事業承継にまつわる課題や解決策まとめ!支援制度や相談先も紹介

事業承継にまつわる課題や解決策を紹介します。税負担や資金調達における支援制度についてもまとめているので有効活用しましょう。事業承継やM&Aの実施について課題を抱えている経営者の方は、お気軽にM&A総合研究所へご相談ください。


目次

  1. 事業承継の現状から共通の課題を把握しよう
  2. 親族内での事業承継における課題3つ
  3. 親族外での事業承継における課題2つ
  4. M&Aでの事業承継における課題3つ
  5. 株式譲渡で事業承継を実施する際に解決すべき課題
  6. 事業譲渡で事業承継を実施する際に解決すべき課題
  7. 会社分割で事業承継を実施する際に解決すべき課題
  8. 事業承継の課題を解決する支援制度まとめ
  9. 事業承継にまつわる課題は6つの相談先を活用しよう
  10. 事業承継における課題はM&A総合研究所に相談すべき
  11. まとめ

1. 事業承継の現状から共通の課題を把握しよう

事業承継の現状からの課題

はじめに日本の事業承継における共通課題を理解するために、以下の3項目から事業承継の現状を紹介します。
 

  1. 全国社長の平均年齢推移
  2. 代表者の年齢別にみる事業承継の準備状況
  3. 廃業予定企業の廃業理由

これら3項目を押さえておけば、日本の事業承継における共通課題と解決策が理解できます。それでは、それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

①全国社長の平均年齢推移

まずは、2012年〜2017年における全国社長の平均年齢の推移を以下の表にまとめました。
 

全国社長の平均年齢推移
2012 2013 2014 2015 2016 2017
社長の平均年齢(歳) 60.24 60.43 60.62 60.89 61.19 61.45
(引用:株式会社東京商工リサーチ「2017年 全国社長の年齢調査」)

上記の表を見ると、緩やかではありますが社長の平均年齢は上昇の一途を辿っており、経営者の高齢化が進んでいる現状をうかがい知ることができます。

社長の平均年齢は今後も上昇を続ける見込みであり、団塊の世代が70歳を超える2020年には、さらなる高齢化が進行している見通しです。

②代表者の年齢別にみる事業承継の準備状況

つぎに代表者の年齢別に事業承継の準備状況を以下の表にまとめました。
 

代表者の年齢別にみる事業承継の準備状況
代表者の年齢 〜40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80歳代〜
既に準備をしている(%) 19.5 33.3 42.9 49.5 47.7
これから準備をする(%) 7.3 11.7 29.9 30.7 32.3
現時点では準備をしていない(%) 36.6 30 19.7 15.2 15.4
現在は事業承継を考えていない(%) 36.6 25 7.5 4.6 4.6
(引用:中小企業庁「中小企業の事業承継に関する集中実施期間について(事業承継5ヶ年計画)」)

上記の表を見ると、全ての年代を通して、既に事業承継の準備をしているという回答が50%を超えていないことが分かります。

また経営者が70~80代になっていても、3割以上の企業が「これから準備をする」「現時点で準備をしていない」と回答しており、事業承継の準備がいかに進んでいないのか理解できるはずです。

③廃業予定企業の廃業理由

最後に廃業予定企業の廃業理由を紹介します。

日本政策金融公庫総合研究所が2016年に報告した「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」の結果によると、廃業予定企業のおよそ3割である28.5%が、廃業理由として後継者不足を挙げています。

できれば事業を承継したいと考えつつも、後継者不足を理由に仕方なく廃業を選ぶ企業が少なくないことは明らかです。

後継者不足を解消しつつ事業承継をスムーズに済ませるには、できるだけ早いタイミングで準備を始めましょう。

以上、事業承継の現状から、共通課題を紹介しました。ここまで読んで、事業承継の準備を早速始めたくなった経営者の方も多いはずです。

ただし事業承継をスムーズに成功させるには、それぞれの方法ならではの課題を解決しなければなりません。ここからは、まず親族内での事業承継における課題をまとめたので確認しておきましょう。

