会社譲渡の手続き完全ガイド!【スケジュール/必要書類/注意点】

会社譲渡では、会社法の規定に基づいてさまざまな手続きをする必要があります。また、譲渡先との交渉も多岐に渡るため、不備がないように、一連の流れを把握しておくのが大切です。本記事では、会社譲渡の手続きやスケジュール、必要書類を解説します。


目次

  1. 会社譲渡とは
  2. 会社譲渡の手続き完全ガイド
  3. 会社譲渡のメリット・デメリット
  4. 会社譲渡の相場・価格算定方法
  5. 会社譲渡にかかる税金
  6. 会社譲渡は無償でも行える
  7. 会社譲渡を成功させるには
  8. 会社譲渡の相談におすすめのM&A仲介会社
  9. まとめ

1. 会社譲渡とは

会社譲渡とは

会社譲渡は、売り手企業の経営者が保有株式を譲渡し、経営権を移転させるM&A手法の1つです。

株式会社は、過半数以上の株式の保有によって、経営権を取得できます。

株式譲渡と同義に扱われる

会社譲渡は会社売却の広義的な意味で使われることもありますが、一般的に株式譲渡と同義に扱われています。

M&Aを進めるうえで会社譲渡の言葉が出てきたら、株式譲渡と考えて差し支えありません。

事業譲渡との大きな違い

事業譲渡とは、事業あるいは事業の一部を切り離して譲渡する手法です。目的は事業の譲渡・売却であるため、会社の経営権は失わない特徴があります。

M&Aの目的に設定されやすい経営課題の解決や企業再編などを達成しやすいことから、会社譲渡もしくは事業譲渡が用いられるケースが多くなっています。

【会社譲渡と事業譲渡の比較】

  会社譲渡 事業譲渡
目的 事業承継
経営基盤の強化
事業の選択と集中
不採算事業からの撤退
譲渡対象 株式 事業あるいは事業の一部
会社の経営権 移転する 移転しない
手続き 比較的簡便 煩雑

【関連】事業譲渡とは?事業譲渡のメリットと成功のポイント

2. 会社譲渡の手続き完全ガイド

会社譲渡の手続き完全ガイド

会社譲渡の手続きはM&A手法のなかでも比較的簡便ですが、経営権が移転するものであるため、手続きの内容や用意する書類に不備は許されません。この章では、会社譲渡の手続きや必要な書類、注意点を解説します。

会社譲渡のスケジュール【株主総会・取締役会の流れ】

会社譲渡を実施する際は、株主総会もしくは取締役会を開催して、株式を第三者へ譲渡する件に関して、会社の承認を得る必要があります。

【会社譲渡の手続き(株主総会・取締役会の流れ)】

  1. 株式譲渡承認請求
  2. 株主総会の開催・取締役会の開催
  3. 株式譲渡契約の締結
  4. 株主名義の書き換え

①株式譲渡承認請求

株主総会・取締役会の手続き1つ目は、株式譲渡承認請求です。通常の株式は会社の承認は必要なく、自由に売買できるものですが、譲渡制限株式の場合は譲渡の際に会社の承認を得る必要があります。

特に、中小企業は会社にとって都合の悪い人物に経営権を握られてしまうのを避けるため、譲渡制限株式とするのが一般的です。そのため、会社譲渡をする際は株式譲渡承認請求を行って会社の承認を得ます。

