M&Aリスクを低減させるなら表明保証保険!メリットや利用方法など

M&Aにおける表明保証保険の仕組みについて紹介します。表明保証保険には、売り手と買い手双方に多くのメリットがある一方で、注意点も多いです。信頼できる優秀なM&Aアドバイザーの協力のもと、税法や支払う保険料を見越したM&A交渉を進めていきましょう。


目次

  1. 表明保証保険とは?活用すればM&Aのリスクを低減!
  2. M&Aの売り手側が表明保証保険を活用する3つのメリット
  3. M&Aの買い手側が表明保証保険を活用する3つのメリット
  4. 表明保証保険を利用すべき3つのM&Aケース
  5. M&Aの前に表明保証保険の締結方法を理解しておこう
  6. M&Aで表明保証保険を活用する際の注意点
  7. 表明保証保険でM&Aのリスクを最大限下げるポイント
  8. 表明保証保険で悩んだらM&A総合研究所に相談しよう
  9. まとめ

1. 表明保証保険とは?活用すればM&Aのリスクを低減!

表明保証保険とは?活用すればM&Aのリスクを低減!

表明保証保険とは、M&Aによって表明保証違反が発生した際、契約解除で発生する経済的損失を補填するために使われる保険のことをいいます。

表明保証とは、M&Aの契約当事者が、M&Aの対象事業に関する過去・現在・将来の事実が真実であることを表明し保証するものです。

M&Aをクロージングするには表明保証に違反しないことが前提となるため、もしも表明保証違反が発覚した場合、違反してしまった当事者は、発生した損害を賠償しなければなりません。

表明保証保険は、この時に発生する損害を補填するために利用されているのです。

ここからは、表明保証保険の基礎知識を身につけるために、以下の3項目に分けて紹介します。
 

  1. 日本のM&A市場における表明保証保険の利用状況
  2. 表明保証保険の種類
  3. 表明保証保険の費用

これら3項目を押さえておけば、表明保証保険に関する基礎知識はバッチリです。それでは、それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

①日本のM&A市場における表明保証保険の利用状況

はじめに、日本のM&A市場で表明保証保険がどれだけ利用されているのか紹介します。

表明保証保険は欧米において30年前から利用されていましたが、日本において注目されるようになったのは2015年以降です。2015年5月11日、損害保険ジャパン日本興亜株式会社がロイズ・ジャパン株式会社との協業により、表明保証保険の販売を開始しました。

2015年以降、他の国内大手の損害保険会社も表明保証保険の取り扱いを開始しています。そのため、日本の会社が日本において表明保証保険を利用する事例が増加中です。

とはいえ現状としては、保険証券は英文で発行され、保険の引受審査は英語で行われています。そのため、表明保証保険を利用するM&A事例は、日本の会社が海外の会社を買収するクロスボーダー案件がメインです。

②表明保証保険の種類

つぎに、表明保証保険の種類について紹介します。

表明保証保険には2種類あり、それぞれ買い手が保険契約者となる買主用表明保証保険と、売り手が保険契約者となる売主用表明保証保険です。

つまり、表明保証保険には、買い手と売り手双方にメリットがあります。なお、日本においては、買主用表明保証保険が利用されることが多いです。

③表明保証保険の費用

さいごに、表明保証保険の費用について紹介します。

表明保証保険の保険料は、保険種目や保険プランによって異なりますが、利用する表明保証保険における補償限度額の1~3%程度が相場です。なお、表明保証保険の補償限度額は、対象会社における企業価値の10~20%程度となります。

また、表明保証保険を利用する際には、引受審査時に保険会社に支払う費用も考慮しなければなりません。この費用は利用する保険会社によって異なるため、複数の保険会社から概算見積書を取得して吟味すると良いでしょう。

以上、表明保証保険の基礎知識を紹介しました。ここまで読んで、表明保証保険の利用に興味が湧いたと思います。

しかし、「M&Aで表明保証保険を利用するべきなの?」と疑問に思う経営者の方も多いはずです。ここからは、まずM&Aの売り手が表明保証保険を活用するメリットをまとめたので確認しておきましょう。

