事業承継税制の特例はどんな内容?変更点とメリット、注意点を解説

2018年に新しくスタートしたのが、事業承継税制の特例です。この記事では、事業承継税制の特例措置の内容や必要な手続き、要件などについて詳しく解説していきます。2028年までに贈与または相続を行う予定の方は、ぜひ参考にしてください。


目次

  1. 事業承継税制の特例とは?
  2. これまでの事業承継税制と特例措置の違い
  3. 事業承継税制が適用される期間
  4. 【贈与税】事業承継税制の特例要件とは
  5. 【相続税】事業承継税制の特例要件とは
  6. 事業承継税制(特例措置)手続きの流れと書類
  7. 事業承継税制特例措置適用後の手続きとは?
  8. 事業承継税制が特例措置が取消になるケース
  9. 事業承継税制の特例を利用する3つのメリット
  10. 事業承継税制の特例を使う際の注意点
  11. 事業承継税制の特例はM&A仲介会社に相談しよう
  12. 事業承継税制特例のまとめ

1. 事業承継税制の特例とは?

2018年度の改正により、より多くの中小企業が使えるように事業承継税制の特例が作られました。

しかし、未だに浸透しておらず、どうしたら良いのかわからないという人は少なくありません。ですが、上手く使わなければ今の状況を脱することができないこともあります。

そこでまずは、事業承継税制と特例の基礎知識を知るところから始めてみましょう。

1-1.そもそも事業承継税制とは

事業承継税制とは、中小企業の事業承継をサポートするため贈与税、相続税の支払いを一定期間猶予してくれる制度のことです。

ただし、株式譲渡による事業承継が対象となります。

また、制度を使うなら都道府県知事から認定をもらう必要もあるでしょう。

特例措置、一般措置によって猶予される税金の額は異なりますが、80~100%の贈与税、相続税が猶予されるので事業承継をお考えの方はチェックしておくべき制度です。

しかしこの一般措置の適用要件は複雑で難しく、適用から5年間雇用の8割を維持しなければならないということから利用企業は少ない状況にありました。

1-2.事業承継税制の特例措置(法人版)とは?

制度上のデメリットが多く、事業承継税制の一般措置を利用する中小企業が少なかったことから金融庁は2018年度改正で新たに特例措置を作りました。

特例措置とは、対象となる中小企業の条件や、雇用継続の条件などを大幅に緩和した事業承継税制です。特例措置では従業員の雇用を8割維持することが努力目標となり、8割を下回った場合でも猶予は継続されます。

また制度の対象となる税金も一般措置の時より上がり、贈与税、相続税共に100%の支払いが猶予されるので税金の負担は大きく減るでしょう。

しかし特例措置は期間限定の制度であるため、制度を利用するには2023年までに特例承継計画を提出、2028年までに贈与・相続を行わなくてはいけません。

特例措置の適用期間が過ぎた後は一般措置での申請になりますので、2028年までに承継を行い対象税額も条件もお得な特例措置を利用すべきでしょう。

1-3.特例措置が実施された背景

中小企業の税金負担を減らし事業承継を円滑にするために始まった事業承継税制ですが、手続きが煩雑なうえ事業継続の要件が厳しいことからあまり利用されていませんでした。

2018年度改正までに行われた事業承継税制の申請は年間約400件(中小企業庁調べ)。毎年30,000件の休廃業が発生(東京商工リサーチ「2016「休廃業・解散企業」動向調査」より)していることを考えれば、非常に少ない件数だと言えるでしょう。

そこで政府が新たに実施したのが、事業承継税制の改正です。新しく作られた事業承継税制の特例では、制度利用の要件が緩和され多くの中小企業が適用を受けられるようになりました。

特例措置は条件がやや厳しいことから、申請が難しいと感じるかもしれません。しかし、上手く使うことで、最大100%の税金の猶予が受けられることは大きなメリットですから、検討してみてください。

