事業譲渡の際、社員・従業員はどうなる?労働契約や退職金、転籍の手続きは?

事業譲渡・事業売却では、社員・従業員が転籍する方法になるので、十分納得してもらえるよう対処するのが重要です。本記事では、事業譲渡・事業売却の際の社員・従業員の処遇について、労働契約や退職金、転籍の手続きなどを解説します。


目次

  1. 事業譲渡とは
  2. 事業譲渡の際に移転する可能性のある物
  3. 事業譲渡の際の社員・従業員の処遇
  4. 事業譲渡の処遇に対して考えられる社員・従業員の要望
  5. 事業譲渡の際の社員・従業員の各種手続き
  6. 事業譲渡の際の社員・従業員の給与・有給消化の取扱い
  7. 事業譲渡の際に社員・従業員を解雇するのは可能か?
  8. 社員・従業員にとって最良の事業承継をM&A仲介会社に相談
  9. まとめ

1. 事業譲渡とは

事業譲渡とは

事業譲渡または事業売却とは、会社の事業の全部または一部を、他の会社に譲渡するM&Aの手法です。

M&Aの手法にはいろいろな種類がありますが、その中でも事業譲渡・事業売却は、比較的よく使用されるものの一つです。

事業譲渡・事業売却は株式譲渡と違い、事業にかかる資産そのものを他社に譲渡するので、会社自体は譲渡後も存続します

株式譲渡に比べると手続きが複雑になるのが欠点ですが、譲渡する資産を自由に選べることは買い手・売り手双方にとって大きな利点です。

【関連】事業売却は株式譲渡とどう違う?成功させるためのポイントまで紹介

2. 事業譲渡の際に移転する可能性のある物

移転する可能性のある物

事業譲渡・事業売却では事業にかかる資産そのものを譲渡するので、具体的に譲渡する資産が何になるかは個々の事例によります。

しかし、一般的に事業譲渡・事業売却の際に移転する可能性のある物は、主に以下の5つです。

【事業譲渡・事業売却の際に移転する可能性のある物】

  1. 譲渡された事業
  2. 従業員
  3. 権利
  4. 施設・設備
  5. その他

①譲渡された事業

事業譲渡・事業売却は事業を譲受企業に譲渡する行為であるため、譲渡企業の事業は必ず譲受企業に移転します。譲渡する事業は譲渡企業の全事業や、複数の事業を営んでいる場合は、そのうちの一つだけを譲渡するのもできます。

事業譲渡・事業売却する際は、事業を子会社化して会社を譲渡する形や、譲受企業が譲受する事業の受け皿会社を子会社として設立するケースもあります。

事業譲渡・事業売却においては、個々の事例に最も適した方法を、譲渡企業・譲受企業両社で模索していくのが重要です。

②従業員

事業譲渡・事業売却においては、譲渡する事業で働いていた社員・従業員も、譲受先企業へ移転する方向になります。

全ての社員・従業員を移転するか、一部の社員・従業員を残すまたは退職させるかは、譲渡企業と譲受企業、そして社員・従業員三者の意思によって決まります

事業譲渡・事業売却において、社員・従業員は最も重要な資産といえるため、主要な社員・従業員が移転を拒否してしまうと、事業譲渡・事業売却の契約自体が破談になることもあり得ます。

③権利

事業にかかる権利義務関係は第三者に譲渡できないこともありますが、移転可能な権利義務に関しては、事業譲渡・事業売却の際に移転する可能性もあります

たとえば、フランチャイズの権利義務などは、比較的自由に譲渡できるとされています。

ただし、事業を営むときに必要な許認可は、事業譲渡・事業売却の際に譲受企業に譲渡は基本的にできません

これは、会社そのものを譲渡する株式譲渡と、事業譲渡・事業売却の相違点なので注意が必要です。事業譲渡・事業売却では、譲受企業が新たに許認可を取る必要があります

事業譲渡・事業売却の手続きは終わったのに、許認可の取得が間に合わず営業を始められない事態が起こらないように、事業譲渡・事業売却のスケジュールをしっかり立てておくようにしましょう。

