2019年10月28日公開
2020年03月29日更新
M&Aを行う手順とは?プロセスと注意点、必要書類を解説
M&Aを正しい手順で実行することで、買い手との交渉がスムーズに進み理想のM&Aが実現されます。この記事では基本的なM&A手順に加え、必要な書類やプロセス実行の注意点について解説していきます。M&Aで会社や事業を売却したい方は、ぜひ一度読んでみてください。
目次
1. M&A成立までの手順を徹底解説!
M&A成立までの正しい手順を理解しておくことで、スムーズな交渉が可能になります。
M&Aアドバイザリーへの相談から経営統合までの一般的なM&Aプロセスは、以下の通りです。
- M&A仲介会社に相談
- M&A先の選定(買い手・売り手共に)
- 秘密保持契約の締結
- アドバイザリー契約の締結
- 企業概要書の作成
- 買い手側のネームクリア
- 買い手企業の検討
- トップ面談
- 意向表明書の提出
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスの実施
- M&Aの最終契約書の締結
- クロージング
- 買い手との経営統合(PMI)を行う
ここからはそれぞれの手順について詳しく解説していくので、M&Aの検討に役立ててください。
手順1.M&Aに関する相談先を決める
M&Aを検討している方は、まずM&A仲介会社に相談してみましょう。
相談の段階では、M&Aを行うと決定していなくても問題ありません。専門家の意見を聞きつつ、今後の会社にとってベストな方法を選択することが大切です。
ある程度M&Aについての意志が固まっている場合、以下のようなポイントについて事前にまとめておくのがおすすめです。
- M&Aで使いたい手法
- M&Aを行う目的
- 売却対象となる事業または会社の現状
社内で話がまとまっていない場合でも相談は可能ですので、まずは気になるM&A仲介会社に行ってみましょう。
手順2.M&A案件を見つけてもらう
M&Aで経営課題を解決すると決定したら、担当となったアドバイザーと共にM&Aのさらに詳しい内容について検討していきましょう。
まず行われるのが、買い手や売却の条件や譲渡希望金額などのヒアリングです。そしてこのヒアリングを元に、M&A仲介会社が持っている売り手・買い手の案件情報を、名前だけ伏せられたリストのノンネームシートと呼ばれるもので提供してもらえます。
ノンネームシートとは、会社名は開示せずM&Aに必要な情報だけが書かれている書類です。
会社名以外のいくつかの企業情報から、まずはある程度の目安を絞り込み案件を見つけていくことが可能となります。大まかなことを知ることができるので、どのような案件があるのかを見てみるだけでも目的を定めやすくなるでしょう。
手順3.アドバイザリー契約の締結
サポートを依頼するM&A仲介会社が決定し、秘密保持契約を結んだらM&A仲介会社ともアドバイザリー契約をしましょう。
この契約では、自身が決定したM&A仲介会社に依頼し進めていくことを伝えることができます。したがってM&Aが成約した際の報酬やサポート内容などの契約内容については、この手順の段階で完全に理解しておく必要があるでしょう。
また、相談しているM&A仲介会社が専任媒介契約を取っている場合、アドバイザリー契約を結んだ段階で他のM&A仲介会社の利用や相談ができなくなります。
そのためM&Aを行うと決めた後、アドバイザリー契約を結ぶ前にどの仲介会社を選ぶべきか社内で検討しておきましょう。
アドバイザリー契約を締結した後は、いよいよM&Aに向け動き出すことになるので、会社の概要など必要な書類はある程度集めておくとスムーズです。
手順4.企業概要書の作成
アドバイザリー契約を結んだ後、M&A仲介会社は売り手の情報を正しく理解するため会社の詳しい情報についてヒアリングを行います。
その後M&A仲介会社が作成するのが、企業概要書と呼ばれるA4用紙20~30枚程度詳細な説明資料です。この企画概要書はM&A仲介会社が管理するものなので、会社名など具体的な情報も記載されます。
手順5.秘密保持契約(NDA)を締結する
買い手に具体的な情報を公開する前に、買い手候補と秘密保持契約(NDA)を締結します。秘密保持契約(NDA)とはM&A先を検討する際に知り得た売り手の情報を外部に流さないという契約のことです。
情報の漏洩は取引先や顧客に影響を与えてしまうことで、経営の悪化や関係の悪化につながる可能性があります。ですから、秘密保持契約を締結することで、安全な取引をできるような状態に整えるのです。
必ず必要な手続きではありませんが、高いリスクが伴いますので注意しておきましょう。
