2020年05月18日公開
2020年05月18日更新
学生起業家の成功率は高い?資金調達方法やM&A有名事例一覧を紹介
子供の頃からインターネットに慣れ親しんできた世代が大学生となってきている今、学生起業家は増加傾向にあります。本記事では、学生起業家のメリット・デメリットや資金の調達方法、事業成功のポイントなど、起業を検討中の学生起業家に有益な情報を解説します。
目次
1. 学生起業家とは
学生起業家とは、学生時代に新しく事業を起こした人のことをいいます。信用が低く資金の調達が難しいことから、小規模な事業からスタートすることが多いのが学生起業家の特徴です。
大学生で起業するケースが最も多いですが、中学生や高校生で起業する学生起業家もいます。起業に年齢制限はないため若くとも問題なく起業することができます。ただし、印鑑証明を取れる15歳までは、法人化することはできません。
学生起業家が流行る理由
インターネットの普及により起業のハードルが格段に下がったことが、学生起業家が流行っている大きな理由の一つです。
インターネットやSNSを通じて、ビジネスとして成り立つような事業をみつけやすくなったことや、起業するために必要な情報などを、インターネットを通じて簡単に収集できるようになったことが要因です。
また、時間に余裕があり生活費を気にする必要がないことや、年齢的に失敗してもやり直しがきくことなど、学生ならではメリットも学生起業家の流行を後押ししています。
2. 学生起業家の成功率は高いのか?
経済産業省によると、個人事業主として起業した場合、1年後に生存しているのは10社中約6社、3年後には約4社になっているというデータがあります。
これは、学生起業家だけではなく全ての起業家でのデータですが、3年後には約60%の個人事業主が事業から撤退していることが分かります。
また、学生起業家は経験が乏しいことも多く、そのため、上述のデータよりも生存競争は厳しいことが予想されます。
3年後以降も安定して利益を上げ、事業を継続することは簡単なことではありませんが、学生であるがゆえに大きな資金をかけることも少なく、例え撤退することになっても莫大な借金が残るというリスクは低いので、果敢にチャレンジする起業家が増えています。
学生起業家であるメリット
厳しい生存競争のなか、学生起業家として成功を収めることは決して簡単なことではありませんが、学生起業家ならではのメリットもたくさんあります。
社会人の起業家にはない大きなメリットを活用することで厳しい生存競争に勝ち残り、安定した利益を上げ続ける事業に成長させることができる可能性も十分にあります。
①多くの学生と触れ合いマーケティングが出来ること
学生は、たくさんのコミュニティに参加することができます。特に、大学生は所属している学部・学科のコミュニティやクラブ・サークル活動のコミュニティ、バイト先のコミュニティなど多くの学生と触れ合う機会があります。
このようなコミュニティに参加することで、学生起業家は学生や若者のニーズを素早く深く知ることができ、社会人にはできないようなマーケティングができます。
②大学を拠点に出来ること
PCやワークスペース、OA機器など学内にある施設や設備を有効に活用することができる大学生は、事務所や仕事に必要なOA機器などを借りずに、運営資金を節約して起業することができます。
また、最近では、学生起業家を支援するためのインキュベーション施設を運営している大学もあります。
無料もしくは低価格で事務所や会議室を利用することができ、起業に必要な財務コンサルティングや経理などのアウトソーシングサービスを提供しています。
③同世代に向けたビジネス展開がしやすいこと
学生起業家が大学生のコミュニティに入り、情報を収集することはそれほど難しいことではありません。同年代同士での会話では心も開きやすく、若者のニーズを集めやすいため、同世代に向けたビジネス展開がしやすいのが学生起業家の大きなメリットのひとつです。
学生起業家は、社会人にはないようなアイデアで、同世代に響くビジネスを展開できるチャンスをたくさん持っています。
④大学構内でのビジネスも可能なこと
