薬価改定(2019年)で調剤薬局のM&Aが加速?影響と将来予測

調剤薬局は、数ある業種のなかでも特にM&Aが活性化している業界です。薬価改定(2019年)の影響もあり、さらに大きな動きをみせようとしています。本記事では、薬価改定(2019年)の調剤薬局のM&Aへの影響と将来予測について解説します。


目次

  1. 2019年度の薬価改定の内容
  2. 薬価改定(2019年)による調剤薬局への影響
  3. 薬価改定(2019年)で調剤薬局のM&Aが加速したのか?
  4. 薬価改定(2019年)による調剤薬局の将来予測
  5. 調剤薬局をM&Aする際のやり方
  6. 調剤薬局をM&Aする際におすすめの相談先
  7. まとめ

1. 2019年度の薬価改定の内容

2019年度の薬価改定の内容

2019年10月の消費税率10%への引上げの対応で薬価改定が行われました。改定対象の医薬品数は1万6,510品目(内用薬1万201品目、注射薬3,874品目、外用薬2,407品目、歯科用薬剤28品目)であり、うち6,121品目が薬価引上げされています。

ただ、2020年4月に通常の診療報酬改定が控えていたこともあり、影響を大きくしすぎないため「改定前薬価の108分の110を乗じた額を上回らない」という規定が設けられています。

このような経緯もあり、薬剤費ベースにおける消費税対応分は1.95%となり、増税分の2%を下回る結果になりました。

2. 薬価改定(2019年)による調剤薬局への影響

薬価改定(2019年)による調剤薬局への影響

薬品の販売価格は国が定めているため、調剤薬局の意思で価格設定することができません。しかし、消費税の引き上げにより薬品卸業者からの仕入れ値は増加することになるため、調剤薬局は丸々2%分の負担を被ることになります。

その負担を軽減するために実施されたのが、薬価改定(2019年)による薬価引き上げです。しかし、実際には引き下げ品目数の方が多く、薬剤費ベースで-2.4%の改定率です。

増税による仕入れ値の負担増加と薬価改定(2019年)による販売価格の引き下げが重なったことで、調剤薬局の業績への悪影響は計り知れないものとなっています。

3. 薬価改定(2019年)で調剤薬局のM&Aが加速したのか?

薬価改定(2019年)で調剤薬局のM&Aが加速したのか?

多くの調剤薬局に影響を与えることになった薬価改定(2019年)ですが、M&Aにおいても大きな動きをみせ始めています。

従来の調剤薬局のM&A事情は、後継者問題を抱えた個人営業の薬局によるM&A売却がほとんどです。買い手側にとっても、店舗数の増加は薬品の大量仕入れによる原価の抑制や、エリア拡大による業績向上が図れるのでM&Aが活性化しています。

もともとM&Aが活発な業界にとって、薬価改定の影響は大きくなると予想されています。薬剤費ベースで-2.4%の改定率が行われたことで、調剤薬局の業績は悪化するとみられており、それに伴い調剤薬局のM&Aが増加する見方がされています。

【関連】調剤薬局のM&A動向!売却事例20個から見る相場とおすすめ仲介会社10選!

4. 薬価改定(2019年)による調剤薬局の将来予測

薬価改定(2019年)による調剤薬局の将来予測

薬価改定(2019年)は、薬品業界や医療業界に大きな影響を与えています。特に調剤薬局は直接的なダメージが大きく、業界全体で大きな動きが起こると予測されています。

【薬価改定(2019年)による調剤薬局の将来予測】

  1. 市場成長が頭打ちの状態が続く
  2. 新規の調剤薬局が増加傾向
  3. 事業拡大に伴うM&Aが増加
  4. 医療費削減の政策による収益の減少
  5. 深刻な薬剤師不足・後継者不足

1.市場成長が頭打ちの状態が続く

日本の少子高齢化に伴い、薬品業界の需要は高まり続けています。しかし、今回の薬価改定(2019年)による調剤薬局の利益率減少はダメージが大きく、業界全体の業績低下は避けられません。

調剤薬局の需要は高まる一方で、業績向上も見込みづらいという状態が続くことになるため、調剤薬局の市場成長は頭打ちの状態が続くと予測されています。

市場成長が頭打ちになった業界の打開策は、海外進出やM&Aによる事業規模の拡大が一般的です。体力のある大手による海外進出や、国内の同業種によるM&Aが増加するとみられています。

2.新規の調剤薬局が増加傾向

調剤薬局業界は、医薬品卸やドラッグストアなどの薬品業界の他業種による調剤薬局事業の強化を目的としたM&Aが増加しています。

また、完全に異業種からの新規参入や薬品事業強化のM&Aも多く見受けられます。石油・LPガス会社のカメイによるM2メディカルの買収や、介護事業のロングライフホールディングスによる調剤薬局事業の買収などがあります。

