相続で円滑に事業承継するには?トラブルを防ぐ方法や相続税対策も解説

相続による事業承継は、中小規模の会社で多く行われています。しかし対策せず相続の時を迎えてしまうと、後継者が多額の相続税で苦しむことも少なくありません。この記事では、相続で事業承継を行う際の注意点や対策を解説していくので、ぜひ参考にしてください。


目次

  1. 相続による事業承継とは?
  2. 対策せず相続で事業承継するのは危険!相続のデメリットは?
  3. 相続対策として生前贈与を考えてみよう
  4. 相続で事業承継をするときのポイント3つ
  5. 相続による事業承継で発生する税金とは?
  6. 相続税が猶予される事業承継税制とは
  7. 相続による事業承継はM&A総合研究所にお任せください
  8. まとめ

1. 相続による事業承継とは?

「自分も高齢になってきたし、そろそろ事業を後継者に譲りたい」「会社の今後が不安だから、早めに事業承継をして会社を再編したい」と考えている方は多いでしょう。

事業承継の方法は複数ありますが、ギリギリまで経営を続けられる、現経営者の負担が少ないという点から相続での承継を考える人もいるはずです。

そこでここからは、事業承継に関する基本的な知識に加え、相続で行う事業承継の特徴について分かりやすく解説していきます。親族に事業承継をしたいという方は、ぜひ参考にしてください。

1-1.そもそも事業承継とは

事業承継とは、後継者や第三者に会社の経営を引き継ぐことです。後継者、というと単に次の経営者を誰にするか、という問題だと感じる人もいるでしょう。

しかし会社の資産や知的財産をどのように引き継ぐか、また後継者の教育をどうするのかなど事業承継で考えなければならないポイントは多くあります。

これまで築き上げてきた会社の実績や信頼をこれからも守るため、関係者一同がきちんと話し合い事業承継の方向性や計画を定めておくことが重要です。

※事業承継における計画の策定については以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてみてください。

【関連】事業承継の計画はどう作る?作成前の準備やタイミングも解説

1-2.相続で事業承継を行うには

親族内承継の場合、相続による事業承継が可能です。事業承継には大きく分けて相続、株式の売買、贈与がありますが、どの方法でも最終的には株式や会社資産などを後継者に渡すことが必要となります。

すでに後継者が決まっているのであれば資産相続について遺言を残し、相続制度を利用することになるでしょう。しかし相続には複数のデメリットがあるため、確実な承継を狙う場合にはおすすめできません。

以下の見出しでは、相続で事業承継する際の注意点について解説していきます。

2. 対策せず相続で事業承継するのは危険!相続のデメリットは?

相続を選択した場合、同じ金額であれば贈与と比べかかる税金が少なくなるというメリットがあります。また生前の準備も少なくて済むので、現経営者への負担はかかりにくいです。

しかし相続での事業承継には、複数の注意点があります。相続において発生するデメリットは、以下の通りです。
 

  1. 事業承継のタイミングが不安定になる
  2. 経営者の意思が反映されるとは限らない
  3. 節税対策を行いにくい

ここからはそれぞれのデメリットについて、解説していきます。

デメリット1.事業承継のタイミングが不安定になる

相続で事業承継を行う際は、承継のタイミングが現経営者の死後となります。

そのためいつ会社が承継されるのか誰もはっきり分からず、綿密な計画を立てるのは非常に難しいと言えるでしょう。

親族が亡くなった後の手続きや対応は、想像以上に大変です。後継者が近しい親族であるほど相続に手間がかかってしまうため、会社を確実に残したい方は生前のうちに事業承継について話し合っておくべきでしょう。

デメリット2.経営者の意思が反映されるとは限らない

相続で事業承継を行うと、会社を再編する際に後継者や経営陣と直接話すことができず現経営者の意思が反映されにくくなります。

もちろん遺言や生前の話し合いなどで再編後の会社について意見を伝えることはできますが、後継者にはまた別の考えがあるため生前言っていた通りになるとは限りません

やはり現経営者の経験や実績を残したいなら、会社再編の場に現経営者が直接立ち会っていた方が良いでしょう。

デメリット3.節税対策を行いにくい

支払う相続税の額は、被相続人が死亡した時の資産の価値で決まります。そのため相続だと生前に節税対策が行いにくく、想定以上の税金が発生するケースも少なくありません。

もちろん相続で事業承継すると決めた後に、会社の株価が下がれば相続税は軽くなります。しかし現経営者の死亡時点で会社の資産価値が大きく上がっていた場合、相続税の負担が大きくなり会社の経営に悪影響を及ぼすかもしれません。

