事業売却とはどんな意味?メリットや成功のポイント、従業員への対応などを紹介

事業売却とは、自社の事業を第三者の企業に売却するのをさします。事業売却では、売却しない資産を選択して自社に残せるので、選択と集中により組織再編がしやすいです。ただし信頼できるM&A仲介業者に相談したうえで、事業売却を成功させましょう。


目次

  1. 事業売却とは?概要を解説
  2. 事業売却における売り手側のメリットとは?
  3. 事業売却における買い手側のメリットとは?
  4. 事業売却のデメリットとは?
  5. 事業売却の成功事例を5選紹介!
  6. 事業売却を成功させるために必要なポイントとは
  7. 事業売却を行った際の従業員の処遇はどうなる?
  8. 事業売却に際して発生する会計処理の方法について
  9. 事業売却で発生する税金の種類には何がある?対策も紹介
  10. 事業売却の相談はM&A総合研究所に相談!
  11. まとめ

1. 事業売却とは?概要を解説

事業売却とは?概要を解説

事業売却とは、自社の事業を第三者の企業に売却するのをさします。

事業売却の活用次第では、希望する資産を選択して自社に残せるので、選択と集中による組織再編がしやすいです。

ここからは、事業売却についてもう少し深く理解するために、以下の2項目に分けて解説します
 

  1. 事業譲渡株式譲渡の違いについて
  2. 事業売却の相場・価格を算出する方法

これら2つの項目について押さえて、事業売却とはどんな手法なのか把握して自社のM&Aに生かしてください。それでは、それぞれの項目に関して順番に見てみましょう。

①事業譲渡と株式譲渡の違いについて

事業売却と株式譲渡との大きな違いは、売却する資産を選択できるかどうかにあります。

事業売却では、交渉次第で希望する資産を選択して自社に残すのが可能です。一方で、株式譲渡では、全資産が売却対象となるので、希望する資産を残せません。

上記を比較すれば、事業売却にメリットを感じる人が多くいますが、株式譲渡と比較すると見えてくるデメリットもあるのです。

つまり、事業売却では、取引後のリスクを売り手側が負わなければいけない問題点もあります。そのため株式譲渡では、買い手企業が取引後のリスクを肩代わりしてくれるのです。

したがって、事業売却では、取引後に発生するリスクについても責任を負わなければならないのを把握しておきましょう。

上記のように、事業売却にはメリットとデメリットが潜んでいることを理解したうえで、最適な手法でM&Aを実施するのが大切です。

②事業売却の相場・価格を算出する方法

譲渡する資産の時価に営業権の価値を足して、事業売却の相場や価格を算出するのが可能です。

営業権とは、無形資産の部類に分けられる事実関係をさします。営業権の算定方式は、事業が生み出す利益の2年~3年分で計算するのが一般的です。

譲渡資産時価は、デューデリジェンス(買い手側が実施する調査)後に正確な金額が算出されることになります。

ところが、事業売却の正確な相場は固定されておらず、業界や時期・ニーズの変化によって変動するので注意してください。

売却事業の相場が知りたい場合には、M&A仲介会社であるM&A総合研究所にお声がけください。さまざまな事業売却の経験を積んだアドバイザーが、わかりやすく質問にお答えいたします。

以上、事業売却の概要について簡単に解説しました。

また、M&Aとはそもそもどういったものかについて、以下の記事では詳しく説明しています。メリットや流れ、注意点についても紹介していますので、ぜひ確認してみてください。

前述のとおり、事業売却によって、売り手側企業はさまざまなメリットを得られます。ここからは、事業売却の売り手側のメリットについて見ていきましょう。

【関連】M&Aとは?メリットや流れ・費用を解説!仲介会社ランキングや成功事例も紹介!

2. 事業売却における売り手側のメリットとは?

事業売却における売り手側のメリットとは?

