IT・ソフトウェア業界のM&A動向!案件事例15選や仲介会社のオススメも紹介!

IT・ソフトウェア業界のM&A動向を見ると、近年活性化しており件数・金額ともに伸長しています。本記事では、IT・ソフトウェア業界のM&Aについて、メリット・デメリットや近年のM&A動向を中心にまとめます。また、M&A事例・おすすめの仲介会社も紹介します。


目次

  1. IT企業とは
  2. ソフトウェア業界とは
  3. IT・ソフトウェア業界の動向
  4. IT・ソフトウェア業界M&Aのメリット
  5. IT・ソフトウェア業界M&Aのデメリット
  6. IT・ソフトウェア業界のM&A価格相場
  7. IT・ソフトウェア業界の技術トレンド
  8. IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選
  9. IT・ソフトウェア業界のM&Aにオススメの仲介会社3選!
  10. まとめ

1. IT企業とは

IT企業とは

IT企業とは、コンピューターやインターネットを活用して製品(サービス)を開発・提供する企業です。

IT企業には大きく分けて、ハードウェアを開発する企業・ソフトウェアを開発する企業・ソフトウェアを活用してWebサイトなどのサービスを作成する企業・通信網などのインフラを提供する企業などが存在します。

ちなみに、ハードウェアとはPCやスマホなどの機器をさし、ソフトウェアとはOS・アプリケーションなどのことです。

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2. ソフトウェア業界とは

ソフトウェア業界とは

ソフトウェア業界とは、PCやスマホなどのコンピューター機器内で動くOS(オペレーティングシステム)や、アプリケーションなどのプログラムを開発・提供する業界のことです。

PCのOSにはWindows・macOSなどがあり、スマホのOSにはiOS・Androidなどが存在します。ソフトウェアには、上記で挙げた個人向けのソフトウェアのほか、企業向けのソフトウェアもあるのです。

企業向けのソフトウェアとしては、社員の業務を管理するソフトウェア・顧客を管理するソフトウェアなど、企業の要望に応じてさまざまなソフトウェアが開発されています。こうしたソフトウェアのシステム開発を手掛ける分野を、ソフトウェア業界と呼びます。

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3. IT・ソフトウェア業界の動向

IT・ソフトウェア業界の動向

ここでは、IT・ソフトウェア業界で近年見られる動向として、以下の項目に分けて紹介します。
 

  1. M&Aが増加傾向にある
  2. 海外への展開も拡充
  3. 業界として需要が増加
  4. 都心から地方への流れが活性化
  5. 技術者が不足している

それぞれの項目から、IT・ソフトウェア業界の動向を見ていきましょう。

①M&Aが増加傾向にある

2020年12月のストライク(M&A Online)の情報によると、2020年12月21日までの国内IT・ソフトウェア業界のM&Aは148件にのぼり、2018年と2019年に続き3年連続で最多を更新しています。

IT・ソフトウェア業界のM&Aが増加している主な理由は、人材や技術の激しい争奪戦が挙げられます。現在日本のIT・ソフトウェアに関わる人材不足は深刻化しており、政府も対策に着手するほどです。

また、M&Aによって権利を手に入れると、ソフトウェアなどのシステム開発を自社でゼロから行うよりも速いスピードで成長できるメリットも、M&A増加に拍車をかける要因です。

②海外への展開も拡充

2020年1月のストライク(M&A Online)の情報では、2019年において取引金額が100億円を超えるM&A件数は68件報告されており、そのうちクロスボーダー案件は40件とおよそ6割を占める状況です。

ソフトバンクグループをはじめIT・ソフトウェア業界における大手企業の多くが、海外M&Aも含めた海外展開の強化を目指しています。IT・ソフトウェア業界が海外M&Aに力を入れる理由の1つとして、GAFAによるIT・ソフトウェア業界のシェア寡占化が挙げられます。

GAFAとは、「Google」「Amazon.com」「Facebook」「Apple Inc.」の頭文字を取った言葉をさします。昨今のIT・ソフトウェア業界ではこれら4大企業の力が非常に強く、日本国内のIT・ソフトウェア企業が立ち向かうには海外展開が必要不可欠です。