株式譲渡承認請求には、株式の種類・株式数・譲渡先を記載して会社に提出します。

②株主総会の開催・取締役会の開催

株主総会・取締役会の手続き2つ目は、株主総会の開催・取締役会の開催です。

取締役を設置している会社は取締役会を、非取締役会設置会社の場合は臨時株主総会を開催するために手続きを行います。

株式総会

株主総会の場合は「議決権の過半数を持つ株主の出席」および「出席株主の議決権過半数の賛成」により承認が得られます。

取締役会

取締役会の場合は「取締役の過半数の出席」および「出席取締役の過半数の賛成」により承認が得られます。

③株式譲渡契約の締結

株主総会・取締役会の手続き3つ目は、株式譲渡契約の締結です。株式譲渡に関して会社の承認が得られたら、譲渡先との株式譲渡契約に移ります。

譲渡株式数・譲渡価格・支払い方法と期限・株主名簿書き換え」などの項目を記載したうえで、双方が記名・押印によって、正式な契約書が完成します。

④株主名義の書き換え

株主総会・取締役会の手続き4つ目は、株主名義の書き換えです。株式を譲渡したら最後に譲渡先と共同で株主名簿の書き換えを行います。

株式の受け渡しをした段階では、まだ会社から株主として認められていません。株主名簿に氏名が載ることで、初めて株主として認識されることになります。

会社譲渡のスケジュール【M&Aの流れ】

前項までは株式譲渡に関わる社内手続きを中心に解説しましたが、ここからは、譲渡先との交渉を含めたM&Aの全体的な流れをみていきましょう。

【会社譲渡の手続き(M&Aの流れ)】

  1. 会社譲渡の準備
  2. 専門家に相談
  3. 譲渡先の選定・交渉
  4. 基本合意書の締結
  5. デューデリジェンスの実施
  6. 最終契約書の締結
  7. クロージング

①会社譲渡の準備

会社譲渡の手続き1つ目は、会社譲渡の準備です。会社譲渡の全体的な流れや必要となる書類の把握から始まります。

また、自社の株式の種類を確認しておくことも大切です。譲渡制限株式となっている場合は株式を自由に譲渡できないため、株式の譲渡に関して事前に会社の承認を受けておく必要があります。

譲渡先との交渉中に足踏みしてしまう事態も考えられますので、前もって確認しておきましょう。

②専門家に相談

会社譲渡の手続き2つ目は、専門家への相談です。会社譲渡は、譲渡先の選定・交渉や各種契約書の締結などが必要となるため、M&A・会社譲渡に関する知識を備えた専門家のサポートが欠かせません。

特におすすめの相談先はM&A仲介会社です。公認会計士や弁護士など、各分野の専門家が在籍している仲介会社は、会社譲渡の手続きから契約書の作成まで一連の流れのサポートを可能とします。

秘密保持契約の締結

秘密保持契約とは、ある取引の際に開示する秘密情報を第三者の公開しないことを義務づける契約です。

適正な企業価値を算出するために提供する、会社のさまざまな情報を守る目的で譲渡先と取り交わします。

また、会社譲渡はその取引自体が秘密情報の性質を持つものです。会社売却を検討しているのが外部に漏れるのを防ぐ目的も含まれています。

【関連】NDA/CA(秘密保持契約)って?雛形あり!

③譲渡先の選定・交渉

会社譲渡の手続き3つ目は、譲渡先の選定・交渉です。秘密保持契約を締結したら、専門家が保有するネットワークを使って譲渡先の選定に入ります。

大切なのは、会社譲渡の目的や条件を相談した専門家と共有しておくことです。事前に条件を定めておくことで、選定精度の向上かつ時間短縮につながります。譲渡先候補より反応が得られたら企業概要書を開示して、より詳細な情報を提供します。

トップ同士の面談

相互に資料提供を行いより詳細な情報交換を行うことになったら、双方の経営陣が顔合わせをするトップ面談へと移ります。

ここまでのやり取りは専門家を介して行われていましたが、初めて顔合わせをします。譲渡先の経営陣より会社譲渡に関して質問されることもありますが、後日書面にて返答する形も取れます。