事業売却の売り手側のメリットは、以下です。
 

  1. 資金調達による組織再編が狙える
  2. 事業を存続させられる
  3. 承継内容を選択して売却できる
  4. 会社の商号を使用できる

これら4つのメリットを押さえて、事業売却を検討しましょう。

①資金調達による組織再編が狙える

1つ目のメリットは、資金調達による組織再編が狙える点です。

事業売却で、利益をあげられます。そこで、事業売却で得た利益は、会社の資金として活用できます。

これにより、採算が取れる分野に対して適切なリソースを割けるようになるので、効率的な運営を図ることもできます。

しかし、もしも廃業の手法を選んでしまうと、コストがかかるため、組織再編の足がかりになる資金が調達できません。

したがって、資金調達により効率的な資金再編を目指す場合には、事業売却を検討すると良いでしょう。

②事業を存続させられる

2つ目のメリットは、事業を存続させられる点です。

事業を存続させずに廃業してしまうと、コストがかかるだけでなく、ノウハウの消滅や雇用喪失など社会的な問題ともなりかねません。

それだけでなく、取引先にも多大な影響を与えてしまうため、廃業はできるだけ避けたい手段といえます。

したがって、従業員の雇用や取引先を維持したい場合や、事業のノウハウを維持させたい場合には、事業売却を検討すると良いでしょう。

③承継内容を選択して売却できる

3つ目のメリットは、承継内容を選択して売却できる点です。

事業売却であれば、売却する資産を買い手側企業との話し合いで選択できます。そのため、交渉次第では、希望の資産を自社に残せるのです。

これにより、残した資産を足がかりとして、効率的な経営や組織再編を狙えるようになります。株式譲渡では、すべての資産を譲渡するのが基本的です。

したがって、自社に残しておきたい資産がある場合には、事業売却を検討すると良いでしょう。

④会社の商号を使用できる

事業売却をした場合は、会社の商号はそのまま使用できます。商号に歴史やブランド価値、取引先との信頼がある場合には、商号を残したまま経営できるのがメリットといえます。

以上、事業売却の売り手側のメリットを紹介しました。しかし、事業売却には、売り手だけでなく買い手側にもメリットがあります。ここからは、事業売却の買い手側のメリットをまとめたので確認しましょう。

3. 事業売却における買い手側のメリットとは?

事業売却における買い手側のメリットとは?

事業売却の買い手側のメリットは、以下です。
 

  1. 人材不足が解消できる
  2. 事業規模拡大が狙える
  3. 新規顧客やノウハウを獲得できる
  4. 必要な資産のみ買収できる
  5. 簿外債務を引き継ぐリスクが小さい

これら5つのメリットを押さえて、売り手と買い手の双方にメリットとなる事業売却を目指しましょう。それでは、各メリットを確認します。

①人材不足が解消できる

人材不足が解消できる点が1つ目のメリットです。

例えば、有資格者など優秀な人材の不足が問題となっているとき、最悪の場合は、廃業に追い込まれるケースが少なくありません。そのようなときに使えるのが、事業売却による買収です。

買い手側企業においては、有資格者を含め優秀な人材が多く在籍する事業を買収し、自社の企業に必要な人材を確保するのが可能です。

②事業規模拡大が狙える

事業規模の拡大が狙える点もメリットの1つです。

主に実店舗を経営している会社が当てはまりますが、自社とは異なるエリアで店舗を展開している事業を買収し、事業エリアの規模を人材や技術、取引先や顧客とセットで拡大できます。

また、これから新規店舗を立ち上げるには多大な時間とコストがかかってしまうため、経営リスクも大きいことと比較すると、そのリスクを抑えながら事業拡大が狙えるのです。

さらには事業規模の拡大によって企業の知名度を大きく向上するのに加えて、企業のブランド力向上にもつながります。

③新規顧客やノウハウを獲得できる

3つ目のメリットは、新規顧客やノウハウを獲得できる点です。

事業の買い手は、売却事業における取引先や顧客を一挙に獲得できます。一から営業を開始する場合、ある程度の取引先や顧客を獲得してから事業が安定するまでに時間がかかってしまうことは少なくありません。

