2020年06月14日公開
2020年06月14日更新
事業承継対策のポイント7選!後継者問題や株価、税金面も解説!
スムーズな事業承継による会社の存続を実現させるには、対策が必要不可欠です。税負担の増加や引き継ぎ後の業績悪化を防止するためには、徹底的な対策が必要です。本記事では、事業承継対策のポイント7選と後継者問題や節税について解説します。
目次
1. 事業承継とは
事業承継とは、経営理念と一緒に会社や事業の経営を後継者に引き継ぐことです。株式の譲渡により会社の経営を引き継ぐ方法もあれば、個人事業主の事業を引き継ぐ方法もあります。
近年は事業承継を推し進める動きが強くなっており、中小企業庁による積極的な支援政策が目立っています。まずは、事業承継を実施する目的や、推奨される理由について解説します。
事業承継の目的
事業承継の目的は、会社や事業を存続させることにあります。後継者候補が豊富な会社であれば、特段事業承継のことを考えなくても会社は存続します。
しかし、中小企業のように少数精鋭で経営している会社は、明確な意思の下で事業承継を行う必要があることが多いです。
早期から事業承継を視野に入れて、経営者や後継者にとって適切なタイミングで引き継ぎを行うことで、会社の若返り効果とさらなる発展を目指します。
事業承継を推奨する理由
事業承継を推奨する理由は、中小企業・小規模事業者の事業承継が進んでいないためです。
日本企業の99.7%は中小企業・小規模事業者で成り立っており、中小企業・小規模事業者の事業承継が進まず廃業者が増加すると日本経済への打撃は計り知れません。
2017年に行われた中小企業庁の試算によると、事業承継問題を放置した場合、廃業増加により2025年までに約650万人の失業と約22兆円のGDP(国内総生産)を喪失する可能性が強いことが明らかになっています。
2. 事業承継対策のポイント7選
事業承継の目的を達成するためには、適切な対策を施す必要があります。この章では、事業承継対策として挙げられることが多いポイント7選をまとめています。
【事業承継対策のポイント7選】
- 事業承継のために現状・資産を把握すること
- 後継者対策を行うこと
- 株価・枚数対策を行うこと
- 納税資金の対策を行うこと
- 遺産分割への対策を行うこと
- 相談者を一人にせず色々と話を聞く
- 後継者がいない場合の選択肢も用意しておく
①事業承継のために現状・資産を把握すること
事業承継対策1つ目のポイントは、自社の資産確認です。株式価値や余剰資金などの資産を整理しておくことで、事業承継にかかる税金を試算することができます。
日頃の経営に追われていると資産管理がおろそかになりがちですが、事業承継の方向性を定めるうえで最も大切な対策です。
②後継者対策を行うこと
事業承継対策2つ目のポイントは、後継者の確保です。当然ながら、事業承継は後継者がいなければ実施できません。
親族内・社内にいる後継者候補のピックアップや、各個人の経営能力について調査しておくことが大切です。
後継者候補がいない場合は、早期に後継者育成を進めておく必要があります。現経営者が高齢を迎えると行動を起こしづらくなるので、早い段階で準備をすることがポイントです。
③株価・枚数対策を行うこと
事業承継対策3つ目のポイントは、株価引き下げによる節税対策です。株式価値に対して税金が課せられるため、事業承継前に株価をコントロールすることで税金負担を軽減することができます。
過剰なコントロールは厳禁ですが、容認されている範囲であれば事業承継対策として活用できます。
④納税資金の対策を行うこと
事業承継対策4つ目のポイントは、納税資金の対策です。中小企業の非上場株式は換金性が悪いので、株式価値が高く評価されても事業承継の納税負担が増すだけで、納税資金の確保は難しいままです。
納税するために資産を売却するなどのような事態に発展させないためにも、納税資金の対策が必要不可欠です。
⑤遺産分割への対策を行うこと
