IT・ソフトウェア業界のM&A動向!案件事例15選や仲介会社のオススメも紹介!

IT・ソフトウェア業界のM&Aは近年活性化しており、件数・金額共に伸びています。本記事では、IT・ソフトウェア業界のM&Aについて、メリット・デメリットや近年のM&A動向を解説します。また、M&Aの事例やおすすめの仲介会社も併せてご紹介します。


目次

  1. IT企業とは
  2. ソフトウェア業界とは
  3. IT・ソフトウェア業界の動向
  4. IT・ソフトウェア業界M&Aのメリット
  5. IT・ソフトウェア業界M&Aのデメリット
  6. IT・ソフトウェア業界のM&A価格相場
  7. IT・ソフトウェア業界の技術トレンド
  8. IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選!
  9. IT・ソフトウェア業界のM&Aにオススメの仲介会社3選!
  10. まとめ

1. IT企業とは

IT企業とは

IT企業とは、コンピューターやインターネットを活用して製品やサービスを開発・提供する企業のことです。

IT企業には大きく分けて、ハードウェアを開発する企業、ソフトウェアを開発する企業、ソフトウェアを活用してWEBサイトなどのサービスを作成する企業、通信網などのインフラを提供する企業があります。

ハードウェアとは、PCやスマホのような機器のことで、ソフトウェアとはOSやアプリケーションなどを指します。

2. ソフトウェア業界とは

ソフトウェア業界とは

ソフトウェアとは、PCやスマホなどのコンピューター機器の中で動く、OS(オペレーティングシステム)やアプリケーションのようなプログラムのことです。

PCのOSにはWindowsやmacOS、スマホであればiOSやAndroidなどがあります。ソフトウェアには、上記のような個人向けのソフトウェアや、企業向けのソフトウェアがあります。

企業向けのソフトウェアには、社員の業務を管理するソフトウェアや顧客を管理するソフトウェアなどがあり、企業の要望に応じてさまざまなソフトウェアが開発されています。このようなソフトウェアのシステム開発を行う分野を、ソフトウェア業界と言います。

3. IT・ソフトウェア業界の動向

IT・ソフトウェア業界の動向

IT・ソフトウェア業界における近年の動向は以下のようになっています。

  1. M&Aが増加傾向にある
  2. 海外への展開も拡充
  3. 業界として需要が増加
  4. 都心から地方への流れが活性化
  5. 技術者が不足している

動向①M&Aが増加傾向にある

調査会社レコフデータによると、日本の2018年M&A総額は過去最高となりました。また、2018年のIT・ソフトウェア業界のM&A件数は、全業界中トップとなっています。

IT・ソフトウェア業界のM&Aが増加している主な理由として、人材や技術の激しい争奪戦があります。現在日本のIT・ソフトウェアに関わる人材不足は深刻で、政府も対策動いているほどです。

また、ソフトウェアなどのシステム開発を自社でゼロから行うよりも、M&Aによって権利を手に入れることで、速いスピードで成長することができます。

動向②海外への展開も拡充

調査会社レコフによると、日本の海外M&Aは件数・金額ともに過去最高となっています。IT・ソフトウェア業界の海外M&Aを牽引したのはソフトバンクグループで、M&Aの金額で上位にランクインしています。

また、IT・ソフトウェア業界大手企業の多くが、海外M&Aも含めた海外展開の強化を掲げています。IT・ソフトウェア業界が海外M&Aに力を入れる理由の1つとして、GAFAによるIT・ソフトウェア業界のシェア寡占化があります。

GAFAとは、Google、Amazon.com、Facebook、Apple Inc.の頭文字を取った名前です。現在IT・ソフトウェア業界はこれら4大企業の力が強く、日本国内のIT・ソフトウェア企業が立ち向かうには海外展開が必要です。

また、高度な技術や優秀な人材を獲得するためにも、海外展開が必要となっています。

動向③業界として需要が増加

IT・ソフトウェア業界への需要は年々高まっています。2017年度のIT・ソフトウェア業界上位30社の売上高は、2016年度と比べて9.1%の増収となっています。

2017年度のIT企業売上高ランキングでは、1位がNTTデータで前年同期比22.2%の増収、2位が大塚商会で7.4%の増収と、好調です。特にNTTデータは2位の大塚商会に大きな差をつけています。

需要が増加している理由として、IoT(モノのインターネット)の普及やFinTech(金融分野のインターネット技術)、ビッグデータの活用、クラウドサービスの増加などが挙げられます。