高度な技術や優秀な人材を獲得するためにも、海外展開が求められています。

③業界として需要が増加

IT・ソフトウェア業界への需要は年々高まっています。業界動向サーチによると、IT業界の2020年版(2019-2020年)の業界レポートでは、IT業界の業界規模は16兆4,557億円と報告されており、前年度比で5.0%の伸長が見られました。

ちなみに、「IT業界シェア&ランキング(2020年版)」を見ると、1位は富士通で3兆1,632億円、2位はNECで3兆952億円と好調です。NTTデータは3位で、2兆2,668億円と報告されています。その後は、日立製作所(4位、2兆994億円)・大塚商会(5位、5,786億円)です。

需要が増加する理由としては、IoT(モノのインターネット化)の普及およびFinTech(金融分野のインターネット技術)・ビッグデータの活用・クラウドサービスの増加などが挙げられます。

上記に加えて、キャッシュレス決済や仮想通貨の普及および自動運転の進化などが、IT・ソフトウェア業界のさらなる需要増加を呼ぶでしょう。

④都心から地方への流れが活性化

IT・ソフトウェア業界における近年の動向としては、地方に本社を移転したりサテライトオフィスを置いたりする企業の増加も目立ちます。これに伴い、企業誘致のために助成金を設ける地方自治体も増加中です。

IT・ソフトウェア業界の企業は、テレビ会議・チャットアプリによるコミュニケーション・クラウドによる開発環境などを用いれば、他の業界と比べてオンライン上で仕事が完結するケースが多いため、地方でも業務を進められます。

IT・ソフトウェア業界の将来的な動向としては、海外を含めて環境に左右されない働き方が進む見込みです。

⑤技術者が不足している

日本経済新聞社は2019年4月、経済産業省の「IT人材需給に関する調査」(2019年)を受けて、AIやIoTに関わる先端ITエンジニアが2030年に約55万人不足すると報じました。

先端技術を扱う人材が不足する理由としては、スマホ・IoT・FinTechなどのインターネット技術が、生活のあらゆる場面で活用されるようになった点が挙げられます。

また、システム開発やアプリケーション開発などの技術がスピーディーに変化しており、技術についていけない技術者の離脱が増えている点も要因の一つです。そのほか、IT・ソフトウェア業界の労働環境にも要因があります。

システム開発の現場は、幾重もの下請けに仕事を依頼するピラミッド構造が敷かれています。そのため、下層に行くほど、仕事が過酷な割に待遇が悪かったり、システム開発のスキルアップが図れなかったりする状況が目立つのです。

近年では、システム開発からWebアプリケーション開発へと働く環境を変える人材も多く見られます。下請けのシステム開発では完成品が見えにくい・顧客の顔が見えないなどやりがいが低いために、IT・ソフトウェア業界の他分野および他業界への転職動向が活発的です。

4. IT・ソフトウェア業界M&Aのメリット

IT・ソフトウェア業界M&Aのメリット

IT・ソフトウェア業界でのM&Aには、以下のメリットがあります。
 

  1. 有能な技術者を獲得
  2. 技術獲得によるシナジー効果
  3. 譲渡益の獲得や後継者問題の解決
  4. 従業員の安定的な雇用維持

それぞれのメリットを順番に見ていきましょう。

①有能な技術者を獲得

IT・ソフトウェア業界のM&Aでは、エンジニアの獲得が大きな意味を持ちます。特にベンチャー企業は、優秀な技術者の獲得に苦労している状況です。

たとえ将来性のあるビジネスモデルを掲げていても、それを形にできるエンジニアがいなければ事業を成長させられません。とはいえ、IT・ソフトウェア業界で必要とする技術を持ったエンジニアの数は限定されている状況です。

そのため、エンジニアの獲得はM&Aの大きな目的の1つとなります。ただし、IT・ソフトウェア業界は他業界に比べて人材の流動性が高いため、流出に注意しなければなりません。

②技術獲得によるシナジー効果

IT・ソフトウェア業界では技術分野が多岐に渡るため、開発を外注するケースも多いです。特に大企業のシステム開発では、自社でシステム開発する方がスムーズだとしても、慣例に則り下請けに外注するケースが目立ちます。

しかし、システム開発を外注すると、予算の増大・開発の遅れ・トラブル対応の遅れなどが発生しやすいです。また、一般的にITベンチャー企業では、開発を外注すると成長の妨げになると判断されています。