2. 親族内での事業承継における課題3つ

親族内での事業承継における課題3つ

親族内での事業承継とは、子供をはじめとする自身の親族に事業承継することをいいます。

親族内での事業承継における課題は、以下の3つです。
 

  1. 後継者の資質や能力不足の課題
  2. 相続税や贈与税といった税負担の課題
  3. 親族に承継を拒否されうる課題

これら3つの課題と解決策を押さえておけば、親族内での事業承継をスムーズに済ませられます。それでは、それぞれの課題を順番に見ていきましょう。

①後継者の資質や能力不足の課題

親族内での事業承継における1つ目の課題は、後継者の素質や能力が不足していることです。

後継者となる親族の資質・能力が不足したまま事業承継を実施しようとすると、スムーズな事業承継の妨げとなったり、事業承継後の会社経営に支障が出てしまいます。

この課題の解決策は、スケジュールに余裕を持たせて後継者の教育を行うことです。後継者を充分に育て上げてスムーズに事業を承継したいならば、少なくとも10年の教育期間を確保しましょう。

上記の理由から、経営者の体調が悪くなってから後継者教育を始めていると、事業承継のタイミングに間に合わないことが多いです。

できるだけ早い段階から後継者教育を開始して、経営に必要な知識やスキルを充分に伝授することが、親族内での事業承継をスムーズに済ませるポイントとなります。

②相続税や贈与税といった税負担の課題

親族内での事業承継における2つ目の課題は、相続税や贈与税といった税負担についてです。

親族への事業承継では、自社株式を無償で後継者に引き継ぐことになるため、相続税や贈与税などが課税されます。この税負担の大きさが、事業承継において大きな課題となるのです。

この課題を解決するには、節税対策が有効といえます。具体的な節税対策としては、国が設定している事業承継税制を利用するほか、生前贈与の活用・保険契約・不動産の購入などが有効です。

ただし自社の事業承継における1番の有効策を知って実践するには、税務の専門家に判断してもらわなければなりません。そのため、事業承継における節税対策を検討するには、公認会計士をはじめとする税務の専門家からサポートを受けるようにしましょう。

③親族に承継を拒否されうる課題

親族内での事業承継における3つ目の課題は、親族に承継を拒否されうることです。

かつては子供に家業を継ぐのが当たり前でした。しかし時代は移り変わり、職業を自由に選択する子供が増えています。

そのため、現在の経営者が強く望んだとしても、親族に事業承継を拒否されてしまうケースが少なくありません。

この課題を解決するには、親族内での事業承継以外の方法を検討する必要があります。つまり、従業員や役員への親族外承継やM&Aによる第三者への承継もあわせて検討しましょう。

なお自社にとって最適な事業承継の方法を知るには、M&A仲介会社への相談がおすすめです。多くの事業承継案件を手掛けているM&A仲介会社には事業承継に関する豊富な知識や経験があり、自社にとって最適な事業承継方法を提案してもらえます。

以上、親族内での事業承継における課題を紹介しました。ここまで読んで実践すれば、親族内承継のスムーズな成功に繋がります。

そこで次に「親族外での事業承継にはどんな課題があるの?」と疑問に思う経営者の方もいるはずです。ここからは、親族外での事業承継における課題をまとめたので確認しておきましょう。

3. 親族外での事業承継における課題2つ

親族外での事業承継における課題2つ

親族外での事業承継における課題は、以下の2つです。
 

  1. 個人保証により承継先が見つからない課題
  2. 株式買取のための資金不足に陥りうる課題

これら2つの課題と解決策を押さえておけば、親族外での事業承継をスムーズに済ませられます。それでは、それぞれの課題を順番に見ていきましょう。

①個人保証により承継先が見つからない課題

親族外での事業承継における1つ目の課題は、個人保証により承継先が見つからないことです。

とりわけ中小企業では、経営者自身が保証人となる個人保証を結んで資金調達しているケースが少なくありません。原則として、事業承継では、この個人保証を後継者に引き継ぐことになっています。