大学での研究成果をもとに、取得した特許や新技術などを事業化した大学発ベンチャーは、大学の支援を受けやすく、大学構内で事業展開を行うことができる可能性があります。
大学内でのビジネスを足掛かりに、経営基盤の強化や事業の拡大を図り、経営を軌道に乗せることができるようになります。
⑤自由に使える時間が多いこと
大学生は、授業のない時間・春休み・夏休みなど、社会人よりも圧倒的に自由に使える時間が多く、起業のための情報集収集やマーケティング、開発などさまざまなことに時間を費やすことができます。
また、親からの支援があり生活費のことを考える必要がないケースも多いので、起業に注力することができます。
⑥応援されやすいこと
まだまだ学生起業家が少ない日本では、学生起業家のチャレンジ精神が評価される傾向にあります。
頑張る学生起業家を支援しようという投資家による資金援助や、起業家の先輩としてのアドバイスなど、学生起業家は周囲から応援をしてもらえる立場にあります。
リスクを背負ってまで支援してくれる人がいるということは、学生起業家にとって大きなメリットでもあり、モチベーションにもなります。
⑦優秀な仲間を集めることが出来ること
学生起業家として仲間を探す際、自由な時間が多くて生活費に困っているわけでもない学生は、起業を手伝うリスクは低いために優秀な仲間を集めやすいメリットもあります。
社会人で起業するとなれば優秀な仲間もすでに社会人として働いているため、仕事をやめて起業を手伝うことには大きなリスクが伴います。
また、社会人として優秀な人材には高い報酬が必要となってきますが、学生であれば社会人経験がないのでそれほど高い報酬を支払う必要がないことも優秀な仲間を集めやすい要因といえるでしょう。
⑧失敗を恐れなくて良いこと
学生起業家が失敗を恐れる必要がない理由は2つあります。1つ目は、まだまだ若いため、失敗してもすぐに就職できることにあります。
起業の経験は自身の評価を高め、就職に有利に働くことになるため、例え失敗しても決してマイナスにはなりません。
2つ目は、信用の低い学生起業家が金融機関などから多額の融資を受けることは難しく、少ない資金で運営しているケースが多いので、失敗しても大きな借金が残りにくい点です。
事業の失敗により被る損害よりも、起業することで得られる唯一無二の経験のほうが大きく、価値あるものとなります。
学生起業家であるデメリット
前項では、学生起業家には多くのメリットがあることを解説してきましたが、学生起業家であるがゆえのデメリットもあります。
学生起業家は、就職してさまざまな経験をしてきた社会人が起業する場合とは違い、社会的な信用が低かったり、ビジネス経験やや社会人としてのコミュニケーション経験が不足していると判断されるなどのデメリットがあります。
①資金調達が難しいこと
資金調達は、学生起業家に限らず全ての起業家にとって簡単なことではありませんが、特に学生起業家は社会的信用が低いので、銀行からの融資を得られなかったり、投資家からの金銭的支援を期待できないなどのデメリットがあります。
ただし、学生起業家のチャレンジ精神を評価してリスク承知で支援してくれる投資家もいるので、積極的にビジネスをアピールして資金調達につなげていくのもよいでしょう。
②経験不足による失敗を犯す場合が多いこと
社会に出て本格的に働いた経験のない学生起業家には、ビジネスの経験が社会人起業家と比べて圧倒的に不足しています。
他者とのコミュニケーションやマネジメントの方法、問題への対処方法など、社会人として仕事のなかで得られる経験は起業家として成功するためには非常に重要なことです。
このような経験なしでいきなりトップに立つことになる学生起業家が、リーダーシップをとって円滑にビジネスを進めて利益を上げ続けることは難しく、それゆえ失敗してしまうこともあります。
3. 学生起業家による資金調達方法
事業の内容によって必要な資金は大きく変わってきますが、どんな事業であっても起業をするにはある程度の資金が必要になってきます。
しかし、学生起業家が資金を調達することは簡単なことではありません。この章では、金融機関からの融資を得ることが難しい学生起業家の資金調達方法について解説します。
①アルバイトで貯める