M&Aにより技術を獲得して自社や自社グループ内で業務を完結できるようにすれば、上記の問題を解決してシナジー効果を得ることが可能です。

③譲渡益の獲得や後継者問題の解決

近年は日本のIT・ソフトウェア業界においても、経営者がイグジット目的でM&Aによる会社売却・譲渡を実施するケースが増加しています。

経営者が会社を売却・譲渡すると、譲渡益を元手に新しく事業を始めたりセミリタイア生活を送ったりすることが可能です。事業は売却先企業が引き継いでくれるため、後継者となる経営者を探す必要もありません。

このような手法を用いるシリアルアントレプレナーはアメリカではすでに主流であり、米ベンチャー企業の多くがM&Aで事業を売却・譲渡するイグジットを選択しています。

日本のベンチャー企業は依然としてIPOを目指す経営者が多いものの、今後はM&Aによるイグジットを目指す経営者が主流となる見込みです。

④従業員の安定的な雇用維持

売却・譲渡される側の従業員は、大企業の買収により好条件の待遇が得られる可能性があります。

一般的に会社をM&Aにより買収する際は、従業員の流出を防ぐために買収先企業の待遇よりも好条件を提示します。そのため、売却・譲渡企業の従業員は、より安定的な雇用を維持できるのです。

ただし、IT・ソフトウェア業界では業界動向に合わせてグループ再編や社内再編を頻繁に行う企業も存在するため、想定外の業務に就くおそれがある点には注意しなければなりません。

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5. IT・ソフトウェア業界M&Aのデメリット

IT・ソフトウェア業界M&Aのデメリット

IT・ソフトウェア業界のM&Aには、以下のデメリットも存在します。
 

  1. 人材が流出する可能性
  2. シナジー効果が伸びない可能性
  3. 債務などを抱える可能性
  4. 給与や待遇が悪化する可能性

それぞれのデメリットを把握して、慎重にM&A実施を検討しましょう。

①人材が流出する可能性

IT・ソフトウェア業界の平均勤続年数は、他業界に比べて短い点が特徴的です。

NEC・日立製作所・大塚商会など長い歴史を持つ大企業は15年〜20年程度と長めですが、新卒の就職活動で特に人気のあるサイバーエージェントや楽天、ディー・エヌ・エーなど比較的歴史の浅い企業の中には、平均勤続年数を5年以下とする企業もあります。

前述したように、IT・ソフトウェア業界は人材の獲得競争が激しい業界です。トレンドの技術を持った人材には高待遇の話が持ちかけられるため、大企業・ベンチャー企業など関係なく優秀な人材はより魅力的な企業に移ります。

そのため、M&Aで優秀な人材を獲得しても、数年のうちに自社を出て行く可能性を想定しなければなりません。

②シナジー効果が伸びない可能性

IT・ソフトウェア業界のM&Aでは、想定していたシナジー効果が得られずに失敗した事例も多いです。有名な事例としては、ミクシィ・グリー・サイボウズなどの会社が実施したM&Aです。

上記の企業は、過去に主力事業が短期間で大きく成長したものの、成長が鈍化するとM&Aを繰り返して事業の多角化を図っていました。しかし、結局シナジー効果が得られず、M&Aにより手に入れた会社のほとんどを売却・譲渡しています。

これらの企業は再び軌道に乗っていますが、事業多角化の失敗によってそのまま立て直せなくなる企業も存在する点を把握しておきましょう。

③債務などを抱える可能性

M&Aでは株式譲渡を手法として用いるケースが多いですが、株式譲渡は手続きが簡便な一方で偶発債務などのリスクも引き継ぐおそれがあります。

特に、M&A仲介会社などの専門家をとおさずにM&Aを行うと、十分なデューデリジェンス(企業調査)を実施せずに事業を引き継ぐケースが多く、M&A後に問題が発覚しやすいです。

M&Aの際は、M&A仲介会社などの専門家からサポート受けながらリスクを減らしましょう。

④給与や待遇が悪化する可能性

売却・譲渡側企業の従業員の待遇については買収側企業に合わせることが一般的であるため、人材の流出を防ぐために給与水準を上げるケースが多く見られます。

しかし、買収企業によっては給与や待遇が低下する場合もある点に注意が必要です。また、保有技術が買収先企業にどのように評価されるかによって従業員の待遇が変化するため、需要の高い技術は常に身に付ける姿勢で学び続けなければなりません。