2019年以降は上記に加えて、キャッシュレス決済や仮想通貨のさらなる普及、自動運転の進化などが、IT・ソフトウェア業界のさらなる需要増加につながる見込みです。

動向④都心から地方への流れが活性化

IT・ソフトウェア業界の近年の動向として、地方に本社を移転したり、サテライトオフィスを置いたりする企業が増加中です。企業誘致のために助成金を設ける地方自治体も増えています。

テレビ会議やチャットアプリによるコミュニケーション、クラウドによる開発環境など、IT・ソフトウェア業界は他業界に比べてオンライン上で仕事が完結する部分が多いので、地方でも業務が可能です。

IT・ソフトウェア業界の今後の動向としては、海外も含めて働く環境に左右されない働き方がさらに進化していくでしょう。

動向⑤技術者が不足している

経済産業省によると、ITエンジニアは2020年に約30万人不足するとされています。技術者が不足している理由として、スマホやIoT、FinTechのように、インターネット技術が生活のあらゆるところに使われるようになった点が挙げられます。

また2つめの理由は、システム開発やアプリケーション開発などの技術が、速いスピードで変化している点があり、技術についていけない技術者が離脱する要因にもなっています。他にも、IT・ソフトウェア業界の労働環境にも原因があります。

システム開発の現場は、何重もの下請けに仕事を依頼する、ピラミッド構造になっています。そのため、下に行くほど仕事が過酷な割に給料が安い、システム開発のスキルアップができないという事態になっています。

近年では、システム開発からWebアプリケーション開発に働く場所を変える動きも見られます。下請けのシステム開発は、完成品が見えにくい、顧客の顔が見えないなど、やりがいの低さからIT・ソフトウェア業界の他分野や、他業界への転職動向が活発です。

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4. IT・ソフトウェア業界M&Aのメリット

IT・ソフトウェア業界M&Aのメリット

IT・ソフトウェア業界でのM&Aには以下のメリットがあります。

  1. 有能な技術者を獲得
  2. 技術を獲得する事によるシナジー効果
  3. 経営者は譲渡益や後継者問題の解決
  4. 従業員は安定した雇用を維持

①有能な技術者を獲得

IT・ソフトウェア業界のM&Aでは、エンジニアの獲得が大きな意味を持ちますが、ベンチャー企業は優秀な技術者の獲得に苦労しています。

どれだけ将来性のあるビジネスモデルがあっても、形にできるエンジニアがいなければ事業を成長させることはできません。しかし現状、IT・ソフトウェア業界で必要とされている技術を持ったエンジニアの数は限られています。

そのため、エンジニアを獲得することがM&Aの大きな目的の1つとなります。しかしIT・ソフトウェア業界は他業界に比べて人材の流動性が高いので、流出には気を付けなければなりません。

②技術を獲得する事によるシナジー効果

IT・ソフトウェア業界では、技術分野が多岐に渡るため、開発を外注するケースが多くあります。特に大企業のシステム開発では、自社でシステム開発した方が速かったとしても、慣例として下請けに外注することもよくあります。

しかしシステム開発を外注すると、予算の増大や開発の遅れ、トラブル対応の遅れなどが発生します。また、一般的にITベンチャー企業は開発を外注していると成長が難しいとも言われます。

M&Aによって技術を自社や自社グループ内で完結できるようにすることで、上記の問題を解決し、シナジー効果を得ることが可能です。

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③経営者は譲渡益や後継者問題の解決

近年は日本のIT・ソフトウェア業界のM&Aでも、経営者がイグジット目的で会社を売却・譲渡するケースが増えてきました。

経営者は会社を売却・譲渡することで譲渡益を得て、その譲渡資金で新しく事業を始めたり、セミリタイア生活を送ったりできます。また、事業は売却先の企業が引き継いでくれるので、後継者となる経営者を探す必要もありません。

このようなシリアルアントレプレナーは、アメリカでは既に主流になっていて、米ベンチャー企業の約8割がM&Aで事業を売却・譲渡するイグジットを選択します。

日本のベンチャー企業はまだIPOを目指す経営者が多いですが、今後のベンチャー企業は、M&Aによるイグジットを目指す経営者が増加すると予想されます。

④従業員は安定した雇用を維持

売却・譲渡される側の従業員は、大企業に買収されることによって好条件の待遇が得られる可能性があります。

一般的に会社をM&Aによって買収する際は、従業員の流出を防ぐために、買収先企業の待遇よりも好条件を出すことになります。そのため、売却・譲渡企業の従業員はより安定した雇用を得られることになるでしょう。

