【簡単解説】事業承継と事業継承の意味は同じ?違う?

事業承継と事業継承は、後継者へ事業を引き継ぐという意味で同じように使われがちですが、事業承継と事業継承は読み方だけでなく意味にも違いがあります。本記事では、事業承継と事業継承の意味の違いや、事業承継・事業継承の進め方などについて解説します。


目次

  1. 事業承継と事業継承の意味
  2. 事業承継と事業継承の違い
  3. 事業承継を構成する要素
  4. 事業承継の準備
  5. 事業承継の引継ぎ先
  6. 事業承継のおすすめ資料
  7. 事業承継の相談先
  8. まとめ

1. 事業承継と事業継承の意味

事業承継と事業継承の意味

事業承継と事業継承は意味の違いがわかりにくく、読み方が違うだけだと思われがちですが、実際には意味にも違いがあります。

まずは、事業承継と事業継承の意味について解説します。以下の表は、事業承継と事業継承の意味をまとめたものです。
 

  事業承継 事業継承
読み方 じぎょうしょうけい じぎょうけいしょう
意味 経営者の思いなどと共に
事業を引き継ぐ
事業を引き継いでから
経営者の思いなども引き継ぐ
引継ぎ資産 人(経営)、有形資産、知的資産 主に有形資産

事業承継とは

事業承継とはその読み方の通り、事業とともに経営権や資産などを後継者に引き継ぐことを指します。

また、読み方の順番が示すように、事業承継は後継者が経営者の思いなどを理解したうえで事業の引き継ぎを行います。

事業承継と事業継承との大きな違いとして、事業承継には前経営者の理念・価値観、取引先や顧客との関係性といった無形資産も含まれる点が挙げられます。

つまり、事業承継とは、人(経営)の承継・有形資産の承継・知的資産の承継といった、物理的な資産だけでなく精神的な資産を引き継ぐことも意味し、法律用語として公的な場面でも用いられます。

事業継承とは

事業継承も読み方の通り、事業を後継者に引き継ぐことを指しますが、事業継承の場合は人(経営)の承継・有形資産の承継・知的資産の承継のうち、主に有形資産を引き継ぐことを意味していることがほとんどです。

また、事業継承の読み方が事業承継の読み方と逆になっているように、事業継承の場合は事業を引き継いでから、事業を受け継いだ側が前経営者の思いなどを理解していく点が事業承継との違いです。

2. 事業承継と事業継承の違い

事業承継と事業継承の違い

前章では事業承継と事業継承の意味について解説しましたが、後継者へ事業を引き継ぐ場合の表現としては事業承継と事業継承のどちらが適切なのでしょうか。

この章では、事業承継と事業継承の意味の違いを踏まえて、適切な使い方について解説します。

事業の引継ぎとして正しい表現

前述のとおり、事業承継と事業継承には、読み方だけでなく意味の違いもあります。事業承継は、人(経営)・有形資産・知的資産を後継者に引き継ぐことを指し、事業継承は主に有形資産を引き継ぐことを指します。

実際に事業を引き継ぐ際は、有形資産だけを引き継いで完了というケースは少なく、多くの場合技術・ノウハウ・人脈・理念などの無形資産の引き継ぎも伴います。また、後継者の育成・教育も重要です。

これらすべてを含んで引き継ぐ場合は、事業継承よりも事業承継を用いて表現するほうが適切です。

特に近年は、事業の引き継ぎ方や考え方が多様化しています。また、事業承継は法律用語としても用いられるので、契約書などでは「事業継承」ではなく「事業承継」を用いることが一般的です。

【関連】事業承継問題は日本の課題?2025年問題とは?