自らがアルバイトなどをして貯めたお金を自己資金として利用することは、学生起業家が資金を調達する最も簡単な方法です。
アルバイトで大金を稼ぐのは時間も労力もかかりますが、自分の力で稼いだお金なのでどのように使用しても誰にも文句をいわれない点が大きなメリットです。
②親族や友人から借りる
親族や友人から資金を借りることも比較的簡単な方法です。応援してくれる両親などからの支援は学生起業家にとって大きな味方となります。
返済や利子などに関しても柔軟に対応してくれることも多いため、少ないリスクで資金の調達が可能です。
ただし、返済トラブルなどが発生する可能性もあるので、借りる際は契約書や借用書を交わしたり、返す際には返済履歴を残すなど、しっかり管理する必要があります。
③投資家から投資を受ける
学生起業家が資金を調達する方法として、スタートアップ企業や創業間もない企業を専門に資金を供給するシードアクセラレーターから投資してもらうという方法もあります。
また、まだまだ学生起業家が少ない日本には、若くして起業するというチャレンジ精神を評価して、リスク承知で投資してくれる投資家もいます。
これらの方法で資金を調達するためには、投資家に認めてもらえるようなアイデアや事業計画を提案して、投資家に納得してもらう必要があります。
④クラウドファンディングを利用する
クラウドファンディングを利用して資金を調達することもできます。クラウドファンディングを利用するメリットは、不特定多数の人からの支援を受けることができる点にあります。
ビジネスの内容次第では、1人の投資家よりも多くの資金を集めることができ、ファンも増やすことができます。また、支援者やクラウドファンディングをみた人への宣伝効果も期待できます。
支援者を獲得して十分な資金を調達するためには、具体的な事業計画や起業への熱い気持ちや支援者へのリターンなど、自らのビジネスをアピールする力が必要とされます。
⑤公的機関から補助を受ける
公的機関も学生起業家の資金調達を支援しています。公的機関からの融資では、連帯保証人や担保不要のものが多く、金利も低く設定されている場合もありますが、融資資金の上限など制限もあります。
政府が運営している日本政策金融公庫の新創業融資制度や東京都中小企業制度融資など、新しく事業を始める起業家を金銭面でサポートする公的機関は多数存在しています。
融資を受けるためには審査に通過する必要があるので、しっかりとした事業計画書の作成が求められます。
⑥金融機関などから融資を受ける
民間の金融機関から融資を受けることも可能ですが、公的機関よりも融資要件が厳しいことが多いため、学生起業家には、ややハードルが高い方法です。
それぞれの金融機関によって特徴や融資要件は異なるため、学生起業家でも融資を受けることができる可能性はありますが、担保や連帯保証人が必要であったり金利が高くなったりというケースもあります。
創業時に民間の金融機関から融資を受けるというよりは、事業が軌道に乗って事業の拡大や設備投資などで資金が必要となった際調達する方法として利用するのが理想的です。
⑦賞金を起業資金にあてる
ビジネスコンテストで入賞して得られた資金を起業資金にあてる方法もあります。ビジネスコンテストとは、参加者が作ったビジネスプランの内容を審査するコンテストのことです。
賞金は10~100万円程度のコンテストが多く、また入賞するのも難しいため、確実に多くの資金を調達するという点では劣りますが、ほかの起業家のビジネスモデルを学べたり人脈を広げたりすることができるので、資金調達以外の面でもメリットがあります。
⑧資金のいらないビジネスを始める
資金0円で始めることができるビジネスなら、起業資金を調達する必要がないため、資金のことは気にせずに気軽に始めることができます。
例えば、ブログでの情報発信や、メルマガでサービスや商品を販売するビジネスなどがこれにあたります。パソコン1台だけで自宅で始めることができるため、起業資金は0円です。
4. 学生起業家のM&A有名事例一覧
学生起業家の中には、学生ならではの視点で立ち上げた事業が大ヒットし、M&Aで事業を売却することで、莫大な創業者利益を得ることができた人もいます。本章では、学生起業家が実際に立ち上げた事業の内容と、その事業のM&A事例を紹介します。