しかしIT企業の中には、業界動向に合わせてグループ再編や社内再編を頻繁に行なう企業もあるので、想定外の業務に就く可能性もあります。

5. IT・ソフトウェア業界M&Aのデメリット

IT・ソフトウェア業界M&Aのデメリット

IT・ソフトウェア業界のM&Aには以下のデメリットもあります。

  1. 人材の流出
  2. シナジー効果が伸びない
  3. 債務などをかかえる可能性
  4. 給与や待遇が悪化する可能性

①人材の流出

IT・ソフトウェア業界の平均勤続年数は他業界に比べて短いのが特徴です。

NECや日立製作所・大塚商会などの歴史ある大企業は15年〜20年と長めですが、新卒の就職活動で人気のあるサイバーエージェントや楽天、ディー・エヌ・エーなど上記の企業に比べて新しい企業は、平均勤続年数が5年以下です。

前述したように、IT・ソフトウェア業界は人材の獲得競争が激しい業界です。トレンドの技術を持った人材には高待遇の話が持ちかけられ、大企業、ベンチャー企業関係なく、優秀な人材はより魅力的な企業に移ります。

M&Aで優秀な人材を獲得したとしても、数年のうちに自社を出て行く可能性は想定しておく必要があります。

②シナジー効果が伸びない

IT・ソフトウェア業界の企業には、M&Aで思ったようなシナジー効果が得られずに失敗した事例も多くあります。有名な事例としては、ミクシィやグリー、サイボウズなどがあります。

これらの企業は過去に、主力事業が短期間で大きく成長したものの、成長が鈍化するとM&Aの繰り返しによって事業の多角化を行っています。しかし結局シナジー効果が得られず、M&Aによって手に入れた会社のほとんどを売却・譲渡しました。

上記の企業は現在再び軌道に乗っていますが、M&Aによる事業多角化の失敗によって、そのまま立て直せなくなる企業も存在します。

③債務などをかかえる可能性

M&Aでは株式譲渡を手法として用いることが多いですが、株式譲渡は手続きが簡便な一方、偶発債務などのリスクも引き継ぐ可能性があります。

特にM&A仲介会社などの専門家を通さずにM&Aを行うと、十分なデューデリジェンス(企業調査)をせずに事業を引き継ぐケースも多いので、M&A後に問題が発覚することもあります。

M&Aの際はM&A仲介会社などの専門家を通した方が、結果的にコストとリスクを減らせることになるでしょう。

④給与や待遇が悪化する可能性

メリットで前述したように、売却・譲渡側企業の従業員の待遇は、買収側企業に合わせることが一般的で、人材の流出を防ぐためにも給与水準を上げることが多くなります。

しかし買収企業によっては、給与や待遇が下がることもあるでしょう。また、保有技術が買収先企業にどう評価されるかにもよるので、需要の高い技術は常に身に付けておく姿勢で学び続けなければなりません。

6. IT・ソフトウェア業界のM&A価格相場

IT・ソフトウェア業界のM&A価格相場

M&A価額は、企業価値算定を行ったうえで、最終的には交渉によって価額を決定します。M&A価額の算定方法は、売却企業の時価純資産に、売却企業が今後生み出すであろう収益力や、売却企業のブランド力などを上乗せして算定します。

この上乗せ分のことを「のれん」と言い、のれんを何年分乗せるかは業界によって差がありますが、IT・ソフトウェア業界ののれん代は高くなる傾向にあります。一般的なのれん代は減価償却前営業利益の3年分とされています。

しかし、IT・ソフトウェア業界ののれん代は5年分、6年分といったケースも多く、中には8年分、9年分といったケースもあります。IT・ソフトウェア業界でM&Aを行う際は、少なくとも時価純資産に5年分の減価償却前営業利益を見込んでおいた方が良いでしょう。

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7. IT・ソフトウェア業界の技術トレンド

IT・ソフトウェア業界の技術トレンド

IT・ソフトウェア業界のM&Aではエンジニアの技術力も重要であることを前述しましたが、2019年現在におけるプログラミング言語のトレンド動向は主に以下の3種類です。以下のプログラミングができるITエンジニアはM&Aでも重宝されます。

  1. Python
  2. JavaScript 
  3. Scala

①Python

Python(パイソン)は、AIやIoT関連の開発に使われるプログラミング言語です。需要が高く、今後さらに需要が増していくと予想されます。

プログラミングの文法がシンプルで学びやすい点も人気ですが、AIなどに応用できるレベルでの日本語での専門書は少なめです。今後の需要によっては、学習機会や技術者の急増も見込まれます。