3. 事業承継を構成する要素

事業承継を構成する要素

事業承継によって承継される要素には、主に以下の種類があります。この章では、事業承継によって承継される3要素について解説します。

【事業承継によって承継される要素】

  • 経営・人の承継 
  • 資産の承継 
  • 知的資産の承継

経営・人の承継

事業承継では後継者を選び、対話と教育を重ねたうえで経営権を承継する必要があります。

後継者を選ぶ際は、適切な経営理念を持っているか・経営者になる意欲はあるか・覚悟はできているか・経営者としての実務能力はあるかなどを見極めなければなりません。

また、親族の意向をよく確認したり、取引先や従業員から人望のある人を選んだりするなど、周囲の協力も事業承継には欠かせません。

後継者教育を実施する際は、実務面だけでなく経営理念や経営方針も身に付けさせることが事業承継の成功につながります。

社内でさまざまな部門や役職を経験させたり、他社や子会社などでさまざまな経験を積ませたりするなど、必要に応じた経験を積ませていきます。

資産の承継

事業承継の際は、資産も一緒に後継者へ引き継ぎます。主に引き継ぐ資産には、以下のようなものがあります。

【事業承継で引き継ぐ資産】

  • 株式
  • 事業用資産
  • 資金
  • 許認可

資産の承継では経営権の分散防止対策が必要であり、経営者が生前に対策しておくことで負担を軽減しやすくなります。

中小企業庁の「事業承継マニュアル」では、以下の対策が紹介されています。なお、事業承継マニュアルについては後の章でくわしく解説します。
  • 自社株式の生前贈与
  • 安定株主の導入
  • 遺言の作成
  • 遺留分減殺請求対策
  • 種類株式の発行
  • 信託の活用
  • 持株会社の設立
  • 自社株買いに関するみなし配当の特例活用
  • 相続人等に対する売渡請求
  • 特別支配株主による株式等売渡請求
  • 名義株・所在不明株主の整理

また、税金対策に関しては、贈与税や相続税の納税猶予・免除制度などの特例を活用することで税負担の軽減が可能です。

そのほか、事業承継によって後継者や会社の資金が苦しくなる場合があるので、経営承継円滑化法による金融支援を活用したり、金融機関と交渉しておいたりする必要があります。また、債務整理・個人保証への対応も必要となります。

知的資産の承継

事業承継では有形の資産だけでなく、知的資産の承継も行います。主に引き継ぐ知的資産には、以下のようなものがあります。

【事業承継で引き継ぐ知的資産】

  • 経営理念
  • 経営者の信用
  • 取引先との人脈
  • 従業員の技術・ノウハウ
  • 顧客情報

事業承継を成功させるには、経営理念や経営者の思いなどを引き継ぐことも大切です。後継者に承継する前に、まずは現経営者が自身と会社の歴史を振り返り、整理する必要があります。

レポートとして整理し後継者候補や従業員と共有することも効果的であり、振り返った内容を踏まえて事業承継計画書を作成していきます。

事業承継計画書を作成する際は、自社の現状分析・今後の予測・課題や方向性・目標などを整理していきます。

4. 事業承継の準備

事業承継の準備

事業承継の準備を始める前提として、まずは事業承継の準備をしっかりと行う必要性を早めに認識する必要がありますが、事業承継の準備が後回しになっている中小企業経営者も少なくありません。

何から始めたらよいかわからない、どこに相談したらよいかわからないといった悩みがある場合は、まず事業引継ぎ支援センターなどの支援機関に相談するなどして、気持ちと具体的なアクションの整理をすることが有効です。

事業承継の具体的な準備を進めていく際は、まず自社の経営状況・経営課題を把握することから始め、経営の見える化によって事業承継の方向性や事業承継後の経営方針を明確にしていきます。

事業承継計画が固まったら、事業承継に向けて企業価値を向上させていくとともに、親族・従業員に事業承継するのか、それともM&Aによって事業承継するのかによって必要な準備を進めていきます。

【関連】事業承継対策のポイント7選!後継者問題や株価、税金面も解説!

5. 事業承継の引継ぎ先

事業承継の引継ぎ先

事業承継は引き継ぐ相手によって必要な準備や注意点も変わります。この章では、事業承継の引継ぎ先について解説します。

【事業承継の引き継ぎ先】

  1. 親族 
  2. 従業員など 
  3. M&A

①親族

現経営者の子どもや兄弟などの親族に事業承継する方法があります。かつては親族内事業承継がほとんどだったものの、昨今は親族内での事業承継が難しいケースも増えています。

主な理由として、職業選択の自由を尊重する社会の流れや、変化のスピードが速くなっている社会環境への不安、事業承継によるリスクの心配などが挙げられます。

親族内での事業承継ありきではなく、そのほかの事業承継方法も選択肢として検討しておくことが大切です。

②従業員など

近年は、役員や従業員を後継者に指名する親族外事業承継が増えています親族外事業承継では、新卒入社からの叩き上げ社員を後継者にするケースと、中途入社や後継者候補として招へいした人材に事業承継するケースがあります。

叩き上げ社員の場合は他社での経験がないので、外部で経験を積ませることも有効です。また、中途入社や外部から招へいした人材の場合は、企業理念・経営者の価値観・企業文化をいかに染み込ませるかが重要です。