④施設・設備

事業譲渡・事業売却においては、事業に必要な施設や設備も譲受企業に移転します

たとえば、飲食やホテル事業などのサービス業であれば、店舗やホテルなどの施設を譲渡しますし、建設やバス事業なら重機や大型バスなども譲渡対象になります。

事業譲渡・事業売却では、譲受企業が始めから施設・設備を所有しているのでない限り、基本的に施設や設備は譲受企業へ譲渡するものになります。

⑤その他

事業譲渡・事業売却の際に移転する可能性のあるその他の物としては、たとえば、顧客リスト・ブランドイメージ・知的財産といった無形資産があります。

こういった無形資産は、施設や社員・従業員などの見える資産に比べて軽視しがちですが、業種によってはそれ以上に重要なこともあるので留意しましょう。

また、負債に関しては、事業譲渡・事業売却では譲渡する資産を選べるので、不要な負債は譲受企業が引き取る必要はありません

しかし、譲渡する事業にかかる負債は基本的に引き継ぐことになるので注意が必要です。

3. 事業譲渡の際の社員・従業員の処遇

社員・従業員の処遇

事業譲渡・事業売却では、社員・従業員の処遇をしっかりと行うのが大切です。これを怠ると、紛争や訴訟問題に発展する恐れもあります。この章では、事業譲渡・事業売却の際の社員・従業員の処遇について、ケース別に解説します。

①社員・従業員の労働契約引継ぎに関する対応

事業譲渡・事業売却の場合、社員・従業員の労働契約は、各社員と個別に交渉して承認を得る必要があります

労働契約の承認に関して紛争に発展する場合もあるため、会社側としては労働者の保護に十分留意しなければなりません。

したがって、事業譲渡・事業売却をする際は、転籍予定の社員・従業員との交渉をする前に、労働組合とも十分な話し合いをしておく必要があります。

個別の社員・従業員との話し合いの前に労働組合と協議し、その後も必要があれば、適宜話し合いを持つようにしましょう。

社員・従業員との交渉では、相手が十分に納得したうえで真意による承諾が得られるよう、譲受企業での労働条件などについて十分な説明をしなければなりません

②譲渡先への移籍を反対する社員・従業員への対応

事業譲渡・事業売却においては、譲受企業へ移籍する社員・従業員が、十分納得したうえで移籍の了承を得る必要があります。

社員・従業員は事業譲渡・事業売却の際に移籍を反対する権利があり、会社側がそれを無視して移籍させることはできません。

事業譲渡・事業売却の際、移籍を反対する社員・従業員への対応としては、より良い条件を提示して移籍を促すなどの方法があります。

譲受企業に移籍するのは反対だが、譲渡企業に留まれるならば他の部署に異動してもよい場合は、他の部署に配置換えしてもらうとした選択肢もあります

③事業譲渡にあたり退職を希望する社員・従業員への対応

事業譲渡・事業売却にあたり社員・従業員が退職をする場合は、譲渡企業の規定に従って通常の退職と同じように退職金を支払います

事業譲渡・事業売却では、退職の際に従業員による訴訟などのトラブルが起こる場合があります。

それを防ぐために、社員・従業員の退職の際は、自己都合退職になるか会社都合退職になるか、解雇になるか転籍になるかといった点を明確にするようにしましょう。

労働法上の退職理由とハローワークでの事務手続上の退職理由に違いが生じ、社員・従業員が混乱するような事例も見られるので、事業譲渡・事業売却においては、退職する社員・従業員に対して十分な説明を行うのが重要です。

【関連】M&A・会社売却の後、社員・従業員はどうなるの?社長は辞められる?