②JavaScript

JavaScript(ジャバスクリプト)は、学びやすさと汎用性の高さが企業からも学習者からも人気があります。JavaScriptは年々応用範囲が広がっていて、JavaScriptの習得を採用条件の1つにしている企業もあります。今後も廃れる可能性の低い言語です。

③Scala

人材関連企業の調査によると、プログラミング言語別の平均年収では、Scala(スカラ)が1位を獲得しています。Scalaを採用する企業は増えていますが、Scalaをかけるエンジニアはまだ多くありません。

そのため希少なScalaエンジニアの年収が高くなっています。エンジニアが少ない理由として、学習コストの高さがあります。

Scalaを身に付けるにはある程度既にプログラミングの知識があることと、それなりの学習時間が必要です。しかし今後のIT業界での需要を考慮すると、苦労して身に付けて損はないプログラミング言語です。

8. IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選!

IT・ソフトウェア業界のM&A案件事例15選

ここからはIT・ソフトウェア業界のM&A事例を15社ご紹介します。

  1. 株式会社メルカリによるM&A
  2. LINE株式会社によるM&A
  3. ソフトバンクグループ株式会社によるM&A
  4. ヤフー株式会社によるM&A
  5. 株式会社NTTデータによるM&A
  6. 株式会社大塚商会によるM&A
  7. 株式会社野村総合研究所によるM&A
  8. 伊藤忠テクノソリューションズによるM&A
  9. SCSKによるM&A
  10. NECによるM&A
  11. スタートトゥデイ(現ZOZO株式会社)によるM&A
  12. KDDI株式会社によるM&A
  13. 楽天株式会社によるM&A
  14. グリー株式会社によるM&A
  15. 株式会社ユーザーベースによるM&A

①株式会社メルカリによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選1

IT・ソフトウェア業界のM&A事例1社目は、株式会社メルカリです。メルカリはフリーマーケットアプリ最大手で、2018年6月には東証マザーズに上場しました。

メイン事業のメルカリは、各カテゴリーの強化やマーケティング、男性ユーザーの獲得によって業績が伸び続けています。

2019年6月期の四半期決算情報によると、アクティブユーザー数は1134万人、流通総額は990億円、売上高は97億円と、いずれも過去最高となる予想です。

一方で海外でのメルカリ事業は伸び悩んでいて、2018年12月にはヨーロッパから撤退、アメリカでは赤字が続いています。

M&Aに関しては、メルカリは2018年10月に、上場後初のM&A契約を締結しています。買収先は、車好きが集まるコミュニティアプリ「CARTUNE」を運営するマイケル株式会社です。

上記のように、メルカリは各カテゴリーの強化と男性ユーザーの獲得に力を入れてきました。女性に比べて男性は発送作業などを面倒がる傾向にあり、メルカリの出品者は女性が中心でした。

CARTUNEのコミュニティとユーザー、ノウハウを手に入れることでメルカリの車カテゴリーを強化し、男性ユーザーの獲得を推進しています。

②LINE株式会社によるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選2

IT・ソフトウェア業界のM&A事例2社目は、LINE株式会社です。LINEは韓国の大手インターネットサービス会社、NAVERの子会社です。主な事業には、メッセンジャーアプリ「LINE」やライブドアブログ、NAVERまとめなどがあります。

主力事業であるLINE関連の業績は順調に推移していて、まだまだ成長のポテンシャルは大きいとLINE株式会社は考えています。

その理由として、海外展開にまだ大きな余地があることと、オンライン決済をはじめとしたFinTech(金融分野のインターネットテクノロジー)の需要が高い点があります。

LINEは、日本でのメッセンジャーアプリシェアは圧倒的な高さですが、外国でのシェアはそれほど高くありません。また、日本でのFinTech分野は国の後押しもあり、これから伸びる分野です。

そのためLINE株式会社では、証券会社や銀行、保険会社と提携して金融サービスを開始している他、仮想通貨を発行したり、決済サービスの「LINEペイ」に力を入れたりしています。

それに合わせて2018年12月には韓国のオンラインセキュリティ研究センターを買収し、FinTech分野をはじめとしたLINEの各種サービスのセキュリティ強化を進めています。

③ソフトバンクグループ株式会社によるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選3

IT・ソフトウェア業界のM&A事例3社目は、ソフトバンクグループ株式会社です。ソフトバンクグループは日本の大手携帯キャリアであり、インターネット関連事業や金融関連事業など、多岐に渡る事業を展開しています。