叩き上げの社員でも中途入社や外部から招へいした人材であっても、事業承継の際は経営者としての覚悟を決めてもらう準備が重要な過程となります。

③M&A

親族や役員・従業員に後継者候補のいない会社が、M&Aによる第三者への事業承継を行うケースが増えています。

M&Aによる事業承継を行う場合、まずは準備段階で企業価値を高めることで、よい買い手に事業承継ができる可能性が高くなります。

M&Aによる事業承継は専門性が高く、事業承継相手を探すネットワークも必要なため、信頼できる専門家と協力して進めていくことが一般的です。

M&Aの専門家と契約を結んだら、会社の価値を算定したうえで買い手とのマッチングを行い、相手がみつかったらより詳細な交渉に進みます。

M&Aによる事業承継の相談先には、士業事務所や仲介会社、金融機関、公的機関などさまざまあり、それぞれ特徴が大きく違うため、自身に合った相談先を選ぶことが重要です。

【関連】事業承継の相談先はM&A仲介会社?弁護士?相談相手や相談方法を解説!

6. 事業承継のおすすめ資料

事業承継のおすすめ資料

事業承継について詳しく知りたい場合は、中小企業庁が作成した資料を参考にするとよいでしょう。ここでは、以下2つの資料の内容や特徴を紹介します。
 

  • 事業承継マニュアル
  • 会社を未来につなげる10年先の会社を考えよう

事業承継マニュアル

中小企業庁では中小企業・小規模事業者が事業承継を行う際の指針として「事業承継ガイドライン」を発行しており、事業承継ガイドラインの内容を基に作成されたのが「事業承継マニュアル」です。

事業承継マニュアルには、事業承継を進めていくうえでのポイントがわかりやすくまとめられています。

第1章では、アウトラインとして事業承継の現状と進め方がまとめられており、第2章では事業承継の具体的な進め方を記載する事業承継計画書の書き方がまとめられています。

第3章では後継者の選び方・育成や経営権の分散防止方法、税金・資金調達など、事業承継の課題解決方法についてまとめられており、第4章では事業承継の支援機関や支援の取り組みが紹介されています。

事業承継マニュアルを参考にすることで、事業承継に必要な課題とアクションをひと通り理解することができます。

会社を未来につなげる10年先の会社を考えよう

同じく中小企業庁は、冊子「会社を未来につなげる10年先の会社を考えよう」で、中小企業・小規模事業者が事業承継を進める際の具体的で中長期的なアクションをまとめています。

「会社を未来につなげる10年先の会社を考えよう」は「事業承継マニュアル」をさらに簡潔にまとめた冊子です。

具体的なアクションとして「経営の見える化」「会社の磨き上げ」「事業承継マニュアル」といった3つのアクションについて紹介しています。

「会社を未来につなげる10年先の会社を考えよう」を読むことで、事業承継の概要をつかむことができます。

7. 事業承継の相談先

事業承継の相談先

事業承継には、親族内事業承継・従業員などへの事業承継・M&Aによる事業承継があり、それぞれ進め方や注意点が異なります。

事業承継を成功させるには専門的な知識や経験も必要になるため、専門家によるサポートが欠かせません。

M&A総合研究所では、アドバイザー、M&A・事業承継専門の会計士と弁護士がフルサポートいたしますので、あらゆる課題に柔軟な対応が可能です。

また、M&A総合研究所では事業承継が完了するまで手数料が発生しない完全成功報酬制を採用しています。

お電話・Webからの無料相談は24時間お受けしており、オンライン無料相談も実施しております。事業承継でお悩みの際は、どうぞお気軽にM&A総合研究所の無料相談をご利用ください。

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8. まとめ

まとめ

本記事では、事業承継と事業継承の意味の違いや進め方などについて解説しました。事業承継と事業継承は混同されがちですが、事業承継とは、その読み方の通り、事業を後継者に引き継ぐことを指します。

事業継承も読み方の通り事業を後継者に引き継ぐことを指しますが、事業継承の場合は有形資産の引継ぎを指すことがほとんどです。そのため、事業の引継ぎを表現する場合は、一般的に「事業承継」の方を用います。


【事業承継と事業継承の違い】

  事業承継 事業継承
読み方 じぎょうしょうけい じぎょうけいしょう
意味 経営者の思いなどと共に
事業を引き継ぐ
事業を引き継いでから
経営者の思いなども引き継ぐ
引継ぎ資産 人(経営)、有形資産、知的資産 主に有形資産


【事業承継の引継ぎ先】
  1. 親族への引継ぎ
  2. 従業員などへの引継ぎ
  3. M&Aによる引継ぎ

【事業承継のおすすめ資料】
  1. 事業承継マニュアル(中小企業庁作成)
  2. 会社を未来につなげる10年先の会社を考えよう(中小企業庁作成)

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