個人事業主の事業承継方法とは?税金・手続き・M&A仲介会社を解説

個人事業主の事業承継について、方法、税金、手続きなど詳しく解説しています。個人事業主が事業承継する場合の注意点を知らないと、事業承継後に事業が破綻してしまう可能性があるのです。個人事業主の事業承継について理解し、事業承継を成功させましょう。


目次

  1. 個人事業主の事業承継は可能?
  2. 個人事業主の事業承継方法と税金
  3. 個人事業主の事業承継で利用できる個人版事業承継税制
  4. 個人事業主における事業承継の手続き
  5. 個人事業主の事業承継を円滑に行うポイント
  6. 個人事業主における事業承継の注意点
  7. 個人事業主のM&Aによる事業承継6ステップ
  8. 個人事業主の事業承継を円滑に行いたいならM&A仲介会社に相談しよう
  9. まとめ

1. 個人事業主の事業承継は可能?

個人事業主の事業承継は可能?

個人事業主でも、事業承継を行うことは可能です。

個人事業主とは、個人で何らかの事業を行っている人を言います。商店やカフェなど店舗、ECサイトやメディアなどWebを使った事業、イラストレーターなど技術を生かした事業など様々な職業が個人事業主にあたるのです。

個人事業主は高齢化もあり、年々減少しています。経営者が引退する場合、「事業承継」か「廃業」を選択しなければなりません。

事業承継を行うなら、経営資源を引き継ぐ後継者が必要です。個人事業主の事業承継では、親族への承継が8割以上を占めています。

しかし、個人事業主の事業承継の場合、後継者不在であることも少なくありません。後継者不在だと、廃業を選ぶ個人事業主は非常に多くなっています。

その理由として、個人事業主は自分自身の能力やノウハウで仕事をしているという意識が高く、「もともと自分の代で畳むつもりだった」という個人事業主が多いためです。

廃業を選択すると、それまで培ってきた事業やノウハウが途絶えてしまいます。中小企業の半数以上が個人事業主のため、廃業を選ぶ個人事業主ばかりになると日本経済に影響を及ぼすと政府は懸念しているのです。

そのため、政府は個人事業主の事業承継を推進しており、様々な補助金や制度で支援しています。

事業承継を行えば、事業を継続でき技術やノウハウを引き継ぐことが可能です。個人事業主で事業承継か廃業に迷っているなら、事業承継方法や制度を知って廃業より事業承継を検討しましょう。

2. 個人事業主の事業承継方法と税金

個人事業主の事業承継方法と税金

個人事業主でも事業承継できると分かりました。しかし、事業承継すると税金がかかる可能性があるのです。事業承継にかかる税金も含めて、先代経営者と後継者にメリットのある承継方法を選びましょう。

個人事業主の場合、事業承継する方法には次の3つがあります。
 

  1. 贈与での承継
  2. 相続での承継
  3. M&Aでの承継

それぞれどのような承継方法で、どのような税金がかかるか確認しましょう。

方法1.贈与での承継

贈与での承継は、事業を贈与する形で事業承継する方法です。親族内承継や従業員承継でよく使われます。

個人事業主の承継方法の中で、贈与での承継が最も安心感のある方法です。生前贈与になるため、特定の人物に承継することができます。

贈与での承継の場合、贈与税がかかります。続いて贈与税について確認しましょう。

贈与税

贈与税とは、個人から財産を譲り受けたときにかかる税金のことです。親族からの贈与でなくても、財産をもらうと発生する税金となります。

贈与税は、後継者が支払う税金です。課税方法は、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があります。事業承継の場合、いずれかを選択することとなるのです。

暦年課税とは、1月~12月までの1年間に譲り受けた贈与に対してかかる税金を指します。

相続時精算課税とは、贈与時に軽減された贈与税を支払い、相続時に全ての財産に対して課税する税金制度です。60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子・孫への贈与時に選択できます。

それぞれの税金制度について、詳しく見てみましょう。
 

課税方法 内容
暦年課税 年間110万円以内なら非課税。
110万円を超えた分に対してのみ、贈与税が発生する。
相続時精算課税 合計2,500万円までなら非課税。
相続時に贈与分を合わせて2,500万円を超えると、相続税が発生する。