ソフトバンクグループは、アメリカ携帯キャリアのスプリント買収や、イギリスの半導体設計大手企業ARMホールディングスの買収など、大型買収を続けてきました。

M&Aといえばソフトバンクグループと言えるほど、日本のIT・ソフトウェア業界企業では桁違いの買収・売却額です。しかし現在、国の要請によって携帯キャリア大手各社は携帯料金の大幅な値下げを余儀なくされています。

ソフトバンクグループはこれまで中長期戦略でM&Aを行ってきました。そのため有利子負債は巨額になっています。携帯料金からの収益が大幅に下がる可能性がある中、ソフトバンクグループは近年M&Aでの事業拡大とは別に、ファンドによる収益の獲得を目指しています。

④ヤフー株式会社によるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選4

IT・ソフトウェア業界のM&A事例4社目は、ヤフー株式会社です。ヤフー株式会社はソフトバンクグループの子会社で、ポータルサイト「Yahoo! JAPAN」の運営やネットオークション「ヤフオク!」の運営などを展開しています。

ヤフーはこれまで、オフィス用品を販売するアスクルの買収や、ホテル予約サイト一休の買収、レシピ動画「クラシル」を運営するdelyの買収などで事業の多様化を進めてきました。

また、ソフトバンクグループと共同で決済サービス「PayPay」の普及を進めている他、ネット広告事業やネットショッピング事業が堅調です。

元米ヤフーのアルダバがヤフー株をソフトバンクに全て売却したことで、ソフトバンクとヤフーの関係がより強化されました。2018年12月にはソフトバンクが東証1部上場を果たし、ソフトバンクとヤフーのシナジー効果の高まりが期待されています。

⑤株式会社NTTデータによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選5

IT・ソフトウェア業界のM&A事例5社目は、株式会社NTTデータです。NTTデータは、ソフトウェア・システム開発を行う日本トップクラスのSIer(システムインテグレーター)です。SIerとは、企業のシステムを構築する情報・通信会社のことです。

NTTデータは2018年に創立30周年を迎え、新しい企業理念「Trusted Global Innovator」(信頼されるグローバルイノベーターに)を掲げました。

その企業理念通り、NTTデータは2005年頃からクロスボーダーM&Aを進め、2016年からはさらに海外での買収をを加速させています。

特にドイツ子会社の「itelligence AG」と、イギリスの子会社「英国NTT DATA EMEA Ltd.」による買収を繰り返しています。itelligence社による買収はSAP関連企業に集中しています。

SAPとは、企業の各部門に散らばっているデータを統合し、総合的に管理する「ERPパッケージ」の1つです。

ERPパッケージは開発する企業によって数種類ありますが、ドイツのSAP社が開発するERPパッケージであるSAPが現在最も高いシェアを持っています。NTTデータはSAP関連企業の買収によって、ヨーロッパでのシェア拡大を狙っています。

⑥株式会社大塚商会によるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選6

IT・ソフトウェア業界のM&A事例6社目は、株式会社大塚商会です。大塚商会はIT機器やシステムの導入を行うシステムインテグレーション事業と、導入後のサービス・サポート事業をメインに行なっています。

他にも、大塚商会ではオフィス通販を行っています。2008年には創業200年以上の老舗事務機器メーカーであるライオン事務機を買収し、大塚商会のコア事業に育てています。

また、大塚商会では経営支援サービスを行なっています。大塚商会の経営支援サービスは、大塚商会が中小企業診断士やITストラテジスト、税理士などの社員や外部専門家と協力して、経営改善のアドバイスを無料で行うサービスです。

大塚商会の経営支援サービスには、M&Aや事業承継、IPO、資金調達のアドバイスなどが含まれます。大塚商会は、IT・ソフトウェア業界のノウハウだけでは解決が難しいこれらの課題解決を、経営支援プラットフォームを構築することよって実行しています。

大塚商会がこれまで経営支援サービスを提供してきた企業はIT・ソフトウェア業界に限らず、多岐に渡ります。

⑦株式会社野村総合研究所によるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選7

IT・ソフトウェア業界のM&A事例7社目は、株式会社野村総合研究所です。野村総合研究所はコンサルティングサービスやITソリューションサービスを提供しています。

コンサルティングサービスでは国内だけでなく海外展開行っていて、海外案件比率は3割を超えています。

また、ITソリューションサービスでも、東京証券取引所の売買取引に利用されているシステム開発のうち半分、投資信託販売業務に利用されるシステム開発の8割が野村総合研究所によって行われています。