手順6.ネームクリアで情報開示を行う
買い手との秘密保持契約が無事締結できたら、いよいよ情報開示です。
情報開示を行うと買い手が売り手企業の情報を全て確認できるだけでなく、売り手も買い手の情報をチェックできるようになります。
ネームクリアという名前は、候補先の名前も含まれていることから付けられました。
候補先の名前を知ることとなりますが、ここで得た情報を外部に漏らすことは契約違反です。大きなトラブルの引き金となることがありますから、情報の取り扱いには十分に注意してください。
手順7.買い手企業の検討
買い手候補の企業を知ることができれば、そこからどの企業にアプローチをしていくのかを検討します。
ネームクリア後、希望すれば買い手との交渉を進めることができますが、買い手候補が売り手の情報を見た結果交渉に応じてもらえないケースもあります。
交渉に進めなかった場合再度M&Aアドバイザーに買い手候補を探してもらいましょう。
手順8.トップ面談を行う
売り手側と買い手側がお互いに関心を持ち、交渉を進めることに前向きであれば経営者同士のトップ面談を行います。
ただし、1回の面談で交渉に入ることは珍しいです。最初は交流をして親睦を深めてから進めることとなるでしょう。トップ面談は1~2時間ほどですが、双方の希望があればオフィスや工場の見学も一緒に行うことがあります。
トップ面談でお互いの会社を行き来するのも良いですが、M&Aを検討していることが不必要に漏れないよう注意しましょう。トップ面談が上手く行けば、M&A仲介会社を間に挟み詳しい条件のすり合わせを行うことになります。
手順9.意向表明書を確認する
買い手側が買収の意志を固めたら、意向表明書を提出します。意向表明書とは買い手側が売り手側に対し、M&Aを進める意向を伝える為の書面です。
提出は必須ではありませんが、買い手から提示された場合は専門家と共に確認しましょう。
手順10.基本合意契約書を提出する
トップ面談や条件交渉を通じて、売り手側と買い手側が双方ともお互いを理解し、M&Aを進めることに合意ができたら、基本合意契約書を締結します。
基本合意契約書とは、M&Aの条件や内容について確認を行うために作成する書類です。
M&Aは基本的にこの契約書に沿って進むことになりますが、基本合意契約書自体はまだ仮の内容であり、M&Aの遂行を約束するものではありません。
基本合意契約書の目的は、あくまでもM&Aの検討をお互いに続けることを確認することです。
内容には、売買する金額やいつ譲渡するのか、買収監査はどのように進めるのかなども含まれています。また、独占交渉権についても記載されることもあるので覚えておきましょう。
手順11.買い手がデューデリジェンスを行う
買い手はM&A成立の最終決定を行う前に、デューデリジェンスを行います。
デューデリジェンスは、買い手が依頼した専門家の立ち会いのもとに行われるチェックのこと。買い手が税理士などの専門家に依頼して、売り手の財務状況に不備がないかを調べていきます。簡単に進めることができない手続きですから、できる限り協力して進めましょう。
もし、財務状況に不備があった、隠れ債務が見つかったということになれば合意条件の見直しを行うこととなります。
手順12.最終譲渡契約書を締結する
デューデリジェンスが無事に終わった後は、調査の結果をもとにM&Aの最終条件や細目事項を決定し、M&Aの最終契約書案を作成します。
最終契約書には、以下のような事項が入ります。
- M&A取引(売却)価格
- 退職金の処理
- 従業員の処遇
- 役員の処遇
- 支払い方法
- 連帯保証や担保提供の解除方法
- 契約書に書いていない債務が発生した場合の対処方法
- その他細目事項の決定(社宅・骨董品・ゴルフ会員権・役員人事等)
調査内容を精査し、問題がある点を指摘された場合は、内容を条件に反映します。その内容まで含めた条件に合意した時点でM&Aの成立です。
最終譲渡契約を結んだ後は、やり直しや取りやめなどをすることはできません。正式にM&Aが成立したことを表すものですから、正しく内容を確認して同意をしましょう。
手順13.M&A後のクロージング作業を行う
M&Aを完了させるための手続きのことを、クロージングと言います。
M&Aにおいては、最終契約締結と同時にこのクロージングが行われることもありますが、最終契約書を締結した1カ月ほど後になることが多いです。
株式譲渡であれば株式を、事業譲渡なら事業を引き継ぎする手続きと、引き換えの対価を受け取った時点で会社や事業の権利は買い手が持ちます。