4. 事業譲渡の処遇に対して考えられる社員・従業員の要望

社員・従業員の要望

全ての社員・従業員が事業譲渡・事業売却に快く承諾してくれればそれが一番ですが、実際はうまくいかないケースも少なくありません。

事業譲渡・事業売却に納得せず、譲受企業への転籍を拒否する社員・従業員も出てくる場合があり、こういった社員・従業員の要望には、配置換え・退職願いなどが考えられます。

そのため、これらの要望について、適切な対処ができるよう準備しておくのが重要です。

【事業譲渡・事業売却の処遇に対して考えられる社員・従業員の要望】

  1. 配置換え
  2. 退職願い

①配置換え

事業譲渡・事業売却で譲受企業への転籍を望まない社員・従業員のなかには、譲渡企業の他の署へ配置換えを希望する者もいます。

もし、別な部署で働いてもらうのが可能な場合は、配置換えをして事業譲渡・事業売却を進めていく選択肢も有効です。

ただし、社員・従業員が新しい部署での仕事や人間関係になじめるように配慮する必要があり給与などの待遇面で社員・従業員が不利にならないように配慮しなければなりません

特に、長く同じ部署で働いてきたベテラン社員などは、配置換えがうまくいかないケースも考えられるので、事業譲渡・事業売却の際は注意が必要です。

②退職願い

譲渡企業の社員・従業員の中には、譲受企業で働くことを拒否し、退職願を出す場合もあります。

能力のある社員・従業員が退職してしまい譲受企業へ移籍できないとなると、事業譲渡・事業売却の意義が大きく下がってしまい、場合によっては事業譲渡・事業売却そのものが頓挫してしまうこともあります。