2. M&Aの売り手側が表明保証保険を活用する3つのメリット

M&Aの売り手側が表明保証保険を活用する3つのメリット

M&Aの売り手側が表明保証保険を活用するメリットは、以下の3つです。
 

  1. 表明保証違反に基づく損害賠償リスクを回避できる
  2. クリーンエグジットにより事業を完全撤退できる
  3. エスクロー設定を回避して早期に売却資金を獲得できる

これら3つのメリットを押さえておけば、自社が売り手となるM&Aにおいて、表明保証保険の活用がどれだけの利益となるか理解できます。それでは、それぞれのメリットを順番に見ていきましょう。

①表明保証違反に基づく損害賠償リスクを回避できる

M&Aの売り手側が表明保証保険を活用する1つ目のメリットは、表明保証違反に基づく損害賠償リスクを回避できることです。

このとき、現在だけでなく将来における表明保証違反に基づく損害賠償リスクを遮断することができます。

M&Aによる表明保証に違反しないよう、売り手側では徹底的にデューデリジェンス(監査)を実施するのが基本的です。しかしデューデリジェンスを徹底していたとしても、M&A後になって表明保証違反に該当する事実が発覚するリスクはゼロではありません。

このとき表明保証保険を利用しておけば、将来的に表明保証違反に基づく事実が発覚したとしても、保険会社が損害賠償責任を負ってくれることになります。これは、将来的な損害賠償リスクに怯えたくない経営者にとって嬉しいメリットです。

②クリーンエグジットにより事業を完全撤退できる

M&Aの売り手側が表明保証保険を活用する2つ目のメリットは、クリーンエグジットにより事業を完全撤退できることです。

クリーンエグジットとは、将来的に賠償請求リスクを排除した上で、当該事業から完全に撤退することをいいます。クリーンエグジットは、とりわけ売り手の会社がPEファンドである場合に大きなメリットを実感できる場合が多いです。

PEファンドとは非上場企業を対象とした投資ファンドのことで、ベンチャー企業や企業再生ファンドなどが含まれます。PEファンドには存続期間が定められているため、存続期間を超えた表明保証責任を負うことはできず、好条件の買い手が見つかりにくいです。

そこで表明保証保険を利用すれば、買い手に表明保証を提供しながら、PEファンド自身は表明保証責任を負わずにM&Aを実施できます。これは、表明保証を提供しないことで損害賠償リスクを負いたくない経営者にとって嬉しいメリットです。

③エスクロー設定を回避して早期に売却資金を獲得できる

M&Aの売り手側が表明保証保険を活用する3つ目のメリットは、エスクロー設定を回避して早期に売却資金を獲得できることです。

エスクロー設定とは、売り手と買い手の間に第三者である金融機関を置いた上で、譲渡金額を決済する仕組みのことをいいます。売り手に表明保証違反が発生した際、買い手に支払う損害賠償金を確保する目的で利用される手法です。

ただしエスクロー設定を利用したM&Aでは、買い手に対する損害賠償金を確保する目的から、譲渡価格を複数に分けて決済します。そのため売り手にとってみれば、譲渡価格の全てを受け取るまでに時間がかかるデメリットがあるのです。

そこで表明保証保険を利用すれば、買い手に表明保証を提供しつつ、早期に譲渡金額を受け取ることができます。これは、売却資金をすぐに転用したい経営者にとって嬉しいメリットです。

以上、M&Aの売り手側が表明保証保険を活用するメリットを紹介しました。ここまで読んで、自社が売り手となるM&Aで表明保証保険を活用したくなったはずです。

ところで表明保証保険には、買い手が活用することで得られるメリットもあります。ここからは、M&Aの買い手側が表明保証保険を活用するメリットをまとめたので確認しておきましょう。