事業承継対策5つ目のポイントは、遺産分割への対策です。先代経営者が遺言状を遺している場合は大きな騒動にはなりませんが、急に亡くなられた場合は相続人間の関係が悪化することもあります。
複数の相続人がいる場合は、事業承継の際にどのように分割を行うか事前に対策を検討しておく必要があります。
⑥相談者を一人にせず色々と話を聞く
事業承継対策6つ目のポイントは、複数の相談先をみつけることです。事業承継はあらゆる可能性を模索したうえで、そのなかから最善の方法を選択するようにしましょう。
相談者を一人に絞らず、複数の相談先からアドバイスを受けることで、事業承継がよい方向に進む可能性を高めることができます。
⑦後継者がいない場合の選択肢も用意しておく
事業承継対策7つ目のポイントは、後継者がいない場合の選択肢の用意です。中小企業の事業承継は、親族や社内の人材から後継者候補を選ぶことが多いですが、国内少子化などの影響から適任者がいない例が増えつつあります。
後継者不足が原因で会社を廃業させないためにも、後継者をみつけるための準備や事業承継以外の選択肢を用意しておくことが大切です。
3. 事業承継で受け継ぐ資産
まずは、事業承継対策のポイント1つ目として挙げた自社資産を把握することです。事業承継で受け継ぐ資産を把握しておくことで、方向性を定めることができます、
中小企業庁のガイドラインでは「人」「知的資産」「資産」の3つに大別しています。この章では、それぞれの資産の内容を確認します。
【事業承継で受け継ぐ資産】
- 人の承継
- 知的資産の承継
- 株式や事業資金などの承継
①人の承継
人の承継とは、後継者への経営権の承継のことです。会社なら社長・代表取締役の交代、個人事業なら現経営者の廃業・後継者の開業を意味します。
なお、中小企業庁の事業承継ガイドラインには明記されていませんが、人の承継には役員・従業員のような人的資産も含まれると考えられます。
②知的資産の承継
知的資産とは、ノウハウ・取引先・顧客等の知的財産権が該当します。定義でいえば、貸借対照表上に記載されない無形の資産かつ事業の競争力の源泉になっている資産です。
財務状況に反映されない資産でも、事業に活用されているのであれば、知的資産(無形資産)として受け継ぎます。
③株式や事業資金などの承継
株式や事業資金は資産として承継します。土地や建物などの固定資産も資産に含まれるため、事業承継で受け継ぐ資産のなかで最も比率が高くなりやすいものです。
会社であれば株式価値に集約させて承継しますが、個人事業主の場合は個々に資産を承継することになります。
4. 事業承継の後継者問題の解決方法
後継者に事業承継を行うために取りうる手法はどのようなものがあるのでしょうか。この章では、事業承継の後継者対策について解説します。
具体的な後継者対策は、以下の4つに分けられます。それぞれの対策の特徴と利用するメリット・デメリットをみていきます。
【事業承継の後継者問題の解決方法】
- 親族への事業承継を行う
- 従業員などへ事業承継を行う
- 事業承継センターを活用する
- M&Aにて事業承継を行う
①親族への事業承継を行う
親族内から後継者を選んで事業承継します。中小企業の事業承継で最も一般的とされており、なかでも親から子へ無償譲渡するケースが多いです。
メリット
親族への事業承継のメリットは、経営者候補として育成しやすいことです。後継者が子の場合、幼い頃より経営者としての親の姿をみせることができ、後継者としての心構え・覚悟を養いやすくなります。
社内の人間とも面識を深めておくことができるため、経営者が入れ替わることによる反発を受けにくいメリットもあります。
デメリット
親族への事業承継のデメリットは、経営者としての能力が伴わない可能性もあることです。
事業の引き継ぎに前向きな後継者がいたとしても、経営能力がなければ安定した経営は難しくなります。
親族内に後継者がいるからといって安心せずに、経営者視点からの評価を行いつつ、育成に注力しなければなりません。