後継者にとってみると、保証人になるリスクは避けたいところです。そのため個人保証の引き継ぎを伴う事業承継について、従業員や役員に承継を拒否される可能性があります。

この課題を解決するには、個人保証を結んでいる金融機関と交渉の上、後継者への負担をできるだけ減らすことが大切です。そして、もしも個人保証が残るケースでは、そのリスクに見合った報酬を後継者に付与するようにしましょう。

それでも従業員や役員への承継が難しい場合には、M&Aによる第三者への事業承継を検討してください。

②株式買取のための資金不足に陥りうる課題

親族外での事業承継における2つ目の課題は、株式買取のための資金不足に陥りうることです。

親族外での事業承継では、後継者に自社株式を買い取らせることが基本となります。ところが従業員はもちろん、たとえ役員であっても全ての自社株式を買い取ることは簡単ではありません。

この課題を解決するには、経営者側が買取資金の一部をサポートすると良いでしょう。経営者側でサポートできない場合には、株式を無償譲渡に切り替えるのも1つの有効策です。

もしくは、MBOによる事業承継手続きをおすすめします。MBOとは、後継者に株式買取を目的とした新会社を設立させた上で、資金調達させる手続きです。後継者に資金力が無くても事業承継できるメリットがあります。

株式買取資金に悩んだ場合には、上記の解決策から自社に最適なものを選んで検討してください。なお自社にとって最適な解決策が分からない場合には、M&A仲介会社に相談することをおすすめします。

以上、親族外での事業承継における課題を紹介しました。ここまで読んで実践すれば、親族外承継のスムーズな成功に繋がります。

そこで次に「M&Aでの事業承継にはどんな課題があるの?」と疑問に思う経営者の方もいるはずです。ここからは、M&Aでの事業承継における課題をまとめたので確認しておきましょう。

4. M&Aでの事業承継における課題3つ

M&Aでの事業承継における課題3つ

M&Aでの事業承継における課題は、以下の3つです。
 

  1. 好条件の買い手が見つからない課題
  2. 事業承継に関する費用負担の課題
  3. 煩雑な手続きを取らなければならない課題

これら3つの課題と解決策を押さえておけば、M&Aでの事業承継をスムーズに済ませられます。それでは、それぞれの課題を順番に見ていきましょう。

①好条件の買い手が見つからない課題

M&Aでの事業承継における1つ目の課題は、好条件の買い手が見つからないことです。

利益や将来性が期待できる企業であれば好条件の買い手を見つけやすいですが、そうではない場合、買い手探しに苦労することが少なくありません。とりわけ、自身で好条件の買い手を発見することは困難です。

この課題を解決するには、M&A仲介会社の活用が有効策となります。豊富なネットワークを持つM&A仲介会社に依頼することで、自社に最適な買い手をスムーズに見つけることが可能です。

②事業承継に関する費用負担の課題

M&Aでの事業承継における2つ目の課題は、事業承継に関する費用負担についてです。

M&Aでの事業承継における最も大きな課題は費用に関するものであり、専門家への手数料だけで数百万円〜数千万円がかかってしまう場合もあります。これだけの費用を支払ったにも関わらずM&Aが成立しなければ、多額のリスクを背負いかねません。

この課題を解決するには、事業承継補助金の活用をおすすめします。事業承継補助金とは、事業承継やM&Aをきっかけとした中小企業のチャレンジを応援する制度です。

1年に1度募集が行われて、事業承継の資金繰りを支援するために最大で600万円が支給されるメリットがあります。募集に落選してしまえば補助金は受け取れませんが、補助金を獲得する企業や補助金総額は年々増加しているので申請を検討してみてください。

事業承継補助金の申請期間・申請方法については、中小企業庁のホームページを確認しましょう。

③煩雑な手続きを取らなければならない課題

M&Aでの事業承継における3つ目の課題は、煩雑な手続きを取らなければならないことです。

M&Aでの事業承継を行う際には、買い手探し・交渉・M&A契約の締結など、様々な手続きを取らなければなりません。これらの手続きをスムーズに進めるには、M&Aに関する専門的な知識が必要不可欠です。