余計なことを話すと心象を悪くしてしまう可能性もあるので、その場で無理して答える必要はありません。

意向表明書の提示

意向表明書とは、譲渡先が譲り受けの意思を示すために、譲渡企業に対して提出する書面です。

法的な効力はありませんが、本格的な交渉に入る意思があることを示すことで、今後の進行を円滑にする働きをもちます。

④基本合意書の締結

会社譲渡の手続き4つ目は、基本合意書の締結です。基本合意書とは、現段階の交渉内容に双方が合意していることを示すための契約書です。

注意したいのは、この段階ではまだ会社譲渡は成立していないことです。あくまで基本的な事項に合意しただけであり、独占交渉権や秘密保持義務を除き、法的な効力を持ちません。

これ以降、デューデリジェンスの実施などで多額の費用が発生するため、双方の合意が得られていることを契約書で残しておくのが重要になります。

⑤デューデリジェンスの実施

会社譲渡の手続き5つ目は、デューデリジェンスの実施です。デューデリジェンスとは、譲渡対象の価値・リスクを調査する活動のことをいいます。

基本合意書の段階までは、譲渡企業より提出された資料を前提に話が進められてきたため、企業の実態と差異がある可能性があります。

実態を確認しないまま契約するのは非常に危険な行為なので、譲渡先より専門家が派遣されて、譲渡企業の適正な企業価値や簿外債務などのリスク調査を実施します。

【関連】M&Aでのデューデリジェンス(DD)の手続き方法!DD項目別に注意点も解説!

⑥最終契約書の締結

会社譲渡の手続き6つ目は、最終契約書の締結です。最終契約書は、M&Aの最終段階で締結する契約書です。最終契約書の内容に基づいて会社譲渡が実施されます。

また、最終契約書はデューデリジェンスの結果が反映され、最終的な合意を得たうえで締結した契約書です。

全ての事項において法的な効力を持つため、締結後に一方的に契約を破棄すると破棄された側に損害賠償を請求する権利が生じます。

⑦クロージング

会社譲渡の手続き7つ目は、クロージングです。最終契約書の締結日から、会社譲渡に必要な手続きや必要書類を整える期間を空けた上うえクロージングが実施されます。

また、株式譲渡承認請求や必要書類を事前に用意できている場合、最終契約書の締結と同時にクロージングとするケースもあります。クロージングを持って、全ての会社譲渡手続きが完了します。

会社譲渡の必要書類

前項までは会社譲渡の手続きをみてきました。ここでは、会社譲渡の手続き段階で必要となる書類を取り上げます。

【会社譲渡の必要書類】

  1. 株式譲渡承認請求書
  2. 株主総会招集に関する取締役の決定書
  3. 臨時株主総会招集通知
  4. 臨時株主総会議事録
  5. 株式譲渡承認通知
  6. 株式譲渡契約書
  7. 株主名義書換請求書
  8. 株主名簿
  9. 株主名簿記載事項証明書交付請求書
  10. 株主名簿記載事項証明書

①株式譲渡承認請求書

譲渡制限株式である場合、会社の承認を得るために必要な書面であり、株式の種類・株式数・譲渡先を記載して会社に提出します。

株式譲渡承認請求書を提出してから、実際に会社の承認を得るまで一定の期間を要するため、早めに動き出す方が好ましいでしょう。

②株主総会招集に関する取締役の決定書

株主総会を開催するために必要な取締役の意思を証明する書面です。非取締役会設置会社の場合、会社の意思決定機関は株主総会です。株式の譲渡に関する会社の承認を得るために必要です。