②従業員などへ事業承継を行う
社内の役員・従業員から後継者を選んで事業承継します。親族内に後継者候補がいない場合に利用されることが多く、基本的に有償譲渡が選択されています。
メリット
従業員などへの事業承継のメリットは、後継者候補の選択肢が広いことです。優秀な人材に対して経営者育成を行うことで、時期後継者として頼りがいのある人材を確保できます。
また、経営理念や社内のルールを既に理解していることも大きなメリットです。事業承継によって会社に与える変化が少なくなるので、引き継ぎを円滑に進めることができます。
デメリット
従業員などへの事業承継のデメリットは、後継者候補の資金不足です。親族外への承継は有償譲渡で引き継ぐ方法が一般的ですが、後継者候補の資金が足りないことが原因で事業承継できないケースもあります。
また、個人保証・担保の問題もあります。個人保証・担保は事業承継の引き継ぐ資産に含まれていますが、債権者である金融機関から理解を得られないこともあります。
③事業承継センターを活用する
事業承継センターは、「事業承継ネットワーク」や「事業引継ぎ支援センター」が該当します。
中小企業の事業承継サポートを目的とした公的機関のことであり、一言で事業承継センターと呼称されることが多くなっています。
メリット
事業承継センターを活用するメリットは、無料相談できる点です。中小企業の経営者を対象に、事業承継に必要な手続きの説明や、専門家紹介などのサービスを無料で受けられます。
また、中小企業と後継者候補を引き合わせる「後継者人材バンク」を利用できます。事前に登録しておくことで、条件が一致する相手が現れたら通知してくれるマッチングシステムです。
デメリット
事業承継センターのデメリットは、サポート範囲が限られることです。事業承継に関する情報提供は受けることができますが、後継者候補との話し合いには関与しないので、当事者間で交渉を進めなくてはなりません。
また、経営理念を理解してもらうことが難しいこともデメリットです。社外からの人選のため、経営理念や会社のルールを一から理解してもらわなくてはなりません。
④M&Aにて事業承継を行う
M&Aによる事業承継とは、買い手候補を探して会社の経営権や資産を買い取ってもらう方法です。
従来は親族内承継が一般的でしたが、近年はM&Aによる事業承継が増加傾向にあります。
メリット
M&Aによる事業承継のメリットは、後継者候補の選択肢が広いことです。後継者候補は個人に限定されないので、会社に買い取ってもらうこともできます。
また、創業者利益の獲得というメリットも大きいです。M&Aによる事業承継は有償譲渡が一般的なので、株式の売却益は創業者である経営者(株主)が獲得できます。
デメリット
M&Aによる事業承継のデメリットは、事業承継に時間がかかることです。広範囲から候補者を探し出すため、ほかの事業承継と比較して長期化することが多くなっています。
また、交渉の難度というデメリットも挙げられます。会社の経営権の売買になるので、交渉の場を設けて慎重に進行しなくてはなりません。M&Aによる事業承継を円滑に進めるには、専門家の仲介が必要不可欠です。
5. 事業承継対策における株価を引き下げる方法
事業承継対策として、株価を引き下げることで相続税・贈与税の負担を減らすことも可能です。この章では、株価を引き下げる方法を確認します。
【事業承継対策における株価を引き下げる方法】
- 役員への退職金の支払い
- 役員報酬の引き下げ
- 配当金を低く設定
- 減価償却の計上
- 不動産の購入
- 生命保険の活用
①役員への退職金の支払い
株価引き下げる方法1つ目は、役員への退職金の支給です。退職金として支出を増やすことで純資産額を圧縮し、株価引き下げ効果を得られます。
ただし、現金を支出することになりますので、納税資金や事業承継後の事業資金が枯渇しない範囲に抑えなくてはなりません。