それぞれ一定分を超えると、課税が発生します。

暦年課税の場合、課税分が3,000万円を超えると税率は55%にもなるので税率には注意が必要です。一方、相続時精算課税の税率は一律20%となります。税率は低いですが相続時精算課税の場合、親族内でしか使えず、相続税が発生する可能性があるのです。

どちらの課税方法にするかは、贈与時にしっかり計算して綿密な計画を立てて選びましょう。

方法2.相続での承継

相続での承継とは、経営者が亡くなったときに相続として事業を承継する方法です。

複数の相続人がいて遺言がない場合、相続争いとなる可能性があります。経営者の意にそぐわない相続がされる場合もあるのです。

それでも相続での承継を選択する場合は専門家に協力してもらって遺言書を作成するなど、相続時に後継者が困らないように対策しましょう。

相続での承継は、相続税が発生します。相続税についても、詳しく確認しましょう。

相続税

相続税とは、個人の死亡を原因に遺産を譲り受けたときにかかる税金のことです。親族からの相続でなくても、遺産を受け取ると発生する税金となります。

相続税は、後継者が支払う税金です。相続する人数と相続の総額で、控除額は変わります。

たとえば、相続人が1人の場合、3,600万円までなら相続税を支払う必要はありません。相続人が2人になると、総額4,200万円までなら課税されないのです。

税率は贈与税と同じく、一定金額ごとに変更されます。1,000万円以下なら10%、6億を超えると55%もかかるのです。

また、事業承継によって株式等を相続する場合、後継者以外の相続人が遺留分を請求する可能性があります。遺留分とは、親族に最低限保証されている遺産のことです。

遺留分を請求されると、後継者に株式を集中できなくなります。後継者に株式を集中できないと、事業に後継者以外の相続人が干渉してくるなど事業継続の障害になる恐れがあるのです。

そのため相続での承継では、相続税や遺留分への対策が必須となります。税金対策については、本記事の『5.個人事業主の事業承継を円滑に行うポイント』で確認しましょう。

方法3.M&Aでの承継

M&Aでの承継とは、第三者に株式を売却して事業承継を行う方法です。ただし、個人事業主のM&Aで取引されるのは、株式でなく事業用資産となります。

M&Aでの承継は幅広い範囲で後継者を選べたり、資金を獲得できたり、事業成長をさせられたりすることがメリットです。M&A仲介会社やM&Aマッチングサイトを利用して、後継者を探すことができます。

M&Aでの承継の場合、事業用資産を有償で譲渡すると所得税、無償で譲渡すると贈与税がかかるのです。M&Aでの承継で課税される税金について確認しましょう。

所得税と贈与税

M&Aでの承継の場合、有償で譲渡すれば先代経営者が所得税、無償で譲渡すれば後継者が贈与税を納付するのです。

先代経営者が支払う所得税は、譲渡益に対して課税されます。株式、建物、土地などは分離課税となり、それ以外は総合課税です。

分離課税対象の資産は、総合課税より税金が安くなる場合があります。事業承継した年の確定申告で、しっかり申告しましょう。

後継者の贈与税は、すでに説明した通りです。有償か無償かによって税金を支払う人が異なるので、どのように譲渡するか先代経営者と後継者で話し合って決めましょう。

3. 個人事業主の事業承継で利用できる個人版事業承継税制

個人事業主の事業承継で利用できる個人版事業承継税制

個人事業主の事業承継方法は、贈与・相続・M&Aの3つがありました。いずれを選ぶにしても、それぞれ税金がかかります。

税金については、事業承継のための税制度が利用可能です。事業承継のハードルを低くしようと、政府は「個人版事業承継税制」という制度を施行しています。

個人版事業承継税制とは、個人事業主の事業承継で発生する贈与税・相続税を一定期間猶予または免除してくれる制度のことです。

平成31年1月1日~令和10年12月31日までの期間限定の措置で、特定事業用資産の贈与・相続であることが条件となります。特定事業用資産とは、一定の広さの宅地や建物などの固定資産税の課税対象となるものや自動車・軽自動車のことです。

特定事業用資産を譲り受けた後継者が、都道府県の認定をもらうと納税が猶予されます。また、後継者が死亡したり、事業をやむを得ず継続できなかったりすると税金を免除されるのです。