③臨時株主総会招集通知

臨時株主総会の開催を株主に通知する書面です。株主総会開催日の1週間前までに発送する必要があります。

④臨時株主総会議事録

臨時株主総会の内容を記録した書面です。会社の承認が得られたことを証明するために必要です。

⑤株式譲渡承認通知

株主総会で会社の承認が得られたことを通知する書面です。会社から株主に向けて送付されます。

⑥株式譲渡契約書

譲渡先との交渉を経たうえで作成する契約書です。会社譲渡は、株式譲渡契約書の内容に基づいて実施されます。

株式譲渡契約書では、「譲渡の合意」「譲渡金の支払い方法」「名義書換」「表明保証」「契約の解除」については、必ず盛り込む必要があります。

⑦株主名義書換請求書

会社の株主名簿の名義を書き換えるために必要な書面です。会社譲渡は、株式を取得しただけでは株主として認められていません。

株主名簿に氏名が記載された段階で株主として認識されるので、現名義人と新名義人の氏名や住所、株式数を記載して押印をしたうえで提出します。

⑧株主名簿

株主を管理するための書面です。会社譲渡で変更される株主の氏名を書き換えます。

⑨株主名簿記載事項証明書交付請求書

株主名簿に記載されている事項を証明するための証明書の交付を請求する書面です。

⑩株主名簿記載事項証明書

株主名簿に記載されている事項を証明する書面です。前項の請求にて受け取ったものとなります。

会社譲渡の注意点

会社譲渡の手続きを進めるうえでは、注意しなければならない点がいくつかあります。ここでは、重要なポイントを3つ紹介します。

【会社譲渡の注意点】

  1. 会社譲渡の際に税金が発生する点
  2. 株券発行会社は株券の交付が必要な点
  3. 親族間での会社譲渡でも決議は行うべき点

①会社譲渡の際に税金が発生する点

会社譲渡の注意点1つ目は、会社譲渡の際に税金が発生する点です。通常所得と同様に税金がかかるため、税金を考慮したうえで最終的な売却益を計算しておく必要があります。

株式所得に関わる税率は、所得税(15%)、住民税(5%)、復興特別所得税(0.315%)を合計した20.315%です。

売却額から専門家の仲介手数料などの経費を差し引いた所得額から、20.315%相当の税金を差し引いて、最終的な売却益が算出されます。

【関連】会社売却にはどんな税金がかかる?税金の内容と節税対策を徹底解説

②株券発行会社は株券の交付が必要な点

会社譲渡の注意点2つ目は、株券発行会社は株券の交付が必要な点です。2004年の商法改定以降、株券不発行会社が主流になっていますが、株券発行を選択している会社や2004年以前に設立している会社は株券の交付が必要になります。

株券発行会社がどうかは、法人登記を見ることで確認できます。「管轄の法務局に赴く」もしくは「登記情報提供サービスのオンラインで閲覧する」2つの方法があります。

③親族間での会社譲渡でも決議は行うべき点

会社譲渡の注意点3つ目は、親族間での会社譲渡でも決議は行うべき点です。株式を親族に承継する親族内承継は、交渉の必要がない一方で、遺産トラブルが発生する可能性があります。

後継者としたい相続人以外にも権利を有する相続人がいる場合、不公平となってしまう恐れがあります。

全ての相続人の合意を得ていない段階で、親族への会社譲渡手続きを進めてしまう行為は非常に危険です。専門家を交えたうえ、全ての相続人が納得できる形で会社譲渡手続きを進めましょう。

会社譲渡の際に相談する専門家の選び方

会社譲渡の手続きを進めるうえで重要となるのは、相談する専門家選びです。M&Aに関する知識が浅かったり、責任感が足りなかったりすると、会社譲渡手続きに不備が発生する可能性もあります。

【会社譲渡の際に相談する専門家の選び方】

  1. 自社の業界に精通している
  2. M&A・会社譲渡の専門知識を持っている
  3. 幅広いネットワークから譲渡先を選定できる
  4. 料金体系が明確になっている
  5. 担当者との相性が良い