クロージング期間は、最終譲渡契約で決定した条件を満たすために設けられる期間のことです。譲渡の条件が満たされたことが確認でき次第、決定されたクロージング日に完了手続きと対価の支払いを行うこととなるでしょう。
手順14.買い手との経営統合(PMI)を行う
クロージングまで終えることができれば、ターゲットとしていた企業として認識していたところは、同じ会社となっているはずです。これからは新体制を検討、実施して経営統合(PMI)を行っていくことになるでしょう。
以下のような項目は必ず確認して進めてください。
- 経営戦略(ビジョン、戦略、ビジネスモデル、マーケティング等)
- 管理体制(組織、業務管理、人事制度等)
- 運用体制(業務、システム、従業員意識等)
トラブルを避けて今後の経営を満足に進めるためにも大切ですので、細かいすり合わせなども必要となるでしょう。
統合プロセスは必要に合わせて期間を決めていきますが、1年以上かかることもあります。今後を決める大切な要素とも言えますから、アドバイザーとの話し合いもしながら丁寧に進めてみてください。
ここまで具体的な手順について解説してきました。
次は、失敗しないためにもM&A手順の中でも見逃せない大切な4つの契約書についてみていきましょう。
2. M&A手順で必要な4つの重要な契約書
M&Aを進めるためには、以下4つの契約書が必要です。
- 秘密保持契約書
- 意向表明書
- 基本合意書
- 最終譲渡契約書
ここからはそれぞれの契約書所の意義と内容について、初めての方にも分かりやすく解説しています。M&A手順を深く理解するため契約書についても押さえておきましょう。
契約書1.秘密保持契約書
秘密保持契約書とは、M&A相談の際M&A仲介会社が知り得た情報を第三者に流さない、という契約のことです。
M&Aの検討段階で会社の情報が流出すると、ライバル企業に経営戦略が漏れ経営にダメージを負うこともあります。また不確かな買収情報が広がることで、従業員は職を失う不安を感じてしまうかもしれません。
そのため秘密保持契約書で、知り得た情報はM&A確定まで口外しないという契約をするのです。
情報が漏洩すれば、関係者との話し合いや説明が必要になりM&A成立まで長い時間がかかってしまいます。M&Aサポートを依頼する際に開示する情報に関しては、特別慎重に扱うようにしましょう。
契約書2.意向表明書
意向表明書(LOI)とは、買い手側譲受の意志を示すため売り手に提出する書類です。
M&A手順の中で意向表明書の作成・提出は必須ではありません。しかし譲受の意志をはっきり示した方がお互い安心して交渉を進められるので、意向表明書を作成する買い手は多くいます。
意向表明書には、買い手企業の情報やM&Aによって実現されるシナジー効果、M&A成立までのスケジュールなどが書かれています。
売り手はこれを受け取ったら内容を確認し、お互いをパートナーとしてM&Aを進めるかどうか検討する必要があります。
契約書3.基本合意書
基本合意書(LOI)はM&A手順の中で大きな転機となる重要な書類です。基本合意書とはM&A基本的な内容について、最終契約前に合意がなされたものを示した書類です。
基本合意書に書かれる内容には、以下のようなものがあります。
- M&Aの手法
- 対象となる会社・事業
- 対価(譲渡価格)
- 役員の処遇
- 支払いのタイミング
- 今後のM&Aスケジュール
このほか、お互いの交渉をスムーズにするため機密保持、独占交渉権などの拘束を設けることも少なくありません。
基本合意書を締結することで、最終契約の前に諸条件の確認ができます。また基本合意書以降にM&Aが破談になるケースは多くないので、売り手としても安心して今後の交渉に臨めるでしょう。
ただし独占交渉権が規定された後2~6カ月程度は他企業との交渉が出来ないので、本当に買い手と基本合意を行って良いのか、社内で慎重に話し合っておくべきです。
契約書4.最終譲渡契約書
最終的なM&Aの合意を示すものが、最終譲渡契約書です。M&A手順の中では「最終契約」「最終合意」と言われることもあります。
最終譲渡契約書では、M&Aの基本的な事項に加えクロージングの内容や手順、経営統合について規定されます。M&A代金の支払い手順に関しても書かれているので、不備がないか専門家と共にチェックしましょう。
最終譲渡契約書を作成するのは売り手でも買い手でも、どちらでも構いません。買い手が作成した場合、内容が自社に不利なものとなっていないか、改めて確認しておく必要があります。
最終譲渡契約書の締結を行った後は、M&Aが成立したとみなされるので他の企業との交渉はできません。その後は、従業員や関係者への説明を行いクロージング・経営統合の作業を進めましょう。