3. M&Aの買い手側が表明保証保険を活用する3つのメリット

M&Aの買い手側が表明保証保険を活用する3つのメリット

M&Aの買い手側が表明保証保険を活用するメリットは、以下の3つです。
 

  1. M&Aによる買収をスムーズかつ優位に進められる
  2. M&A実施後も売り手側と良好な関係を維持できる
  3. M&A売り手側が外国籍や複数でもスムーズに請求できる

これら3つのメリットを押さえておけば、自社が買い手となるM&Aにおいて、表明保証保険の活用がどれだけの利益となるのか理解できます。それでは、それぞれのメリットを順番に見ていきましょう。

①M&Aによる買収をスムーズかつ優位に進められる

M&Aの買い手側が表明保証保険を活用する1つ目のメリットは、M&Aによる買収をスムーズかつ優位に進められることです。

買い手が表明保証保険を利用することで、表明保証違反の際には、売り手ではなく保険会社に損害賠償責任を追求することになります。

そのため表明保証保険を利用していない売り手に対して、表明保証保険を追求しないことをアピールすることで、買い手候補としての優位性を高めることが可能です。

これは、とりわけ自社にとって好条件である売り手とのM&Aや競争率の高いM&Aで、大きなメリットとなります。少しでも優位にM&Aを進めたい場合には、表明保証保険を利用して売り手にアピールすると良いでしょう。

②M&A実施後も売り手側と良好な関係を維持できる

M&Aの買い手側が表明保証保険を活用する2つ目のメリットは、M&A実施後も売り手側と良好な関係を維持できることです。

買い手が表明保証保険を利用することで、表明保証違反の際に、売り手に対して損害賠償責任を直接的に追求することを回避できます。表明保証保険を利用していれば、保険会社が損害賠償責任を負うためです。

これは、とりわけM&Aのクロージング後も売り手と良好な関係を築いていきたい場合に大きなメリットとなります。たとえば、売り手が経営者や株主として買い手の経営に関係するというような場合です。

損害賠償責任を売り手に直接請求することで関係を悪化させたくないと考える経営者は、表明保証保険を利用すると良いでしょう。

③M&A売り手側が外国籍や複数でもスムーズに請求できる

M&Aの買い手側が表明保証保険を活用する3つ目のメリットは、M&A売り手側が外国籍や複数でもスムーズに請求できることです。

前述したとおり、買い手が表明保証保険を利用することで、損害賠償責任の追求先は売り手ではなく保険会社に移ります。これは、どんな企業が売り手になったとしても同様です。

つまり、売り手が外国籍であったり複数いる場合であっても、保険会社とのやりとりのみで損害賠償責任を追求できます。これは、表明保証違反による責任追及をする際の煩雑さを回避したい経営者にとって大きなメリットです。

損害賠償責任を追求する際に不便を感じる売り手とのM&Aを実施する際にも、表明保証保険の利用は有効策となります。

以上、M&Aの買い手側が表明保証保険を活用するメリットを紹介しました。ここまで読めば、売り手だけでなく買い手にとっても、表明保証保険は魅力的な制度であることが理解できたと思います。

とはいえ、表明保証保険では保険料を支払う必要がある上に、どんなM&Aケースでもメリットが受けられるわけではないため、使い時を押さえておけなければなりません。ここからは、表明保証保険を利用すべきケースをまとめたので確認しておきましょう。

4. 表明保証保険を利用すべき3つのM&Aケース

表明保証保険を利用すべき3つのM&Aケース

M&Aにおいて表明保証保険を利用すべきケースは、以下の3つです。
 

  1. PEファンドが売り手側となりM&Aを実施するケース
  2. 海外企業を相手にM&Aを実施するケース
  3. 取引規模が100億円以上のM&Aを実施するケース

これら3つのケースを押さえておけば、自社のM&Aで優先的に表明保証保険の活用を検討すべき場面が理解できます。それでは、それぞれのケースを順番に見ていきましょう。

①PEファンドが売り手側となりM&Aを実施するケース

1つ目は、PEファンドが売り手側となりM&Aを実施するケースです。

PEファンドについておさらいしておくと、非上場企業を対象とした投資ファンドのことであり、ベンチャー企業や企業再生ファンドなどが含まれます。

自社がPEファンドであり、かつ売り手側となってM&Aを実施する場合、存続期間を超えた表明保証責任を負うことができないリスクを考慮しなければなりません。表明保証の提供期限がある点について、買い手からマイナスの評価がされて好条件のM&Aを実施しにくいためです。