制度を受けるための主な要件

個人版事業承継税制の適用を受けるためには、先代経営者と後継者の両方が要件を満たさなければなりません

それぞれどのような要件か確認しましょう。

先代経営者の要件

贈与税の猶予を受ける場合、先代経営者の主な要件は次の2つです。
 

  1. 廃業届を提出していること、または贈与税の申告期限までに提出する予定であること
  2. 贈与日の年、前年、前々年の3年間の確定申告を青色申告書で提出していること

相続税の猶予を受ける場合、先代経営者の主な要件は次の通りです。
 

  • 相続開始日の年、前年、前々年の3年間の確定申告を青色申告書で提出していること

相続の場合は先代経営者が死亡後の申請となるため、特に早めの準備が必要です。

後継者の要件

贈与税の猶予を受ける場合、後継者の主な要件は次の5つです。
 

  1. 贈与日に20歳以上であること
  2. 都道府県の認定を受けていること
  3. 贈与日まで引き続き3年以上受け継ぐ事業に従事していたこと
  4. 開業届を提出し、青色申告の承認を受けていること
  5. 受け継ぐ事業が資産管理事業または性風俗関連事業に該当しないこと

相続税の猶予を受ける場合は、以下の通りです。贈与のときと少し異なるため、注意しましょう。
 

  1. 都道府県の認定を受けていること
  2. 相続直前までに受け継ぐ事業に従事していたこと
  3. 開業届を提出し、青色申告の承認を受けている、または受ける見込みであること
  4. 受け継ぐ事業が資産管理事業または性風俗関連事業に該当しないこと
  5. 特定事業用資産にあたる宅地等について、他の特例の適用を受けていないこと

個人版事業承継税制の適用を受ける場合、後継者の方が要件と手続きが多いです。申請時はしっかり確認して、漏れのないように準備しましょう。

事業承継税制については、『事業承継税制の適用要件とは?支払い免除や認定取消も解説!』で詳しく説明しています。参考にしましょう。

4. 個人事業主における事業承継の手続き

個人事業主における事業承継の手続き

個人事業主における事業承継の承継方法と税金、利用できる税制について見てきました。ここまで見てきた通り、個人事業主が事業承継をする場合、手続きが煩雑です。

続いて、個人事業主が事業承継する場合の事務的な手続きを、先代経営者と後継者それぞれ順に整理しましょう。

先代経営者の手続き

先代経営者の手続きは、主に次の4つです。全て提出先は税務署のため、まとめて用意すると漏れがないでしょう。
 

  1. 廃業届の提出
  2. 青色申告の取りやめ届出書の提出
  3. 事業廃止届出書の提出
  4. 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書の提出

どのような手続きか順番に確認しましょう。

手続き1.廃業届の提出

先代経営者は、事業承継をする後継者が決まったら廃業届を提出します。

廃業届の記入書類は、「個人事業の開業・廃業等届出書」です。国税庁のホームページからダウンロードし、入力して印刷することができます。事業廃止から1ヶ月以内に提出しましょう。

提出先は、税務署です。手数料は不要となります。廃業届は税務署へ持参、送付、収受箱への投函で提出が可能です。

手続き2.青色申告の取りやめ届出書の提出

青色申告をやめる場合は、青色申告の取りやめ届出書を提出します。

青色申告の取りやめ届出書は、国税庁のホームページからダウンロード可能です。青色申告をやめる年の翌年3月15日までに提出しましょう。

提出先は、税務署です。手数料は不要となります。青色申告の取りやめ届出書は税務署へ持参、送付、収受箱への投函で提出が可能です。

手続き3.事業廃止届出書の提出

消費税の課税事業者だった場合、事業廃止届出書も提出します。

事業廃止届出書も、国税庁のホームページからダウンロード可能です。提出期限はありませんが、他の書類と一緒に提出しましょう。

提出先は、税務署です。手数料は不要となります。事業廃止届出書は税務署へ持参、送付、収受箱への投函で提出が可能です。

手続き4.所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書の提出

廃業することで予定納税を減額したい場合は、所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書を提出します。