さらにITソリューションサービスでもグローバル化を推進しています。これら海外展開を進めるため、野村総合研究所は外国に会社を設立したり、外国企業を買収したりしてきました。

2015年にはITソリューション開発などを行う、米企業のブライアリー&パートナーズを買収社しています。

また、2016年6月には米国のコンサル会社、カッターアソシエイツを買収、2016年12月にはオーストラリアのASG社を株式譲渡によって買収するなど、海外M&Aによって事業のグローバル化を進めています。

⑧伊藤忠テクノソリューションズによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選8

IT・ソフトウェア業界のM&A事例8社目は、伊藤忠テクノソリューションズです。伊藤忠テクノソリューションズは東証1部上場のソフトウェア・システム開発を行うSIer(システムインテグレーター)で、大手総合商社である伊藤忠商事の子会社です。

伊藤忠テクノソリューションズは、2016年から2018年まで3年間の中期経営計画を策定し、事業再編や海外参入で事業を成長させてきました。その結果増収増益を達成しています。

2016年から2018年までのM&Aに関しては、2017年4月に子会社であるCTCライフサイエンスの吸収合併を行い、2017年11月にタイでIT・ソフトウェア関連事業を行う「Netband Consulting Co., Ltd.」の株式譲渡による買収などを行っています。

伊藤忠テクノソリューションズは、タイやマレーシア、シンガポールなど、東南アジアでIT・ソフトウェア業界への進出を進めていて、このことも増収増益に貢献しています。

伊藤忠テクノソリューションズは2018年から2020年までの中期経営計画も策定しています。その中で、海外の新しい地域に進出することやグローバル関連ビジネスをさらに成長させることを宣言していることから、クロスボーダーM&Aが加速することも予想されます。

⑨SCSKによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選9

IT・ソフトウェア業界のM&A事例9社目は、SCSKです。SCSKは、大手総合商社である住友商事グループの、ソフトウェア・システム開発を行うSIer(システムインテグレーター)です。

SCSKは、2011年に住友商事と住友情報システムが、システム開発会社の株式会社CSKを株式譲渡によって子会社化し、その後住友情報システムを存続会社としてCSKを吸収合併したことによって誕生しました。

SCSKは中期経営計画で2020年3月期に、既存事業で400億円〜450億円、戦略的事業で50億円〜100億円の営業利益達成計画を推進しています。

そのため、戦略的事業に関しては、新規事業も含めてM&Aで事業を獲得し、中期経営計画達成を目指しています。特に戦略的事業の中核である、車載ソフトウェアの開発と海外への売り込みに注力するため、M&Aを進める計画です。

⑩NECによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選10

IT・ソフトウェア業界のM&A事例10社目は、日本電気株式会社(NEC)です。NECはさまざまな電気機械を製造する大手電機メーカーです。

NECは2018年1月にイギリスのソフトウェア開発会社であるノースゲート・パブリック・サービシズを約710億円で買収しました。

続いて2019年2月末には、デンマークの最大手IT企業であるKMDホールディングスを約1360億円で株式譲渡により買収し、完全子会社とする予定です。

NECは中期経営計画を掲げ、計画の一環として大型のM&A戦略を進めています。また、大幅な人員削減や工場の閉鎖、事業の売却・譲渡なども進行中です。

NECの業績は2001年のITバブル崩壊前にピークを迎え、そこからは事業の売却・譲渡を続けています。半導体事業を売却・譲渡し、プロバイダー事業も売却・譲渡。

2018年には車載用電池事業を売却・譲渡し、11月には照明事業を投資ファンドに売却・譲渡しました。NECは近年控えていたM&Aによる大型買収を上記のように再開し、NECの復活を狙っています。

⑪スタートトゥデイ(現株式会社ZOZO)によるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選11

IT・ソフトウェア業界のM&A事例11社目は、株式会社ZOZOです。ZOZOはオンラインのファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」を運営しています。これまでZOZOは数々のM&Aを行ってきました。

中でも、ブランドの自社EC構築支援を行うアラタナや、ZOZOTOWNの開発運用を行っているZOZOテクノロジーズは、ZOZOグループの成長に欠かせない主要会社となっています。

アラタナは2015年に完全子会社化となってグループ企業入りし、ZOZOテクノロジーズは2018年にグループ会社のスタートトゥディ工務店が、株式会社VASILYと株式会社カラクルを吸収合併して誕生しました。