ここからはM&A手順の完遂に必要なその他の書類について解説していきます。会社の会計・労務などに関する必須の書類はM&A交渉がスタートする前に用意しておきましょう。
3. M&A手順で必要なその他の書類
M&Aの実行には、先ほどの見出しで挙げた以外にも多数の書類が必要となります。
- 基礎資料
- 財務関係の資料
- 営業・製造関係の資料
- 人事・労務関係の資料
- 契約関係の資料
- 認許可関係の資料
書類が見つからない、書類作成が交渉の日時に間に合わない、と言ったトラブルを防ぐため、以下で紹介する書類は早い段階で準備しておきましょう。
資料1.基礎資料
基礎資料とは、会社の概要を説明する資料のことです。M&Aにおいて仲介会社、買い手などから求められるのは以下の通りです。
- 会社案内・会社経歴書・工場案内等
- 定款(最新のもの)
- 会社商業登記簿謄本(法務局より最新の履歴事項全部証明書)
- 株主名簿
- 議事録(株主総会、取締役会、経営会議等 添付資料含む)
資料2.財務関係の資料
確定申告にあたって必要となるものが中心です。書類を準備する際は顧問税理士や、税理士事務所に相談しましょう。
- 決算書・期末残高試算表・勘定科目内訳明細 3期分
- 法人税・住民税・事業税・消費税申告書 3期分
- 減価償却資産台帳(直近期末分)
- 月次試算表(直近期1年分及び進行期分)
- 支払保険料内訳・租税公課内訳(総勘定元帳の写しなど) 3期分
- 固定資産課税明細書(最新分)
- 土地・建物の登記簿謄本(法務局より最新の全部事項証明書)
- 事業計画
資料3.営業・製造関係の資料
自社の営業実態を詳細に説明する資料です。M&A、会社売却においては会社の経営状況を詳細に伝えるため、通常公開しないものも提出する必要があります。
- 製品・サービスのカタログ
- 店舗・事業所の概況(所在地、人員数等)
- 採算管理資料(部門別・商品(製品)別・取引先別等) 3期分 要約したもの
- 売上内訳(部門別・商品(製品)別・取引先別等) 3期分 要約したもの
- 仕入内訳(部門別・商品(製品)別・取引先別等) 3期分 要約したもの
資料4.人事・労務関係の資料
人事・労務関係の資料は、正しく作成されていない、管理されていないというケースが最も多い書類と言えます。会社売却に動き出す前から揃えておくと不備がないでしょう。
- 組織図(組織別人員数もわかるもの)
- 主要役員・部門長の経歴書
- 従業員名簿(生年月日・入社年月日・役職・取得資格がわかるもの)
- 社内規程(特に就業規則、給与、資金規程、退職金規程)
- 給与台帳(直近期末分)
資料5.契約関係の資料
契約関係の書類です。契約があるものは、あらかじめ準備しておきましょう。
- 土地・建物の賃貸借契約書
- 銀行借入金残高一覧(返済予定表、差入担保一覧)
- 保険積立金の解約返戻金資料(直近期末時点の金額)
- 株式・ゴルフ会員権等の保有数量資料(取引残高報告書、現物集計など)
- 金融商品・デリバティブ(為替予約、スワップ、仕組み債等)の最新時価資料
- 取引先との取引基本契約書
- 生産・販売委託契約書
- リース契約一覧
- 連帯保証人明細表
- 株主間協定書
- その他経営にかかわる重要な契約書
資料6.認許可関係の資料
事業活動に必要な全ての免許、許認可、登録、届出の各書類も準備しておきましょう。
公的な許認可は、M&Aのスキーム次第で買収先に引き継げない場合もあります。しかし引き継げない場合でも、自社の活動の根拠になるものなので準備が必要です。
ここからはM&A手順を済ませるまでに必要な期間について、解説していきます。M&A成立に向け具体的なスケジュールを立てておきたい方はぜひ参考にしてください。
4. M&A成立までの手順にかかる期間
会社売却の手続き・流れ(手順)に必要な期間はそれぞれの会社売却のケースによって異なってきます。一般的には、会社売却の相談先を決めてからクロージングが行われるまで、平均して約3~6か月かかるといわれています。
また買い手と一社ずつ交渉する場合、M&A相手の決定に時間がかかるため1年程度の期間がかかることも少なくありません。また、その後の統合プロセスまで含めると、それだけで数年の時間がかかることもあり得ます。
M&A成立までの期間は非常に長いものですので、あらかじめM&A業務に関する担当者を社内で決定しておく必要があるでしょう。
以下の見出しでは、M&A手順を早く済ませる方法を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
5. 早くM&A手順を済ませるためには?
