれば黒字に近づくのか」という点で考えてみてください。そうすることで、今からでも何かできることを見つけられるはずです。

収益性を高めれば高めるほど、相場よりも高く評価してもらえるので様々な施策や方針を固めてアピールしていきましょう。

方法5.複数の買い手にM&Aの打診を行う

5つ目が「複数の買い手にM&Aの打診を行う」です。

会社・事業の売却にはある程度の相場があるものの「買い手が何を求めていて、何を評価の対象とするか」は誰にもわかりません。専門家であっても予想はできても必ず当たるとは限らないのです。

ですから、自社をより高く評価してくれる相手を見つけるためにも複数の買い手に打診をしてみてください。

シナジー効果を高く評価してくれる場合や、人材に期待を寄せてくれる場合などそれぞれ違った目線から売買の価格を決めていくはずです。その中から自身が納得できる条件のものを選ぶようにしましょう。

M&Aの相場はタイミングにもよって違いますから、1つだけに絞らず多方面に声をかけて進めていくのがおすすめです。

方法6.専門家に相談する

最後の6つ目が「専門家に相談する」です。

M&Aの相場はタイミングによって変わることから、自身だけで調べても正確な数字などを算出することができません。ですから、専門家という第三者目線からデータや事例などを参考に相場を導き出してもらう必要があります。

また、売買の相談をするときにも企業単体で動くよりも専門家と一緒に動く方がより良い売買につながります

自身では見つけることのできなかった自社の価値から、予想できるシナジー効果などまで細かく知ることでアピールポイントが増えるからです。トラブルが起きたときの相談先としても優秀ですので、専門家に相談して納得できるM&Aに近づけていきましょう。

7. M&Aの価格相場について聞ける場所とは?

M&Aの相場について相談できるところは以下の4つが代表的です。

  1. 顧問会計士や税理士
  2. 経営コンサルタント
  3. 公的機関
  4. M&Aアドバイザー

それぞれ見ていきましょう。

8-1.顧問会計士や税理士

まずは身近な専門家に相談したいという場合は、会社の顧問会計士・税理士が候補に挙がります。

顧問会計士や税理士は見知った相手ですから、M&Aのことだけでなく会社の今後の経営や税務についても聞くことができるでしょう。

経営や税務については詳しいですが、M&Aの手法や具体的な進め方にまで精通しているケースは多くありません。ですから、全般的に頼るというよりも部分的にサポートをお願いしたいというときに利用することになります。

M&Aの詳しい計画について真剣に考えていきたいという場合は、別の専門家に相談するといいでしょう。

8-2.経営コンサルタント

M&Aにおける売却価格相場の算定には経営が深く関わってくるため、経営コンサルタントへの相談を考える方も多いでしょう。

中小企業庁が発表した「2017年版 中小企業白書・小規模企業白書」において、経営コンサルタントに事業承継の相談をした人が12%となっています。

経営コンサルタントの業務は多彩ですので、経営に関することは何でも相談できます。会社の経営状態や今後に不安がある場合は、コンサルタントに経営を見直してもらい課題解決を目指していくのがおすすめです。

しかし、経営コンサルタントはあくまでも企業の自主的な努力をサポートする立場です。具体的なM&Aの方法やスケジュールを決めたり手続きを代行してくれることは少ないので、実務では少し心許ないかもしれません。

※事業承継に関連するコンサルティングに関しては以下の記事にまとめていますので、こちらを参考にしてみてください。

【関連】事業承継コンサルタントとは?コスパ抜群のコンサル10選を比較&解説!

8-3.公的機関

M&Aや事業承継に関しては、国や地域が「事業引継ぎ支援センター」の運営を行っており、無料で相談できます。事業承継全般についての相談ができるので、M&Aを含め様々な方法を検討していきたいという人におすすめです。

しかしM&A実務に関しては、公的機関からM&A仲介会社や税理士法人などを紹介されるケースが多くなっています。短い期間でM&Aを成立させることを重視するのであれば、公的機関を挟まず直接専門のアドバイザーに相談した方がよいでしょう。

8-4.M&Aアドバイザリー

M&A相場において最もおすすめできる相談先が、M&Aアドバイザリーです。

M&Aアドバイザリーは、M&Aに関する仲介やアドバイスを専門にしており、経験も豊富なのでM&Aの案件も多く持っています。

M&Aアドバイザリーには大きく分けて

  1. ファイナンシャル・アドバイザー(FA)
  2. 仲介会社

の2種類があります。

どちらもアドバイザリー契約を行いM&Aのサポートを行う点では同じですが、M&Aにおける立場の違いが存在します

FAの場合は買い手か売り手のどちらかに寄り添うタイプです。仲介会社は中立の立場で交渉を進めていきます。どちらが自社に合っているかを考えて適切なパートナーを見つけてみてください。

8. 【参考】株式譲渡・事業譲渡でかかる税金

M&Aで得た利益には税金がかかるため、買い手が提示した金額全てを手に入れられるわけではありません。ですから、必ずしも売却価格がすべて自由に使えるわけではないことは覚えておきましょう。

例えば、株式譲渡をした場合には以下のような税金がかかります。

  • 譲渡所得税(個人の場合)
  • 法人税

次に事業譲渡をした場合には以下のような税金の支払いが必要です。

  • 消費税(個人の場合)
  • 譲渡所得税
  • 法人税

このようにM&Aの売買であっても税金の支払いが必要となります。資金を得るのが目的の場合は、節税対策などの税務に関しても目を向けておくべきでしょう。

M&Aの相場から自身の利益を考えるのではなく「税金の支払い」についても見過ごさないように検討した上で節税対策をしてみてください。

9. M&Aの相場についてはM&A総合研究所へご相談ください

M&Aの相場についてはM&A総合研究所へご相談ください

M&Aにおける売却価格の相場を算定する際には、M&A市場について多くの経験と深い知識を持つ専門家への相談が必須です。自力で企業価値を算出し買い手と交渉することも可能ですが、交渉を上手く進めなければ買い叩きに遭うこともあります。

ですから、企業価値を正しく算定してスムーズに進めたいときにはM&A総合研究所」へご相談ください

現在の相場から多種多様な方面で正しく企業価値を算定いたします。また、複数の仲介会社への依頼の1つとしてお選びいただく方法でも問題ありません。

多くの業種が市場の拡大から競争が激化しており、相場は日々変わり続けています。少しでも気になることや不安がありましたら、相談料は無料となっておりますのでお気軽にお声掛けください

10. まとめ

買い手との話し合いをスムーズに進め自社の価値を最大限高めるため、おおよそのM&A相場はあらかじめ理解しておく必要があります。

しかし売買のタイミングや会社の状況によって相場は大きく異なるため、詳しい相場については一度専門家に聞いてみるのがおすすめです。

コンサルタントやM&A仲介会社など専門家の力を借り、会社の価値を正しく把握しましょう。

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