後継者にかかる負担を減らしたいのであれば、生前に納税額を確定させ節税対策に力を入れることをおすすめします。

以上が、対策なしに相続で事業承継を行う際の注意点でした。

ここからは相続で発生するのデメリットを解消できる、「生前贈与」について解説していくので、承継方法にお悩みの方はぜひ参考にしてください。

3. 相続対策として生前贈与を考えてみよう

事業承継で相続を選択すると、承継のタイミングが分からず後継者に悪影響が出てしまいます。そのため可能であれば、生前贈与による事業承継も考えていくべきでしょう。

ここからは生前贈与での承継について、分かりやすく解説していきます。

3-1.生前贈与と相続の違い

現経営者が生きているうちに相続できる制度が、生前贈与です。生前贈与は相続ではなく贈与という形になりますが、会社の権利や土地、有価証券や貯蓄など事業承継で必要なものを生きているうちに渡せます

事業承継計画を現経営者と後継者がともに考えることができるため、経営者が存命であれば専門家に相談し生前贈与について考えた方が良いでしょう。

3-2.生前贈与のメリット

生前贈与の大きなメリットは、事業承継のタイミングをあらかじめ関係者が把握できることです。

生前贈与なら事前に関係者同士で承継計画を立て、その通りに贈与を行うことが可能になるので後継者への負担も少なくて済みます。また現経営者が存命のうちに手続きを進めるため、現経営者の意思を反映した承継が可能になるはずです。

3-3.生前贈与を行う2つの方法

生前贈与には以下の2つの種類があります。
 

  1. 暦年課税
  2. 相続時精算課税制度

ここからはそれぞれの特徴について、解説していくのでぜひ参考にしてください。

暦年課税

暦年課税とは、毎年110万円の控除を受けながら生前贈与を行う方法です。

特別な手続きを行わない場合、生前贈与ではこの暦年課税が適用となります。対象となる資産に制限はないので、会社関係の権利も贈与可能です。

相続する財産が多い場合、早めに暦年課税制度で贈与計画を立て、時間をかけて実行することで贈与税の節約ができます。詳しい税金の計算方法については、「相続による事業承継で発生する税金とは?」で紹介しているので、ぜひチェックしてください。

相続時精算課税

課税対象となる金額から、一律2,500万円が控除される制度が、相続時精算課税制度です。贈与の期間に関わらず2,500万円もの控除が受けられるので、早めに資産を渡したい場合は検討してみると良いでしょう。

しかし相続時精算課税制度の対象となるのは、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子・孫への生前贈与のみとなっています。そして、贈与した財産は相続時に相続税率がかけられるので注意しなければなりません。

また一度相続時精算課税制度を利用すると暦年課税が利用できなくなるので、税理士など専門家に相談しどちらの方法がお得なのか計算してもらいましょう。

4. 相続で事業承継をするときのポイント3つ

相続にはデメリットもありますが、生前贈与で事業承継を行ったり、生前に相続準備をすることである程度対策が可能です。

相続での事業承継を選択する場合のポイントは、以下の通りです。
 

  1. 客観的な目線で後継者を決める
  2. 後継者に資産を集中させる
  3. 個人用資産と事業用資産を分ける
  4. 早い段階で専門家に相談する

事業承継を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

ポイント1.客観的な目線で後継者を決める

トラブルを防ぐためには、感情ではなく客観的な目線で後継者を決める必要があります

親族や親しい従業員がいる場合、どうしても個人の感情で経営を任せてしまいがちです。しかし社内が円満であっても、後継者選びをきっかけに社内に派閥が出来てしまい経営の維持が難しくなるケースも少なくありません。

特に相続または生前贈与で事業承継を進める場合、親族間だけで話し合いが完結してしまうこともあります。しかしそうした状況では従業員や関係者が会社の体制に反発し円滑な経営ができなくなるかもしれません。

後継者を決める際は必ず第三者の意見を聞き、客観的な視点を持ちましょう

ポイント2.後継者に資産を集中させる

遺言での遺産分配が不十分だと、相続後に会社の資産が親族間で分散してしまい後継者が経営権を持てないケースもあります。

特に株式に関しては、後継者が過半数の株を持っていなければ意思決定が難しくなるため、資産の集中は事業承継において最も大切な問題であると言えるでしょう。

後継者に不自由なく経営を続けてもらうため、最低で67%、できれば100%の株式を渡すよう準備しておきましょう

株式の分散について不安を感じる場合は、生前贈与がおすすめです。

ポイント3.個人用資産と事業用資産を分ける

中小企業経営者の場合、個人の資産と会社の資産の区別があいまいになっており遺産相続で問題が発生することもあります。

親族間の承継であっても、経営者の個人資産を多く確保したい親族と、会社資産を手に入れたい新経営者との間でトラブルになるケースは少なくありません。

こうした揉め事を防ぐには、現経営者が存命のうちに会社資産と個人資産をはっきり区別することが必要です。権利関係や名義などをはっきりさせ、少しでも後継者にかかる負担を減らしましょう。