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6. IT・ソフトウェア業界のM&A価格相場

IT・ソフトウェア業界のM&A価格相場

M&Aでは、企業価値算定を行いながら、最終的には交渉により価額が決定されます。M&A価額の算定方法としては、売却企業の時価純資産に、売却企業が今後生み出すであろう収益力や売却企業のブランド力などを上乗せして算定するケースが多いです。

こうした上乗せ分は「のれん」と呼ばれており、のれんを何年分乗せるかは業界により差があります。とはいえ、IT・ソフトウェア業界におけるのれん代は比較的高いです。一般的なのれん代は、減価償却前営業利益の3年分とされています。

その一方で、IT・ソフトウェア業界におけるのれん代は5年〜6年分といったケースも多く、中には8年〜9年分となる事例も見られます。IT・ソフトウェア業界でM&Aを行う際は、少なくとも時価純資産に5年分の減価償却前営業利益を見込んでおくと良いでしょう。

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7. IT・ソフトウェア業界の技術トレンド

IT・ソフトウェア業界の技術トレンド

IT・ソフトウェア業界のM&Aではエンジニアの技術力も重要であることを前述しましたが、2021年現在におけるプログラミング言語のトレンド動向は、主に以下の3種類です。これらのプログラミングを活用できるITエンジニアはM&Aでも重宝されます。

  1. Python
  2. JavaScript 
  3. Scala

それぞれのプログラミング言語の特徴を見ていきましょう。

①Python

Python(パイソン)は、主にAI・IoT関連の開発に使われるプログラミング言語です。すでに高い需要を誇りますが、今後の動向次第でさらに需要が増すと推測されています。

プログラミングの文法がシンプルで学びやすい点も人気の要因ですが、AIなどに応用できるレベルを扱う日本語の専門書は少ないです。ただし、今後の需要によっては、学習機会が広く設けられることが見込まれます。

②JavaScript

JavaScript(ジャバスクリプト)は、学びやすさと汎用性の高さにより、企業・学習者から人気を集めています。JavaScriptは年々応用範囲が広がっており、JavaScriptの習得を採用条件の1つとする企業も少なくありません。今後も廃れる可能性の低い言語です。

③Scala

プログラミング言語別の平均年収では、Scala(スカラ)も上位をキープしています。Scalaを採用する企業は増えていますが、現状としてScalaを書けるエンジニアはそれほど多くありません。

そのため希少なScalaエンジニアの年収が高くなっている状況です。エンジニアが少ない理由としては、学習コストの高さが挙げられます。

Scalaを身に付けるには、すでにある程度のプログラミングの知識がなければならず、それなりに学習時間が必要です。しかし、今後のIT業界での需要を考慮すると、苦労して身に付けても損はないプログラミング言語だといえます。

8. IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選

ここからは、IT・ソフトウェア業界のM&A事例を15社に分けて紹介します。

  1. LITALICOによるM&A
  2. SHIFTによるM&A
  3. TDCソフトによるM&A
  4. SCSKによるM&A
  5. 伊藤忠テクノソリューションズによるM&A
  6. NECによるM&A
  7. LINEによるM&A
  8. メルカリによるM&A
  9. KDDIによるM&A
  10. ヤフーによるM&A
  11. 楽天によるM&A
  12. ユーザベースによるM&A
  13. スタートトゥデイ(現:ZOZO)によるM&A
  14. 野村総合研究所によるM&A
  15. ソフトバンクグループによるM&A

それぞれの会社ごとに事例を詳しく見ていきましょう。

①LITALICOによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&A事例1社目として、LITALICOを紹介します。

「LITALICO 発達ナビ」や「LITALICO 仕事ナビ」など、LITALICOグループはプラットフォーム事業の領域を拡張しながら、主に障害福祉施設へSaaSプロダクトや経営支援サービスの開発・提供を行っています。

福祉ソフトは、SaaSプロダクトの「かんたん請求ソフト」や「かんたん介護ソフト」を持ち、低価格で操作性の良い公費請求支援ソフトウェアを障害福祉施設へ提供し、介護福祉領域におけるSaaSサービスも行う会社です。