表明保証保険を利用することで、買い手に表明保証を提供しながら、PEファンド自身は表明保証責任を負わずにM&Aを実施できます。表明保証保険では、存続期間の終えた後でも買い手に表明保証を提供できるため、買い手からマイナスに評価されることがないです。

上記の理由から、自社がPEファンドで、かつ売り手となってM&Aを実施する際には、表明保証保険の利用を検討してください。

②海外企業を相手にM&Aを実施するケース

2つ目は、海外企業を相手にM&Aを実施するケースです。

海外企業を相手にM&Aを実施する場合、表明保証違反に基づく責任追求手続きの煩雑さが問題となります。基本的に売り手と買い手の間で直接やりとりしなくてはならず、そこでは海外企業の経営者との交渉が想定されるでしょう。

しかし表明保証保険を利用することで、損害賠償責任を追求する相手先が、売り手から保険会社に移ります。そのため、海外企業の経営者との煩雑な手続きを回避しつつ、確実に表明保証が受けられるメリットがあるのです。

上記の理由から、海外企業を相手にM&Aを実施する際には、表明保証保険の利用を検討してください。

③取引規模が100億円以上のM&Aを実施するケース

3つ目は、取引規模が100億円以上のM&Aを実施するケースです。

表明保証保険を利用するためには保険料を支払う必要があり、損害賠償金の確保が目的となる以上、表明保証金の保険料の金額をしっかりと把握しておけなければなりません。

表明保証保険の保険料は、補償限度額の1〜3%程度となります。この保証限度額は、対象会社の企業価値の10〜20%程度で算出されるのが一般的です。

上記を用いて保険料を算出しつつ、引受審査時に発生する費用を考慮すると、表明保証保険を購入するのに適したM&Aの取引規模は、100億円以上が目安の1つとなります。

つまり、純粋に損害賠償金の確保を目的に挙げている場合、取引規模が100億円以下のM&Aでは金銭的なメリットが得られない可能性が高いので注意してください。

以上、表明保証保険を利用すべきM&Aケースを紹介しました。ここまで読めば、自社のM&Aにおいて表明保証保険を利用すべきかどうか判断できたと思います。

そこで表明保証保険を利用したい場合、「表明保証保険を利用するにはどうすればいいの?」と疑問に思う経営者の方も多いはずです。ここからは、表明保証保険の締結方法をまとめたので確認しておきましょう。

5. M&Aの前に表明保証保険の締結方法を理解しておこう

M&Aの前に表明保証保険の締結方法を理解しておこう

M&Aを実施する前に、表明保証保険を締結する3つの手順を理解しておきましょう。
 

  1. 保険締結の検討・引受審査の申し込み
  2. 引受審査作業の開始
  3. 保険条件の提示・株式譲渡契約書の文言に関する交渉

これら3つの手順を押さえておけば、M&Aを実施する際にスムーズに表明保証保険契約を締結することが可能です。それでは、それぞれの手順を見ていきます。

①保険締結の検討・引受審査の申し込み

表明保証保険を締結する1つ目の手順は、保険締結の検討・引受審査の申し込みです。

保険会社から概算見積書を取得し、どの保険会社に引受審査を申し込むかを検討していきます。M&A仲介会社を通じて、複数の保険会社から概算見積書を取得することがポイントです。

概算見積書に記載されている保険金額・保険料・免責金額・補償期間などを見比べて、表明保証保険を申し込む保険会社を選びます。自社にとって最適な表明保証保険を検討する支援も行っているため、お困りの際にはM&A総合研究所に相談してください。