①すごい時間割のM&A・事業譲渡
鶴田浩之氏は、慶応義塾大学在学中の2011年に株式会社Labitを設立し、大学生向けの時間割管理アプリ「すごい時間割」をリリースしました。
作成した時間割の友人との共有や出席数や課題・テストの管理などを行うことができます。また、同じ空き時間の友人をみつけたり、次の教室をチェックしたりすることもできます。
これまでにないサービスで大ヒットとなりましたが、事業強化のため「すごい時間割」を提供している学生領域事業を2014年に株式会社ジョブダイレクトに事業譲渡しました。
②株式会社リジョブのM&A
望月佑樹氏は、慶応大学在学中に立ち上げたに光ファイバー販売事業で貯めた資金を元手にさまざまな事業にトライし、2009年には美容やヘルスケアに特化した求人メディアの運営を行う株式会社リジョブを創業しています。
設立から5年後の2014年、世界に挑戦するため渡米を決意した望月氏は、株市会社リジョブをじげん株式会社に売却しました。
新しい挑戦をすぐにでも始めたかったため、ロックアップ期間なしでのバイアウトでした。株式会社リジョブは約20憶円で売却され、創業者メンバーは莫大な創業者利益を得ました。
③株式会社VSbiasのM&A
留田紫雲氏は、関西学院大学在学中に在留外国人向けの不動産ウェブコンサルティングを行う会社として、株式会社VSbiasを立ち上げました。
後に、民泊運営者向けの物件管理ツール「Baberu」をリリースし事業を拡大しましたが、創業から11ヶ月後には株式会社メタップスとM&Aを実施し、メタップスの完全子会社となりました。
留田紫雲氏は、M&A後もVSbiasの代表取締役として、ホテルなどの宿泊施設の無人化する事業などに取り組んでいます。
④株式会社CandleのM&A
金靖征氏が東京大学在学中の2014年に立ち上げた株式会社Candleは、ファッション・メイク・美容などの女性向けメディア「MARBLE」や「MimiTV」などを運営していました。
順調に業績を伸ばしていましたが、創業から2年半後の2016年に、クルーズ株式会社に約12.5憶円で売却することになりました。
「SHOPLIST」を運営している力のある会社と一緒に大きな挑戦をした方が、社会により大きなインパクトを与えることができるという創業メンバーの想いによる売却でした。
⑤俳句てふてふのM&A・事業譲渡
俳句てふてふは、伊藤和馬氏が慶応大学在学中に立ち上げた株式会社PoliPoliが提供していた俳句SNSアプリです。
「俳句を身近に」をコンセプトに気軽に俳句を詠み、友人や世界中の人と共有することができるサービスです。
順調に会員数を伸ばして人気SNSとなっていましたが、創業からわずか約4ヶ月で俳句てふてふの事業を毎日新聞社に譲渡することになりました。
長年充実した俳句コンテンツを提供していた毎日新聞社が、いっそう俳句関係に力を入れていこうとしている時期だったことともあり、俳句てふてふの安定した運用とシナジー効果を期待してのM&Aでした。
5. 有名な元学生起業家一覧
現在、大企業の代表として日本経済の最前線で活躍している有名人の中には、若い頃から起業や経営に興味を持ち、学生時代に起業を経験したことのある元学生起業家が大勢います。
本章では、若くして起業したことで得られた貴重な経験を活かし、成功を収めることができた有名な元学生起業家が、学生時代に立ち上げた会社や事業について紹介します。
①孫正義
日本ソフトバンクの創業者であり、ソフトバンクグループのトップとして成功を収めた孫正義氏は、アメリカの大学に在学中に自動翻訳機の開発事業を立ち上げました。
音声発信技術の権威者であるフォレスト・モーザー博士や優秀な仲間たちとともに開発した自動翻訳機をシャープに売り込み、1億7000万円の契約を成立させました。その資金を元手に、21歳の時にはアメリカでソフトウェア開発会社のUnison Worldを立ち上げました。
大学卒業後は、日本に帰国し、コンピューター卸売業を行うユニソン・ワールドを立ち上げ、後にユニソン・ワールドと経営総合研究所の共同出資により日本ソフトバンクを創業し、現在も有名な起業家として活躍しています。