①自社の業界に精通している

会社譲渡の際に相談する専門家の選び方1つ目は、自社の業界に精通していることです。会社譲渡は業界の動向を敏感に察知すると、会社譲渡を有利にすすめられます。

たとえば、同業種大手の企業再編が激しいときはM&Aが活性化して買収ニーズが高まっているのが伺えます。

売り手市場となれば、好条件で交渉を進められる可能性が強まり、会社譲渡自体の成功率も高まるといえるでしょう。

また、業界のネットワークを保有していると、譲渡先の選定においても大きなアドバンテージを得られます。

②M&A・会社譲渡の専門知識を持っている

会社譲渡の際に相談する専門家の選び方2つ目は、M&A・会社譲渡の専門知識を持っていることです。

会社譲渡手続きは各所で専門的な知識を要するため、中途半端な知識では失敗に終わってしまう確率も高くなります。

判断方法として挙げられるものは、ウェブに公開されている実績です。単純な実績や依頼者の声を参考に頼れる専門家であるかどうかがわかります。

③幅広いネットワークから譲渡先を選定できる

会社譲渡の際に相談する専門家の選び方3つ目は、幅広いネットワークから譲渡先を選定できることです。

会社譲渡の成否は、専門家が保有するネットワーク次第といっても過言ではありません。

幅広いネットワークからピックアップすると、自社にとって理想的な譲渡先がみつかる可能性が高まります。

④料金体系が明確になっている

会社譲渡の際に相談する専門家の選び方4つ目は、料金体系の明瞭化です。会社譲渡の手続きは譲渡先の選定・交渉や各種契約書など多岐に渡るため、専門家に支払う仲介手数料は決して安い額とはいえません。

料金体系が曖昧なまま依頼してしまうと、成約後に莫大な手数料を請求されて資金運用に支障が出る恐れもあります。

専門家に依頼する際は、必ず公式サイトに掲載されている料金体系を確認しましょう。料金体系が掲載されていない場合は問い合わせて確認する必要があります。

【関連】M&A仲介手数料の相場はどれくらい?手数料の種類とお得な仲介会社を紹介

⑤担当者との相性が良い

会社譲渡の際に相談する専門家の選び方5つ目は、担当者との相性です。専門家に依頼すると会社譲渡の全体的な手続きをサポートする担当者がつきます。

会社譲渡に関わる全ての手続きにおいて担当者を通すことになるため、相性はとても重要です。

こちらの話に耳を傾けてくれる、正しく理解してくれる、要望を最大限に図ってくれるなど、誠実に対応してくれる担当者でなければ、会社譲渡の手続きを任せることはできません。

