株式譲渡制限会社(非公開会社)とは?監査役の要否、取締役の人数、増資を解説

株式を自由に売買できないよう制限する株式譲渡制限会社(非公開会社)は、主に中小零細企業でよく使われる形態です。本記事では、株式譲渡制限会社(非公開会社)について、その定義やメリット・デメリット、監査役の設置や取締役の人数などを解説します。


目次

  1. 株式譲渡制限会社(非公開会社)とは
  2. 株式譲渡制限会社(非公開会社)のメリット
  3. 株式譲渡制限会社(非公開会社)のデメリット
  4. 株式譲渡制限会社(非公開会社)における監査役の要否
  5. 株式譲渡制限会社(非公開会社)の取締役の人数
  6. 株式譲渡制限会社(非公開会社)の増資
  7. 株式譲渡制限会社(非公開会社)のM&Aにおすすめの相談先
  8. まとめ

1. 株式譲渡制限会社(非公開会社)とは

株式譲渡制限会社(非公開会社)とは

株式譲渡制限会社(非公開会社)は、中小企業に多くみられる形態です。株式譲渡制限会社(非公開会社)にするか公開会社にするかは自由に選ぶことができるため、意味やメリット・デメリットを理解して自社に適した形態を選択する必要があります。

この章では、株式譲渡制限会社(非公開会社)の定義、株式譲渡制限会社(非公開会社)にするための要件について解説します。

株式譲渡制限会社(非公開会社)の定義

自社の発行株式を自由に売買することができない会社を株式譲渡制限会社(非公開会社)といい、株式譲渡制限会社(非公開会社)が自社の株式売買を行う際は、取締役会や株主総会における承認が必要になります。

上場企業の場合、株式市場を通して不特定多数の人が株式を売買できますが、株式譲渡制限会社(非公開会社)ではこういったことはできません。

では、株式譲渡制限会社(非公開会社)は非上場企業と同じ意味かというとそうではなく、非上場企業でも定款で定めておけば株式を自由に売買することができます。

定款に定めがある場合は公開会社に分類され、公開会社と株式譲渡制限会社(非公開会社)の違いは、定款に株式譲渡制限を記載するか否かという点です。

株式譲渡制限会社(非公開会社)は、定款の書き換えを行うことによって、公開会社へ変更することができます。

なお、一部株式を譲渡制限対象とする場合は公開会社に分類され、全株式に譲渡制限をかけた場合のみ、株式譲渡制限会社(非公開会社)と呼ばれます。

株式譲渡制限会社(非公開会社)の要件

株式譲渡制限会社(非公開会社)にするための要件は特になく、定款に全株式についての譲渡制限の旨を記載しておけば、資本金の額や従業員数などの要件に関わらず、株式譲渡制限会社(非公開会社)にすることができます。

2. 株式譲渡制限会社(非公開会社)のメリット

株式譲渡制限会社(非公開会社)のメリット

株式譲渡制限会社(非公開会社)を選択することには、いったいどのようなメリットがあるのでしょうか。この章では、公開会社と比較した場合の株式譲渡制限会社(非公開会社)のメリットについて解説します。

【株式譲渡制限会社(非公開会社)のメリット】

  1. 役員の任期が10年まで延長可能
  2. 取締役会を設置する義務はない
  3. 株主総会の招集手続きを簡略にできる
  4. 取締役・監査役の資格を限定する事が可能
  5. 売渡請求権により株の分散を防ぐことができる

1.役員の任期が10年まで延長可能

1つ目のメリットとしては、取締役・監査役など自社の役員任期を延長できることが挙げられます。公開会社の場合、取締役の任期は2年、監査役は4年ですが、株式譲渡制限会社(非公開会社)は定款に定めることによりで最大10年まで延長することが可能です

公開会社でも再任すれば長く役員を務めることは可能ですが、再任のためには株主総会を開かねばならないため費用と手間がかかります。

中小企業では役員が頻繁に交代することは少ないので、公開会社にしてしまうと再任手続きが無駄な手間になってしまいます。

株式譲渡制限会社(非公開会社)であれば、定款で任期を長く定めておくことで再任のための余計な手間とコストを省くことができます

2.取締役会を設置する義務はない

公開会社では取締役会を設置する義務がありますが、取締役会は取締役が3名以上、監査役・会計参与が1名以上が必要とされているため、人数の少ない中小零細企業では設置するのが難しいことがあります。