事業譲渡・事業売却においては、譲渡企業の社員・従業員が譲受企業へ移籍してもらえるように、給与面や仕事内容などの待遇を考えておく必要があります

5. 事業譲渡の際の社員・従業員の各種手続き

各種手続き

事業譲渡・事業売却の際の社員・従業員の手続きは、社員・従業員が譲受企業に移籍するのか、それとも譲渡企業に留まるのかといった条件によって異なります。

この章では、事業譲渡・事業売却における、労働契約・退職金・転籍・社会保険・雇用保険の手続きについて解説します。

【事業譲渡・事業売却の際の社員・従業員の各種手続き】

  1. 労働契約
  2. 退職金
  3. 転籍
  4. 社会保険
  5. 雇用保険

①労働契約

事業譲渡・事業売却の際の労働契約については、基本的に厚生労働省が公表している「事業譲渡等指針」に従います

この指針によると、事業譲渡・事業売却における譲受企業での新しい労働契約は、各社員・従業員と個別に承諾を得なければなりません

社員・従業員から得る了承は「真意による承諾」であること、つまり、きちんと納得したうえでの承諾が必要です。

もし、真意でない承諾をした場合は、社員・従業員の申し立てによって承諾を取り消せます。

譲渡先での労働契約を結ぶ場合

事業譲渡・事業売却の転籍では、譲渡企業での労働契約を解除して解雇し、譲受企業で新たに労働契約を結んで再雇用するのが一般的です。

譲渡先で新たに労働契約を結ぶ場合、譲渡企業の契約内容をそのまま引き継ぐのではなく、労働条件の変更が可能です

事業譲渡・事業売却では、社員・従業員に確実に転籍してもらうために、より良い条件を提示する場合も多いです。

ただし、労働条件の変更には、社員・従業員と譲受企業の同意が必要になるので注意が必要です。

譲渡先での労働契約を結ばない場合

事業譲渡・事業売却では、譲渡先で新たな労働契約を結ぶのではなく、譲渡企業の労働契約を承継する方法もあります

この場合は厚生労働省の指針に従い、労働者の真意による同意のもとに契約を承継する必要があります

②退職金

退職金は、事業譲渡・事業売却をする際、社員・従業員に対して十分配慮しなければなりません。

退職金は勤続年数が長いほど額が大きくなり、さらに勤続年数が20年以下か21年以上かで、所得税の控除金額が変わります。

転籍すると勤続年数がリセットされるので、事業譲渡・事業売却で社員・従業員を転籍させる際は、受け取る退職金が減額されないようにしなければなりません

もし減額されるとなると、それを理由に転籍を拒否したり、退職したりしてしまう恐れがあります。

退職しない場合

退職しない社員・従業員の退職金の扱いについては、2つのパターンがあります。1つ目は譲渡企業で転籍まで働いた分の退職金を一度支払い、それ以降の分について譲受企業の規定に従う形です。2つ目は、譲渡企業で働いた分の退職金を精算せずにそのまま譲受企業に引き継ぐ形です。

譲受企業に移籍したせいで、受け取る退職金が減ってしまわないように注意しなければなりません。譲渡企業を退職扱いにして勤続年数をリセットし、新入社員として譲受企業側の規則に従うと、退職金の額が少なくなってしまう可能性があります。

その場合は、譲渡企業に在籍していた年数を考慮するなどして、譲受企業での退職金が減額されないように配慮しなければなりません

それぞれの退職金のパターンについて、以下で解説します。

引継ぎあり

譲渡企業で支払うはずだった退職金を譲受企業で引き継ぐ場合は、譲受企業の金銭的負担が大きくなることになります。

それを避けるため、社員・従業員の退職金を引き継ぐ場合は、譲渡価額から引き継ぐ退職金の額を減額し、譲受企業側が負担にならないように配慮する必要があります

引継ぎなし

引き継ぎなしの場合は、譲渡企業で働いていた分の退職金を一度清算し、転籍後は譲受企業側の規則に従ってあらためて退職金を算出します。

清算するのはわかりやすい手段ではありますが、転籍する社員・従業員の退職金をまとめて支払わなければならないので、譲渡企業としては資金面で負担になるのがデメリットです。

退職を選んだ場合

事業譲渡・事業売却を受けて社員・従業員が退職を選んだ場合は、譲渡企業が退職金を支払います。

この場合は、社員・従業員の自主的な退職となるので、退職金の支払いも通常の退職と同じ手続きに従えばよいことになります。

③転籍

事業譲渡・事業売却における譲渡価格には、そこで働いている社員・従業員の価値も含まれているので、事業の核となる社員・従業員の転籍は確実に行わなければなりません

もし、主要な社員・従業員が転籍を拒否した場合は、譲渡価格の変更や、場合によっては譲渡契約自体が解除される可能性もあります。

そのため従業員が転籍してもらえるよう、一般的に、譲渡企業が事業の核となっている社員・従業員から転籍を了承する転籍承諾書をもらうのは、努力義務として課されています。

転籍に対する社員・従業員の手続きは、社員・従業員が転籍を承認した場合・拒否した場合・出向で対応する場合にわかれます。

承認した場合

社員・従業員が転籍を承認した場合は、譲渡企業の退職手続きをし、譲受企業で新たに雇用契約を結びなおして転籍を完了させます。

転籍に際しては、譲渡企業での退職金や有給休暇をどうするかが特に問題になりやすいので、転籍同意書を作成するなどして内容を明確にしておく必要があります

拒否した場合

社員・従業員が転籍を拒否した場合は、会社側の一方的な判断で転籍させることはできません。

もちろん解雇をするのもできないため、配置換えをするなどして、譲渡企業での雇用を継続する必要があります

出向した場合

転籍を断固として拒否するわけではないが、譲受企業で働くことに不安がある社員・従業員に対しては、譲渡企業に籍を置いたまま出向の形で対処する方法もあります

譲受企業への出向の形で一定期間働いてもらい、転籍する意思が固まった時点で正式に転籍する形であれば、転籍に不安のある社員・従業員にも安心感を与えられます。

④社会保険

事業譲渡で社員・従業員を転籍させる際は、社会保険に関する手続きも済ませておく必要があります。

一般的には、譲受企業で被保険者資格取得届を提出するとともに、譲渡企業では被保険者資格喪失届を提出します

どの手続きが必要かは個々の事例による部分もありますが、一般的には、健康保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険について手続きを行います。