書類のダウンロードは国税庁のホームページから可能です。申請書には、損益計算書など減額の根拠となる書類を添付して提出しましょう。

第1期分~第2期分の減額申請期間は、その年の7月1日~7月15日まで、第2期分のみの減額申請期間はその年の11月1日~11月15日までとなっています。

提出先は、税務署です。手数料は不要となります。所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書は税務署へ持参、送付、収受箱への投函で提出が可能です。

提出したら、税務署から減額の可否が送られてきます。審査結果に対する不服申立は、通知を受けた3ヶ月以内に行いましょう。

後継者の手続き

一方、後継者側の手続きは主に次の5つです。
 

  1. 開業届の提出
  2. 青色申告承認申請書の提出
  3. 消費税課税事業者選択届出書の提出
  4. 許認可の再申請
  5. 雇用関係の手続き

順番に確認しましょう。

手続き1.開業届の提出

事業承継することに決まったら、開業届を提出します。

開業届の記入書類は、「個人事業の開業・廃業等届出書」です。国税庁のホームページからダウンロード可能です。事業開始から1ヶ月以内に提出しましょう。

屋号を引き継ぐ場合は、開業届に記載することで引き継げます。ただし、商号登記されている屋号は法務局で名義変更をしましょう。

提出先は、税務署です。手数料は不要となります。廃業届は税務署へ持参、送付、収受箱への投函で提出が可能です。

手続き2.青色申告承認申請書の提出

青色申告の承認を受けるため、青色申告承認申請書を提出します。

青色申告承認申請書は、国税庁のホームページからダウンロード可能です。事業開始から2ヶ月以内に提出しましょう。

相続での事業承継の場合は、相続日によって提出期限が異なります
 

相続日(被相続人の死亡日) 提出期限
1月1日~8月31日 相続日から4ヶ月以内
9月1日~10月31日 相続年の12月31日
11月1日~12月31日 翌年の2月15日

提出先は、税務署です。手数料は不要となります。青色申告の取りやめ届出書は税務署へ持参、送付、収受箱への投函で提出が可能です。

提出したら、税務署から承認可否の通知が送られてきます。審査結果に対する不服申立は、通知を受けた3ヶ月以内に行いましょう。

手続き3.消費税課税事業者選択届出書の提出

消費税課税事業者選択届出書は、消費財の課税事業者が、免税事業者になることを選択する場合に必要な届出書です。事業承継をして、年間売上が1,000万円以下になる場合は提出しましょう。

消費税課税事業者選択届出書は、国税庁のホームページからダウンロード可能です。適用を受けようとする課税期間の前日までに提出しておきましょう。

提出先は、税務署です。手数料は不要となります。消費税課税事業者選択届出書は税務署へ持参、送付、収受箱への投函で提出が可能です。

手続き4.許認可の再申請

個人事業主の場合、事業承継で許認可が引き継がれません

許認可とは、警察署や都道府県など行政機関から事業を行うにあたり取得しなければならない許可のことです。

飲食業、旅館業、介護事業など様々な業種で許認可が必要となります。申請先は警察署、保健所、自治体など業種によって異なり、手続きに時間がかかる場合もあるので早めに対処しましょう。

手続き5.雇用関係の手続き

事業承継をしても、従業員との雇用契約は引き継げません

改めて雇用関係の手続きを行いましょう。

アルバイトも含め従業員と1人ずつ雇用契約を再度結び、雇用保険や労災保険の加入手続きも行う必要があります。

5. 個人事業主の事業承継を円滑に行うポイント

個人事業主の事業承継を円滑に行うポイント

個人事業主が事業承継する場合の手続きを確認したところで、個人事業主が事業承継を円滑に行うポイントを見ていきましょう。

事業承継を円滑に行うポイントは、3つあります。
 

  1. 早めに準備をする
  2. 税金対策を行う
  3. 取引先にしっかり説明する

それぞれ詳しく確認しましょう。

ポイント1.早めに準備をする

個人事業主に関わらず、事業承継は早めに準備をすることが事業承継を成功させるポイントです。

なぜなら、事業承継は準備から完了まで数年かかるものだからです。

まず、後継者がいない場合は後継者を探すために時間がかかります。後継者がいる場合でも、後継者が1人で経営できるまで業務の引き継ぎをしなければなりません。

特に相続での承継は、業務を教える先代経営者が亡くなっているため後継者は業務について聞く相手がいないのです。そのため、後継者が事業を引き継ぐには先代経営者の準備が重要となります。