株式譲渡制限会社(非公開会社)には取締役会を設置する義務がないので、取締役が1人であっても問題ありません。また、取締役会を設置したい場合は、任意で設置することができます。

取締役会を設置しない場合、会社の経営に関する重要な決定事項は株主総会で決議することになります。ただし、中小零細企業では株主が経営者やその家族のみという場合も多いので、株主総会も事実上省略されることもあります。

このように、取締役会を非設置にすることで余計な手間を省けるのは、株式譲渡制限会社(非公開会社)のメリットのひとつといえるでしょう。

3.株主総会の招集手続きを簡略にできる

株式譲渡制限会社(非公開会社)は、公開会社に比べて株主総会の招集手続きを簡略化することができます。

公開会社では、株主総会開催の2週間前までに株主へ開催の旨を通知する必要がありますが、株式譲渡制限会社(非公開会社)では1週間前でよいと定められています。

さらに、定款に定めることでさらに短い期間を設定することもでき、書面での通知を省略して口頭で伝えることも認められています

株主数が非常に少ない中小零細企業の場合、株主総会を開催する直前に口頭で招集をかけるといったことも可能であり、実際多くの中小零細企業でこういった形式がとられています。

【関連】子会社を売却する理由とは?株主総会、社員の処遇を解説

4.取締役・監査役の資格を限定する事が可能

株式譲渡制限会社(非公開会社)では、定款で定めることによって、取締役・監査役になる資格を限定することができます

取締役・監査役になる人を株主に限らせるケースが多く、これを定めることにより、余計な人が経営に口出しするのを防ぐことができます。

5.売渡請求権により株の分散を防ぐことができる

売渡請求権とは株式を強制的に売り渡させる権利であり、株式譲渡制限会社(非公開会社)は売渡請求権を定款で定めることができます

売渡請求権は完全子会社化や少数株主の排除などに使われますが、中小零細企業において重要となるのは相続による株主の分散防止です。

相続で株主が分散してしまうと、会社にとって都合の悪い人が経営権を持ってしまう可能性がありますが、売渡請求権を行使すれば経営権を経営者に集中させることができます。

【関連】株式譲渡はどんなメリットのある手続き?必要資料や成功の秘訣も紹介

3. 株式譲渡制限会社(非公開会社)のデメリット

株式譲渡制限会社(非公開会社)のデメリット

続いては、株式譲渡制限会社(非公開会社)の主なデメリットについて解説します。株式譲渡制限会社(非公開会社)とするかどうかは自由に決めることができるので、メリットだけでなくデメリットも知っておくことが大切です。

【株式譲渡制限会社(非公開会社)のデメリット】

  1. 株式の買取請求権が発生
  2. 売渡請求権の縛りを受ける可能性

1.株式の買取請求権が発生

株主が株式譲渡制限会社(非公開会社)に対して株式の買取を希望した場合は、株主総会・取締役会を開いて決議しますが、否決された場合でも株主は株式の買取請求権を行使することができます

株主が株式譲渡制限会社(非公開会社)に対して買取請求権を行使すると、株式譲渡制限会社(非公開会社)は買い取ってくれる人を探すか、自社で買い取るかにより対応しなければなりません

株式買取請求権というと、一般的には組織再編における反対株主の買取請求などのことを指しますが、これは株式譲渡制限会社(非公開会社)の買取請求権とは意味合いが違うので注意が必要です。

2.売渡請求権の縛りを受ける可能性

株式譲渡制限会社(非公開会社)の売渡請求権は、株主の分散を防ぎ経営権を安定させられるメリットがあります。

しかし、例えば会社の経営権を奪いたいほかの株主がこの権利を行使した場合、会社の乗っ取り行為が成立してしまう可能性があります

株式譲渡制限会社(非公開会社)の売渡請求権はメリットが大きい一方、こういったデメリットもあることは理解しておく必要があります。

4. 株式譲渡制限会社(非公開会社)における監査役の要否

株式譲渡制限会社(非公開会社)における監査役の要否

監査役とは、会社が健全に経営されるように取締役の不正などを監視する役員のことです。株式譲渡制限会社(非公開会社)の場合、監査役を設置するかどうかは条件によって変わってきます。