②江副浩正
江副浩正氏は、東京大学在学中に東京大学新聞の広告代理店として大学新聞広告社を立ち上げました。
住友商事や伊藤忠商事、三菱銀行など大手企業に営業をかけ、独自の理論とセンスで常にトップの営業成績を収めていました。卒業後には、現在の株式会社リクルートの前身となる株式会社大学広告を起業しました。
アメリカの就職情報ガイドブックを参考に、一冊丸ごと求人情報を掲載した雑誌を販売するなどして、リクルート社は急成長を遂げ、江副氏は東京大学が生んだ最大のベンチャー起業家と評されるようになりました。
③堀江貴文
有名な実業家である堀江貴文氏は、東京大学在学中の1996年に有限会社オン・ザ・エッヂを立ち上げました。
インターネットが普及し始めたばかりの頃に、いち早くホームページ制作・管理運営を行う会社として注目を集めました。
事業に集中するために大学を中退しましたが、創業から4年後の2000年には東証マザーズへの上場を成し遂げ、その後は破綻したライブドア社の営業権を取得して事業を拡大していきました。
現在も、事業家・投資家・著作家・タレント・YouTuberなど、幅広い分野で活躍し続けています。
④福島良典
福島良典氏は、東京大学大学院工学系研究科でコンピュータサイエンスを学んでいた2012年に、株式会社Gunosyを創業しました。
Gunosy社は、ニュースアプリの開発と運営を行っており、「グノシー」や「ニュースパス」などのニュースやエンターテインメント情報を配信しているアプリを提供しています。
Forbes Asiaにより、アジアを代表するunder 30(30歳未満)に選出されるなど、起業家やエンジニアとして世界で高く評価されています。
現在もGunosy社のCEOを続け、日本ブロックチェーン協会(JBA)理事に就任するなど活躍を続けています。
⑤古川 健介
古川健介氏は、浪人中の2000年に大学受験情報交換用の匿名掲示板「ミルクカフェ」を開設しました。
受験情報だけではなく、学校情報や高校・中学校の情報にまで幅を広げることで、利用者を増やしていきました。
月間1000万pvを獲得するほどの大手サイトに成長させましたが、後に、学生向け掲示板の需要がなくなってきたことから、2009年に株式会社サイブリッジに譲渡しました。
早稲田大学在学中には、掲示板サイト「したらば」を運営する株式会社メディアクリップの社長を務め、卒業後は株式会社ロケットスタートの設立するなど、今も起業家・実業家として活躍しています。
⑥マーク・ザッカーバーグ
Facebook社を立ち上げたことで有名なマーク・ザッカーバーグ氏ですが、その創業は、彼がハーバード大学に在学中の2004年のことでした。
当初は、ハーバード大学の学生向けのSNSサイトでしたが、ボストン地域の大学やアイビーリーグの大学、スタンフォード大学へと拡大していき、高校生や中学生も利用できるようになり、利用者を獲得していきました。
現在では、世界中の20億人以上のアクティブユーザーがFacebookを利用しています。マーク・ザッカーバーグ氏は、今もFacebook社の代表として活躍しています。
⑦ビル・ゲイツ
ビル・ゲイツ氏が最初にビジネスを始めたのは高校生の時で、後にマイクロソフト社の共同創業者となるポール・アレン氏と共に、交通量計測システムの開発事業を行いました。
ハーバード大学に進学後は、MITS社が手掛けた個人向けコンピューターAltair8800用のインタプリンタの開発に成功しました。
正式にマイクロソフト社を法人化したのは1981年とされており、世界最大のソフトウェア開発・販売会社へと成長しています。
6. 学生起業家が成功率を上げる方法
若くして事業に成功し億万長者になったり、経営者として影響力を持つ人間になることには大きな夢がありますが、経験が少ない学生起業家が成功を収めることは決して簡単なことではありません。
有名な起業家や実業家として活躍している人たちも、初めての事業で大成功を収めたわけではなく、様々な事業にチャレンジし、最終的に成功をつかみ取ったというケースも多々あります。