3. 会社譲渡のメリット・デメリット

会社譲渡のメリット・デメリット

会社譲渡は、経営者や会社が抱える事情によって、さまざまな目的で実施されます。得られるメリットが多い一方で、デメリットも存在します。

会社譲渡のメリット

まずは、会社譲渡で得られるメリットを5つ紹介します。

【会社譲渡のメリット】

  1. 後継者問題の悩みの解消
  2. 従業員の雇用先を確保
  3. 倒産や廃業をせずにすむ
  4. 個人保証・担保などからの解放
  5. 譲渡益を得る

①後継者問題の悩みの解消

会社譲渡のメリット1つ目は、後継者問題の悩みの解消です。後継者問題は特に中小企業で深刻化しており、多くの経営者を悩ませる問題となっています。

会社を次世代に引き継ぐために、早期から後継者を育成したり、外部から適任者を探したりとさまざまな施策を試みる必要があります。

しかし、会社譲渡をすれば、経営者の立場ではなくなるため、後継者に関して頭を悩ませることもなくなります。

②従業員の雇用先を確保

会社譲渡のメリット2つ目は、従業員の雇用先を確保です。会社譲渡は資産・負債の全てが引き継ぎされるため、従業員もそのまま雇用されるのが一般的です。

買い手の経営方針によって雇用条件が変更されることもありますが、買収目的を人材確保としているのが多いので、自ら人材を手放すような行為はめったに起こしません。

③倒産や廃業をせずにすむ

会社譲渡のメリット3つ目は、倒産や廃業をせずにすむことです。経営状態の悪化によって倒産・廃業が迫っている会社も、会社譲渡で会社を存続させるのが可能です。

倒産・廃業してしまうと、解散登記費や専門家の依頼費用などの廃業コストがかかるうえ、従業員は失業してしまいます。

会社譲渡であれば、売却益を得られる可能性を残せたり、従業員の失業を避けたりするのが可能です。

④個人保証・担保などからの解放

会社譲渡のメリット4つ目は、個人保証・担保からの解放です。中小企業が銀行から借入する際、経営者の個人保証・担保を提供する必要があります。

事業資金を確保するために必要なこととはいえ、事業失敗時のリスクを考えると頭が痛い問題です。会社譲渡は全ての資産・負債を引き継ぎするため、個人保証・担保からも同時に解放されます。

⑤譲渡益を得る

会社譲渡のメリット5つ目は、譲渡益の獲得です。株式の譲渡益は経営者(株主)に直接入ります。

会社の資金ではなく個人的な資産となるため、自由に使えます。新事業の資金にしたり、今後の生活資金にしたりと使い方はさまざまです。

会社譲渡のデメリット

続いて、会社譲渡のデメリットを5つ紹介します。

【会社譲渡のデメリット】

  1. 譲渡後に一定期間拘束を受ける可能性がある
  2. 会社名が変わってしまう可能性がある
  3. 希望どおりの譲渡先が見つかるとは限らない
  4. 従業員・役員の処遇が契約と違う場合がある
  5. 簿外債務が発覚してしまう可能性がある

①譲渡後に一定期間拘束を受ける可能性がある

会社譲渡のデメリット1つ目は、譲渡後に一定期間拘束を受ける可能性があります。経営陣が譲渡先企業に一定期間残るロックアップ(キーマン条項)があります。

中小企業の場合、経営者や役員の影響力がより強いものと考えられており、譲渡後の事業安定化を図るために契約内容に盛り込まれる場合があります。

相応の給料は支払われますが、自由を失ってしまう点ではデメリットといえるでしょう。

②会社名が変わってしまう可能性がある

会社譲渡のデメリット2つ目は、会社名が変わってしまう可能性があります。会社譲渡の目的を会社の存続とするケースがあり、譲渡先の意向によっては譲渡後に会社名が変えられてしまう場合があります。

会社の名前を残したいと考えている場合は、手続き段階で譲渡先の意思確認をしておかなければなりません。

③希望どおりの譲渡先が見つかるとは限らない

会社譲渡のデメリット3つ目は、希望どおりの譲渡先が見つかるとは限らない点です。会社譲渡は買い手と売り手のニーズが一致すればトントン拍子に交渉が進むのも珍しくありませんが、そもそも譲渡先が見つからない場合もあります。

譲渡先がみつからないまま時間が経過すると、会社の状況が悪くなっていく可能性もあるので、譲渡先に求める条件を緩和するのも重要です。

④従業員・役員の処遇が契約と違う場合がある

会社譲渡のデメリット4つ目は、従業員・役員の処遇が契約と違う場合がある点です。譲渡先に引き継ぎした従業員は、契約内容に基づいて雇用条件が決定されます。

まれに契約内容を無視して従業員の待遇を悪くしてしまうケースが見受けられるので、最終契約書に従業員の処遇と違反した場合の処罰を明記しておくのも大切です。

【関連】M&A・会社売却をしたその後、社員・従業員はどうなるの?社長は辞められる?