これにより、起動に乗るまでの間は赤字が続く場合もありますが、事業買収にはそれを防ぐメリットがあるのです。それだけでなく売り手の人材およびノウハウ、技術の確保に伴って、新規事業や事業の拡大を早めるのが可能です。

④必要な資産のみ買収できる

4つ目のメリットは、事業の買い手側は、売り手側と同様、好きな事業のみを買収できるため、効果的に投資を行えます。買い手側に必要な事業だけを引き継ぐことで、事業買収後のスケジュールが立てやすく、スムーズに事業を進められるでしょう。

⑤簿外債務を引き継ぐリスクが小さい

5つ目のメリットは、事業を買収する場合は、売り手の会社にひもづく簿外債務を引き継ぐリスクは小さくなります

簿外債務は貸借対照表に載らない負債であり、中小企業の場合、支払いが発生していない費用について計上しないケースが多々あるため、M&Aの世界ではよく論点となります。

買い手側が簿外負債を引き継いだ場合は、想定外の損失を被る恐れがあります。例えば、退職給付引当金、未払賞与、リース債務などがあげられます。こうした簿外債務によって、投資コストを回収できなく恐れもあります。

以上、事業売却の買い手側のメリットを紹介しました。ここまで読めば、事業売却には売り手と買い手の双方にさまざまなメリットが理解できたはずです。続いて、事業売却のデメリットについても確認しましょう。

4. 事業売却のデメリットとは?

事業売却のデメリットとは?

事業売却のデメリット・問題点として、以下の4つにまとめました。
 

  1. 手間や時間がかかる
  2. 人材流出の恐れがある
  3. マイナスの資産を売却できない場合がある
  4. 売却に伴い税金が発生する

これら4つのデメリット・問題点の対処法を押さえて、事業売却のリスクを回避しましょう。それでは、それぞれのデメリット・問題点を順番に見ていきます。

①手間や時間がかかる

1つ目のデメリットは、経営統合や会社統合の完了に時間がかかってしまう場合があることです。

通常、M&Aによる事業売却は、クロージングが行われるまでに3~6カ月程度かかります。

しかし、条件交渉が難航してデューデリジェンスで問題が発生すると、クロージングが行われるまでに半年以上かかることもあるのです。

このように、事業を売却するときには、時間がかかる場合があることも想定しましょう。

できるだけ早くクロージングをした場合は、スピード感を大切にしているM&A仲介会社に相談するべきです。例えば、M&A総合研究所では、事業売却に豊富な知識・経験を持つM&Aアドバイザーが専任に就き、交渉からクロージングを一括サポートしてもらえます。

スムーズな対応により、経営統合・会社統合までに最短3カ月でM&Aを行えるのが強みです。事業売却や事業承継について検討している方は、M&A総合研究所に無料相談をしてみるのが良いでしょう。

M&A・事業承継の仲介会社ならM&A総合研究所
電話で無料相談
03-6455-5875
WEBで無料相談
M&Aのプロに相談する

②人材流出の恐れがある

2つ目のデメリット・問題点は、人材流出の恐れがあることです。

従業員の立場から見ると、突然の事業売却に悪いイメージを持ってしまったとしても不思議ではありません。そのため、将来のことを考えた従業員は離職してしまう恐れがあります。それだけでなく、同様の理由で取引先まで契約解除を申し入れてくる可能性も考えられるのです。

人材流出や取引先離れの問題を回避するためにも、適切なタイミングで従業員や取引先に対して、事業売却についての説明を行ってください。

③マイナスの資産を売却できない場合がある

3つ目のデメリット・問題点は、マイナスの資産を売却できない場合があることです。

事業売却では、売却する資産は双方の合意のもと契約で決められます。そのため、売却対象を柔軟に決められるのでメリットとなる反面、買い手側にマイナスの資産を売却できないデメリットともなるのです。