2. これまでの事業承継税制と特例措置の違い

事業承継税制の基本的なところについて解説しましたが「具体的にどんなところが今までと違うのかを知りたい」という人もいるでしょう。

では、どのような違いがあるのか以下6つに分けて解説していきます。

  1. 全ての株式が納税猶予対象になった
  2. 相続税の100%猶予が可能になった
  3. 複数の株主から複数の後継者への相続・贈与も猶予対象になった
  4. 雇用の8割維持が出来なくても猶予が継続される
  5. 業績悪化で株式譲渡などを行う際は一部の税額が免除される
  6. 適用期間に制限がある

具体的な手続きに入る前に、チェックしておきましょう。

違い1.全ての株式が納税猶予対象になった

特例措置では、猶予対象となる株式が増え、さらに猶予される税額が増加しました。

以前までなら、納税の対象となるのは発行済株式の3分の2のみ。残りの3分の1の株式は、対象外とされてきました。しかし特例措置では発行済の全株式が猶予の対象となったため、中小企業が事業承継で支払う税金はさらに減ることになります。

違い2.相続税の100%猶予が可能になった

相続税の猶予は80%でしたが、特例措置では100%まで引き上げされます。

あくまでも猶予という措置ですが、相続で事業を承継するときに相続税の支払いがゼロになるのは大きなメリットでしょう。

違い3.複数の株主から複数の後継者への相続・贈与も猶予対象になった

既存の制度で対象となっていたのは、経営者が1人の後継者に株式を譲渡する場合のみでした。しかし特例措置では、複数の株主から、複数の後継者(3名まで)の贈与・相続も対象となります。

複数の後継者が共同で経営を行う場合でも相続税、贈与税の支払いが猶予されるため制度を利用できる中小企業は増えるでしょう。
 

違い4.雇用の8割維持が出来なくても猶予が継続される

特例措置の場合も、基本的な要件は一般措置と同じです。

しかし「申告期限から5年間、雇用の8割を維持する」という条件は2018年度改正によって緩和されました。

特例措置では、雇用平均が8割を下回っていても、認定支援機関から指導と助言を受けるだけで続けて利用できるので覚えておいてみてください。

違い5.業績悪化で株式譲渡などを行う際は株式の差額が免除される

以前までは、猶予された税額が免除となるのは会社が倒産した時のみでした。

しかし特例措置では、業績悪化により株式を譲渡したり、他の会社に買収された場合でも支払う贈与税・相続税が免除されます。

業績悪化による株の譲渡、買収の際には株価を再計算し下がった株価にかかった税金は免除となるので、会社の今後が不安な方も利用しやすい制度となりました。

違い6.適用期間に制限がある

事業承継措置の一般措置は今後も続きますが、特例措置は10年間の時限措置です。承継計画を5年後の2023年までに承認してもらい、10年後の2028年までに承継しなければ一般措置として扱われます。

以上が、事業承継税制における一般措置と特例措置の違いでした。事業承継税制の特例が始まってからまだ1年ほどしか経っていないので、関する詳しい情報は専門家と共にチェックしましょう。

以下では、事業承継税制の適用期間について解説していくので、制度の内容を詳しく知るためにぜひ読んでみてください。

3. 事業承継税制が適用される期間

税金の支払いに猶予を受けることができる事業承継税制は、多くの人が適用期間に不安を抱えています。

そこで、知っておきたい期間と注意点について『一般措置』と『特例措置』に分けてまとめました。

3-1.一般措置の場合

一般措置は、基本的に適用期間に制限はないです。

ですから、都道府県知事からの認可を受けるだけで使えます。ただし、「適用から5年後に雇用の8割を維持」「自社株式を継続して保有する」などの要件を満たさなくてはならないでしょう。