ZOZOは2021年3月期までの中期経営計画を掲げている他、長期では時価総額5兆円を目標としています。その中核事業としてZOZOはプライベートブランド事業を進めています。

ZOZOスーツやオーダーメイドスーツ事業など、プライベートブランド事業に関わるシステム開発はZOZOテクノロジーズの働きが重要となっています。

⑫KDDI株式会社によるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選12

IT・ソフトウェア業界のM&A事例12社目は、KDDI株式会社です。KDDIはこれまで数多くのM&Aを繰り返してきました。同じ通信キャリアのソフトバンクグループほどのインパクトはありませんが、大規模なM&Aも行っています。

特に2016年度から2018年度までの3年間で5000億円のM&Aを行うと宣言し、実行しています。中でも大きな話題となったのが、IoT(モノのインターネット)の通信プラットフォームを提供するソラコムの買収です。

創業3年目のスタートアップ企業がKDDIに200億円で事業を売却・譲渡してイグジットしたことも話題になりましたが、お互いのシナジー効果がどのように進展していくかにも注目が集まりました。

また、KDDIは教育分野でもM&Aを行っています。2017年には、英会話教室などを運営するイーオンホールディングスを株式譲渡によって買収し、2018年には子どもの仕事体験施設「キッザニア」を運営するKCJグループを株式譲渡によって買収しました。

KDDIは教育分野にAIやBR、5Gなどの技術を用いることで、シナジー効果を見込んでいます。

⑬楽天株式会社によるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選13

IT・ソフトウェア業界のM&A事例13社目は、楽天株式会社です。IT・ソフトウェア業界でM&Aといえば、ソフトバンクグループか楽天かというくらい、楽天はM&Aを積極的に行っています。

楽天はEC関連企業のM&Aで事業を拡大してきましたが、近年はEC業界以外のM&Aを中心に進めています。特に金融業界のM&Aに積極的で、楽天の収益の多くを金融関連が占めるようになってきました。

2018年には朝日火災海上保険(現在は楽天損害保険)を株式譲渡によって完全子会社化し、さらにペット保険の「もっとぎゅっと少額短期保険」(現在は楽天少額短期保険)を株式譲渡によって完全子会社化しています。

他にも仮想通貨取引所の「みんなのビットコイン」を株式譲渡によって買収し、仮想通貨取引所へ参入しています。EC業界はAmazonの1強状態で、楽天市場で収益を伸ばすのは厳しい現状から、楽天はM&Aによって急速に事業の多角化を進めています。

⑭グリー株式会社によるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選14

IT・ソフトウェア業界のM&A事例14社目は、グリー株式会社です。グリーはソーシャルゲームで急成長したものの、スマホの流れに乗ることができず業績を大幅に下げました。また、海外でのゲーム事業を売却し撤退することとなるなど、苦戦が続きました。

ソーシャルゲームに代わる収益源を求めてゲーム以外の事業を行う会社を立て続けにM&Aによって買収したものの、その後売却・譲渡することになっています。

現在は事業の売却・譲渡などのグループ再編によって経営体質を改善中で、ゲーム事業、ライブエンターテインメント事業、メディア事業などを中心に経営しています。

ゲーム事業では、スマホ向けゲームでスマッシュヒットタイトルが出てきたり、再び海外展開を強化したりしています。

また、グリーはライブエンターテインメント事業を次の主力事業と位置付けて、VTuber(架空のキャラクターを使ったYouTuber)事業に巨額の投資を行っています。

⑮株式会社ユーザベースによるM&A

IT・ソフトウェア業界のM&Aの案件事例15選15

IT・ソフトウェア業界のM&A事例15社目は、株式会社ユーザベースです。ユーザベースはソーシャルニュースアプリ「NewsPicks」の運営や、法人向けの企業情報プラットフォーム「SPEEDA」の運営などを行っています。

NewsPicksは多くのインテリジェンス層から受け入れられ、活用されています。また、SPEEDAは多くの大手企業に導入されるなど、企業情報プラットフォームとして高い信頼を得ています。

ユーザベースはこの2事業で業績を急速に伸ばし、IT・ソフトウェア業界以外でも注目を受けています。

さらに、2018年7月にはアメリカの経済系WEBメディアであるQuartzを買収しました。ユーザベースはQuartzを買収することによって、NewsPicksの海外展開を計画しています。

