事業承継問題は日本の課題?2025年問題とは?

近年、中小企業の多くで経営者の高齢化が進んでいますが、事業承継を行えずに廃業・倒産の危機に瀕している企業が急激に増加しています。本記事では、事業承継問題と対策、2025年問題とはなにかについてわかりやすく解説しています。


目次

  1. 事業承継問題とは
  2. 事業承継問題は日本だけの課題?
  3. 諸外国より日本が遅れている事業承継対策
  4. 中小企業の2025年問題とは
  5. 中小企業の2025年問題を解決する事業承継対策
  6. 事業承継したいと思わせる対策
  7. 廃業を避けて事業承継をすべき理由
  8. 事業承継の相談におすすめのM&A仲介会社
  9. まとめ

1. 事業承継問題とは

事業承継問題とは

事業承継問題とは、事業承継ができていない企業が急増している問題のことです。事業承継問題の主な要因としては、高額納税による金銭的負担や少子高齢化・人材不足による後継者不在が挙げられます。

事業承継問題を放置すると、企業の廃業・倒産を招くことになり、技術や雇用の喪失にも繋がりかねません。

健全な経済の発展の障害となることが予測されるため、社会問題として日本全体での取り組みが求められています。

事業承継問題の渦中にいる企業

事業承継問題の渦中にいるのは、中小企業です。経営者に子がいない、会社の引き継ぎの意思がないなどの理由から、後継者不在の中小企業が増加しています。

中小企業の事業承継問題の調査によると、事業承継を希望する企業のうち、適当な候補者がいないと答えた企業は18.9%を占めています。

事業承継問題に直面する世代

事業承継問題に直面している世代は、団塊世代の経営者です。1947~1949年頃の第一次ベビーブーム世代に生まれた団塊世代は既に70歳を超えており、経営者の平均引退年齢に差し掛かりつつあります。

団塊世代の引退時期は以前から問題視されていましたが、問題の先送りが繰り返されており、ついに70歳を超えるまでに至りました。

減り続ける中小企業

事業承継問題で受ける影響は、中小企業の減少です。中小企業は、適切なタイミングで経営者と会社の若返りが行えなければ、廃業・倒産という選択肢しか取れなくなるため大きな問題になっています。

高齢を迎えながらも頑張り続けている経営者は多いですが、経営力の低下から経営状態の悪化などが激しく、廃業・倒産となる中小企業も増えています。

【関連】【保存版】事業承継とは?目的や税制、補助金の利用方法まで徹底解説!

2. 事業承継問題は日本だけの課題?

事業承継問題は日本だけの課題?

事業承継問題は日本で深刻化していますが、世界ではどのような状況になっているのでしょうか。この章では、事業承継税制の違いからみられる世界の事業承継問題について解説します。

アメリカの場合

現在のアメリカでは、遺産税の課税財産控除などの事業承継税制は存在していません。その代わり、遺産税の控除額が1118万ドル(約12億円)となっており、日本の控除額と比較すると40倍近い差があります。

ブッシュ政権下においては、最高67.5万ドルの控除を受けられる事業承継税制が一時期存在していましたが、基礎控除の増額などにより本制度は廃止される運びとなりました。

ドイツの場合

ドイツの事業承継税制は、贈与税・相続税の85%もしくは100%の納税免除が受けられます。100%の納税免除を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

【100%の納税免除要件】

  1. 取得後7年間、人件費総額を700%に維持する
  2. 保有期間を7年間とする
  3. 管理資産割合が10%を超えないものとする

イギリスの場合

イギリスの事業承継税制は、相続税の100%の納税免除が受けられます。贈与税に関しては、生前贈与の段階では課税されず、贈与から7年以内に贈与者が死亡した場合のみ、相続税が課税される仕組みになっています。

贈与者が7年を超えて健在の場合は全額免除となり、納税義務が課せられません。そのため、納税負担を減らすべく早期の事業承継が積極的に行われる傾向にあります。

フランスの場合

フランスの事業承継税制は、相続税の75%の納税免除が受けられます。ドイツ・フランスと比較すると低い設定ですが、日本の控除額と比較すると高め設定であることが分かります。

諸外国の事業承継税制をみると、納税負担を軽減させることで事業継続の機会を増やしていることが伺え、日本の事業承継税制は遅れを取っているといわざるを得ない状況にあります。

【関連】事業承継税制とは?制度の内容や要件、利用の注意点を分かりやすく解説

3. 諸外国より日本が遅れている事業承継対策

諸外国より日本が遅れている事業承継対策

日本の事業承継が進まない理由のひとつが、遅れている事業承継税制です。中小企業の相続税・贈与税の納税負担を減らさなければ、事業承継を行えずに廃業・倒産となる中小企業は増え続けることも考えられます。