育児休業中の取扱い

育児休業中の社員・従業員の社会保険では、給付金や保険料免除の手続きを忘れずに行うのが重要です

また、社員・従業員が育児休業を終えて復帰した際に、働く場所がないとった事態は避けなければなりません。適切な配置転換を行うなどして、社員・従業員が問題なく復帰できる体制を整えておく必要があります。

⑤雇用保険

雇用保険に関しては、譲受企業側は被保険者資格取得届を、譲渡企業側は被保険者資格喪失届を提出する必要があります

【関連】事業承継の手続き方法を解説!親族内承継・M&Aなどケースごとに紹介

6. 事業譲渡の際の社員・従業員の給与・有給消化の取扱い

給与・有給消化の取扱い

事業譲渡・事業売却では、社員・従業員の給与・有給消化の取扱いに特に留意する必要があります。

給与・有給休暇については、転籍をしたことにより社員・従業員が不利益を被らないようにするのが大切です。

①給与の取扱い

事業譲渡により譲受企業へ転籍した社員・従業員の給与は、譲受企業との契約にもとづいて決まります。

譲渡企業の給与より金額が低くなってしまうと、転籍の拒否につながりかねませんので、待遇面の交渉は慎重に行う必要があります

事業譲渡では譲受企業のほうが譲渡企業より大企業であることも多く、また譲受企業側としては能力を持った社員・従業員に確実に転籍してもらいたいため、給与面でより良い待遇を提示されるケースも多いのが特徴です。

②有給消化の取扱い

事業譲渡・事業売却では、譲渡企業での雇用契約を終了して譲受企業で新たに雇用契約を結ぶので、有給休暇を引き継ぐことは基本的にできません

しかし、これでは転籍する社員・従業員にとって非常に不利なので、譲渡企業での勤続年数を通算する、一定の範囲内で未消化の有給休暇を承継する、未消化分を転籍前に全て消化してもらうなどの対処をする必要があります

譲受企業側としては、優秀な社員・従業員の転籍拒否を避けるためにも、有給休暇の取り扱いについては慎重にならなければなりません。

7. 事業譲渡の際に社員・従業員を解雇するのは可能か?

事業譲渡の際に社員・従業員を解雇するのは可能か?

事業譲渡・事業売却では、譲渡する事業で働いている全ての社員・従業員の雇用を確保すべく尽力しなければなりませんが、どうしても社員・従業員を退職させなければならないケースもあるでしょう。

しかし、社員・従業員の解雇は法律で厳しく制限されており、事業譲渡・事業売却だけを理由に社員・従業員を解雇するのは基本的にできません

事業譲渡の際の雇用調整と種類

事業譲渡・事業売却の結果、どうしても社員・従業員に退職してもらわなければならない場合は、話し合いのうえ、社員・従業員から同意を得なければなりません。

事業譲渡・事業売却の際の雇用調整方法には、退職勧奨・希望退職・早期退職・整理解雇などが考えられます。

こういった退職を促す行為は、慎重に行わないと違法とみなされ、社員・従業員から損害賠償を請求されることもあります。それぞれの手法を正しく理解して、円滑に雇用調整が進められるようにしましょう。