つまり、資産を売却できるかどうかは、買い手側の判断次第です。また、もしも買い手側と交渉できたとしても、負債の承継には買い手側債権者の了承が必要でしょう。

上記の理由から、資産・承継手続きには、手間や時間がかかる場合があり、負債を売却できずに自社に残されるリスクがあることも把握しておいてください。

④売却に伴い税金が発生する

4つ目のデメリットは、売却に伴い税金が発生する点です。

事業売却は、資金調達が狙える手法ではありますが、売却した場合、税金が支払う義務が生じることも押さえておきましょう。事業売却で問題となる税金は、消費税・所得税・贈与税・法人税です。

各税金は、それぞれ課税の仕組みが異なるので、1つ1つを詳細に把握しておかなくてはなりません。

以上、事業売却のデメリット・問題点まとめを紹介しました。ここまで読んで、実際に事業売却にはどんな事例があるの?と気になる人もいるでしょう。ここからは、事業売却における成功事例をまとめたので確認しましょう。

5. 事業売却の成功事例を5選紹介!

事業売却の成功事例5選

事業売却・事業譲渡の成功事例として、以下の5つを紹介します。
 

  1. ゼットとベンゼネラルの事例
  2. じげんとベーシックの事例
  3. 壱番屋とエージーピーの事例
  4. ペットラインと日清ペットフードの事例
  5. AKSとKeyHolderの事例

これら5つの事例を押さえて、自社の事業売却のイメージをしましょう。

①ゼットとベンゼネラルの事例

https://zett.jp/

出典: https://zett.jp/

ゼットは、2020年11月にデサント子会社であるベンゼネラルからスポーツウェア用品卸売販売事業を譲り受けました。ゼットは、スポーツ用品の製造、販売などをメインに事業を行っています。

デサントの子会社であるベンゼネラルは、スポーツ用品の販売を行っています。

今回のM&Aにより、ゼットは、売上拡大と収益強化を図ります。また仕入を統一や営業基盤を強化により、企業価値の向上を目指します。

②じげんとベーシックの事例

https://zigexn.co.jp/#zigexn_top

出典: https://zigexn.co.jp/#zigexn_top

じげんは、2020年11月にベーシックの比較メディア事業の譲受を決定ました。

じげんは、ライフメディアプラットフォーム事業といわれる、ライフイベント(求人・住まい・車など)を中心に運営するサービスをメインとして行っています。メディアで一括して検索・応募・問い合わせができるサイトや特化型メディア、ソリューションなど幅広いビジネスモデルをしています。

対象会社であるベーシックは、SaaS事業・メディア事業を運営しています。

今回のM&Aにより、じげんの「フランチャイズ比較.net」への投資を実施し、メディアの市場シェア拡大、顧客獲得や既存事業の相乗効果を目指します。

③壱番屋とエージーピーの事例

https://www.ichibanya.co.jp/

出典: https://www.ichibanya.co.jp/

壱番屋は2020年9月にエージーピーより、工場野菜生産・販売事業の譲受を決定しました。

壱番屋は、「カレーハウスCoCo壱番屋」のカレー店舗運営やフランチャイズ展開をメインに飲食事業をしています。

エージーピーは、整備・施設事業、空港内外のセキュリティ事業、機内食を主とするフードシステム事業、ビジネス支援など幅広い事業を行っています。

今回のM&Aにより、壱番屋は展開しているチェーン店への生鮮野菜の供給が安定するとともに、顧客へ質の良い野菜の提供を行っていきます。

④ペットラインと日清ペットフードの事例

http://www.petline.co.jp/

出典: http://www.petline.co.jp/

ペットラインは、2019年12月に日清製粉グループ本社の子会社である日清ペットフードのペットフード製造販売事業を譲り受けました。

ペットラインは、三菱商事傘下の日本農産工業の子会社であり、ペットフードのメーカーとして、ペットフードやペット関連商品の製造販売を行っています。

日清ペットフードは、研究開発から製造・販売まで一貫して手掛けるなどで、有力な商品を保有している会社で業界としては中堅規模になります。

今回のM&Aにより、ペットラインは、高品質な商品のラインアップがそろいます。そしてブランド、ノウハウなどが継承されるため、経営拡大を図ります。

⑤AKSとKeyHolderの事例

http://www.keyholder.co.jp/

出典: http://www.keyholder.co.jp/

2018年11月、AKSがKeyHolderにアイドルグループSKE48事業を売却した事例を紹介します。AKSは芸能プロダクションの経営を行う会社であり、KeyHolderは総合エンターテインメント事業を担う会社です。