素早くM&Aを進めるためには以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
- あらかじめM&Aの計画を立てておく
- 買い手を早く見つける
- M&Aの専門家に相談する
それぞれ詳しく解説していきます。
ポイント1.あらかじめM&Aの計画を立てておく
あらかじめM&A手順や目的を明確にした計画を立てておくことで、不備の無いM&Aを実現できます。
計画なしでのM&Aもできますが、事前に計画を立てれば「いつまでにどんなことをすべきか」、具体的に見えてくるので無駄な手順を踏む可能性は低いでしょう。
また計画策定の途中で会社の現状分析もできるので、経営課題が判明し今後の改善点も見えてくるはずです。計画の策定に時間がかかることもありますが、M&Aを進めるうえで明確な指針を作ることで関係者の動きもスムーズになるでしょう。
ポイント2.買い手を早く見つける
買い手を早く見つければ、その分早く交渉に移れるのでM&A手順を早く済ませることが可能になります。あらかじめ買い手に対する希望条件を明確にしておき、買い手の選定をスムーズにしましょう。
買い手候補を探す際には、たくさんの案件を持つ専門家への相談が欠かせません。M&Aに関する豊富な経験を持つ仲介会社に相談し、買い手探しをサポートしてもらいましょう。
ポイント3.M&Aの専門家に相談する
M&Aの専門家は承継に必要な手続きの代行やスケジュール調整、書類作成のサポートなどを行ってくれるため、依頼をすればM&Aにかかる時間を大幅に短縮できます。
M&Aの成立までには長くて数年の時間がかかることも少なくありません。
普段の業務と並行してM&Aに必要な手続きや準備を進めるのは非常に大変ですので、少なくとも事務的な部分は専門家に依頼すべきでしょう。
会社売却を考えている方におすすめのM&A仲介会社については、以下の記事で詳しく解説しています。
6. M&A手順を実行する上での注意点
ここまで紹介したM&A手順を実行するためには、注意しておくべき点もあります。
- M&Aについて理解する
- M&Aの目的を明確にする
- 会社資本と個人資本を分けておく
ここからはそれぞれの注意点について解説しますので、トラブルなくM&Aを進めるためぜひ参考にしてください。
注意点1.M&Aについて理解する
動機と目的がしっかりと定まった後は、M&A手順の実行に向けM&Aへの理解を深めましょう。
M&Aを進めるためには、専門家やM&A仲介会社の力が必要不可欠です。しかし専門家に任せっきりにしてしまうと、思わぬところで失敗をしてしまうかもしれません。
専門家の力を借りつつ、最適な意思決定をするためM&Aに関する最低限の知識は持っておきましょう。以下の記事では、M&Aに関して理解が深まるおすすめの本を紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
またM&Aの基本的な知識全般を理解しておきたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
注意点2.M&Aの目的を明確にする
M&Aについて知識が豊富だとしても、目的が明確化していなければ失敗してしまいます。なぜなら、最適なスケジュールには確固たる目的が必要不可欠だからです。
具体的に、「M&Aをしてどうなりたいのか」「M&Aを行うことで何が欲しいのか」を明らかにして、行動の指針にしましょう。
交渉の場面で非常に多くの選択を迫られることもありますが、目的がはっきり定まっていれば迷いも少なく、判断力を欠くことなくプロセスを前に進められます。
M&A手順を進めるため、今後の会社運営面も含めて、少なくとも以下は設定しておくべきです。
- M&A、会社売却で得たい資金の金額
- 会社のガバナンスなど会社運営について
- 経営者の今後
- 従業員の処遇
- 取引先との関係
会社内で綿密な話し合いを行い、M&Aのゴールを明確にしておきましょう。
注意点3.会社資本と個人資本を分けておく
中小企業経営者の場合、個人の資産と会社の資産の区別があいまいになっておりM&Aの際に問題が発生することもあります。
親族も同じ会社で働いているという場合、経営者の個人資産を多く確保したい親族がM&Aに反対し会社内で派閥争いが起こることも少なくありません。
こうした揉め事を防ぐには、M&Aのプロセスを実行する前に会社資産と個人資産をはっきり区別することが必要です。権利関係や名義などをはっきりさせ、少しでもトラブルを減らしましょう。