9. IT・ソフトウェア業界のM&Aにオススメの仲介会社3選!

IT・ソフトウェア業界のM&Aにオススメの仲介会社3選

現在数多くのM&A仲介会社があり、それぞれに得意分野を持っています。中でもIT・ソフトウェア業界に強みを持つ、おすすめのM&A仲介会社を3社ご紹介します。

  1. M&A総合研究所
  2. 早稲田M&Aパートナーズ
  3. かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社

①M&A総合研究所

IT・ソフトウェア業界のM&Aにオススメの仲介会社①

1社目はM&A総合研究所です。M&A総合研究所は、通常半年から1年以上かかるM&Aを、3ヶ月から半年でクロージングまで完了させます。スピードを求められるIT・ソフトウェア業界に向いています。

また、M&A総合研究所では、独自のAIシステムを活用したマッチングプラットフォームを運営しています。マッチングプラットフォームの利用料は、国内初の売り手・買い手双方が完全無料となっています。

報酬体系も、着手金、中間報酬無料、成功報酬は業界最安水準と、シンプルです。相談も無料なので、まずはお気軽にご相談ください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所

②早稲田M&Aパートナーズ

IT・ソフトウェア業界のM&Aにオススメの仲介会社②

早稲田M&Aパートナーズでは、ネットベンチャー・IT関連のベンチャー企業に特化したM&A仲介を行なっています。代表取締役自身がIT関連の新規事業立ち上げに携わった経験から、独自のノウハウやネットワークを持っている点が強みです。

また、中心メンバーも起業経験があり、ベンチャー起業家の気持ちをよく理解することができます。早稲田M&Aパートナーズでは、ベンチャー企業の企業価値を算定するオンライン価値算定システムを提供しています。

このシステムにより、算定が難しいベンチャー企業の無形資産を客観的にオンラインで算出できます。

③かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社

IT・ソフトウェア業界のM&Aにオススメの仲介会社③

かえでファイナンシャルアドバイザリーは、中堅・中小企業へのM&Aを含めたコンサルティング業務を行っています。またクロスボーダーM&Aにも対応していて、海外にネットワークがあります。

さらにベンチャー企業のM&Aは2005年以来250件以上成約実績があり、近年のM&Aによるイグジット需要から、ベンチャー企業からの相談が急増しています。

ベンチャー企業へのサポートはM&Aだけでなく、資金調達、第2創業支援、会社売却後の税金対策や資産運用など、トータルなコンサルティングサポートを行なっている点が特徴です。

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10. まとめ

まとめ

本記事では、IT・ソフトウェア業界のM&A動向や、案件事例などについて解説してきました。最後に、本記事の内容を簡単にまとめます。

IT・ソフトウェア業界のM&Aは件数・金額共に上昇していて、海外M&Aも活発になっています。人材や技術の獲得競争が激しいことや、IoT、FinTechなど、IT技術の需要があらゆる分野で高まっていることが理由として挙げられます。

IT・ソフトウェア業界のM&Aには以下のメリットがあります。

  1. 有能な技術者を獲得
  2. 技術を獲得する事によるシナジー効果
  3. 経営者は譲渡益や後継者問題の解決
  4. 従業員は安定した雇用を維持

特に優秀な人材の獲得は事業の成長を大きく左右します。

また、以下のデメリットもあります。
  1. 人材の流出
  2. シナジー効果が伸びない
  3. 債務などをかかえる可能性
  4. 給与や待遇が悪化する可能性
IT・ソフトウェア業界のM&Aでは、人材の流出に細心の注意が必要です。

本記事では以下のM&A事例についてご紹介しました。
  1. 株式会社メルカリによるM&A
  2. LINE株式会社によるM&A
  3. ソフトバンクグループ株式会社によるM&A
  4. ヤフー株式会社によるM&A
  5. 株式会社NTTデータによるM&A
  6. 株式会社大塚商会によるM&A
  7. 株式会社野村総合研究所によるM&A
  8. 伊藤忠テクノソリューションズによるM&A
  9. SCSKによるM&A
  10. NECによるM&A
  11. スタートトゥデイ(現ZOZO株式会社)によるM&A
  12. KDDI株式会社によるM&A
  13. 楽天株式会社によるM&A
  14. グリー株式会社によるM&A
  15. 株式会社ユーザーベースによるM&A

ITソフトウェア業界のM&Aは、優秀な人材や必要な技術を獲得し、それらを流出させないようにすることが必要です。そのためには、入念なデューデリジェンスや、PMI(統合プロセスのマネジメント)が重要となります。

IT・ソフトウェア業界のM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。

 

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