ただし、学生起業家ならではの有利な点もあることは事実です。本章では、学生起業家が成功率を上げるためのヒントを紹介します。
①参入する業界・市場を見極めること
参入する業界や市場を見極めることは、学生起業家に限らず、全ての起業家にとって重要なことですが、学生という立場を活かせる事業であれば、学生起業家の事業成功率が上がる可能性は十分にあります。
例えば、学生をターゲットにした事業です。身近にいる消費者やユーザーの生の声を聞くことができます。
市場調査や顧客ニーズなどマーケティングも容易に行うことができるため、他の事業者に差をつけることができます。
学生である期間は人生のなかでとても短く、また学生起業家がまだまだ少ない日本では、学生であることを強みとして事業を行うことが成功のポイントともなります。
②ビジネスとして取り組む
本当に成功させたいのであれば、真剣にビジネスとして取り組む必要があります。学生のノリや遊びのような感覚では決して成功はつかめません。
時間も労力も費やし、頭をフル回転させて事業に専念する気持ちでビジネスに取り組むことが、起業家としての成功には重要なことです。
事業と学業の両立は難しく、堀江貴文氏やビル・ゲイツ氏など成功した起業家のなかには、ビジネスに専念するために大学卒業をあきらめるという選択をした人も大勢います。
③信頼できる大人からサポートを受ける
知識や経験が不足しているため、いざ起業したとしても、経営・会計・法務などの専門外分野ではどうしても分からない部分が出てきます。
そのような時には、信頼できる大人からサポートを受けることがキーとなります。起業をサポートする大学や投資家のなかには、専門家を紹介してくれたりアドバイスしたりと、学生起業家を支援する体制が整っていることもあります。
そのような支援を活かして信頼できる大人との関係を構築し、事業成功のためのサポートを受けることで成功率を上げることができます。
④最初は小さなスタート
融資を受けることが難しく、資金力に乏しい学生では、最初は小さな事業として始めることしかできない場合もあります。
ただし、大学の設備を利用できたり、専門の教授や大学の起業支援サポートを受けることもできるなど、社会人起業家にはないメリットもあるので、小さなスタートでも十分に事業として成り立たせることができます。
最初は小さくスタートし、徐々に拡大していくことができる点は、学生起業家の大きな醍醐味のひとつです。
⑤優秀な仲間を集める
多くの有名な元学生起業家は、学生時代、一人ではなく優秀な仲間とともに起業をし、成功を収めています。
仲間と起業することで、互いに励まし切磋琢磨することができるので、事業の成功には大きなメリットとなります。
そのためには、さまざまなコミュニティやセミナーで多くの人と会い、優秀な仲間をみつけて自らの事業に巻き込んでいくことが大切です。自由な時間が多く、仕事や家庭に縛られていない学生のうちは、多くの仲間が協力してくれるものです。
⑥ビジネスの対象を絞り込む
小さな事業からスタートをする場合、ビジネスの対象者を細かく分析し、絞り込むことが非常に重要になってきます。
というのは、対象者を幅広くするとコンセプトが定まらず、結果的に全ての対象者から支持を得ることができないということもあり得るためです。
最初はピンポイントで消費者やユーザーを絞り込み、事業が軌道に乗るようになってから対象者を拡大することが成功のポイントです。
⑦身近なところからアイデアを出す
多くの元学生起業家がそうしてきたように、学生という立場からしか分からないようなところからアイデアを出し、ビジネスに利用することが成功率を上げるポイントとなります。
学生としての自身の経験も活かすことができ、消費者やユーザーのニーズも容易に手に入れることができるため、成功につながりやすくなります。
①宿題代行
小・中・高校生を対象にした宿題代行は、自身の経験を大いに活用できます。また、最近まで高校生だったということから、フレッシュな情報や授業内容などが記憶に残っており、質の高いサービスを提供できます。
年を重ねると、学生時代に習ったことは忘れたり、指導内容が昔と違うなどということも頻繁にあるので、宿題代行は学生起業家にぴったりの事業です。