事業売却の目的は、運営・管理事業のさらなる発展を図ることでした。

これにより、SKEグループを軸としながら、KeyHolderのエンターテインメント力を生かしたイベントの開設・運営や、エンタメコンテンツの企画・開発・制作事業が進められています。

このように、事業売却は、ノウハウを融合させた企業発展を狙う有効策といえるのです。

以上、事業売却の成功事例を紹介しました。ここまで読んで、事業売却を検討する人も多いはずです。しかし、事業売却を成功させるためにはポイントを押さえておく必要があります。

ここからは、事業売却を成功させるためのポイントをまとめたので確認しておきましょう。

6. 事業売却を成功させるために必要なポイントとは

事業売却を成功させるために必要なポイントとは

事業売却を成功させるためのポイントは、以下の5つです。
 

  1. 売却事業で利益を出しておく
  2. 経営基盤を安定させておく
  3. 無形資産価値を高めておく
  4. 買い手にはシナジー効果の高い企業を選ぶ
  5. 子会社化して会社売却を狙う

これら5つのポイントを押さえて実施した場合、事業売却の成否に大きく影響します。それでは、それぞれのポイントを順番に見ていきましょう。

①売却事業で利益を出しておく

売却する事業で、できる限りの利益を出しておきましょう。

売却する事業で利益を出せば、売却額の引き上げができます。買い手側企業から見ると、以前から利益が安定しており、今後も利益の計上が見込める事業を買収したいと思うのは、当たり前です。

買い手側企業に魅力を感じてもらうためにも、売上を確実に上げつつ、無駄な経費を削ることで利益を確保しましょう。

そして、将来的な利益を買い手側にきちんとアピールできれば、事業売却の成功につながるはずです。

②経営基盤を安定させておく

2つ目のポイントは、経営基盤を安定させておくことです。

前述しましたが、買い手側企業から見れば、安定している事業は魅力的に見えます。そのため、利益や財務の分野だけでなく、法務分野においても安定化させておくことを目指しましょう。

買い手側からしてみれば、小さなリスクが発見されただけでも、買収を渋る場合があるかもしれません。買い手側では、事業の買収に際し、以下の項目を必ずチェックするはずです。
 

  • 訴訟問題を抱えているか
  • 取引先との契約に不具合はあるか
  • 会計処理が適正に行われているか
  • 簿外債務はあるか

事業売却の際には、上記4項目を中心に、リスクがないことをアピールできる状況にしておいてください。

③無形資産価値を高めておく

3つ目のポイントは、無形資産価値を高めておくことです。

無形資産とは、直接目に見えない資産のことで、高い技術力や経験豊富な人材などをさします。無形資産の価値を高ければ、事業の売却価格を大きく上げるのが可能です。

そのため、無形資産価値を高められるように、技術力や即戦力となる人材を確保しておくようにしましょう。また、貴重な人材を流出させないためにも、あらかじめ従業員に説明して、事業売却について納得してもらうことも大切です。

④買い手にはシナジー効果の高い企業を選ぶ

買い手には、シナジー効果の高い企業を選びましょう

シナジー効果は、企業統合で得られる相乗効果のことです。シナジー効果の高い企業と統合した場合、2社がそれぞれで生む以上の利益を計上できるようになる可能性が高いといえます。

そのため、買い手側の企業はシナジー効果が狙える企業の買収を望むので、売却額は上昇する傾向にあります。

上記の理由から、売却の交渉時には、買収側の企業に対し、シナジー効果をアピールしていくのが大切でしょう。しかし、自社とのシナジー効果が期待できる企業を選ぶには、専門的知識が必要です。

したがって、必ず仲介会社に相談の上、相性が良い買い手企業を選択しましょう。

 

以下の記事では、M&Aによってシナジー効果が得られた事例を紹介しています。どのような効果が得られて、どのような戦略をとるべきなのかなども紹介しているので、ぜひ確認してみてください。

【関連】M&Aによるシナジー効果の成功事例10社を具体例で紹介!