相続税・贈与税の高さ

日本の相続税・贈与税の税率は共に最大55%です。一定の控除額が設けられているので、諸外国と一概に比較することはできませんが、税率設定が高いことは確かです。

高すぎる税率は、後継者の納税負担となって事業承継が滞る原因になっています。事業承継が行えないと中小企業の数が減少してしまい、その結果として日本経済が落ち込むという悪循環に陥っています。

事業承継税制の改正

事業承継問題の深刻化を受けて、平成30年に事業承継税制が改正されました。その主な内容は、改正から10年間限定で、相続税・贈与税の全額納税猶予を受けられるというものです。

従来は対象株式が2/3、猶予割合が80%であった事業承継税制ですが、改正により対象株式が全株式、猶予割合が100%となり、実質的に支払いゼロによる事業承継が可能となりました。

猶予という扱いなのであくまでも支払いが保留されている形になりますが、事業承継時の負担を大幅に減らす改正であったことは確かだといえるでしょう。

なお、免除措置を受けるためには、「後継者の死亡」もしくは「次の後継者に納税贈与の適用を受ける贈与をする」という条件があります。

4. 中小企業の2025年問題とは

中小企業の2025年問題とは

中小企業の2025年問題とは、事業承継問題を放置した場合の損失を示して、取り組むべき課題として提案したものです。この章では、事業承継問題の内容や2025年問題に対する政府の方針について解説します。

事業承継問題の内容

事業承継問題は、2025年までに累計約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があるというものです。

2025年までに廃業危機に陥る可能性が高い中小企業は127万社とされており、日本企業の割合でいうと3社に1社となり、非常に深刻な状態であることが分かります。

問題の主な原因は、後継者不足にあります。現在も廃業する中小企業は後を絶ちませんが、約半数は黒字経営であるといいます。

黒字経営で業績が安定しているにも関わらず、後継者がいないために廃業するしかない状態に追い込まれています。

2025年問題に対する政府の方針

2025年問題に対して政府が打ち出した方針は、M&Aの推進です。後継者不在で事業承継できていない中小企業も、M&Aならば事業を引き継ぐことで技術・雇用の喪失を防げるとしています。

しかし、中小企業・小規模事業者のM&Aへのイメージはあまりよくないことも明らかになっています。

東京商工会議所の調査によると「よい手段だと思わない14%」「よくわからない47%」と6割以上がM&Aについての共感が得られていない結果がでています。

この現状を打破するには、中小企業・小規模事業者のM&Aに対するイメージ改善が必要不可欠としており、M&Aの普及拡大のための支援政策の充実を方針として固めています。

5. 中小企業の2025年問題を解決する事業承継対策

中小企業の2025年問題を解決する事業承継対策

中小企業の2025年問題は早急な対策が求められており、事業承継税制の改正を始めとした支援政策が打ち出されてきています。

ただ、政府の支援政策を利用する以外に、企業側が独自にできる対策も存在しています。この章では、企業側が取りうる事業承継対策を取り上げます。

【中小企業の2025年問題を解決する事業承継対策】

  1. 親族・親類から後継者を育成する
  2. 従業員などへの事業承継を行う
  3. 全国にある事業承継センターを活用する
  4. M&Aにより事業承継を行う

①親族・親類から後継者を育成する

事業承継対策1つ目は、親族・親類から後継者を育成することです。早期に後継者として育成しておくことで、余裕を持って事業承継の準備を進めることができます。

親族・親類への事業承継は、社内や取引先からの理解も得られやすいので、事業の引き継ぎやその後の経営もスムーズにいくことが多いです。

②従業員などへの事業承継を行う

事業承継対策2つ目は、従業員などへの事業承継を行うことです。親族・親類に後継者候補がいない場合の選択肢として役員・従業員に事業承継するケースがあります。

役員・従業員に事業承継するメリットは、選択の幅が広がることにあります。後継者としての資質を備えている候補者を厳選できるので、会社にとってよりよい選択を取りやすくなります。

また、会社の理念や経営方針を熟知している点も大きなメリットであり、既に会社の事業に携わっているので、事業承継後に会社に混乱が起きるようなことはほとんどありません。

③全国にある事業承継センターを活用する

事業承継対策3つ目は、全国にある事業承継センターの活用です。全国に設置されている公的機関のことで、正式名称は「事業承継ネットワーク」や「事業引継ぎ支援センター」です。

親族や社内に後継者候補がいない場合は、M&Aによる事業承継で外部から後継者を探す必要があります。その際の相談先として「事業承継ネットワーク」や「事業引継ぎ支援センター」は頼りになる存在といえるでしょう。

④M&Aにより事業承継を行う

事業承継対策4つ目は、M&Aにより事業承継を行うことです。M&A・事業承継の専門家を介することで、買い手を探して事業承継を行うことができます。

なかでもおすすめの相談先はM&A仲介会社です。M&A仲介会社はM&A・事業承継の仲介を日常的に行っている専門家であり、保有している独自のネットワークから自社の条件に合った買い手を選定することが可能です。

【関連】事業承継対策のポイント7選!後継者問題や株価、税金面も解説!