満たさなくなったと認められた時点で、猶予されていた分の税金を支払わなくてはなりません。そのため、安全に進めていきたいのであれば専門家に依頼しましょう。

税のリスクについて定期的に調べていれば、未然に防げるようになるはずです。

3-2.特例措置の場合

特例措置は2023年までに特例承継計画を出して認可をもらい、28年までに事業承継を行うのが条件となります。

一般措置と同じで、要件は必ず適用の範囲内にしておきます。もし、制度を使いたいと考えるのであれば、早めに承継計画を作ってしまいましょう。

適用後の期限については一般措置の場合と同じです。

4. 【贈与税】事業承継税制の特例要件とは

先ほど、制度を使うには要件を満たす必要があることに触れながら、利用可能期間についてお話しました。

簡単にまとめると以下5つに当てはまる必要があります。

  1. 承継計画の認可をもらう
  2. 特定の事業を営んでいない
  3. 先代経営者の要件をすべて満たす
  4. 後継者で要件をすべて満たす
  5. 担保を準備して出す

難しくはないですが、失敗しやすいので見ておきましょう。

要件1.承継計画の認可をもらう

まずは、都道府県知事の認定を受ける必要があります。

一般措置、特例措置のどちらでも必要です。また、承継計画は事前に出し、こちらも認めてもらう必要があります。
ちなみに、特例の場合は2023年3月31日までに受ける必要がありますから、今からスケジュールをしっかりと組んで段取り良く進めていくようにしてみてください。

要件2.特定の事業を営んでいない

以下に当てはまる会社なら、そもそも特例を使うことができません。
 

  1. 上場している
  2. 風俗営業をしている
  3. 資産管理会社である
  4. 総収入金額が全くない
  5. 従業員が全くいない

もし、認められた後だとしても、これらに当てはまるのであれば継続できません。猶予をしてもらった税金の支払いが課せられてしまうため、気を付けてください。

要件3.先代経営者の要件をすべて満たす

先代経営者は以下の要件を満たしている必要があります。

  • 代表権を持っていた
  • 議決権の50%以上を持っていた
  • 最も多くの議決権を持っていた
  • 代表権を贈与のときに持っていない

難しい話とはなりますが、基本的に株式を半分以上持っていたという状態であれば、事前に満たしていることがほとんどです。ですが、失敗してしまわないためにも確認しておくと良いでしょう。

要件4.後継者で要件をすべて満たす

後継者は以下の要件を満たしている必要があります。

  1. 代表権を持ち、かつ20歳以上である
  2. 役員になって3年以上は経過している
  3. 後継者・親族などで議決権の50%を持つ、かつ後継者の保有量が一番多い
  4. 後継者が複数の場合は総議決権数の10%以上、かつもっとも多く議決権を持つ

後継者の数や、期間に要件が設定されていますから、丁寧に確認してみてください。

要件5.担保を準備して出す

そして最後に、担保についても知っておかなくてはなりません。

なぜなら、猶予を受けるためには額に応じた担保を用意しなくてはならないからです。

具体的には以下のようなものが担保として認められます。
 

  • 不動産
  • 国際
  • 地方債
  • 有価証券
  • 支払い能力のある保証人 など

では、もし用意できなかったらどうなるのでしょうか。

担保として他に出せるものとなると『手持ちの株式』だけです。それでも足りないときには適用外となってしまうでしょう。通常、あまり担保が足りないということにはなりませんが、株式を出すのはとてもリスクが高いです。

ですから、まずは担保として出せるものはないのかを洗い出すところから始めてみてください。もし、自身で判断できないとなれば、専門家に依頼して調べてもらうことで見つけ出せるはずです。

5. 【相続税】事業承継税制の特例要件とは

では次に、相続税の場合はどうなるのか見ていきましょう。

簡単にまとめると以下の通りです。

  1. 特例承継計画について認可を受ける
  2. 特定の事業を営んでいない
  3. 経営者(被相続人)が要件に当てはまる
  4. 後継者(相続人)が要件に当てはまる