⑤簿外債務が発覚してしまう可能性がある

会社譲渡のデメリット5つ目は、簿外債務が発覚してしまう可能性がある点です。簿外債務とは、賃借対照表に記載されない債務のことをいいます。

通常、会社譲渡の手続きの進める中でデューデリジェンスを実施して簿外債務を洗い出しておくのが一般的です。しかし、稀にデューデリジェンスを行わず最終契約書を締結してしまうケースがあります。

譲渡後に発覚すると損害賠償に発展しかねないので、自社でも簿外債務の有無をしっかり確認しておかなければなりません。

4. 会社譲渡の相場・価格算定方法

会社譲渡の相場・価格算定方法

会社譲渡の相場は、企業価値評価と呼ばれる方法を用いて算定します。ここでは、主な価格算定方法を3つ解説します。

【会社譲渡の相場・価格算定方法】

  1. 時価純資産法
  2. 類似会社法
  3. DCF法

時価純資産法

時価純資産法は時価評価した純資産から時価評価した負債を差し引くもので、企業価値を算定する方法です。

客観的に優れている算定方法のため、株式譲渡の際に利用されるケースが多くなっています。一方で、企業価値に加味されるべきである無形資産を計上しにくいデメリットもあります。

将来的な収益価値が予測できる技術や、著作権などを有している場合は不向きな算定方法です。

類似会社法

類似会社法は、規模や業種が似ている上場企業と比較して企業価値を算定する方法です。実在する会社を比較対象とするため、平等性に優れている方法です。

ただし、独自の技術を保有していたり、マイナーな業種だったりすると比較対象がみつからない場合があります。評価が難しいと判断された場合は、ほかの算定方法を選択するほうが無難です。

DCF法

DCF法は、将来的に生み出す収益を現価値に換算して企業価値を算定する方法です。技術・ノウハウ・著作権などの有用な無形資産を保有している場合に有用な算定方法です。

DCF法を利用する際は、綿密に事業計画を立てる必要があります。客観性に乏しかったり、信頼性が欠如していたりすると、正しい企業価値が算定できません。

【関連】M&Aによる企業価値評価の算定方法を種類別に徹底解説!

5. 会社譲渡にかかる税金

会社譲渡にかかる税金

会社譲渡は、基本的に経営者個人がもつ株式の売却をもって成立します。そのため、株式譲渡の所得にかかる税金が経営者個人に課せられます。会社譲渡の際に発生する税金は以下のものです。

【会社譲渡の際に発生する税金】

  • 所得税(15%)
  • 住民税(5%)
  • 復興特別所得税(0.315%)

譲渡価格から経費を差し引いた譲渡所得に、上記合計20.315%の税率がかかります。会社譲渡の税金は翌年以降に納めることになるため、きちんと資金運用する必要があります。

6. 会社譲渡は無償でも行える

会社譲渡は無償でも行える

通常、会社譲渡は取得対価と引き換えに行われますが、無償で会社譲渡を実施するのも可能です。

株式譲渡契約書は必要ないと考えている方もいるかもしれませんが、契約書を交わすのは、第三者のステークホルダーに説明する際にも必要となりますので気をつけましょう。

無償で譲渡する旨を記載したうえで、その他の事項については株式譲渡契約書を作成するのが大切です。これによって、トラブルがあった場合でも回避できます。

一般的な会社譲渡と比較すると、取得対価に関して交渉する必要がないため手続きが簡単ですが、無償であるにも関わらず税金が発生する点には注意が必要です。

【無償で会社譲渡を行った場合にかかる税金】

  譲渡側 譲受側
個人→個人 なし 贈与税
個人→法人 所得税 法人税
法人→個人 法人税 給与所得
法人→法人 法人税 法人税

7. 会社譲渡を成功させるには

会社譲渡を成功させるには

会社譲渡の手続きを進めるうえで抑えておきたいポイントには、主に以下の5つがあります。

【会社譲渡を成功させるには】

  1. 会社譲渡の準備を入念に行う
  2. 事業譲渡を含めて他の手法も検討する
  3. 優先する条件を絞っておく
  4. 譲渡契約成立まで情報漏えいに気をつける
  5. 専門家に相談する