⑤子会社化して会社売却を狙う

5つ目のポイントは、売却予定の事業を子会社化し、会社として売却するケースです。

事業売却ではなく会社売却に切り替えることで、資産すべてを売却できるようになります。これにより、不要資産を自社に残すことなく、まとめて譲渡可能です。

会社売却に切り替えることは、買い手側企業にとってもメリットでしょう。買い手側企業にとって必要となるすべての資産を入手できるためです。

また、事業を子会社化して売却した場合、自社はそのまま存続できる点もメリットとなることも押さえておきましょう。したがって、不要資産を残さずに売り切りたい場合や、売却後も自社を存続させたい場合には、子会社として会社を売却する選択肢を検討してみてください。

以上、事業売却を成功させるためのポイントを紹介しました。

また、以下の記事では実際にM&Aで事業売却をする際のスケジュールについて紹介しています。具体的なスケジュールを知ることで、いつから準備を始めれば良いかなどがハッキリとわかるようになるので、興味がある人は確認してみてください。

【関連】M&Aのスケジュールや手順を表で解説!期間を早めることはできる?

紹介したポイントを押さえておくことで、事業売却の成功につなげられます。ところが、事業売却にはデメリットや問題点も潜んでいるので知っておくべきです。

ここからは、事業売却後における従業員の処遇について紹介します。

7. 事業売却を行った際の従業員の処遇はどうなる?

事業売却を行った際の従業員の処遇はどうなる?

これまで、事業売却を成功させるポイントや事例、メリットやデメリットについて紹介してきました。しかし、事業売却をしたいけど「従業員の処遇はどうなる?」と気になる経営者は多いでしょう。

こちらでは、事業売却時における従業員の処遇を紹介します。事業売却時の処遇におけるポイントは、主に以下のとおりです。

 

  1. 働き続けることは可能
  2. 労働契約の引継ぎはされない
  3. 移籍や退職を検討する従業員へ対応を行う

1つずつ、確認しましょう。

①働き続けることは可能

事業売却後にも、従業員は買い手企業にそのまま引き継がれるのが一般的です。事業売却後、自社の従業員は給料が上がるなどより良い処遇で働ける例が多いといえます。

その理由は主に以下の2つです。

 

  • 買い手企業は売り手企業よりも資本金などの会社規模が大きいから
  • ノウハウや経験を持つ従業員は優遇されるから

1つ目の理由は、買い手企業は売り手企業よりも資本金などの規模が大きいからです。会社売却後における売り手企業側の従業員に支払われる給料は、買い手企業に合わせる場合が多いので、給料が上がるケースが多いといえます。

2つ目は、ノウハウや経験を持つ従業員は待遇が優遇される場合が多いです。買い手企業は売り手企業が持つ専門分野のスキルやノウハウを持っていない場合が多く、増強する目的で、事業売却を検討している企業を探しています。

そのため、売り手企業の中堅社員やベテラン社員でも、専門分野のスキルやノウハウを身に着けていると即戦力として優遇されるのです。

リストラされるケースもある

事業売却後に従業員がリストラされるケースがあることも覚えておかなければなりません。事業売却の際、従業員をリストラできないような契約を結ばなければ、売り手企業の従業員をリストラするのは可能だからです。

買い手企業が従業員を必要以上に引き継いだ場合、売り手企業の従業員をリストラする場合があります。しかし、買い手企業は必要なスキルやノウハウを持つ従業員をリストラするケースはありませんが、専門性がない従業員はリストラされやすい傾向にあるのです。