2020年12月にLITALICOが福祉ソフトを買収したことで、LITALICOはお互いが持つ福祉領域での知名度やサービスの流通をとおして、SaaSプロダクトにおけるラインナップの充実化、営業・経営支援サービスにおけるシナジーの発生などを見込んでいます。

②SHIFTによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&A事例2社目として、SHIFTを紹介します。SHIFTは、ソフトウェアの品質保証やテストなどを手掛ける会社です。2016年以降、SHIFTはさまざまな会社をM&Aなどの手法で子会社化しています。

2020年4月には、PCリユース・キッティング・ヘルプデスクなどソフトウェア製品のリリース後領域において幅広く事業展開するエスエヌシーをM&Aによる株式譲渡で子会社化しました。

これによりSHIFTは、SHIFTが目指す包括的な品質保証サービスを提供するうえで、開発プロジェクト全体をとおしたシームレスなオペレーションフローの実現を図っています。

③TDCソフトによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&A事例3社目として、TDCソフトを紹介します。TDCソフトは、ITコンサルティング&サービスのほか、金融ITソリューション・公共法人ITソリューション・プラットフォームソリューションなども手掛けるSIer(システムインテグレーター)です。

TDCソフトは経営統合・M&Aの実施で事業の拡大を図る会社として知られており、2020年2月にはSAPシステムを開発する「八木ビジネスコンサルタント」をM&Aによる株式譲渡で子会社化しています。

これにより、TDCソフトは、SAPにおいて需要拡大が見込まれる分野の顧客ニーズに対して、さらに付加価値の高い次世代サービスの提供を図っている状況です。

④SCSKによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&A事例4社目として、SCSKを紹介します。SCSKは、大手総合商社である住友商事グループのソフトウェア・システム開発を行うSIer(システムインテグレーター)です。

SCSKは、2011年10月に住友商事と住友情報システムがシステム開発会社のCSKを株式譲渡により子会社化し、その後に住友情報システムを存続会社としてCSKを吸収合併したことにより誕生しました。

これまでSCSKは、中期経営計画のもと、2020年3月期に既存事業で400億円〜450億円・戦略的事業で50億円〜100億円の営業利益達成計画を推進してきました。

これに伴い、2019年9月に行われた情報システム開発子会社「JIEC」の吸収合併や、2019年10月に行われたIT開発事業「Minoriソリューションズ」の公開買付などM&Aを積極的に実施しています。

新規事業も含めてM&Aで事業を獲得し、中期経営計画達成を目指しました。今後は、2020~2022年の中期経営計画のもと、異業種での事業創出に向けてM&Aを含めた経営戦略を推進していく見込みです。

⑤伊藤忠テクノソリューションズによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&A事例5社目は、伊藤忠テクノソリューションズです。伊藤忠テクノソリューションズは、東証1部上場のソフトウェア・システム開発を行うSIer(システムインテグレーター)であり、大手総合商社「伊藤忠商事」の子会社です。

伊藤忠テクノソリューションズは、2016年から2018年まで3年間の中期経営計画を策定して、事業再編や海外参入などで事業を成長させてきました。その結果、増収増益を達成しています。

これに伴い、2017年4月に子会社「CTCライフサイエンス」の吸収合併を行ったほか、2017年11月にタイでIT・ソフトウェア関連事業を行う「Netband Consulting Co., Ltd.」の買収などを行いました。

伊藤忠テクノソリューションズは、タイやマレーシア、シンガポールなど東南アジアにおいてIT・ソフトウェア業界への進出を進めており、このことも増収増益に貢献しています。

また、伊藤忠テクノソリューションズは2018年から2020年までの中期経営計画において、海外の新しい地域への進出やグローバル関連ビジネスのさらなる成長を宣言していました。

その宣言どおり、2019年7月にインドネシアのシステム会社「コンプネット」と「プロシア」を買収するなど、近年もクロスボーダーM&Aを盛んに実施しています。

⑥NECによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&A事例6社目として、日本電気(NEC)を紹介します。NECはさまざまな電気機械を製造する大手電機メーカーです。