②役員報酬の引き下げ
役員報酬は経費計上することが認められていますので、役員報酬を引き上げることで会社の利益分を抑えることができます。
ただし、高く設定しすぎると不当とみなされて超過部分は経費として認められなくなり、支出だけを増やす結果になります。そのため、役員の貢献度を考慮して適正な報酬を設定しなくてはなりません。
③配当金を低く設定
企業価値評価方法の一つである類似業種比準方式は、企業価値算出の際に株主配当金を一つの要素として取り入れます。
配当政策として配当金を低く設定すれば、株価の引き下げを実現することができます。配当政策は株主の理解が必須ですが、中小企業であれば経営者が筆頭株主であることがほとんどなので、問題なく設定できることが多いです。
④減価償却の計上
減価償却とは、長期間使用する資産(償却資産)の取得費用を分割して費用計上する方法です。事業承継の際に短期償却できる償却資産を購入することで、一時的に費用を底上げすることができます。
耐用年数が1年であれば取得した年に全額経費計上できるので、効果的な株価引き下げを狙えます。
しかし、支出を伴う方法であるため、購入する償却資産は厳選するなどの工夫が求められるでしょう。
⑤不動産の購入
株価引き下げは、不動産を購入することでも可能です。これは、事業承継の贈与税・相続税の算出基準が、国税庁の路線価であることを利用した節税対策です。
路線価は取得価額の80%前後になることが多いので、現金のまま引き継ぐよりも不動産として引き継いだほうが相続税・贈与税の負担が軽くなります。
⑥生命保険の活用
生命保険の保険料は損金算入率が高いものが多いので、保険料の支出を利用して株価引き下げを狙えます。
そのなかでも、がん保険は保険料全額の損金算入が認められています。余剰金が多い状態ならば、役員や従業員の保険加入を進めることで、高い効果を期待できます。
6. 事業承継の税金対策
事業承継対策の4つ目として、事業承継税制と呼ばれる制度を活用する方法があります。
中小企業の事業承継の円滑化を目的としたもので、一定の要件を満たすことができれば、相続税・贈与税の税金負担を抑えることができます。
事業承継税制を活用する
事業承継税制とは、事業承継で発生する相続税・贈与税について猶予・免除される制度です。一定の要件を満たして都道府県知事の認定を受けることで優遇措置を受けられます。
平成30年に見直しが図られており、要件の引き下げと適用範囲の拡大が行われています。平成30年1月1日~令和9年12月31日までの事業承継については、相続税・贈与税の全額猶予措置が取られています。
免除の要件は厳しいので、実質的には納税の先延ばしになります。しかし、事業承継時の負担を減らすことができるので、納税資金の対策としては十分に機能してくれます。
7. 事業承継の際の遺産分割対策
事業承継の相続人が複数いる場合、不公平な分割を行うと相続間でトラブルが発生して会社の経営にも支障が出る可能性があります。
節税対策だけではなく、会社分割にも目を向けておかなくてはなりません。この章では、会社分割の方法を確認します。
【事業承継の際の遺産分割対策】
- 現物分割による対策
- 換価分割による対策
- 代償分割による対策
①現物分割による対策
現物分割は、形を変えないまま資産を個別に相続する方法です。例えば、株式は長男、建物・土地などの不動産は次男など、それぞれの資産の形状を保ったまま分割します。
故人が遺した財産を形を残したまま引き継げるメリットがある一方、現金化できないため公平な分配が難しいデメリットがあります。
②換価分割による対策
換価分割は、相続財産を一旦売却して現金化してから公平に相続する方法です。全て現金化することになるので、相続人同士で1円単位で分割できるメリットがあります。
しかし、株式も売却することになるので、会社の引き継ぎを前提とした事業承継では利用することができません。
③代償分割による対策