この課題を解決するには、M&A仲介会社への依頼が有効策となります。M&A成約実績が豊富なM&A仲介会社に依頼することで、M&Aに関する手続きをスムーズに進行させることが可能です。

以上、M&Aでの事業承継における課題を紹介しました。ここまで読んで実践すれば、M&Aでの事業承継をスムーズに成功させられるはずです。

ここまで事業承継の方法別に課題を見てきましたが、実際に事業承継を行っていく段階で解決すべき課題もあります。ここからはまず、株式譲渡で事業承継する際に解決すべき課題をまとめたので確認しておきましょう。

5. 株式譲渡で事業承継を実施する際に解決すべき課題

株式譲渡で事業承継を実施する際に解決すべき課題

株式譲渡で事業承継を実施する際に解決すべき課題は、以下の2つです。
 

  1. 自社株式が分散して経営の安定化が妨げられてしまう課題
  2. 株主総会の普通決議で承認を得なければならない課題

これら2つの課題と解決策を押さえておけば、株式譲渡での事業承継をスムーズに済ませられます。それでは、それぞれの課題を順番に見ていきましょう。

①自社株式が分散して経営の安定化が妨げられてしまう課題

株式譲渡で事業承継を実施する際に解決すべき1つ目の課題は、自社株式が分散して経営の安定化が妨げられてしまうことです。

事業承継で株式譲渡を行う際、経営権を引き継ぐために後継者に株式を集中させます。ところが、遺産分割協議や後継者を除いた相続人の遺留分減殺請求によって、自社株式が分散してしまい経営の安定化が妨げられるおそれがあるのです。

なお遺産分割協議が訴訟に発展してしまえば、決定までの時間が長引いて、経営に支障をきたすおそれがあります。

この課題を解決するには、経営者が周囲を説得した上で、生前贈与を活用して後継者に株式を集中させることが有効策です。

生前贈与の税負担を軽減させたいなら、年間110万円の基礎控除がある暦年課税制度、生前贈与時に軽減された贈与税を納付し相続時に相続税で精算する相続時精算課税制度、贈与税の納税が猶予・免除される事業承継税制などが役立ちます。

さらに、念のため遺言書を作成しておけば、株式相続における相続争いを未然に防ぐことが可能です。ただし遺言書の記載内容に不備がないよう、司法書士・税理士・弁護士などの専門家に記載内容を確認してもらうようにしてください。

②株主総会の普通決議で承認を得なければならない課題

株式譲渡で事業承継を実施する際に解決すべき2つ目の課題は、株主総会の普通決議で承認を得なければならないことです。

株式譲渡で事業承継を行う際には、株主の反対も懸念材料となります。株式譲渡を行う際には株主総会の普通決議を実施する必要があり、出席議決権の過半数に反対されてしまえば事業承継の妨げとなってしまうためです。

この課題を解決するには、安定株主の導入が有効策といえます。安定株主とは、役員や従業員の持ち株制度をはじめとする経営方針に賛同してくれる株主のことです。

安定株主を導入するためには、まず全ての株主の所在を確認しましょう。その後、株主名簿を整理して権利関係を明確にした上で、安定株主を導入するための交渉や連絡を行ってください。

以上、株式譲渡で事業承継を実施する際に解決すべき課題を紹介しました。ここまで読んで実践すれば、株式譲渡での事業承継をスムーズに済ませられます。

そこで次に「事業譲渡で事業承継するときにも課題はあるの?」と疑問に思う経営者の方も多いはずです。ここからは、事業譲渡で事業承継を実施する際に解決すべき課題をまとめたので確認しておきましょう。