なお申込後は、最初に保険会社と引受審査をする際に選任する弁護士費用をはじめとする、支払いに関する内容が記載された経費契約(Expense Agreement)の締結を行います。

この経費契約の締結以降は、たとえ保険契約を締結しない場合でも、上記の費用負担が発生するため注意しましょう。

②引受審査作業の開始

表明保証保険を締結する2つ目の手順は、引受審査作業の開始です。

引受審査が開始すると、保険会社に対して情報開示を行います。また引受審査が終わりにさしかかると保険申込者・保険会社・それぞれのアドバイザーが参加する電話会議(Underwriting Call)が実施されるのが一般的です。

この電話会議では、対象会社・開示された情報・M&Aの交渉経緯・デューデリジェンス(監査)の結果・M&Aを行う動機など、幅広い事柄について質問を受けます。スムーズに済ませるためにも、事前に上記の質問に答えられるように準備しておくと良いでしょう。

③保険条件の提示・株式譲渡契約書の文言に関する交渉

表明保証保険を締結する3つ目の手順は、保険条件の提示・株式譲渡契約書の文言に関する交渉です。

引受審査が終了すると保険会社の方から最終的な保険条件が提示されます。この段階までに引受審査作業と並行する形で、M&Aによる株式譲渡契約書を作成しておきましょう。

株式譲渡契約書の作成では、買い手側と売り手側の間で契約書内の文言に対する交渉が行われます。そして株式譲渡契約書に記載される表明保証条項を保険会社がチェックして、各項目に補償提供・限定補償提供・免責といったコメントが入れられるのです。

つまり上記の作業により、どの条項が補償可能で、どの条項が補償されないか、あるいは補償が制限されるかが明示されます。

なお、限定補償提供や免責などのコメントが入れられた条項について、表明保証の対象を限定することで補償対象に変更できる場合、買い手と売り手の間で再度交渉を行って表明保証条項の変更を実施するケースがあることも押さえておいてください。

上記の手続きを経て、所定の保険料を支払うことで、保険契約が正式に締結されます。

以上、M&Aを実施する前に、表明保証保険を締結する手順を紹介しました。ここまで読んで実践すれば、自社にとって最適な表明保証保険をスムーズに締結できます。

ところが、M&Aで表明保証保険を活用する際には注意点もあり、知っておかなければ、期待した効果が得られないばかりか想定外のトラブルが発生しかねません。ここからは、M&Aで表明保証保険を活用する際の注意点をまとめたので確認しておきましょう。

6. M&Aで表明保証保険を活用する際の注意点

M&Aで表明保証保険を活用する際の注意点

M&Aで表明保証保険を活用する際の注意点は、以下の3つです。
 

  1. 表明保証保険が対象外のものがある
  2. 成功率の低いM&Aと判断されると利用できない場合がある
  3. 表明保証保険の手続きは英語で行う必要がある

これら3つの注意点を押さえておけば、表明保証保険におけるトラブルを回避することができます。それでは、それぞれの注意点を順番に見ていきましょう。

①表明保証保険が対象外のものがある

M&Aで表明保証保険を活用する際の注意点1つ目は、表明保証保険が対象外のものがあることです。

たとえM&A契約の規定で表明保証の対象としていても、表明保証保険の対象とはならないものがあるため注意しなければなりません。表明保証保険の対象外となるものについては、保険会社は損害賠償責任を免れます。

原則として、表明保証保険の適用対象外となるのは、以下のようなものです。
 

  • 被保険者やM&A担当者が事前に認識していた表明保証違反
  • 事前に開示されていた表明保証違反
  • 将来の予測についての表明保証違反
  • 懲罰的損害賠償・罰金・制裁金・課徴金
  • 価格調整条項に起因する損害賠償責任
  • 年金・退職金等の積立不足
  • 環境・製造物責任・税務・知的財産権の事項に関する表明保証違反
  • 範囲が広範で外延が不明確な表明保証
  • DDが十分に実施できていない事項