NECは2018年1月にイギリスのソフトウェア開発会社「ノースゲート・パブリック・サービシズ」を約710億円で買収しました。

続いて2019年2月末には、デンマークの最大手IT企業「KMDホールディングス」を約1,360億円で株式譲渡により買収・子会社化しています。

NECは中期経営計画を掲げており、計画の一環として大型のM&A戦略を進めています。また、大幅な人員削減・工場の閉鎖・事業の売却や譲渡なども進行中です。

NECの業績は2001年のITバブル崩壊前にピークを迎え、それ以降は事業の売却・譲渡を続けています。半導体事業を売却・譲渡したほか、プロバイダー事業も売却・譲渡しました。

2018年には車載用電池事業を売却・譲渡し、11月には照明事業を投資ファンドに売却・譲渡しました。NECは近年控えていたM&Aによる大型買収を上記事例のように再開しながら復活を図っています。

⑦LINEによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&A事例7社目として、LINEを紹介します。LINEの主な事業としては、メッセンジャーアプリ「LINE」・ライブドアブログなどが挙げられます。

主力事業であるLINE関連の業績は順調に推移しており、成長のポテンシャルは大きいとLINEは考えています。海外展開にまだ大きな余地があるほか、オンライン決済をはじめとしたFinTech(金融分野のインターネットテクノロジー)の需要が高いためです。

LINEの日本におけるメッセンジャーアプリシェアを見ると圧倒的ですが、外国でのシェアはそれほど高くありません。そして、日本でのFinTech分野は国の後押しもあり、これから伸びると推測されます。

以上のことから、LINEは、証券会社・銀行・保険会社と提携して金融サービスを開始しているほか、仮想通貨を発行したり決済サービス「LINEペイ」に力を入れたりしている状況です。

これに伴い、2018年12月には韓国のオンラインセキュリティ研究センター「GrayHash」を買収して、FinTech分野をはじめとするLINEの各種サービスのセキュリティ強化を進めています。

⑧メルカリによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&A事例8社目は、メルカリです。メルカリはフリーマーケットアプリ最大手であり、2018年6月には東証マザーズに上場しました。

メイン事業の「メルカリ」アプリは、各カテゴリーの強化・マーケティング・男性ユーザーの獲得などが成功して業績が伸長し続けています。

2019年6月期の四半期決算情報によると、アクティブユーザー数は1,134万人・流通総額は990億円・売上高は97億円といずれも過去最高を記録しました。

一方、海外でのメルカリ事業は伸び悩んでおり、2018年12月にはヨーロッパから撤退したほか、アメリカでは赤字が続いています。

M&Aに関しては、メルカリは2018年10月に上場後初のM&A契約を締結しました。買収先は、車好きのユーザーが集まるコミュニティアプリ「CARTUNE」を運営するマイケルです。

このように、メルカリは各カテゴリーの強化および男性ユーザーの獲得に力を入れてきました。女性に比べて男性は発送作業などを面倒に思う傾向にあることから、メルカリの出品者は女性が中心です。

マイケルの買収により、CARTUNEのコミュニティ・ユーザー・ノウハウを手に入れることで、メルカリの車カテゴリーを強化しながら、男性ユーザーの獲得を推進しています。

⑨KDDIによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&A事例9社目は、KDDIです。KDDIはこれまで数多くのM&Aを繰り返してきました。同じ通信キャリアのソフトバンクグループほどのインパクトはありませんが、大規模なM&Aを行っています。

2016年度から2018年度までの3年間で5,000億円のM&Aを行うと宣言し、実行しました。その中でも大きな話題となったのが、2017年8月に実施したIoTの通信プラットフォームを提供する「ソラコム」の買収です。

創業3年目のスタートアップ企業がKDDIに200億円で事業を売却・譲渡してイグジットした点でも話題になりましたが、お互いのシナジー効果がどのように発揮されていくのかという点で大きな注目が集まりました。

また、KDDIは教育分野でもM&Aを行っています。2017年11月には英会話教室などを運営するイーオンホールディングスを株式譲渡により買収したほか、2018年10月には子どもの仕事体験施設「キッザニア」を運営するKCJグループを株式譲渡により買収しています。

KDDIは、教育分野にAI・VR・5Gなどの技術を用いることでシナジー効果を見込んでいます。

⑩ヤフーによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&A事例10社目は、ヤフーです。ヤフーはソフトバンクグループの子会社であり、ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」の運営やネットオークション「ヤフオク!」の運営などを手掛けています。