6. 事業譲渡で事業承継を実施する際に解決すべき課題

事業譲渡で事業承継を実施する際に解決すべき課題

事業譲渡で事業承継を実施する際に解決すべき課題は、以下の2つです。
 

  1. マイナスの資産を譲渡しきれずに自社に残してしまう課題
  2. 株主総会の特別決議で承認を得なければならない課題

これら2つの課題と解決策を押さえておけば、事業譲渡での事業承継をスムーズに済ませられます。それでは、それぞれの課題を順番に見ていきましょう。

①マイナスの資産を譲渡しきれずに自社に残してしまう課題

事業譲渡で事業承継を実施する際に解決すべき1つ目の課題は、マイナスの資産を譲渡しきれずに自社に残してしまうことです。

事業譲渡による事業承継では、双方が合意した契約のもとで資産の譲渡範囲を決めるため、マイナスの資産を引き継げない可能性があります。

自社にとってマイナスとなっている資産を譲渡できるかどうかは、買い手側の判断次第です。なお、もしも買い手側との交渉に成功したとしても、実際にマイナスの資産を継承するには買い手側の債権者に了承してもらわなければなりません。

この課題を解決するには、シナジー効果の高い企業を買い手に選ぶことが有効策です。シナジー効果とは、企業統合によって得られる相乗効果をいいます。

シナジー効果の高い企業との統合では、2社が単独で生み出す以上の利益を計上できるようになる可能性が高まるので、買い手側企業にとって大きなメリットです。そのためマイナスの資産の承継について、買い手との交渉や債権者の了承を取り付けやすくなります。

上記の理由から、事業譲渡の交渉では、相手側に対してシナジー効果をアピールするようにしてください。自社とのシナジー効果が高い企業を見つけるには、M&A仲介会社のネットワークを利用すると良いでしょう。

②株主総会の特別決議で承認を得なければならない課題

事業譲渡で事業承継を実施する際に解決すべき2つ目の課題は、株主総会の特別決議で承認を得なければならないことです。

事業譲渡による事業承継を実施する際には、株主総会の特別決議で承認を得なければならず、株主総会を開催せずに実行した事業譲渡は無効となります。

株主総会の特別決議では、行使できる議決権の過半数を有する株主が出席した上で、出席株主の議決権の2/3以上の賛成を得なければなりません。この要件を満たさなければ、事業承継が妨げられてしまうのです。

この課題を解決するには、事業譲渡による事業承継について、しっかりと株主に説明することが有効策といえます。事業承継で得られるメリットを株主に理解してもらい、事業承継に賛成してもらうようにしてください。

なお以下のいずれかを満たす場合には、株主総会を開催しなくても良いことを覚えておきましょう。
 

  • 総資産の5分の1以下の事業を売却する事業譲渡である
  • 買い手の会社が売り手の会社の株主の90%以上を所有している

上記のいずれかの要件を満たして株主総会の特別決議をスキップすることも1つの解決策です。

以上、事業譲渡で事業承継を実施する際に解決すべき課題を紹介しました。ここまで読んで実践すれば、事業譲渡による事業承継をスムーズに済ませられます。

そこで次に「会社分割で事業承継するときにも課題はあるの?」と疑問に思う経営者の方も多いはずです。ここからは、会社分割で事業承継を実施する際に解決すべき課題をまとめたので確認しておきましょう。

7. 会社分割で事業承継を実施する際に解決すべき課題

会社分割で事業承継を実施する際に解決すべき課題

会社分割で事業承継を実施する際に解決すべき課題は、以下の2つです。
 

  1. 株主総会の特別決議で承認を得なければならない課題
  2. 債権者保護の手続きを取らなければならない課題

これら2つの課題と解決策を押さえておけば、会社分割での事業承継をスムーズに済ませられます。それでは、それぞれの課題を順番に見ていきましょう。

①株主総会の特別決議で承認を得なければならない課題

会社分割で事業承継を実施する際に解決すべき1つ目の課題は、株主総会の特別決議で承認を得なければならないことです。

会社分割による事業承継を実施する際には、株主総会の特別決議で承認を求めなければならず、株主総会を開催せずに実行した事業譲渡は無効となります。

株主総会の特別決議では、事業譲渡のケースと同様、行使できる議決権の過半数を有する株主が出席した上で、出席株主の議決権の2/3以上の賛成を得なければなりません。この要件を満たさなければ、事業承継が妨げられてしまうのです。