【事業譲渡・事業売却の際の雇用調整と種類】

  1. 退職勧奨
  2. 希望退職
  3. 早期退職
  4. 整理解雇

①退職勧奨

退職勧奨とは、会社が社員・従業員に対して退職するように勧めることです。もし社員・従業員がこれに従って退職した場合は、自己都合退職となり解雇にはなりません。

もちろん退職勧奨に法的な効力はなく、社員・従業員が拒否すれば退職させることはできません

退職勧奨は強引に行うと違法とみなされることもあり、実際に損害賠償が支払われたケースもあります

過去の判例によると、執拗に何度も退職勧奨を行う、社員・従業員を威圧して名誉を傷つける、退職しないなら給料を減らすなどの行為が、違法な退職勧奨と認められています。

②希望退職

希望退職とは、会社側から退職しても良い社員・従業員を募って行う退職のことです。こちらも法的な拘束力はないので、会社側は退職の強要はできません。

希望退職は会社と社員・従業員双方の同意によってなされるので、どうしても譲受企業に転籍してほしい社員・従業員が希望退職の意思を示した場合は、会社側は引き止めの交渉が可能です

希望退職は、原則として会社都合退職扱いとなりますが、会社側の引き止めに応じず退職した場合は、自己都合退職となります。

③早期退職

早期退職とは、定年を迎える前に自主的に退職する制度のことです。早期退職は社員・従業員が自主的に行うもので、会社側から強制はできません。

早期退職は会社の制度として常に募集していることもありますが、事業譲渡・事業売却における早期退職の場合は、人員整理による臨時的な退職となります

早期退職では退職金を通常より多く支払うのが一般的なので、会社側としては資金面でのデメリットがあるといえます。

④整理解雇

事業譲渡・事業売却における雇用調整では、退職に納得した社員・従業員のみが自主的に退職するのが基本ですが、それもうまくいかない場合は、社員・従業員の解雇も検討しなければなりません。

解雇には普通解雇・懲戒解雇・整理解雇の3種類がありますが、事業譲渡・事業売却における解雇は整理解雇になります。

事業譲渡・事業売却ならいつでも整理解雇できるわけではなく、以下の4つの要件を満たす必要があります。

これらの要件は、整理解雇を避けるためのあらゆる努力を行ったが、どうしても解雇しなければならない状態であるかを判定するものです。

【事業譲渡・事業売却で整理解雇が認められるための要件】

  1. 人員整理の必要性
  2. 解雇回避努力義務の履行
  3. 解雇する従業員選定の合理性
  4. 手続の相当性

8. 社員・従業員にとって最良の事業承継をM&A仲介会社に相談

M&A仲介会社に相談

事業譲渡・事業売却は株式譲渡に比べて手続きが複雑なため、M&A仲介会社など専門家のサポートを得るのが不可欠です。

M&A総合研究所は、経験豊富なM&Aアドバイザーが、社員・従業員にとって最良の事業譲渡・事業売却を提案します。また、弁護士が在籍しておりますので、法律面でも安心かつ確実なM&Aを実現できます。

M&A総合研究所の独自に有するネットワークにより最短一週間での買い手候補探しや、最短3カ月でのM&A成立を実現しています。報酬は成約まで一切料金がかからない完全成功報酬制を採用しているので、成約しなかったのに手数料だけ払わされる心配がありません。

M&A業界では対面での面談が慣習となっていますが、M&A総合研究所では2020年4月からテレビ電話やメールでの無料相談も開始しております。

無料相談は随時お受けしていますので、事業譲渡・事業売却をお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所
電話で無料相談
03-6455-5875
WEBで無料相談
M&Aのプロに相談する

9. まとめ

まとめ

事業譲渡・事業売却では、社員・従業員の労働契約や退職金などの待遇に十分留意するのが大切です。社員・従業員の反対を避けて事業譲渡・事業売却を成立させるために、各種手続きをきちんと理解しておくようにしましょう。

M&A総合研究所は、事業譲渡・事業売却の経験豊富なM&Aアドバイザーによる、フルサポートが受けられる仲介会社です。

無料相談を年中無休で受け付けていますので、事業譲渡・事業売却をお考えの方は、電話かメールで気軽にお問い合わせください。

関連する記事

人気の記事

人気の記事ランキング

新着一覧

最近公開された記事