また具体的な分割割合の決め方などについては、弁護士など相続に詳しい専門家に相談し、適切な分け方を考えておきましょう。

ポイント4.早い段階で専門家に相談する

生前贈与の暦年課税を考えている場合、期間が短いと途中で経営者が亡くなってしまうこともあります。また病気などのリスクも年々高まるため、事業承継に向けてできるだけ早く動き出すことが大切です。

遅くとも60歳を迎えるころには、専門家に相談するなど具体的な行動を起こしましょう。また遺言を作成する場合、弁護士など法律の専門家によるアドバイスが必須です。

事業承継手続きはもちろん、後継者教育、新しい経営体制の確立には非常に長い時間がかかります。会社にもよりますが、事業承継には最低でも1年、長ければ10年ほどが必要です。後継者や関係者にきちんと仕事を引き継ぐため、事業承継に向けなるべく早めに動き出しましょう。

事業承継の計画作りから承継後のサポートもしてくれるM&Aアドバイザーであれば、会社の事情をよく理解しているため安心して相談できるはずです。

ここからは相続による事業承継で発生する税金について、解説していきます。

5. 相続による事業承継で発生する税金とは?

事業承継でかかる税金をなるべく減らしたいと考えている方は多いはずです。しかし具体的にどんな種類の税金がどれくらい発生するのか分からないままだと、どの方法で事業承継をすれば良いか決められません。

そこでここからは、相続税で発生する税金について解説していきます

  1. 通常の相続で発生する税金
  2. 生前贈与で発生する税金

通常の相続を行う場合と、生前贈与を行う場合に分けているので、ぜひ参考にしてください。

5-1.通常の相続で発生する税金

相続で事業承継を行う場合には相続税が発生します。

およその相続税は、以下の速算表で確認できるのでぜひチェックしてください。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
1,000万円以下 10% 控除なし
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

この表から分かる通り、最大で課税対象の55%を相続税として支払う必要があります。

相続で事業承継を行う際には、後継者が多額の相続税を収められるだけの資金を持っているかどうか、事前に確認しておきましょう。

5-2.生前贈与で発生する税金

先ほども説明した通り、生前贈与で事業承継を行う場合、暦年課税と相続時精算課税制度の2つから贈与の方法を選択できます。

ちなみに暦年課税の計算で用いられる贈与税の速算表は、以下の通りです。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 控除なし
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円以下 55% 640万円

暦年課税と相続時精算課税制度ではかかる税金が異なるので、どちらがお得になるのか以下の見出しで事前にチェックしておきましょう。

暦年課税の場合

暦年課税とは、1月1日~12月31日の一年間に受け取った財産の額に対して、贈与税が課される制度です。

暦年課税の場合毎年110万円が控除されるため、長い時間をかけ贈与を行う場合、暦年課税の方が節税効果が高くなります。

暦年課税制度を利用し、5,000万円分の財産を5年に分け以下のように贈与した場合、

  • 1年目…500万円の贈与
  • 2年目…1,000万円の贈与
  • 3年目…600万円の贈与
  • 4年目…2,000万円の贈与
  • 5年目…900万円の贈与

それぞれの年で110万円が課税額から控除されるため、課税の対象となる贈与は
  • 1年目…390万円
  • 2年目…890万円
  • 3年目…490万円
  • 4年目…1890万円
  • 5年目…790万円

となり、5年間で4,450万円となります。そして控除後は先ほど紹介した速算表の通り贈与税が計算されるため、支払う税金は
  • 1年目…58万5千円
  • 2年目…267万円
  • 3年目…98万円
  • 4年目…850万円
  • 5年目…237万円

となり、合計は1,510万円となります。これだけだと非常に高いように見えますが、贈与期間が長いほど控除額が増え税金の負担は少なくなります

また毎年の贈与額もある程度調整が可能なので、暦年課税で生前贈与を行う際は、専門家に相談し節税効果の最も高い贈与計画を立てると良いでしょう。

相続時精算課税制度の場合

相続時精算課税制度とは、贈与された財産の価格から2,500万円までを非課税とする制度です。

5,000万円分の資産を贈与する場合、課税額は2,500万円となるので、非常にお得だと言えるでしょう。相続時精算課税制度の場合、2500万円を超えた金額については一律20%の税金が課されます。