②労働契約の引継ぎはされない

事業売却では労働契約の引継ぎについて、売り手と買い手の合意のもとで買い手側に移籍・転籍させる従業員に個別の同意書を残す必要があります。

事業売却は権利や義務が包括的に承継されず、事業を構成する各権利や義務の承継は売り手と買い手、従業員などの同意が必要だからです。事業売却で従業員の処遇が決まり次第、個別の同意書を作成するようにしましょう。

③移籍や退職を検討する従業員へ対応を行う

事業売却の際に、移籍や退職を検討する従業員に対応を行わなければなりません

 

  • 移籍を反対する社員への対応について
  • 退職を検討している社員への対応について

移籍と退職で対応の方法が異なりますので1つずつ見ていきましょう。

移籍を反対する社員への対応について

事業売却時に買い手企業が新たに結ぶ労働契約については、従業員の同意が得られなければ締結はできません。もし、従業員が事業譲渡に納得がいかなければ転籍拒否をして、離職してしまう可能性もあります

買い手企業が売り手企業の従業員と新たに労働契約が結べない場合、売却側の雇用契約で予想される範囲内で人事異動を行い、労働条件に不利益が出ない場合に売り手企業へ籍を置いたまま出向させるのが可能です。

このように、移籍に反対する社員については、売り手企業から買い手企業への出向の形で対応するケースも考えられます。

退職を検討している社員への対応について

事業売却では、従業員との雇用契約は買い手企業に引き継がれません。買い手企業に移籍させる従業員との雇用契約は終了です。

この場合、移籍前の給与や退職金は売り手企業が支払う必要があるのです。そして、買い手企業に移籍する従業員は個別に新たな雇用契約を結ぶ必要があります。

しかし、事業譲渡の場合、その事業が継続されるため従業員の仕事内容はこれまでと同様であるケースがほとんどです。買い手企業が賃金や就業時間、就業場所などの条件を移籍前と同様にして雇用契約を再度締結するのが一般的とされています。

ただし、労働条件は従業員によって異なることもあるため、一人ひとりに意思確認をする必要があるのです。

8. 事業売却に際して発生する会計処理の方法について

事業売却に際して発生する会計処理の方法について

次に、事業売却に際して発生する会計処理について見ていきましょう。

事業売却をした場合、会計処理も適切に行う必要があります。売り手企業と買い手企業で会計処理の方法が異なるので、それぞれの会計処理について確認しましょう。

売り手企業が行う会計処理

まず、売り手企業における会計処理の方法を確認しましょう。通常、事業売却後に生じた損益を仕訳処理します。

以下は仕訳の具体例です。

 

  • 譲渡資産の帳簿価格 1,000万円
  • 譲渡負債の帳簿価格 600万円
  • 付随費用 50万円
  • 譲渡価格 1,500万円
 
借方 貸方
譲渡負債 600万円 譲渡試算 1,000万円
付随費用 50万円 現預金 50万円
現預金 1,500万円 移転損益 1,000万円

以上のように、譲渡益と譲渡損は移転損益の科目で会計処理します。

 

実際の取引時には、譲渡資産名は詳細な科目を入れなければなりませんので、税理士や会計士と相談して会計処理を進めましょう。

買い手企業が行う会計処理

次に、買い手企業における会計処理の方法について紹介します。事業売却における会計処理では、のれんの計上が重要です。

のれんとは、買収した事業のブランド力やノウハウ、従業員の能力や特許の価値をさします。会計処理には、買収した事業における時価の純資産と、取得にかかった金額の差額を計上するのです。

以下は、仕訳の具体例です。

 

  • 譲受資産の時価:700万円
  • 譲受負債の時価:300万円
  • 取得原価:1,500万円
 
借方 貸方
譲受資産 700万円 譲受負債 300万円
のれん 1,100万円 現預金 1,500万円

のれんは、20年以内で均等償却します。売却後も毎年処理が必要なので、その点も覚えておきましょう。

9. 事業売却で発生する税金の種類には何がある?対策も紹介

事業売却で発生する税金の種類には何がある?対策も紹介

事業売却の手法として活用される事業売却では、時価よりも高値で事業を売却できた場合、その利益分に対して税金が発生します。

事業を売却するときに発生する税金は、以下の3つです。
 

  1. 消費税
  2. 所得税や贈与税(個人の場合)
  3. 法人税(法人の場合)