異業種の新規参入でゼロから調剤薬局を新規開業する手間は計り知れないため、M&Aにより既存の薬局を買収することで、最小限の手間で調剤薬局事業参入を図る企業が増加しています。

薬品事業の高まりに応じて新規参入は継続的に行われています。薬価改定(2019年)というマイナス要素がありましたが、今後も異業種からの参入により調剤薬局業界全体で競争が激化すると予測されています。

3.事業拡大に伴うM&Aが増加

調剤薬局の市場成長が頭打ちと予測されるなか、自社の成長を遂げるためにM&Aによる薬局買収で事業拡大を図る動きが加速しています。

調剤薬局は薬品の販売価格が国の政策で決定されます。薬品の価格でライバル店と競争することができないため、消費者に対するアプローチは薬局の立地が大きな要素となります。

M&A買収により店舗数を増加させると、手早くエリアを拡大させることができます。より広範囲のエリアを抑えることで効果的な業績向上を図ることが可能です。

4.医療費削減の政策による収益の減少

2019年度の国民医療費は約43兆円にまで跳ね上がっています。日本の年間国家予算は約100兆円の約半分に届く勢いとなっており、医療費削減を推進する動きが年々強まりつつあります。

2年に1度の診療報酬改定は、3回連続でマイナス改定となっています。医科・歯科・調剤の人件費自体は引き上げられていますが、薬価を含めた全体ではマイナスとなっているため調剤薬局自体の収益は減少し続ける可能性が高いでしょう。

また、これまで2年に一度であった診療報酬改定の頻度が1年に一度に変更されたことも不安要素の一つです。毎年行われる改定により、薬品業界全体の業績が大きく変動することになります。

今後も医療費削減の政策が推進されていくと、医療業界はもちろんのこと、調剤薬局にとっても厳しい状況になると予測されています。

5.深刻な薬剤師不足・後継者不足

薬剤師の数自体は年々増加していますが、調剤薬局やドラッグストアなどの店舗数が増加しているため、供給よりも需要が上回っている状態が続いています。

調剤薬局には薬剤師の常駐が義務付けられており、最低でも1店舗あたり1人の薬剤師が必要になるため、薬剤師はまだまだ不足しているといえます。

また、調剤薬局の後継者不足も深刻化しています。特に調剤薬局は個人営業の比率が高いため、後継者不足が原因でM&A売却するケースが多いです。

今回の薬価改定(2019年)がマイナス要素になり、さらに後継者不足が加速する恐れもあります。薬剤師や後継者が不足した調剤薬局によるM&A売却が増加するとみられています。

5. 調剤薬局をM&Aする際のやり方

調剤薬局をM&Aする際のやり方

調剤薬局のM&Aは、まずM&A全体の流れを把握しておくことが大切です。この章では、調剤薬局をM&Aする際のやり方を解説します。

【調剤薬局をM&Aする際のやり方】

  1. 相談先の選定
  2. M&A先の選定・交渉
  3. 基本合意書の締結
  4. デューデリジェンスの実施
  5. 最終契約書の締結
  6. クロージング

1.相談先の選定

M&Aは各工程で専門的な知識が必要になるので、M&Aの専門家のサポートが欠かせません。まずは信頼することができる相談先を選定することから始めます。

調剤薬局のM&Aにおいて相談先に求める点は、「調剤薬局業界に精通していること」と「M&Aの専門的な知識を有していること」です。

この2点を満たしている専門家を選定したら、アドバイザリー契約を締結して、具体的なM&A戦略策定へと移行します。

2.M&A先の選定・交渉

M&A戦略策定が完了して全体のスケジュールが確定したら、M&A先の選定へと移ります。相談先の専門家が保有するネットワークを活用して、調剤薬局のM&A先を探します。

知り合いや取引先などの独自の繋がりを活用する方法もありますが、情報漏洩リスクが高まってしまうため、M&A先選定は専門家に任せるほうがよいでしょう。

M&A先の選定が終わったら交渉へと移ります。売り手側は調剤薬局の状態が分かる資料を提供して、買い手側は検討を行います。

M&Aに対して前向きの意向を示した場合は、双方の経営陣が顔合わせをするトップ面談を行います。トップ面談は、M&Aに求める条件の確認や疑問点を解消するための場となっています。

3.基本合意書の締結

基本合意書とは、売り手と買い手の合意条件を記載する契約書です。M&Aの譲渡価格なども記載されますが、今後の交渉やデューデリジェンス次第で変更される可能性があります。

基本合意書は契約書ではありますが、あくまでも現段階までの交渉内容の整理と今後のスケジュールを確定させる意味合いが強くなっています。法的な効力は伴わないため、基本合意書を締結してもM&A交渉が確定したことにはなりません。