①会社譲渡の準備を入念に行う

会社譲渡を成功させるポイント1つ目は、会社譲渡の入念な準備です。会社譲渡の全体的な手続きや必要書類を確認しておくことで、その後の手続きを円滑に進められます。

また、譲渡制限株式である場合は必要な手続きが増えるので、早めに定款でチェックしましょう。

自社に保管してある定款がみつからない場合は、公証役場で定款の謄本を発行してもらえます。早めに手続きをしておくと、余裕をもって会社譲渡手続きに臨めるでしょう。

②事業譲渡を含めて他の手法も検討する

会社譲渡を成功させるポイント2つ目は、事業譲渡を含めてほかの手法も検討するようにしましょう。会社譲渡以外にも、選択できる手法はいくつもあります。

事業譲渡とは、経営権を維持したまま事業あるいは事業の一部を譲渡する手法です。手続きは会社譲渡よりも煩雑になりますが、M&Aの目的によっては会社譲渡よりも適している可能性があります。

専門家と検討を繰り返したうえで、利用する手法を決定するのをおすすめします。

③優先する条件を絞っておく

会社譲渡を成功させるポイント3つ目は、優先する条件を絞っておくことです。会社譲渡は目的や条件を満たせるように最大限努力するものですが、全ての条件が達成できるとは限りません。

時には妥協・情報が必要となる場面も訪れます。「これだけは必ず達成したい」条件を定めておくと一貫した手続きの進行が可能です。会社譲渡手続きの初期段階で専門家の担当者と共有しましょう。

④譲渡契約成立まで情報漏えいに気をつける

会社譲渡を成功させるポイント4つ目は、譲渡契約成立まで情報漏えいに気をつけることです。会社譲渡を検討しているのが外部に漏洩(ろうえい)すると、その目的が経営戦略の一環であったとしても、周囲に与える印象は悪いものとなります。

実害としては、従業員の不安を招くことによる日常業務への支障です。最悪の場合、従業員が漠然とした不安から自主退職して、会社譲渡の前提条件が崩れてしまう可能性もあります。

⑤専門家に相談する

会社譲渡を成功させるポイント5つ目は、専門家への相談です。会社譲渡の手続きを全て不備なく進めるためには、専門的な知識を擁する専門家のサポートが欠かせません。

1つ1つの手続きは経営者自身で進めることも不可能ではありませんが、日常業務と並行して行うにはあまりに激務です。

無理して進めると手続きに不備が起こる可能性もあるので、会社譲渡を成功させるためにも、専門家に相談するのをおすすめします。

8. 会社譲渡の相談におすすめのM&A仲介会社

会社譲渡の相談におすすめのM&A仲介会社

会社譲渡を検討の際は、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、1つの案件に対してM&Aアドバイザーがつき、会社譲渡の準備段階からクロージングまで全ての手続きを一貫してサポートします。

また、税理士や公認会計士など各種専門家とのネットワークも強固ですので、困ったときはいつでも専門家のアドバイスをもらうのが可能です。さらに、M&A総合研究所はスピーディーなサポートを実践しており、最短3ヶ月で成約を実現します。

料金体系は完全成功報酬制を採用しています。成約まで手数料が発生しないシンプルな料金体系のため、税金を加味した資金運用計画が立てやすいです。

また、M&A業界では対面での面談が慣習となっていますが、M&A総合研究所では2020年4月からテレビ電話やメールでの無料相談も開始しております。会社譲渡の手続きに関して不安があればお気軽にご相談ください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所
電話で無料相談
03-6455-5875
WEBで無料相談
M&Aのプロに相談する

9. まとめ

まとめ

会社譲渡の手続きは比較的簡便とされていますが、それでも必要な手続きは多岐に渡るものでした。特に譲渡制限株式の場合は取締役会もしくは臨時株主総会を開催する必要があり、前もって手続きを済ませておく必要があります。

またM&Aの手続きに入ると、譲渡先の選定・交渉や契約書の締結などの専門的な知識を要する手続きもたくさんあります。M&Aや会社譲渡を検討している方は、相談は無料で受け付けておりますので、ぜひ一度、M&A総合研究所にご相談ください。

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