後継者がなるべくスムーズに事業を行えるよう、事業承継実行までにしっかり準備をしましょう。

ポイント2.税金対策を行う

税金対策は、必ず行いましょう。事業承継では贈与税、相続税、固定資産税など大きな金額が動きます。

税金対策をしていないと、先代経営者も後継者も多額の税金を支払うこととなるのです。

贈与税、相続税の場合は、個人版事業承継税制を活用しましょう。税制の活用以外にも、長年かけて事業承継を行うなら贈与税は暦年課税を、多額の資産を一気に承継するなら相続時精算課税を選択するなど節税する方法はあります。

固定資産は使用貸借として扱うと、節税を行えるでしょう。また、相続の場合は後継者に株式を集中させる工夫も必要です。

後継者に引き継ぐ資産が多いほど、税金対策をしっかり行いましょう。

使用貸借とは

使用貸借とは、借主が貸主から無償で物を借りて、使用および収益を得た後に返却することです。この方法を使うと、不動産など固定資産を承継しても税金を支払う必要がありません。

店舗など不動産や土地を買い取る場合、資金が必要となります。そこで使用貸借という形を取ると、節税できるのです。

ただし、使用貸借は貸主が固定資産税を支払わなければなりません。もし有償で貸し出せば、賃貸借となり家賃などに課税されます。

使用貸借を行う場合は、先代経営者と後継者でどのようにすれば両者にとって最良か話し合いましょう。

資産を分散させないためには

相続での承継の場合、株式などの遺産が相続人に割り振られます。後継者以外に相続人がいる場合、後継者に株式など経営の権利を集中させられず事業継続が困難となる場合があるのです。

事業に支障をきたさないためにも、次の2つの権利を知りましょう。
 

  1. 除外合意
  2. 固定合意

除外合意とは、後継者が贈与・相続によって取得した株式について、後継者以外の相続人は遺留分を主張できなくすることです。これにより自社株式を分散させずに済みます。

たとえば、株式と不動産の資産があり後継者は株式を贈与された場合、除外合意をしていれば、相続時に後継者以外の相続人は株式について遺留分を請求できません。

一方固定合意とは、後継者以外の相続人に贈与時の株式価額以上の遺留分を相続時に請求できなくすることです。

たとえば、贈与時に3,000万円だった株式が、相続時に6,000万円となっていたとします。固定合意をしていれば、他の相続人は贈与時の3,000万円には遺留分を請求できますが、増加した3,000万円に対しては遺留分を請求できません。

このような権利を使って、事業承継後も後継者が安定した経営を行えるように環境を整えましょう。

ポイント3.取引先にしっかり説明する

事業承継を行う場合、事前に取引先にしっかり説明しておきましょう。

個人事業主の場合、取引先と良好な関係を築いてきているはずです。しかし、突然事業承継してしまうと、取引先の信頼を失うためそれまで築いてきた関係が壊れてしまいます。

取引先を失えば、売上にも影響するでしょう。事前に後継者を連れて挨拶回りをするなど対策することをおすすめします。

6. 個人事業主における事業承継の注意点

個人事業主における事業承継の注意点

個人事業主における事業承継のポイントを確認したところで、次は注意点を確認しましょう。

個人事業主の事業承継は、以下の3点に気を付けなければなりません
 

  1. 手続きすることが多い
  2. 債務も引き継がれる
  3. 雇用契約は引き継がれない

順に見ていきましょう。

注意点1.手続きすることが多い

個人事業主の事業承継は、手続きすることが多いです。事業を引き継ぐ後継者の方が手続きすることは多いですが、先代経営者も後継者の手続きを手伝ったり、指導したりとやることが多数あります。