代償分割は、特定の相続人が資産を取得して、ほかの相続人に見合う代償を払って相続する方法です。資産の形状を残した形での相続と公平な分割を両立させた方法です。
ただし、資産を取得する相続人に十分な資金がない場合は実現が難しい問題もあります。遺産分割対策として機能させるには、状況に合わせた使い分けが求められるでしょう。
8. 事業承継の際の相談者対策
事業承継対策6つ目のポイントは、相談者対策です。事業承継を成功させるためには、複数の相談先から様々な意見・知見を取り込んだ上で方向性を定めることが大切です。
相談先を一つに絞ってしまうと、視野が狭くなることも考えられます。この章では、事業承継の相談を受け付けている企業・機関を紹介します。
【事業承継の際の相談者対策】
- 取引先銀行
- 自社の従業員・経理
- 顧問弁護士
- 証券会社
- M&Aの専門家
①取引先銀行
銀行は、融資だけでなく事業承継にサポートも手掛けています。取引先の銀行であれば、資金調達の面と合わせて相談に乗ってくれるので、事業承継の相談先として有力候補の一つです。
また、個人保証・担保の引き継ぎを伴う事業承継であれば、銀行の理解は得なくてはなりません。その場合は早期に相談しておくことをおすすめします。
②自社の従業員・経理
事業承継で会社の環境が変わる可能性もあるので、従業員の意見を取り入れておくことも大切です。
また、資産の引き継ぎや税金対策が必須になるので、経理担当とも連携も図っておく必要があります。
従業員・経理担当者は事業承継後も会社で働いてくれる存在なので、できるだけよい環境を用意するためにも早期に相談しておくとよいでしょう。
③顧問弁護士
事業承継における弁護士の役割は、株式の承継や取引先の対応などがあります。議決権の集約先を確実に後継者に定めたり、引き継ぎにあたって取引先のケアを行ったり、あらゆる分野で心強い存在です。
顧問弁護士であれば会社の内情もよく分かっているので、十分なケアが行き届きやすいメリットもあります。
④証券会社
証券会社は、株式を始めとした金融商品を扱う専門家です。株式の譲渡業務を日常的に行っているので、事業承継に伴う株式の譲渡についても安心して任せることができます。
ただ、基本的に大規模な案件を扱う傾向にあるので、小規模な事業承継は請け負ってくれないことがあります。
⑤M&Aの専門家
高い専門性を保有するM&Aの専門家に相談する方法もあります。事業承継の案件も扱っているところがほとんどなので、M&A・事業承継の両方の可能性を模索することができます。
特におすすめの相談先はM&A仲介会社です。中堅・中小規模のM&A・事業承継案件を得意とするところが多いので、中小企業の事業承継の実務面において圧倒的なアドバンテージを得られます。
9. 事業承継の際に後継者が現れない時の対策
事業承継対策の最後のポイントは、後継者が現れない時の対策です。近年は後継者問題が深刻化しており、事業承継が進んでいない中小企業が増えています。
そのような時は、事業承継以外の方法を視野に入れると可能性を広げることができます。この章では、会社を存続させる方法の一つ「M&A」という選択について解説します。
M&Aという選択を行う
M&Aとは、会社の合併や買収の総称です。後継者を広範囲から探せるので後継者問題を抱えた中小企業によるM&Aが増えています。
また、M&Aは事業承継の手法が豊富なのも魅力の一つです。目的に合わせた手法を選択することで会社や経営者が得られるメリットを最大化させることができます。
検討材料の一つにM&Aという選択肢を加えておくと、合併や会社分割などの可能性も見えてきますので、会社の将来について視野を広く持つことができます。
10. 事業承継の準備・流れ
ここまで事業承継対策を取り上げてきましたが、いざ実践となると何から手を付けていいか分からないことも多いでしょう。この章では、事業承継の大まかな流れを確認します。
【事業承継の準備・流れ】
- 会社や個人の現状を把握する
- 後継者を選定・確定する