書類の提出期限が異なりますのでしっかりと確認しましょう。

要件1.特例承継計画について認可を受ける

前述した贈与税と同様に、都道府県知事の認可をもらう必要があります。

ただし、違いとして死亡したことを知り得たときから10ヶ月以内に認可をもらう必要があることに留意しましょう。

要件2.特定の事業を営んでいない

特定の事業に関しては贈与税とすべて同じです。

違いもありませんので、以下に当てはまらないようにしてみてください。

  1. 上場している
  2. 風俗営業をしている
  3. 資産管理会社である
  4. 総収入金額が全くない
  5. 従業員が全くいない

通常、当てはまることはありませんが、認められた後でも当てはまると継続できない点には留意してください。

要件3.経営者(被相続人)が要件に当てはまる

贈与税の先代経営者とほぼ同様です。

具体的には、以下の要件に当てはまらなければなりません。

  1. 代表権を持っていた
  2. 「相続開始直前に」議決権の50%以上を持っていた
  3. 「後継者を除き」最も多くの議決権を持っていた

ただし、すでに認可を受けていたという状態であれば問題ないでしょう。

要件4.後継者(相続人)が要件に当てはまる

後継者(相続人)の要件もやや違いがありますが、概ね贈与税とケースと変わりません。

具体的には以下の通りです。

  1. 「相続開始の翌日から5ヶ月以内」に会社の代表権を持つ
  2. 後継者・親族などで議決権の50%を持つ、かつ後継者の保有量が一番多い
  3. 後継者が複数の場合は総議決権数の10%以上、かつ最も多く議決権を持つ
  4. 「相続開始直前に会社の役員である」こと(被相続人が60歳未満で死亡した場合を除く)

簡単に説明してきましたが、実際に要件に当てはまる状態にするのには苦労するケースもあります。不安なことがあれば専門家に相談すると良いでしょう。

より要件について詳しくまとめた記事が以下にありますので、こちらもチェックしてみてください。

【関連】事業承継税制の適用要件とは?支払い免除や認定取消も解説!

6. 事業承継税制(特例措置)手続きの流れと書類

特例措置の適用を受ける際には、都道府県知事からの認定に加え特例承継計画の策定・提出が必要です。

以下では特例措置を受けるための流れについて解説していくので、2028年までに承継予定の方は参考にしてください。

相続税、贈与税共に手続きの流れについてはほぼ変わらないので、以下の流れを頭に入れて特例措置について検討してみましょう。

6-1.特例承継計画の策定

特例措置を受けるには、承継計画の策定が必要となります。

具体的には後継者を誰にするのか、経営の見直しはどうするのかなどの内容を盛り込むのです。実際に作ると意外に専門知識を必要とし、細かい点まで丁寧に作らなければ認可を受けるのは難しいでしょう。

ですから、できることなら専門家に相談して作成すると失敗を減らせるはずです。

6-2.特例承継計画の提出

特例承継計画が完成したら、認定支援機関に所見を記載してもらい都道府県庁に提出します。

2023年までに計画を提出しなければ特例措置が受けられないので、早めに動き始めましょう。

6-3.都道府県知事への認定申請

承継計画の提出後、計画通り贈与・承継を行いましょう。そして贈与・相続が実行されたら、都道府県知事に事業承継税制の認定申請をします。

申請の期限は贈与の場合、贈与をした年の翌年1月15日まで、相続の場合相続開始後8ヶ月以内です。

6-4.税務署への申告

都道府県知事から認定を受けたら、税務署への申告を行います。贈与の場合は贈与税申告書等と認定書の写しを、相続の場合相続税申告書等と認定書の写しを提出しましょう。

その他必要な書類に関しては、確実に手続きを進めるため税務署に相談するのがおすすめです。

以上が、特例措置を受けるための手続きでした。書類や計画の策定については煩雑なところもあるので、専門家と相談しつつ不備の無いよう確実に進めていきましょう。

ここからは事業承継税制の認定を受けた後に必要となる手続きについて解説していきます。

7. 事業承継税制特例措置適用後の手続きとは?