引き継ぐことが多いほど、事業承継の手続きは煩雑になり時間がかかるのです。特に税金に関しては、個人で対処が難しければ専門家に協力してもらいましょう。

注意点2.債務も引き継がれる

事業承継をすると、債務も引き継がれます。先代経営者は後継者に債務がいくらくらいあるか、はじめに話しておきましょう。

事業承継を行って、後継者がまず困るのは資金繰りです。債務を隠されていると事業はすぐに破綻してしまいます。

先代経営者は、債務と資金調達の方法を後継者に必ず教えましょう

注意点3.雇用契約は引き継がれない

事業承継を行っても、雇用契約は引き継がれません。

後継者は事業承継後に、従業員と再度雇用契約を結ぶ必要があります。

雇用契約書を作り直し、雇用保険や税金関係についても手続きが必要です。そのため、先代経営者は後継者に事業内容や業務だけでなく、雇用関係の引き継ぎも行わなければなりません。

7. 個人事業主のM&Aによる事業承継6ステップ

個人事業主のM&Aによる事業承継6ステップ

ここまで、個人事業主の事業承継について手続きや注意点などを見てきました。事業承継の細かいポイントは大切ですが、なによりも大切なのは後継者です。

後継者がいなければ事業承継できません。自分の周りで後継者がいなければ、M&Aを利用することもできます。

他の事業承継方法の中でもM&Aでの承継は、後継者を広い範囲から探せます。後継者が見つからないなら、ぜひ検討しましょう。

後継者はM&A仲介会社に頼んだり、M&Aマッチングサイトで見つけたりすることが可能です。「でも、M&Aでの承継って複雑そう」と思う人も多いでしょう。

M&Aを自力で行うと専門知識も必要で、M&Aを成立させるのは難しいでしょう。しかし、M&A仲介会社に依頼するとそれほど困難ではありません。

個人事業主のM&Aによる事業承継は、以下の6つのステップで完了します。
 

  1. 事業承継の準備
  2. M&A仲介会社とアドバイザリー契約の締結
  3. 買い手企業の選定と交渉
  4. 基本合意契約の締結
  5. デューデリジェンスへの対応
  6. 最終契約の締結

6つのステップを順に確認しましょう。

ステップ1.事業承継の準備

まず、事業承継の準備をしましょう。経営状況を見直し、決算書など財務書類をまとめます。

事業の強みや弱みを整理することで、どのような後継者が良いか見えてくるはずです。後継者に望む条件も書き出してみましょう。

経営を見直し、後継者に求める条件を明確化できればM&A仲介会社やM&Aマッチングサイトで後継者を探します。今回は、M&A仲介会社に相談した場合を想定しましょう。

ステップ2.M&A仲介会社とアドバイザリー契約の締結

M&A仲介会社に相談して、事業承継について理解を深めてから契約しましょう。

M&A仲介会社と結ぶ契約は、アドバイザリー契約と言います。アドバイザリー契約とは、M&A業務をM&A仲介会社に委託する契約のことです。

アドバイザリー契約を締結したら、M&A仲介会社のコンサルタントがさらに詳しくヒアリングしてくれて買収してくれる企業や個人を探してくれます。

ステップ3.買い手企業の選定と交渉

M&A仲介会社が買い手企業候補をリストアップしてくれるので、気に入った買い手企業候補に打診していきます。

買い手企業候補が了承すれば面談や交渉を行い、譲渡条件を決めていくのです。M&A仲介会社のコンサルタントがサポートしてくれるので、納得するまで話し合いましょう。

ひとまず譲渡条件がまとまったら、基本合意契約を結びます。

ステップ4.基本合意契約の締結

基本合意契約とは、買い手企業と話し合って決めた条件でM&Aを進めることを約束する契約のことです。

譲渡条件、譲渡価格、取引方法などを記載した基本合意書を作成して契約します。基本合意書の内容は、複雑な場合があるのでM&A仲介会社のコンサルタントと確認しましょう。

基本合意契約を締結すると、デューデリジェンスが行われます。

ステップ5.デューデリジェンスへの対応

デューデリジェンスとは、買い手企業が売り手企業の財務や事業状況を詳しく調査することです。

売り手企業は、買い手企業に求められた資料を提出しなければなりません。個人事業主の場合、新たに作成しなければならない資料を要求されるかもしれません。

1人で対応が難しければ、M&A仲介会社のコンサルタントが手伝ってくれます。支援してくれるよう相談しましょう。

デューデリジェンスで問題がなければ、基本合意契約の内容で最終交渉に進みます。しかし問題があれば、基本合意契約で決めた譲渡価格を引き下げられるなど売り手企業に不利となるのです。