これら3つの税金や対策方法について理解しておきましょう。それでは、それぞれの税金について詳しく見ていきます。

①消費税

事業を売却すると消費税が発生します。これは事業売却が売買契約に当たるためです。

しかし、対象となる売却資産のすべてが消費税の課税対象となるわけではありません。

譲渡資産には課税資産と非課税資産があり、土地・有価証券・債権などの非課税資産には、消費税が発生しないことを押さえておきましょう。

なお、買い手側に課税される消費税についても、同様に計算されます。

②所得税や贈与税(個人の場合)

売り手側が個人の場合、事業を売却すれば、所得税や贈与税も発生します。

対象事業を時価よりも高値で売却すると、時価から取得金額を差し引いた分の利益と、売却金額から時価を差し引いた分の利益に対して、それぞれ税金がかかるので注意が必要です。

まず、前者の利益に対しては譲渡所得税がかかり、対象事業に対して20.315%(所得税が15.315%、住民税が5%)分が課税されます。

後者の売却金額から時価を差し引いた分の利益については、譲渡相手が個人の場合、贈与税が発生するのです。

譲渡する相手が法人で雇用関係がある場合は給与所得として、雇用関係のない場合は一時所得として計算され、税額が算出されます。

③法人税(法人の場合)

売り手側が法人であれば、対象事業を時価や時価よりも高値で売却しても、取得金額との差額分が利益として計上され、その利益額に対して法人税が発生するのです。

法人税は、法人が時価よりも安値で対象事業を売却した場合、損失分を損金として算入して減税が可能なことを押さえておきましょう。

売却相手が法人もしくは雇用関係のない個人の場合は寄付金として、雇用関係がある個人であれば賞与扱いとして損金に算入できます。

以上、事業売却で発生する税金について紹介しました。

ここまで読んで、自社だけで事業売却手続きを完了させるのは、手間や時間がかかり大変であると感じた人も多いはずです。

そのため事業売却は、信頼できるM&Aの専門家に相談するのが重要といえます。

最後に、事業売却を検討する際におすすめの相談先について確認しておきましょう。

10. 事業売却の相談はM&A総合研究所に相談!

事業売却の相談はM&A総合研究所に相談!

事業売却を成功させるためには、M&A仲介会社など専門家のサポートが不可欠になります。

自分だけで事業売却を行おうとするのはトラブルになりかねないのでやめておくべきです。専門家に相談すると、スピーディなクロージングも狙えます。

しかし、「M&A仲介会社に心当たりがない」方も多いのではないでしょうか。

例えば、M&A総合研究所であれば、企業買収・事業売却に精通したM&Aアドバイザーが専任につき、交渉からクロージングまで一括サポートするのが可能です。独自に有するネットワークにより最短1週間での買い手候補探しや、最短3カ月でのM&A成立を実現しています。

また、着手金や中間報酬は不要の完全成功報酬型を採用しており、手数料は業界最安値水準で対応しております。無料相談も行っていますので、事業の売却についてお考えの方はぜひ一度お声がけください。

M&A・事業承継の仲介会社ならM&A総合研究所
電話で無料相談
03-6455-5875
WEBで無料相談
M&Aのプロに相談する

11. まとめ

事業売却とは、自社の展開する事業を第三者の企業に売却するのをいいます。事業売却では、売却しない資産を選択して自社に残せるので、選択と集中により組織再編がしやすいです。

ただし、自社だけで事業売却手続きを完了させるのは、手間や時間がとてもかかり大変です。信頼できるM&A仲介業者に相談したうえで、事業売却を成功させましょう。

M&A・買収を望む方は、相談は無料で受け付けているので、ぜひ一度M&A総合研究所へご相談ください。

関連する記事

人気の記事

人気の記事ランキング

新着一覧

最近公開された記事