取締役会を設置していない場合は監査役を置く必要がないため、ほとんどの中小零細企業で監査役を置く必要性はないと考えられます。

しかし、ある程度規模の大きい株式譲渡制限会社(非公開会社)であれば、取締役会を設置するケースもあるでしょう。

その場合は、監査役か会計参与のどちらかを設置する必要があり、もし会計参与を設置したならば監査役を置く必要はありません。

ただし、会社法で定める「大会社」(資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社)の場合は、会計参与と監査役の両方を置く必要があります。

ここでいう会計参与とは計算関係書類の作成や管理を担う役員を指し、定款で定めることにより任意に設置することができます。

5. 株式譲渡制限会社(非公開会社)の取締役の人数

株式譲渡制限会社(非公開会社)の取締役の人数

株式譲渡制限会社(非公開会社)の取締役の人数は、取締役会を設置するかどうかで変わってきます。取締役会を設置する場合は取締役が3名以上、監査役か会計参与が1名必要であるため、合計4名以上の役員が必要になります。

取締役会を設置しない場合は、取締役は最低1人置いておけば問題ありません。取締役が1人か2人しかいないとしても、監査役を設置したいのであれば設置することもできます。

取締役の人数は変更することも可能なので、会社設立直後はまず取締役を1人にしておき、会社の規模が大きくなるにつれて取締役を増やしていくこともできます。

6. 株式譲渡制限会社(非公開会社)の増資

株式譲渡制限会社(非公開会社)の増資

増資とは、株式を発行して資本金を増加させる手続きをいい、株主割当増資・第三者割当増資・公募増資の3つがあります。

株主割当増資は既存株主に対して新株を割り当てる方法です。第三者割当増資は特定の第三者に対して新株を割り当てる方法、公募増資は広く一般から新株の買い手を募集する方法です。

この章では、株式譲渡制限会社(非公開会社)の増資はどのように行われるのか、公開会社の場合と違いはあるのかを解説します。

【増資の種類】

  1. 株主割当増資
  2. 第三者割当増資
  3. 公募増資

公開会社の場合

公開会社の場合は、まず3つの増資方法のうち、どれを採用するかを検討する必要があります。

持ち株比率を変えたくない場合は株主割当増資、特定の投資家から資金を得たい場合は第三者割当増資、上場企業なら公募増資が有力な選択肢となります。

制限会社の場合

株式譲渡制限会社(非公開会社)では公募増資を選択するのは現実的に難しいため、ほとんどの場合で第三者割当増資を行うことになります。

株式譲渡制限会社(非公開会社)における第三者割当増資の手続きは、公開会社と基本的には同じですが、細かい部分で違いもあります。

例えば、公開会社の第三者割当増資で必要な株主への通知は、株式譲渡制限会社(非公開会社)では不要であり、割当決定のための株主総会で開示されているものとみなされます。

総数引受契約

株式譲渡制限会社(非公開会社)は小規模な会社が多いため、第三者割当増資を行う場合において、始めから引受人や株数などが決まっているケースも少なくありません。

その場合は「総数引受契約」を利用することで、手続きを大幅に簡略化することが可能になります。

総数引受契約とは、第三者割当増資の申込み・割当・通知などの手続きを省略できる契約であり、この制度を使えば短期間で第三者割当増資の手続きを完了させることができます。

7. 株式譲渡制限会社(非公開会社)のM&Aにおすすめの相談先

株式譲渡制限会社(非公開会社)のM&Aにおすすめの相談先

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8. まとめ

まとめ

株式譲渡制限会社(非公開会社)は多くの中小零細企業で採用されている形態で、小規模な事業を営む時にメリットが多いのが特徴です。

中小企業を設立する際は、株式譲渡制限会社(非公開会社)と公開会社の違いを理解したうえで、株式譲渡制限会社(非公開会社)のメリットを享受できるように準備することが大切です。

【株式譲渡制限会社(非公開会社)のメリット】

  1. 役員の任期が10年まで延長可能
  2. 取締役会を設置する義務はない
  3. 株主総会の招集手続きを簡略にできる
  4. 取締役・監査役の資格を限定することが可能
  5. 売渡請求権により株の分散を防ぐことができる

【株式譲渡制限会社(非公開会社)のデメリット】
  1. 株式の買取請求権が発生する
  2. 売渡請求権の縛りを受ける可能性がある

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