債務などネガティブな要素でも、デューデリジェンス前に話しておくと譲渡価格を引き下げられることはありません。

買い手企業には誠実に対応しましょう。

ステップ6.最終契約の締結

デューデリジェンスの結果と基本合意契約の内容を踏まえ最終交渉を行い、最終契約を結びます。

最終契約後は、譲渡代金を受け取り、廃業手続きなど事務的な手続きを行いましょう。M&A仲介会社へ成功報酬も支払います。

以上でM&Aは完了です。M&Aの流れについては、『M&Aの標準プロセス!具体的な手順・流れを解説!』も参考にしましょう。

8. 個人事業主の事業承継を円滑に行いたいならM&A仲介会社に相談しよう

個人事業主の事業承継を円滑に行いたいならM&A仲介会社に相談しよう

M&Aでの承継は、後継者を探しやすい以外にも事業売却でまとまった資金を獲得できたり、大手企業の参加に入れば事業の発展も期待できたりとメリットがあります。

M&Aで承継したい場合、円滑にM&Aを進めるためにもM&A仲介会社やM&Aマッチングサイトを利用すべきです。

特にM&A仲介会社なら、コンサルタントがM&Aをサポートしてくれます。M&Aを自力で進める自信がない場合は、M&A仲介会社に支援を依頼しましょう。

しかし、「M&A仲介会社を知らない」という経営者もいるはずです。ここでは、個人事業主の事業承継におすすめのM&A仲介会社とM&Aマッチングサイトを見ていきましょう。
 

  1. M&A総合研究所
  2. インテグループ
  3. Batonz

順番に確認しましょう。

M&A仲介会社1.M&A総合研究所

M&A仲介会社1.M&A総合研究所

出典: https://masouken.com/lp01

M&A総合研究所は、専任の公認会計士によるサポートが可能です。

成功報酬のみで、M&Aを会計士が支援します。直接公認会計士に相談することもでき、財務や会計についてアドバイスが可能です。

全国に広いネットワークを持っていて、豊富な買い手企業情報を持っています。M&A成立まで平均3ヶ月とスピーディーな対応ができるので、相談するとすぐに希望に沿った買い手企業を紹介します

相談料は無料です。M&Aが不安な経営者も、お気軽にご連絡ください。

M&A総合研究所は、『支払いは成功報酬だけ!M&A総合研究所の特徴・手数料・事例など解説』で詳しく説明しています。

M&A仲介会社2.インテグループ

M&A仲介会社2.インテグループ

出典: https://www.integroup.jp/

インテグループは、個人事業主のような小規模なM&Aに適したM&A仲介会社です。

豊富な実績とノウハウに基づき、M&Aの情報を提供してくれます。成功報酬のみで、さらに最低手数料が300万円と安くリーズナブルに事業承継を支援してくれるのです。

相談料は無料。費用を抑えたい経営者にオススメのM&A仲介会社です。

M&A仲介会社3.Batonz

M&A仲介会社3.Batonz

出典: https://batonz.jp/

Batonzは、後継者を探せるM&Aマッチングサイトです。

売り手企業は、基本的に無料で後継者を探せます。税金などについては、承継アドバイザーが有料で支援してくれるオプションを付けることも可能です。

インターネットで後継者を探せるため、気軽に後継者を見つけることができるでしょう。

9. まとめ

個人事業主は、廃業にするより事業承継を選びましょう。ただし、事業承継を成功させるためには税金対策や手続きをしっかり行うことが大切です。

もし、後継者不在で廃業を考えているなら、M&A仲介会社やM&Aマッチングサイトを利用して後継者を探せます。

M&Aで事業承継すると、資金を獲得できたり、事業を発展させたりすることができるのです。そのため事業承継の方法で悩んでいるなら、M&Aでの承継をオススメします。

事業承継は、時間も労力もかかる作業が多いです。しかし、せっかく育ててきた事業を廃業するのではなく、個人事業主でも事業承継を行い、次世代に事業を引き継ぎましょう。

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