先ほどの例だと支払う贈与税の額は

  • 2,500万円×20%=500万円

となり、先ほどと比べ非常にお得に見えます。

しかし相続時精算課税制度では相続時、相続時精算課税制度の対象になった財産と相続財産を合わせた額が基礎控除額を超えた場合、相続税も追加で課されてしまいます。

また、一度相続時精算課税制度を利用すると暦年課税の非課税枠(毎年110万円)を利用できなくなるため、控除額が大きく見えるからと言って安易に選択してはいけません。

暦年課税か、相続時精算課税制度かを選ぶ際は会社の資産状況が分かるものを持ち税理士など専門家に相談すべきです。

以下では、相続税、贈与税が猶予される事業承継税制について紹介しているので、節税を狙う方はぜひこちらも参考にしてください。

6. 相続税が猶予される事業承継税制とは

事業承継の必要性を実感しているものの、相続税、贈与税の負担が重く承継の方法を決められない、という方は事業承継税制の活用を考えましょう。

事業承継税制を使えば、平成30年1月1日から平成39年(2027年)12月31日までの期間限定で最大100%の相続税、贈与税が猶予されます。

さらに要件を満たせば税金が免除となるケースもあるので、金銭面での不安から承継に踏み出せなかった方も安心です。

ここからは事業承継税制について、初めての方にも分かりやすく解説しています。これからも会社と事業を残していきたい方は、ぜひ利用を検討してください。

6-1.事業承継税制とは?相続で活用できる?

事業承継税制とは、中小企業の事業承継をサポートするため贈与税、相続税の支払いを一定期間猶予してくれる制度のことです。

個人・法人共に株式譲渡による事業承継が対象となっており、制度の利用には都道府県知事からの認定が必要となります。

現在利用可能な特例を使えば、贈与税、相続税共に100%の支払いが猶予されるので税金の負担は大きく減るはずです。自分の会社が制度の対象となっているか、税理士などに相談してチェックしておきましょう。

※事業承継税制についてより詳しくは以下の記事でもまとめていますので、こちらも参考にしてみてください。

【関連】事業承継税制とは?メリットと要件、手続きの流れを解説!

6-2.特例措置が利用できる期間

特例措置は期間限定の制度ですので、2023年までに特例承継計画を提出し2028年までに承継を行わなければ適用の対象となりません

「事業承継税制を利用したいけれどまだ承継計画を作っていない」という経営者の方は早めに動き出すことが大切です。

適用後の期限については一般措置の場合と同じですが、「適用から5年後に雇用の8割を維持」という条件が努力目標となっているため継続して猶予を受けやすくなりました

必要な書類を継続して提出し自社株式の保有を続ければ5年後もその先も優遇が受けられるので、2023年までに手続きを進め特例措置を利用しましょう。

6-3.特例措置を受けるための準備

特例措置を受けるには、特例承継計画の策定が必要です。

特例承継計画には、特例認定を承継会社の後継者や、承継時までの経営見直しについて記載します。

詳しい承継計画の策定に関しては税務や会計の専門知識が必要となるので、税理士などの専門家に相談しながら進めるべきでしょう。

7. 相続による事業承継はM&A総合研究所にお任せください

相続による事業承継を検討したときには『M&A総合研究所』へお任せください。

相続での事業承継には細かい計画や節税対策など、考えておきたいことはたくさんあります。しかし、個人や自社のみで進めていくと幾度となく不安や今後のことで悩んでしまうことが出てくるでしょう。

M&A総合研究所では、相続での事業承継なども含めて多方面から最適なプランと進め方をアドバイスいたします。公認会計士なども在籍しておりますから、気になることは何でも聞いてスムーズに進めることができるようになるはずです。

仲介会社に依頼するときに気になってしまう『費用』ですが、完全成功報酬型ですので成立するまでは一切必要ありません。

相談料も無料となっておりますので、まずはお気軽にお声掛けください。

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03-6455-5875
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8. まとめ

通常の遺産相続と同じ方法で事業承継を行うと、相続のタイミングが確定せず承継の準備を綿密に進めておくことが難しくなります。

相続による事業承継を行う場合、早めに相続税対策を行いトラブルを防ぐ明確な計画作りを行うことが大切です。相続をお考えの方は生前贈与なども含めて早めに動き出せるようにしておきましょう。

この記事を仲介会社などの専門家への相談も視野にいれて、計画を立てていく参考にしてみてください。

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