ここまでが、M&A手順を進めるうえでの注意点でした。M&Aにはメリットもありますが、親族、関係者間でトラブルが起きることも少なくありません。
円滑なM&A実行のため、早い段階でM&Aの専門家に相談しましょう。ここからはM&Aサポートを行ってくれる相談先について、解説していきます。
7. M&A手順のサポートをしてくれる場所は?
M&A手順について相談できる場所として代表的なのは、以下の4つです。
- 会計士・税理士
- 経営コンサルタント
- 公的機関
- M&A仲介会社
それぞれ見ていきましょう。
7-1.顧問会計士や税理士
顧問会計士や税理士なら、身近ですからすぐに相談できます。
自身のことや会社のことをよく知っているので、細かい話をすることもできるでしょう。しかし、ここで1つだけ問題点があります。
それが、M&Aに精通しているとは限らないという点です。経験や実績の少なさから的確な意見を求めるのには少し頼りなさが残ります。
専門家としての知識がないケースが多いとは思いますが、相談先としては話しやすさがあるでしょう。
7-2.経営コンサルタント
経営コンサルタントも相談先として選べます。
経営に関する知識を豊富に持っているので、今の企業の状態を把握してどうすべきかの答えを求めるのには最適です。しかし、先ほどお話しましたが顧問会計士や税理士と同様にM&Aに精通しているとは限りません。
さらには、あくまでもどうすべきかを聞くことができるだけですから、実際にアクションを起こすのは経営者となります。手続きに不安がある、アクションを起こすまでの決断ができていないときには頼りなさを感じてしまうこともあるでしょう。
ですが、M&Aをするべきなのか経営コンサルタントに聞いてみるというのは良いかもしれません。
7-3.公的機関
M&Aについての公的機関と言えば、事業引継ぎ支援センターが挙げられます。
こちらであれば、専門家と言えるほど経験や実績を持つケースが多く、全般的に相談することができるでしょう。特に、事業承継で相談するというときには耳にする場所だと思います。
しかし、実際に動き出すときには仲介会社を紹介してもらうという流れになることもあるでしょう。そうすると、事業引継ぎ支援センターを通さずに仲介会社に依頼した方が早いです。
まずは、相談してから今後のことを決めたいということであれば問題なく相談先として選べるでしょう。
7-4.M&A仲介会社
M&Aアドバイザーが在籍しているM&A仲介会社なら、手順からどうすべきかまで細かく聞くことができます。
実務のアドバイスやサポートにも対応し、手順に困ったときにも頼れる存在となるはずです。売買相手を探したいというときにも、仲介会社の持つプラットフォームは多くの企業が並んでいますから、自身が思い描く相手を見つけることもできるでしょう。
ただし、自社と同等の業種、規模を取り扱っているのか、料金は納得できるものなのかは必ず確認して選んでみてください。
8. M&Aの手順や手続きはM&A総合研究所へご相談ください
M&Aの手順や手続きが心配・不安な方は「M&A総合研究所」へご相談ください。
実際に手順を見て進めてみると、知らないことも多く時間がかかってしまいます。M&Aは少なくとも3ヶ月から1年以上はかかることですから、個人で進めていくのにはとても難しいです。
M&A総合研究所では、そういった方のために詳しい手順から書類作成などの手続きまで丁寧にサポート・アドバイスをいたします。専門家が揃っておりますので、法務から税務まで幅広い問題にも対応可能です。
わからないことや不安なことの相談だけでも問題ありませんので、まずはお気軽に無料相談を活用してお声掛けください。
9. まとめ
M&A手順や契約には複雑な箇所が多いため、全て自社で済ませるとなれば数年の期間がかかることもあります。M&A手順を完璧に実行するためには、専門家からのサポートが欠かせません。
M&Aで会社を売りたいと考えている方は、M&A仲介会社などの専門家に相談し今後M&Aの見通しを立てましょう。
法務や税務、書類作成まで注意点が多いので慎重に進めていく参考にしてみてください。