- 事業承継計画の作成を行う
①会社や個人の現状を把握する
まずは、会社が保有する資産や株式評価額を整理して会社全体の企業価値を算出します。株式が複数の株主に分散している場合は、保有者の確認と集約を急ぎます。
また、経営者個人の現状把握も重要です。高齢化で体力が衰えていたり病気を患っていたりする場合、事業承継の期限を設けなくてはならないことがあります。
②後継者を選定・確定する
後継者候補が複数人いる場合、後継者の選定を行います。経営者としての資質を持ち合わせていて会社の将来を託すことができる後継者を見極めなくてはなりません。
経営者の独断で確定するのが難しい場合は、役員や従業員に意見を求めるのもおすすめです。
後継者がいくら経営能力があったとしても、従業員から受け入れられなければ意味がないので、現場の声を採用するのは有効です。
③事業承継計画の作成を行う
事業承継計画は、会社の状況や引き継ぎする物をまとめた計画書です。計画性を持って作成された計画書は、事業承継に取り組みやすくなる他、関係者・外部からの理解も得やすくなる効果をもたらしてくれます。
事業承継の計画は頭のなかでイメージしておくことも大切ですが、計画書として書き出しておくことで周囲の人間と共有しやすくなります。
誰かに相談する時もスピーディーに本題に入れるので、早期から作成に着手しておくことをおすすめします。
11. 事業承継の相談はM&A仲介会社がおすすめ
事業承継は税金対策や遺産分割対策など、徹底した事前準備と対策が欠かせません。準備や対策が不十分な場合、引き継ぎ後の事業に支障が出る恐れもあるので、専門家のサポートを受けたうえでの進行をおすすめします。
M&A総合研究所は、M&A・事業承継の仲介業務を受けっているM&A仲介会社です。事業承継の専門家による対策を施した上で、万全の体制で事業承継に臨みます。
M&A仲介業務で培った独自のネットワークを保有していますので、広範囲から後継者を探し出すことも可能です。後継者不足に悩まれている経営者の方もお気軽にご連絡ください。
料金体系は完全成功報酬制を採用しています。M&A・事業承継が完了するまで一切の手数料が発生しませんので安心してご相談いただけます。
無料相談は24時間お受けしています。対策を踏まえた事業承継を検討の際は、M&A総合研究所にご相談ください。
12. まとめ
当記事では、事業承継対策のポイントを解説しました。一見大変に思えますが、一つ一つの対策は日常的に取り入れることができるものばかりです。
日頃から準備を進めておくことで、事業承継の必要性が生じた時も余裕を持った対応が可能です。また、必要に応じて専門家に相談すると、より計画性を持って事業承継に取り組むことができます。
【事業承継対策のポイント7選】
- 事業承継のために現状・資産を把握すること
- 後継者対策を行うこと
- 株価・枚数対策を行うこと
- 納税資金の対策を行うこと
- 遺産分割への対策を行うこと
- 相談者を一人にせず色々と話を聞く
- 後継者がいない場合の選択肢も用意しておく
【事業承継で受け継ぐ資産】
- 人の承継
- 知的資産の承継
- 株式や事業資金などの承継
【事業承継の後継者問題の解決方法】
- 親族への事業承継を行う
- 従業員などへ事業承継を行う
- 事業承継センターを活用する
- M&Aにて事業承継を行う
【事業承継対策における株価を引き下げる方法】
- 役員への退職金の支払い
- 役員報酬の引き下げ
- 配当金を低く設定
- 減価償却の計上
- 不動産の購入
- 生命保険の活用
【事業承継の際の遺産分割対策】
- 現物分割による対策
- 換価分割による対策
- 代償分割による対策
【事業承継の際の相談者対策】
- 取引先銀行
- 自社の従業員・経理
- 顧問弁護士
- 証券会社
- M&Aの専門家
【事業承継の準備・流れ】
- 会社や個人の現状を把握する
- 後継者を選定・確定する
- 事業承継計画の作成を行う