ただし、独占交渉権や秘密保持などの条項に関しては法的な効力を持たせることが一般的です。契約違反した場合は、相応の罰則を受けることになるため注意しなくてはなりません。

【関連】M&Aにおける基本合意書とは?目的、書き方、注意点を解説【見本あり】

4.デューデリジェンスの実施

デューデリジェンスとは、M&A対象の価値・リスクを把握するための企業調査です。買い手側が選定した専門家によって、税務・財務・法務などのあらゆる観点から調査が行われます。

基本合意書に記載したM&Aの譲渡価格が適切であるかどうか判断する意味合いが強くなっています。デューデリジェンス期間中は買い手側より資料請求されることがありますので、事前に用意しておくと円滑に進めやすくなります。

デューデリジェンスの期間についてはM&Aの規模によって大きく変化します。調剤薬局の店舗数が多い場合、調査範囲が広がるため調査にかける時間も長引くことになります。

【関連】M&Aでのデューデリジェンス(DD)の手続き方法!DD項目別に注意点も解説!

5.最終契約書の締結

デューデリジェンスで大きな問題が見つからなかった場合は、最終契約書の締結です。基本合意書にデューデリジェンスの結果を反映して最終的な交渉内容について合意契約します。

最終契約書に記載されるものは最終的な内容になるため、すべての条項において法的な効力を持ちます。
つまり、締結した時点でM&A交渉が成立することを意味します。

最終契約書の締結後は、契約違反や一方的な契約解除を行うと損害賠償問題に発展する恐れもあります。契約内容に不備がないかどうか、契約前に十分にチェックしておくことが大切です。

記載されている条項について内容が分からない場合は、事前に相談先の専門家に詳細を聞いておくとよいでしょう。疑問を解消しておくことで万全の体制で交渉に臨むことができます。

6.クロージング

クロージングとは、売り手側の引き渡しと買い手側の取得対価の支払いを行う場です。最終契約書に記載したクロージング条件を売り手と買い手の双方が満たしたうえで実施されます。

一般的に、最終契約書の締結から一定期間を空けた後に実施しますが、双方の準備が整っている場合は最終契約書の締結日にクロージングすることもあります。

最終契約書の内容に沿った形でクロージングを行ったら、調剤薬局のM&Aの流れはすべて完了となります。

【関連】調剤薬局をM&A・売却・事業譲渡するには?ポイント、手法や手続きについて解説!

6. 調剤薬局をM&Aする際におすすめの相談先

調剤薬局をM&Aする際におすすめの相談先

調剤薬局のM&Aは、業界に精通している専門家のサポートが必要不可欠です。M&Aの成功率を最大限に高めるためにも、M&Aの専門家であるM&A仲介会社に相談することをおすすめします。

その際は、ぜひM&A仲介会社であるM&A総合研究所にご相談ください。中堅・中小規模のM&A案件を中心に扱っているM&A総合研究所では、経験豊富なM&Aアドバイザーが専任となって調剤薬局のM&Aサポートを行います。

過去のM&A仲介・相談で培ったノウハウを活用したスピード成約も特徴です。一般的なM&Aは半年から1年前後かかることが多いですが、M&A総合研究所のM&Aサポートは成約まで最短3ヵ月です。

料金体系は完全成功報酬制を採用しています。調剤薬局のM&Aが完了した時点で成功報酬が発生するようになっているので、確かな成果がでるまでM&A手数料がかかることはありません。

調剤薬局のM&Aに関する無料相談は24時間お受けしています。調剤薬局のM&Aをご検討の際は、お気軽にM&A総合研究所までご連絡ください。

調剤薬局のM&A・事業承継ならM&A総合研究所
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7. まとめ

まとめ

薬価改定(2019年)による調剤薬局への影響や将来予測についてみてきました。調剤薬局は薬価を自由に決定することができないため、国の政策次第で業績が大きく変動するというデメリットがあります。

今回の薬価改定でも急激に業績が悪化する調剤薬局が増加する危険性があり、M&Aが加速するとみられています。調剤薬局のM&Aを検討する際は、専門家に相談して入念に計画を策定するなどの対策が必要になるでしょう。

【薬価改定(2019年)による調剤薬局への影響】

  • 調剤薬局の業績低下の恐れがある
  • 調剤薬局のM&Aが増加する可能性が高い

【薬価改定(2019年)による調剤薬局の将来予測】
  1. 市場成長が頭打ちの状態が続く
  2. 新規の調剤薬局が増加傾向
  3. 事業拡大に伴うM&Aが増加
  4. 医療費削減の政策による収益の減少
  5. 深刻な薬剤師不足・後継者不足

【調剤薬局をM&Aする際のやり方】
  1. 相談先の選定
  2. M&A先の選定・交渉
  3. 基本合意書の締結
  4. デューデリジェンスの実施
  5. 最終契約書の締結
  6. クロージング

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