これまでヤフーは、2015年12月に実施したホテル予約サイト一休の買収、2018年7月に実施したレシピ動画「クラシル」を運営するdelyの買収などで、事業の多角化を進めてきました。

また、ソフトバンクグループと共同で決済サービス「PayPay」の普及を進めているほか、ネット広告事業やネットショッピング事業などが堅調です。

2018年9月には旧米ヤフーのアルタバが、ヤフー株をソフトバンクにすべて売却したことで、ソフトバンクとヤフーの関係がより強化されました。2018年12月にはソフトバンクが東証1部上場を果たし、ソフトバンクとヤフーのシナジー効果の高まりに期待が寄せられています。

⑪楽天によるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&A事例11社目は、楽天です。IT・ソフトウェア業界におけるM&Aといえば、ソフトバンクグループもしくは楽天の名前が挙げられるほど、楽天もM&Aを積極的に行っています。

楽天はEC関連企業のM&Aで事業を拡大しましたが、近年はEC業界以外でのM&Aを中心に進めています。特に金融業界のM&Aに積極的であり、楽天の収益の多くを金融関連が占めるようになりました。

2018年3月には朝日火災海上保険(現:楽天損害保険)を株式譲渡により完全子会社化し、さらに同年月にペット保険の「もっとぎゅっと少額短期保険」(現:楽天少額短期保険)を株式譲渡により完全子会社化しています。

そのほかにも、2018年8月に仮想通貨取引所「みんなのビットコイン」を株式譲渡により買収し、仮想通貨取引所へ参入しています。現在のEC業界はAmazonの1強状態であり、楽天市場の収益伸長は厳しいことから、M&Aによって急速に事業の多角化を進めている状況です。

⑫ユーザベースによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&A事例12社目は、ユーザベースです。ユーザベースはソーシャルニュースアプリ「NewsPicks」の運営や法人向けの企業情報プラットフォーム「SPEEDA」の運営などを行っています。

最近では、NewsPicksは多くのインテリジェンス層から受け入れられ活用されています。また、SPEEDAは多くの大手企業に導入されるなど、企業情報プラットフォームとして高い信頼を得ている状況です。

ユーザベースはこれら2事業で業績を急速に伸ばし、IT・ソフトウェア業界以外でも注目を受けています。

2018年7月には、アメリカの経済系WEBメディアであるQuartzを買収しており、NewsPicksの海外展開を計画しています。

⑬スタートトゥデイ(現:ZOZO)によるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&A事例13社目は、ZOZOです。ZOZOはオンラインのファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」を運営しています。これまでZOZOは数々のM&Aを行ってきました。

その中でも、アラタナ(ブランドの自社EC構築支援を行う)や、ZOZOテクノロジーズ(ZOZOTOWNの開発運用を手掛ける)は、ZOZOグループの成長に欠かせない主要会社です。

アラタナは2015年3月に完全子会社化となってグループ企業入りしており、ZOZOテクノロジーズは2018年4月にグループ会社のスタートトゥディ工務店がVASILYとカラクルを吸収合併して誕生しました。

ZOZOは2021年3月期までの中期経営計画を掲げているほか、長期計画では時価総額5兆円を目標としています。その中核事業として、ZOZOはプライベートブランド事業を推進している状況です。

ZOZOスーツやオーダーメイドスーツ事業などプライベートブランド事業に関わるシステム開発は、ZOZOテクノロジーズの働きが必要不可欠です。

⑭野村総合研究所によるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&A事例14社目は、野村総合研究所です。野村総合研究所は、コンサルティングサービス・ITソリューションサービスなどを提供しています。

コンサルティングサービスでは国内だけでなく海外展開も行っており、海外案件比率は徐々に伸長している状況です。

また、ITソリューションサービスにおいても、東京証券取引所について、売買取引に利用するシステム開発のうち半分と投資信託販売業務に利用するシステム開発の8割を、それぞれ野村総合研究所が手掛けています。

なお、ITソリューションサービスでもグローバル化を推進しています。海外展開を進めるために、野村総合研究所では、外国に会社を設立したり外国企業を買収したりしてきました。

2016年6月には米国のコンサル会社「カッターアソシエイツ」を買収したほか、2016年12月にはオーストラリア「ASG社」を買収するなど、海外M&Aにより事業のグローバル化を進めています。