6. 事業承継したいと思わせる対策

事業承継したいと思わせる対策

後継者に事業承継したいと思ってもらうためには、企業としての価値を高めておくことが大切です。主な対策は以下の4つが挙げられます。

【事業承継したいと思わせる対策】

  1. 企業価値を高める
  2. 事業に磨きをかける
  3. 黒字経営を目指す
  4. IT投資を行う

①企業価値を高める

M&A・事業承継戦略において、企業価値の向上は不可欠な要素です。買い手や後継者に、よい会社だと思ってもらえなければ、事業を引き継いでもらうことはできません。

企業の価値は、顧客価値・従業員価値・株主価値などに分けられます。これらの価値を高く保つことができれば、企業としての信用に繋がり、M&A・事業承継の際も高い評価を得られやすくなります。

②事業に磨きをかける

会社が手掛ける事業に磨きをかけることも大切です。特定事業を磨き上げれば会社の強みを明確化させることができ、ひいては会社の磨き上げに繋がります。

会社全体として赤字経営だったとしても、特定分野で突出しているものがあれば、高評価に繋がる可能性は高くなります

③黒字経営を目指す

赤字経営の場合は、黒字経営に立て直しておくと事業承継が成功する可能性が高くなります。

必ずしも黒字経営である必要はありませんが、買い手や後継者に与える印象が段違いなので、可能であるならば黒字経営が好ましいでしょう。

経費削減で立て直しを図れることもあるので、一度財務状況をみつめ直して、黒字経営を目指せないか検討してみることをおすすめします。

④IT投資を行う

中小企業のIT設備投資を支援する「IT導入補助金」を活用する方法もあります。中小企業にIT設備投資を促進させて、各企業の生産性を向上させることを目的とした制度です。

補助率1/2、最大450万円までの補助を受けられるので、設備投資時の負担を大幅に減らすことができます。費用対効果が高いので、少ない費用で会社の価値を高めることができます。

【関連】事業承継にまつわる課題や解決策まとめ!支援制度や相談先も紹介

7. 廃業を避けて事業承継をすべき理由

廃業を避けて事業承継をすべき理由

廃業を避けて事業承継すべき理由は、事業を存続させるためです。事業の存続は技術・雇用を守ることになるので、最終的に日本経済の発展に繋がることになります。

事業承継問題を放置した場合は、2025年問題でも取り上げられているように中小企業の廃業と同時に大量の技術・雇用が失われることになります。

日本経済が大きく停滞することになるため、国全体が当事者意識をもって事業承継問題に取り組むことが求められています。

8. 事業承継の相談におすすめのM&A仲介会社

事業承継の相談におすすめのM&A仲介会社

事業承継にお悩みの際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&A・事業承継の経験豊富なアドバイザー・会計士・弁護士の3名体制で事業承継をしっかりサポートいたします。

後継者不在でお悩みの場合も、M&A仲介で培ったネットワークを活用して適任な後継者をお探しいたします。

料金体系は完全成功報酬制を採用しています。M&A・事業承継が成約するまで一切の手数料をいただきませんので、後継者の金銭的負担を可能な限り軽減させることができます。

事業承継に関するご相談は24時間お受けしておりますので、事業承継問題の対策などでお悩みの際は、お気軽にご連絡ください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所
電話で無料相談
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9. まとめ

まとめ

本記事では、事業承継問題とその対策について解説しました。日本の事業承継は、後継者に課せられる税金や後継者問題などの要因から思うように進んでいないのが現状です。

しかし、事業承継問題の対策として、M&Aによる事業承継を推進させる動きもあります。後継者探しがハードルになるという問題については、専門家のネットワークを頼ることで円滑な事業承継が実現可能になります。

【諸外国の事業承継税制】

  • アメリカの控除額は1118万ドル(約12億円)
  • ドイツは85%もしくは100%の納税免除
  • イギリスは100%の納税免除
  • フランスは75%の納税免除

【中小企業の2025年問題まとめ】
  • 2025年問題とは2025年までに累計約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があるという問題
  • 2025年問題に対する政府の方針はM&Aの推進

【中小企業の2025年問題を解決する事業承継対策】
  1. 親族・親類から後継者を育成する
  2. 従業員などへの事業承継を行う
  3. 全国にある事業承継センターを活用する
  4. M&Aにより事業承継を行う

【事業承継したいと思わせる対策】
  1. 企業価値を高める
  2. 事業に磨きをかける
  3. 黒字経営を目指す
  4. IT投資を行う

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