とはいえ、これらの類型に含まれる事項であっても、保険料の引き上げと引換えに付保の対象となるものも一部あります。また環境・製造物責任については、他の保険を利用することでカバーすることが可能です。

ただし基本的に、表明保証の対象外となるものについては、株式譲渡契約書に特別補償条項を設けるか、買収価格に反映させて対応します。

そのため、上記の対象外となるものについて表明保証を付与する目的で、表明保証保険を検討している場合には、くれぐれも注意してください。不明点があればM&Aの専門家に相談するようにしましょう。

②成功率の低いM&Aと判断されると利用できない場合がある

M&Aで表明保証保険を活用する際の注意点2つ目は、成功率の低いM&Aと判断されると利用できない場合があることです。

表明保証保険を利用する際、保険契約を締結する手続きとして、保険会社による引受審査や電話会議などが実施されます。ここで成功率の低いM&Aであると保険会社に判断されてしまえば、保険を締結することができない可能性が高いです。

対策としては、電話会議での質問にスムーズに答えられるよう、対象会社・開示された情報・M&Aの交渉経緯・デューデリジェンス(監査)の結果・M&Aを行う動機などを明確化しておきましょう。M&A計画を何度もブラッシュアップしておき、引受審査や電話会議に備えておいてください。

③表明保証保険の手続きは英語で行う必要がある

M&Aで表明保証保険を活用する際の注意点3つ目は、表明保証保険の手続きは英語で行う必要があることです。

表明保証保険の引受審査は海外で行われるため、電話会議や保険の各種書類はほとんど英語で取り交わされることになります。

したがって表明保証保険を締結するためには、スタッフやアドバイザーなどのM&A専門家の中でも、英語に対応できる人材を選んでください。

状況に応じて株式譲渡契約書やデューデリジェンスレポートなどの書類を英訳しなければならないため、対応できるよう人材を準備しておきましょう。

以上、M&Aで表明保証保険を活用する際の注意点を紹介しました。ここまで読んで、表明保証保険を慎重に活用すべき理由が理解できたはずです。

上記の注意点に対応しつつ、表明保証保険を最大限活用するためにはポイントを押さえておく必要があります。ここからは、表明保証保険でM&Aのリスクを最大限下げるためのポイントをまとめたので確認しておきましょう。

7. 表明保証保険でM&Aのリスクを最大限下げるポイント

表明保証保険でM&Aのリスクを最大限下げるポイント

表明保証保険でM&Aのリスクを最大限下げるポイントは、以下の3つです。
 

  1. 信頼できるM&Aアドバイザーを選ぶ
  2. クロスボーダーM&Aでは現地の税法を見越しておく
  3. 支払う保険料を把握してM&A交渉を進めていく

これら3つのポイントを押さえておけば、表明保証保険を活用してM&Aリスクを最大限抑えることができます。それでは、それぞれのポイントを順番に見ていきましょう。

①信頼できるM&Aアドバイザーを選ぶ

表明保証保険でM&Aのリスクを最大限下げる1つ目のポイントは、信頼できるM&Aアドバイザーを選ぶことです。

前述したとおり、M&Aで承継するものの中には表明保証保険の対象とはならないものがあり、保険料の引き上げや他の保険を活用して対応することが求められます。また、成功率の低いM&Aだと保険会社に判断されないよう、M&A計画を綿密に練り上げておかなければなりません。

上記の対応を確実に実行するには、信頼できるM&Aアドバイザーを選ぶ必要があります。具体的には、専門家であるM&A仲介会社の活用がおすすめです。

M&A総合研究所では、M&A・事業承継の実績豊富なアドバイザー・M&Aに精通した会計士・弁護士がチーム体制でフルサポートいたします。

無料相談を行っていますので、表明保証保険でM&Aリスクを低減させたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。