⑮ソフトバンクグループによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&A事例15社目は、ソフトバンクグループです。ソフトバンクグループは日本の大手携帯キャリア会社を抱える持株会社であり、インターネット関連事業・金融関連事業など多岐に渡り事業を展開しています。

これまでソフトバンクグループは、2013年7月に実施したアメリカのスプリント・ネクステル・コーポレーションの買収や、2016年7月に実施したイギリスの半導体設計大手企業「ARMホールディングス」買収など、大型買収を続けてきました。

M&Aといえばソフトバンクグループの名前が挙がるほど、日本のIT・ソフトウェア業界企業において桁違いの買収・売却額です。しかし、現在では、国の要請により携帯キャリア大手各社は携帯料金の大幅な値下げを余儀なくされています。

ソフトバンクグループは、これまで中長期戦略でM&Aを行ってきました。そのため、有利子負債が巨額になっています。携帯料金からの収益が大幅に下がる可能性がある中で、ソフトバンクグループは近年M&Aでの事業拡大とは別に、ファンドによる収益獲得を目指しています。

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9. IT・ソフトウェア業界のM&Aにオススメの仲介会社3選!

IT・ソフトウェア業界のM&Aにオススメの仲介会社3選

現在では数多くのM&A仲介会社が存在していますが、それぞれ得意分野は異なるため注意が必要です。その中でもIT・ソフトウェア業界に強みを持つおすすめのM&A仲介会社として、以下の3社を紹介します。
 

  1. M&A総合研究所
  2. 早稲田M&Aパートナーズ
  3. かえでファイナンシャルアドバイザリー

それぞれの仲介会社の特徴を順番に見ていきましょう。

①M&A総合研究所

M&A総合研究所

出典: https://masouken.com/

1社目はM&A総合研究所です。M&A総合研究所では、通常半年から1年以上かかるM&Aを、最短3ヶ月で成約しており、スピードが求められるIT・ソフトウェア業界に向いております。

M&A総合研究所は、M&Aに精通したM&Aアドバイザーが親身になって案件をフルサポートするほか、独自のAIシステムを活用したマッチングプラットフォームに強みがある仲介会社です。

また、国内最安値水準の手数料体系にも強みがあり、完全成功報酬制を採用しておりますので、成約に至らない限り費用は一切発生いたしません

無料相談を行っておりますので、IT・ソフトウェア業界でのM&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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②早稲田M&Aパートナーズ

早稲田M&Aパートナーズは、ネットベンチャーやIT関連のベンチャー企業に特化したM&A仲介を行っています。

代表取締役自身がIT関連の新規事業立ち上げに携わった経験を持ち、独自のノウハウやネットワークを持つ点が強みです。中心メンバーも起業経験があり、ベンチャー起業家の気持ちを十分に理解します。

また、早稲田M&Aパートナーズでは、ベンチャー企業の企業価値を算定するオンライン企業価値算定システムを提供しているので、算定が難しいベンチャー企業の無形資産を客観的にオンラインにて算出できます。

③かえでファイナンシャルアドバイザリー

かえでファイナンシャルアドバイザリーは、中堅・中小企業へのM&Aを含めたコンサルティング業務を行っています。クロスボーダーM&Aにも対応しており、海外にも強固なネットワークを持つ会社です。

また、2005年の創業から300件以上の成約実績を持ち、近年はM&Aによるイグジット需要の高まりからベンチャー企業からの相談が急増しています。

ベンチャー企業へのサポートはM&Aだけでなく、資金調達・第二創業支援・会社売却後の税金対策・資産運用など、コンサルティングサービスをトータルで行う点が特徴です。

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10. まとめ

まとめ

本記事では、IT・ソフトウェア業界のM&A動向や、案件事例などについて解説しました。最後に、本記事の内容を簡単にまとめます。

IT・ソフトウェア業界のM&Aは件数・金額ともに上昇し、海外M&Aも活発です。人材や技術の獲得競争が激しいことや、IoT・FinTechなどIT技術の需要があらゆる分野で高まっていることが主な理由です。

ITソフトウェア業界のM&Aでは、優秀な人材や必要な技術を獲得しながら流出させないようにする必要があります。そのためには、入念なデューデリジェンスやPMI(統合プロセスのマネジメント)が重要です。

IT・ソフトウェア業界のM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください

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