事業承継税制の適用を一度受ければ、さらに次の後継者が会社を引き継ぐまで税金の支払いが猶予されます。

売上の少ない中小企業にとっては非常にありがたい話ですが、継続して優遇を受けるためには適用後も書類を提出し必要な要件を満たし続けなければいけません

ここからは税制の適用後、必要な手続きについて3段階に分け解説していきます。

7-1.適用から5年間必要な手続き

無事に、事業承継税制が適用されたら5年の間は毎年、書類を出し続けなければなりません

具体的には、以下の2種類です。
 

  1. 年次報告書→都道府県知事
  2. 継続届出書→税務署

もし、出し忘れてしまえば、猶予してもらった税金は全て支払うことになります。

年数を重ねるほど金額は大きくなるので注意しておきましょう。

7-2.5年経過後必要な手続き

適用から5年が経てば、都道府県知事と税務署に「特例承継計画に関する報告書」を出します。

特例措置の場合、雇用の8割の維持ができていない状態でも、指導と助言を認定経営革新等支援機関から受ければ続けられるでしょう。

7-3.その後必要な手続き

そして、5年後からは税務署に継続届出書を3年ごとに出します。

この手続きを忘れずにしておくだけで、税制の猶予を継続できるからです。ただし、要件に当てはまる状態は維持しなくてはなりません。

また、先代経営者または後継者が死亡したなどであれば、猶予してもらっていた税金の支払いに免除を受けることができる可能性もあります。

もし、上記のような免除事由があるというときには免除届出書・免除申請書を出さなくてはなりません。税理士などの専門家に依頼して進めると良いでしょう。

ここまでが事業承継税制適用後の手続きでした。事業承継税制は、都道府県知事からの認定を受けた後も継続して書類の作成、提出が必要な制度です。

税理士などの専門家に相談しつつ、作成し忘れの無いよう毎年チェックを行いましょう。ここからは事業承継税制の特例措置認定が取消となるケースを解説していきます。

8. 事業承継税制が特例措置が取消になるケース

事業承継税制を利用する前に、取消事由についても確認しましょう。

もし認定が取消になればそれまで猶予されていた税金に加え利子を支払う必要が出てくるため、会社の経営に大きなダメージが出かねません。

取消に関する要件や事由は、申告期限後5年以内と、5年経過後で変わります。事前に認定取消のリスクを知り、会社の経営方針について考えてみましょう。

8-1.5年以内の継続要件

一般措置の場合、事業承継税制の申告期限から5年間は以下の要件をすべて満たさなければいけません
 

  1. 後継者が会社の代表者である
  2. 雇用の8割を維持すること
  3. 後継者が筆頭株主であること
  4. 上場会社、風俗営業会社にならないこと
  5. 対象となる株式を継続保有していること
  6. 資産管理会社にならないこと

以上の継続要件に当てはまらなくなった時点で、猶予されていた税金の支払いとその利子が一気に請求されることになるでしょう。

ただし先述した通り、特例措置の場合は「申告期限から5年間、雇用の8割を維持する」といった条件に対して緩和が行われています。要件を満たせなくても、認定支援機関からの指導・助言を受ければ事業承継税制を継続できるので専門家と共にチェックしておきましょう。

8-2.5年経過後の要件

申告期限から5年経過した後、猶予の要件は緩和されます。

5年経過後の主な要件は、以下の3つです。
 

  1. 株式を継続保有していること
  2. 資産管理会社等に該当しないこと
  3. 「年次報告書」「継続届出書」を3年に一度提出すること

以上の要件を満たせなくなれば、基本的に今まで猶予されていた税金と利子税を支払わなければいけません。しかし特例措置では業績悪化により株式を譲渡した場合、株価が再計算され下がった分の株にかかる税金が免除されます。