②セミナー・イベント開催
大学生や高校生を対象としたセミナーやイベントの開催も、自身の立場を活かせるため、学生起業家に有利な事業です。
対象者となる学生の生の声を簡単に聞くことができる立場にあるため、セミナーやイベントのテーマも見つけやすく、人気のイベントの開催も可能となります。
③コピー・スキャン代行
大学生を対象としたコピー・スキャン代行では、周りに多くのビジネス対象者がいる大学生起業家にとっては、簡単に営業ができて顧客を増やせる事業です。
身近な仲間たちの教科書やノートのスキャンやコピーの代行から始め、システムを整備し、拡大していけば、少ない資金からでも十分にビジネスとして成立させることができます。
④シェアハウス運営
シェアハウスの対象者は主に大学生や専門学校生、若手の社会人などです。身近にユーザーがいるため、ニーズや流行などを調査することで、対象者の求めるシェアハウスのテーマやシステムなどをデザインすることができます。
シェアハウスの運営には不動産が必要で、場合によってはリフォームなどの初期費用もかかるので、それなりの資金が必要となってくることがデメリットです。
⑤便利屋
若く体力があり、時間もたっぷりあるため、便利屋は学生起業家に向いている事業です。資金がない場合には最初は自らが営業や宣伝を行い、仕事も請け負うことになりますが、得られた資金を元手にシステムを整備したり、作業員を雇い事業を拡大することができます。
ただし、すでに多くの便利屋が活動をしているので、他社との差別化を図ることが成功には非常に重要になってきます。
7. 起業した事業のM&Aのご相談はM&A総合研究所へ
企業に成功すれば、学生時代に起業した事業をM&Aによって売却して、次のステップに進みたいと考えることもあるでしょう。
自身が立ち上げて成長させた会社・事業のM&Aを成功させるためには、M&A仲介会社など専門家のアドバイス・サポートが必要不可欠です。起業した事業のM&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。
M&A総合研究所では、M&Aの専門知識が豊富な会計士や弁護士、M&Aアドバイザーが在籍しており、円滑なM&A成功に向けてチーム一丸となりサポートします。
料金体系は完全成功報酬制となっており、着手金・中間金は無料です。成約に至るまで費用は一切かかりませんので、安心してご利用いただけます。
無料相談はWebまたはお電話から24時間お受けしています。起業した事業のM&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
8. まとめ
本記事では、学生起業家について詳しく解説しました。学生起業家として成功を収めることは簡単なことではありませんが、大学や投資家からのサポートも受けることができるため、学生時の起業はデメリットは案外少ないものです。
例え失敗しても、就職では興味を持ってもらえ、また、起業により得られた経験は何ものにも代えがたいものになることは間違いありません。
【学生起業家とは】
- 学生起業家とは、学生時代に新しく事業を起こした人
【学生起業家であるメリット】
- 多くの学生と触れ合いマーケティングが出来ること
- 大学を拠点に出来ること
- 同世代に向けたビジネス展開がしやすいこと
- 大学構内でのビジネスも可能なこと
- 自由に使える時間が多いこと
- 応援されやすいこと
- 優秀な仲間を集めることが出来ること
- 失敗を恐れなくて良いこと
【学生起業家であるデメリット】
- 資金調達が難しいこと
- 経験不足による失敗を犯す場合が多いこと
【学生起業家による資金調達方法】
- アルバイトで貯める
- 親族や友人から借りる
- 投資家から投資を受ける
- クラウドファンディングを利用する
- 公的機関から補助を受ける
- 金融機関などから融資を受ける
- 賞金を起業資金にあてる
- 資金のいらないビジネスを始める
【学生起業家のM&A有名事例一覧】
- すごい時間割のM&A・事業譲渡
- 株式会社リジョブのM&A
- 株式会社VSbiasのM&A
- 株式会社CandleのM&A
- 俳句てふてふのM&A・事業譲渡