この課題を解決するには、会社分割による事業承継について、しっかりと株主に説明することが有効策といえます。会社分割で得られるメリットを株主に理解してもらい、事業承継に賛成してもらうようにしてください。

②債権者保護の手続きを取らなければならない課題

会社分割で事業承継を実施する際に解決すべき2つ目の課題は、債権者保護の手続きを取らなければならないことです。

会社分割では、会社の権利義務を新しく立ち上げた会社に承継するため、債権債務関係の一部に変化を及ぼすことが少なくありません。そのため、債権者は会社分割に対して異議申し立てをすることができます。

手続きを円滑に進めるために、保護手続きを取ることを覚えておいてください。具体的には、官報による公告と株主に対する個別の通知をした上で、会社分割の実行に関して伝え、異議申し立てができる期間を最低でも1ヶ月間提供します。

ただし、会社分割を行ったとしても債務を引き受ける会社が変化しない場合や、連帯保証が設定されている場合には、上記のような保護手続きを取る必要はありません。

以上、会社分割で事業承継を実施する際に解決すべき課題を紹介しました。ここまで読んで実践すれば、会社分割による事業承継をスムーズに済ませられるはずです。

ここまで事業承継に関する様々な課題を紹介しましたが、そのなかには支援制度を利用することで解決できる課題もあります。ここからは、事業承継の課題を解決する支援制度をまとめたので確認しておきましょう。

8. 事業承継の課題を解決する支援制度まとめ

事業承継の課題を解決する支援制度まとめ

事業承継の課題を解決する支援制度を、以下の2項目に分けて紹介します。
 

  1. 税制における支援制度
  2. 資金調達における支援制度

これら2項目について押さえて実践すれば、税制と資金調達という2つの観点から自社の事業承継についてサポートが受けられます。それでは、それぞれの項目を順番に見ていきましょう。

①税制における支援制度

税制における支援制度は、以下の2つです。
 

  1. 暦年課税・相続時精算課税
  2. 事業承継税制

これら2つの特徴を把握して自社の事業承継に最適な支援制度を選ぶことで、事業承継における税負担の軽減が狙えます。それでは、それぞれの支援制度を順番に見ていきましょう。

(1)暦年課税・相続時精算課税

税制における1つ目の支援制度は、暦年課税と相続時精算課税です。

暦年課税を活用すれば、贈与税について年間110万円の基礎控除を受けることができます。つまり年間110万円までの贈与については課税されないため、事業承継における税負担に悩んでいる場合に役立つのです。

ただし基礎控除額は年間110万円と少額であり、事業承継までに時間的余裕がない場合では税負担の軽減策にならないため注意してください。事業承継までに時間的余裕があるケースや、承継する資産規模が小さいケースでの活用をおすすめします。

また相続時精算課税とは、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子または孫に対し財産を贈与した場合に、特別控除額2,500万円の範囲内の金額について贈与税が課税されない制度です。

このとき贈与税は贈与時に課されず、相続時に合算されることとなります。ただし贈与財産の価額は、相続時ではなく贈与時の価額で算出されるのです。

上記の理由から、相続時に贈与時より財産価額が上昇している場合は有利となるため、将来値上がりが予想される財産を承継するケースで適用を検討すると良いでしょう。

(2)事業承継税制

税制における2つ目の支援制度は、事業承継税制です。

事業承継税制とは、中小企業などを対象とした非上場株式等についての相続税および贈与税の納税猶予・免除制度のことをいいます。

後継者が相続や贈与によって取得した自社株式等について、相続税・贈与税の納税を猶予・免除してもらえるのです。暦年贈与との併用はできませんが、相続時精算課税との併用ができるのも嬉しいメリットとなります。