事業悪化による株式譲渡を考えている場合は、一度専門家に相談しましょう。

9. 事業承継税制の特例を利用する3つのメリット

事業承継税制は手続きが難しいことから制度の利用を諦める経営者も少なくありません。

しかし税金の猶予額を考えれば、事業承継税制はお得な制度です。ここからは、以下の通り事業承継税制のメリットについて解説していきます。
 

  1. 税金の指示払い額を大幅に減らせる
  2. 廃業コストを無くせる
  3. 後継者の負担を減らせる

「よく分からないから、事業承継税制は使わなくていい」「専門家にわざわざ相談するのが面倒」と考えている方は、ぜひチェックしてください。

メリット1.税金の支払い額を大幅に減らせる

事業承継税制最大のメリットは、やはり税金が優遇されるという点にあります。

税金の支払いが大きすぎて事業承継をためらっていたという企業経営者の方も、事業承継税制を利用すれば承継できるかもしれません。事業承継税制を利用すれば数百万~数千万円もの税金支払いが猶予されます。

さらに2023年までに承継計画を提出し特例が適用されれば、贈与税、相続税が全額免除になるでしょう。

株式譲渡によって事業承継をしようと考えている経営者の方にとって、制度の利用による節税効果は絶大だと言えます。

メリット2.廃業コストを無くせる

税金の負担額が減れば事業承継をしやすくなり、廃業にかかるリスクやコストをなくすことができます。会社の経営には大量の備品や設備などが必要になるものです。

会社を残さず、廃業を選択した場合そうした設備を売ることもできますが古いものや再利用ができないものはコストをかけて廃棄しなければいけません。

一方事業承継を行えば、そうした廃棄にかかるコストをかけず会社を残すことが可能です。事業承継税制により税金の支払いが猶予されれば、会社の存続に向けて前向きに考えられるようになるでしょう。

メリット3.後継者の負担を減らせる

事業承継税制を使えば、最低でも5年間税金の支払いが猶予されるため後継者の負担を減らせます。税金の支払い額が高いという理由で、親族や従業員が会社の引き継ぎを拒否するケースは少なくありません。

後継者が税金などのコストを理由に引継ぎを拒否した場合でも、事業承継税制について話せば承継に前向きになってくれるかもしれません。後継者や従業員にかかる負担が減れば、資本金などが少ない場合でも会社を維持しやすくなるでしょう。

以上が、事業承継税制を使うメリットでした。税金の支払いが猶予されれば、廃業コストを削減できるうえ後継者の負担も大きく減ります。

事業承継をして会社を残したい、と考えているなら利用を前向きに検討してみるべきでしょう。ここからは事業承継税制で注意すべきポイントについて解説していきます。

10. 事業承継税制の特例を使う際の注意点

贈与税、相続税の支払いが大幅に猶予される事業承継税制ですが、利用の際には注意すべきポイントもあります。

事業承継税制のデメリットは、以下の5つです。
 

  1. 手続きや計画策定に時間がかかる
  2. 事業を最低5年は継続しなければならない
  3. 認定が取り消された場合の税務リスクが大きい
  4. 2023年までに承継計画を認定してもらう必要がある
  5. 対応できる専門家が少ない

具体的な計画策定や手続きに入る前にデメリットに目を向け、会社の引き継ぎについてより広い視点から考えてみましょう。

注意点1.手続きや計画策定に時間がかかる

事業承継税制を使うには、数多くの書類作成と提出、事業承継計画の策定が必要であるため時間的なコストがかかってしまいます。

さらに認定を受けた後も、毎年都道府県と税務署に書類を提出しなければならないので、通常の業務で手一杯な会社にとっては大きな負担になりかねません。手続きなどにある程度時間を割ける状態でなければ、円滑に事業承継税制を利用するのは難しいでしょう。

しかし普段の仕事が忙しいからと言って、制度の利用を諦める必要はありません。税理士など事業承継税制に対応してくれる専門家に相談すれば、手続きの効率的な進め方についてアドバイスをもらったり、代わりに書類を作成してもらったりすることもできます。

手続きや計画策定にはある程度時間がかかってしまいますが、専門家の力を借りれば忙しい中小企業の経営者であっても事業承継税制の利用はできるでしょう。

注意点2.事業を最低5年は継続しなければならない

事業承継税制の適用を受けるには、申請した事業を同じ会社で5年以上継続しなければいけません。業績悪化による株式の売却、他社からの買収についてはある程度措置がありますが、5年以内に事業を辞めればそれまで猶予されていた税金が課されます。