②クロスボーダーM&Aでは現地の税法を見越しておく

表明保証保険でM&Aのリスクを最大限下げる2つ目のポイントは、クロスボーダーM&Aでは現地の税法を見越しておくことです。

海外企業とのクロスボーダーM&Aで表明保証保険を利用する場合、税務に関しては現地の税法を参照して行う必要があります。海外の税法は日本の税法と異なるため、その差異を理解しておかなければ適切な税務が行えなくなる可能性が高いです。

したがって、クロスボーダーM&Aの際には、現地の税法を理解したアドバイザーの協力を得るようにしてください。最近ではクロスボーダーM&Aに特化したM&A仲介会社が増えています。

特定の国や地域に特化している専門家もいるため、M&A案件の実情に合わせて選択してサポートを受けるようにしましょう。

③支払う保険料を把握してM&A交渉を進めていく

表明保証保険でM&Aのリスクを最大限下げる3つ目のポイントは、支払う保険料を把握してM&A交渉を進めていくことです。

表明保証保険は保険の1種であるため、契約の際には保険料が発生します。このときの保険料は、補償範囲を広げれば比例して大きくなるだけでなく、あわせて引受審査費用も負担しなければなりません。

そのため、表明保証保険に契約する際は、合計でどれだけの費用が発生するのかをあらかじめ把握しておき、M&A交渉を進めていくことをおすすめします。なお前述のとおり、表明保証保険を利用して金銭的なメリットを得る場合には、取引規模100億円以上が1つの目安です。

M&A仲介会社を通じて、複数の保険会社から概算見積書を取得して、それぞれの保険料と保険内容を専門家と一緒に吟味するようにしましょう。

以上、表明保証保険でM&Aのリスクを最大限下げるポイントを紹介しました。表明保証保険を利用してM&Aリスクを最大限低減させるには、M&A専門家の協力が必要不可欠であることが分かったと思います。

表明保証保険に関するM&A専門家をお探しなら、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。最後に、M&A総合研究所に相談するメリットをまとめたので相談先選びの参考にしていただければ幸いです。

8. 表明保証保険で悩んだらM&A総合研究所に相談しよう

表明保証保険で悩んだらM&A総合研究所に相談しよう

表明保証保険の利用を検討している場合には、M&A仲介会社などの専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします。

数あるM&A仲介会社のなかでも最適なのは、M&A総合研究所です。

「表明保証保険を利用するための手続き方法が知りたい」「自社のM&Aでは表明保証保険を利用すべきなのか知りたい」といったお悩みは、専門の公認会計士が在籍するM&A総合研究所へぜひご相談ください。

M&A総合研究所では、M&A・事業承継の実績豊富なアドバイザー・M&Aに精通した会計士・弁護士がチーム体制でフルサポートいたします。

着手金・中間報酬は無料の完全成功報酬制(レーマン方式)を採用しているので、成約に至らなければ費用は一切かかりません。

無料相談を行っていますので、M&A・事業承継をご検討の方はどうぞお気軽にお問い合わせください。

9. まとめ

まとめ

この記事では、M&Aにおける表明保証保険の仕組みについて紹介しました。

表明保証保険を活用することで、売り手側と買い手側双方が様々なメリットを得ることができます。とりわけ表明保証保険を利用すべきM&Aでケースは、以下の3つです。
 

  • PEファンドが売り手側となりM&Aを実施するケース
  • 海外企業を相手にM&Aを実施するケース
  • 取引規模が100億円以上のM&Aを実施するケース

ただし表明保証保険には注意点もあり、しっかりと理解した上で活用しなければなりません。

なお、M&Aのリスクを最大限下げるためには、信頼できる優秀なM&Aアドバイザーの協力のもと、税法や支払う保険料を見越したM&A交渉を進めていく必要があります。

表明保証保険についてお悩みでしたら、まずはM&A総合研究所にご相談ください。

関連するまとめ

人気の記事

人気のあるまとめランキング

新着一覧

最近公開されたまとめ