なお自身の子供や親族に限らず、親族外承継であっても適用を受けられますが、適用を受けるための要件は細かく定められているため注意してください。事業承継税制の適用を受けるための要件や手続き方法については、中小企業庁作成の事業承継税制マニュアルを確認しましょう。

②資金調達における支援制度

資金調達における支援制度は、以下の2つです。
 

  1. 株式会社日本政策金融公庫
  2. 信用保証協会

これら2つの特徴を把握して自社の事業承継に最適な支援制度を選ぶことで、事業承継に必要な資金調達のサポートが受けられます。それでは、それぞれの支援制度を順番に見ていきましょう。

(1)株式会社日本政策金融公庫

資金調達における1つ目の支援制度は、株式会社日本政策金融公庫です。

株式会社日本政策金融公庫とは、政府が出資する政策金融機関であり、銀行をはじめとする一般の金融機関を補完する役割を担っています。

要件を満たした中小企業は、事業承継を実施するための株式買取資金の融資を受けることが可能です。最高で7,200万円(うち運転資金4,800万円)の融資が受けられます。

零細企業や個人事業主のような、金融機関からの融資を受けづらい企業でも積極的に融資を行っていることが特徴です。

株式譲渡での事業承継における株式買取資金で悩んだときに利用を検討すると良いでしょう。融資に関する詳細は、日本政策金融公庫のホームページを確認してください。

(2)信用保証協会

資金調達における2つ目の支援制度は、信用保証協会です。

信用保証協会とは、融資の返済が不可能となった事業者の代わりに返済(代位弁済)を行う保証機関をいいます。事業承継にかかる資金について通常の保証枠とは別枠で信用保証が受けられます。

ただし中小企業や個人事業主に向けた支援制度であるため、申し込む際には事業規模や従業員人数などの要件に注意するようにしてください。信用保証への申込みを検討する際には、全国信用保証協会連合会のホームページを確認しましょう。

以上、事業承継の課題を解決する支援制度を紹介しました。ここまで読んで、自社の事業承継で利用できる支援制度が見つかった経営者の方も多いはずです。

ちなみに支援制度の他にも、事業承継をサポートする相談先が存在します。ここからは、事業承継にまつわる課題の相談先をまとめたので確認しておきましょう。

9. 事業承継にまつわる課題は6つの相談先を活用しよう

事業承継にまつわる課題は6つの相談先を活用しよう

事業承継にまつわる課題についての相談先は、以下の6つです。
 

  1. M&A仲介会社
  2. 事業引継ぎ支援センター
  3. 中小企業再生支援協議会
  4. 中小企業基盤整備機構
  5. よろず支援拠点
  6. 中小企業庁、経済産業局

これら6つの相談先にある特徴を押さえておけば、自社にぴったりの相談先が見つけることができ、自社の事業承継においてサポートを受けられます。それでは、それぞれの相談先を順番に見ていきましょう。

①M&A仲介会社

事業承継にまつわる課題についての1つ目の相談先は、M&A仲介会社です。

M&A仲介会社では、事業承継やM&Aの専門家として事業承継に関する様々な課題を解決するためのアドバイスを行っています。税務の専門家である公認会計士が所属するM&A仲介会社に相談すれば、自社にとって最適な節税対策や資金調達法の検討も可能です。

事業承継における課題に悩んだら、ぜひ専門の公認会計士が在籍するM&A総合研究所にお任せください。M&A総合研究所では、M&A・事業承継の実績豊富なアドバイザー・M&Aに精通した会計士・弁護士がチーム体制で、自社の事業承継の課題を解決するべくサポートいたします。

着手金・中間報酬は無料の完全成功報酬制(レーマン方式)を採用しているので、成約に至らなければ費用は一切かかりません。無料相談を行っていますので、M&A・事業承継をご検討の方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

②事業引継ぎ支援センター

事業承継にまつわる課題についての2つ目の相談先は、事業引継ぎ支援センターです。

事業引継ぎ支援センターとは、後継者不在の中小企業の事業引き継ぎを支援するために、平成23年度に設置された事業引き継ぎ専門の支援機関をいいます。

全国に設置されており、事業承継に関する幅広いご相談への対応やM&Aのマッチング支援を実施中です。公的な支援機関に事業承継の相談を持ちかけたい場合に利用すると良いでしょう。