今後廃業することも検討している場合、事業承継税制の適用については考え直した方が良いでしょう。会社の存続だけを考えるのであればM&Aなど他にも様々な手段がありますので、事業承継に詳しい専門家に相談するのがおすすめです。

注意点3.認定が取り消された場合の税務リスクが大きい

事業を途中で辞めた場合、継続に必要な手続きをしなかった場合には認定が取り消され、猶予してもらった税金の支払いが必要です。

「今まで支払うはずだった税金が課されるだけだから問題ない」と感じる方も少なくありませんが、​​​​​​認定が無くなれば今まで払うはずだった税金だけでなく、猶予されていた額に対する利子税の支払いが課されます。

そのため途中で認定が取消になれば、「事業承継税制を使わなかった方が税金が安く済んだ」という事態も十分あり得るでしょう。

事業承継税制の利用が決まったら、不備なく書類を提出し会社を存続させなければいけません。認定を受けた後も、税理士など専門家と相談して今後の税務について考えていく必要があります。

注意点4.2023年までに承継計画を認定してもらう必要がある

事業承継の特例措置には、明確な利用期限があるため2023年までに特例承継計画を提出し、2028年までに承継を行わなければ特例が使えなくなり一般措置として扱われます。

事業承継税制の特例は時限措置であるため、今後10年ほどの間に事業承継を行おうと考えている経営者の方は早めに動かなければいけません。

2023年までに提出の特例承継計画では後継者に関する情報も詳しく書く必要があるので、「まだ後継者を決めていない」という方は公的な専門機関や専門家、民間のアドバイザーに相談し会社の今後について考えておきましょう。

注意点5.対応できる専門家が少ない

2018年に制度の改正が行われ事業承継税制の特例措置ができてから、制度への申請を行う中小企業は増えてきています。

しかしまだ制度改正から数年しかたっていないため、事業承継税制に対応してくれる専門家は少ない状況です。

そのため会社の顧問税理士に相談しても経験が少なく、上手く対応してもらえないというケースも少なくありません。事業承継税制を検討する際は、会社外の税理士に相談するのが有効でしょう。

しかし一部ですが、事業承継の手続きをすることだけを重視し現実的でない会社の存続計画を作る専門家もいます。また報酬に関して専門家の認識がズレており、想定外の出費が発生することも少なくありません。

こうしたトラブルを防ぐため事業承継税制に関することだけでなく、会社の成長について共に考えてくれる専門家を選びましょう。専門家によっては、公式ページで事業承継税制への対応について説明していますので事前に読んでおくのがおすすめです。

ここからは事業承継税制を使って会社を後継者に引き継ぐためのポイントを解説していますので、ぜひ参考にしてください。

11. 事業承継税制の特例はM&A仲介会社に相談しよう

事業承継税制を利用すれば、多額の税金の支払いを猶予してもらうことができます。

しかし、手続きは複雑で、要件を満たしているのか確認するだけでも一苦労してしまうことがあるでしょう。ですから、不安に感じる、どうすれば良いのかわからないならM&A仲介会社に相談してみましょう。

事業承継にまつわる多種多様な専門知識を持っていますから、事業承継税制についてのアドバイスやサポートを受けることができるはずです。

ですが、本当に対応しているのかどうかは仲介会社ごとに違います。無料相談を活用して聞いてみるなどの工夫が必要となるでしょう。

もし、すぐに動き出したいのであれば、「M&A総合研究所」へご相談ください。

電話で無料相談
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12. 事業承継税制特例のまとめ

事業承継税制の特例を利用すれば、相続税、贈与税が実質100%猶予となるため資産の少ない会社であっても事業承継が可能です。

しかし事業承継税制の特例を適用してもらうには複雑な手続きが必要となるので、前もって計画を立て進めていく必要があります。

事業承継税制の特例など税金関連の制度のことについては、一度税理士やM&A仲介会社など事業承継のプロに聞いてみましょう。

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