③中小企業再生支援協議会

事業承継にまつわる課題についての3つ目の相談先は、中小企業再生支援協議会です。

中小企業再生支援協議会とは、事業再生を目指す中小企業を支援するための専門機関のことをいいます。

財務上の問題解決をはじめとして、事業の収益性向上など事業再生にかかるご相談への対応や再生計画の策定サポートなどの事業再生支援も実施中です。事業承継のなかでも経営面での悩みを抱えている場合に、おすすめしたい相談先といえます。

④中小企業基盤整備機構

事業承継にまつわる課題についての4つ目の相談先は、中小企業基盤整備機構です。

中小企業基盤整備機構とは、経済産業省所管の独立行政法人であり、国の中小企業施策の総合的な実施機関のことをいいます。

セミナー・フォーラム開催による情報提供・マニュアル作成・専門家による相談対応などを通して、現経営者から後継者への事業のバトンタッチが円滑に進むようサポートを実施中です。

全国9か所の地域本部にて、中小企業支援の経験豊富な専門家が皆様の課題解決に向けて直接対面でアドバイスを行っています。またAIによるオンラインでの経営相談も行っているので、気になる方は利用してみると良いでしょう。

⑤よろず支援拠点

事業承継にまつわる課題についての5つ目の相談先は、よろず支援拠点です。

よろず支援拠点は、平成26年度に全国の都道府県に設置された機関であり、中小企業や小規模事業者の経営に関する相談に対して専門的な見地からアドバイスを行っています。

事業承継とあわせて経営に関する悩みを解決したい場合に利用を検討してほしい相談先です。

⑥中小企業庁、経済産業局

事業承継にまつわる課題についての6つ目の相談先は、中小企業庁、経済産業局です。

中小企業庁、経済産業局では、地域の支援機関や自治体等と連携しつつ、事業承継支援施策の普及・啓発等をはじめ、中小企業・個人事業主の事業承継の円滑化のための総合的な施策を進めています。

事業承継におけるマニュアルに関する相談といった、事業承継制度の大枠について疑問点がある場合に利用したい相談先です。

以上、事業承継にまつわる課題についての相談先を紹介しました。ここまで読めば、自社の事業承継に最適な相談先について理解できたと思います。

とはいえ、事業承継の課題を解決するためには、M&A総合研究所の活用が最適です。最後にM&A総合研究所に相談するメリットをまとめたので、相談先選びの参考にしましょう。

10. 事業承継における課題はM&A総合研究所に相談すべき

事業承継における課題はM&A総合研究所に相談すべき

事業承継における課題を解決してスムーズに事業承継を済ませるためにも、M&A仲介会社などの専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします。

事業承継における課題の解決方法についてのご相談は、ぜひ専門の公認会計士が在籍するM&A総合研究所へご相談ください。

M&A総合研究所では、M&A・事業承継の実績豊富なアドバイザー・M&Aに精通した会計士・弁護士がチーム体制でフルサポートいたします。

着手金・中間報酬は無料の完全成功報酬制(レーマン方式)を採用しているので、成約に至らなければ費用は一切かかりません。

無料相談を行っていますので、M&A・事業承継をご検討の方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

11. まとめ

まとめ

この記事では、事業承継にまつわる課題を紹介しました。

事業承継における共通課題としては、近い将来に経営者の引退を控えているにも関わらず、事業承継の準備が進んでいない企業が多いことが挙げられます。

また事業承継における手法ごとの課題については、親族内承継・親族外承継・M&Aといった3種類にまとめたので、自社の手法に合わせて課題を理解することが大切です。

なお事業承継の手法が決まっていない段階であったり、スムーズに課題を解決したい場合には、支援制度を利用したり相談先を活用しましょう。

事業承継の課題について悩んでいることがあれば、まずはM&A総合研究所にご相談ください。

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