2020年06月09日公開
2020年06月25日更新
事業売却・事業譲渡の方法!株式譲渡の違いやM&A仲介会社の選び方を解説!
事業売却・事業譲渡は、会社の事業を譲渡するための方法です。事業売却・事業譲渡で得られるメリットは大きく、経営戦略の一環として多く活用されています。本記事では、事業売却・事業譲渡の方法や株式譲渡との違い、M&A仲介会社の選び方について解説します。
目次
1. 事業売却・事業譲渡
事業売却・事業譲渡は、数あるM&A手法の一つです。M&Aの手法には豊富な選択肢が用意されていて、目的に合わせたものを選択することで、得られる効果を最大化することができます。
事業売却・事業譲渡はM&A手法のなかでも特に特徴的であり、実行する方法や得られる効果も異なります。
事業売却・事業譲渡とは
事業売却・事業譲渡とは、事業の全部あるいは一部を譲渡する方法です。譲渡範囲を自由に選択できることから、事業再生の方法として幅広く活用されています。
事業売却・事業譲渡は事業の価値に応じた売却益を獲得します。法人形態は会社に、個人事業主は個人に支払われるので、事業資金として効果的な運用が可能です。
また、事業売却と事業譲渡の違いはなく、得られる効果も一緒なので同一のものと考えて差し支えありません。
2. 事業売却・事業譲渡の方法・各種手続き
事業売却・事業譲渡を実行する際は、決められた方法・手続きを踏む必要があります。この章では、相談から成約後の後処理までの方法・手続きを解説します。
【事業売却・事業譲渡の方法・各種手続き】
- 事業売却・事業譲渡について専門家に相談
- 事業売却・事業譲渡先候補に打診
- 意向表明書を受け取り交渉開始
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスの実施
- 取締役会決議
- 事業売却・事業譲渡契約書を締結
- クロージング
- 臨時報告書の提出(※有価証券報告書の提出義務がある場合)
- 公正取引委員会への届け出
- 株主への通知・公告
- 株主総会の特別決議(※全事業・重要な事業の一部を売却する場合)
- 名義変更や認可などの各種手続き
①事業売却・事業譲渡について専門家に相談
沢山あるM&A手法のなかでも、事業売却・事業譲渡の方法・手続きは複雑化されています。踏むべき手続きは多岐に渡るので、不備なく実行するためには専門家の知見が必要不可欠です。
まずは信頼できそうな専門家を探して、事業売却・事業譲渡の方法・手続きに関する助言を仰ぐことをおすすめします。事業売却・事業譲渡などのM&Aは基本的に長丁場になるので、今後の進行を円滑にするためにも、とても有効です。
②事業売却・事業譲渡先候補に打診
専門家に相談してアドバイザリー契約を締結すると、事業売却・事業譲渡先の選定・打診に移ります。
この際の選定方法は、専門家が保有するネットワークを活用したものなので、広範囲からの候補選定が可能です。
打診先からの反応がみられたら、より詳しい情報を記載した概要書を提供して、本格的に検討してもらいます。そのうえで前向きな意向がみられたら、双方の経営陣が顔合わせをするトップ面談を実行します。
③意向表明書を受け取り交渉開始
トップ面談後は、買い手側より譲受の意向を示す意向表明書が提出されます。契約書としての効力は持っていませんが、譲受に関する前向きな意向を書面として提出することで、今後の交渉を円滑にする働きを持ちます。
ここまでは複数の買い手との交渉を並行して行ってきましたが、以降は相手を絞って本格的な交渉に移ります。専門家を介してこまめに連絡を取り合いながら、双方の条件のすり合わせを進めていきます。
④基本合意書の締結
基本合意書は、現段階の交渉内容に双方の合意が得られていることを示す契約書です。基本合意書を締結する目的は、ここまでの交渉内容の整理と今後の進行方法の確認です。
事業売却・事業譲渡の取引条件について記載されますが、今後実施するデューデリジェンス(譲渡対象の価値・リスクの調査)次第で内容が変更される可能性があります。
⑤デューデリジェンスの実施
デューデリジェンスはM&A対象の価値・リスクを調査する方法のことです。事業売却・事業譲渡の譲渡対象の潜在的リスクについて、買い手側から派遣される専門家によって調査されます。
事業の適正な価値を調査することで事業の将来性を計る役割もあります。事業売却・事業譲渡の方法・手続きのなかで最も時間がかかる工程ですが、買い手にとって重要なので売り手側も積極的な協力が求められます。
⑥取締役会決議
事業売却・事業譲渡は、取締役会を設置している会社は取締役会決議における承認が必要であると、会社法362条4項1号において定められています。
なお、取締役会非設置会社の場合、株主総会の特別決議における承認が必要になります。
⑦事業売却・事業譲渡契約書を締結
取締役会決議の承認が得られたら、事業売却・事業譲渡契約書を締結します。基本合意書の内容にデューデリジェンスの結果を反映させたものなので、全ての条項において法的な効力を発します。
契約書の内容に反する行為や、一方的に契約を破棄する行為は損害賠償が発生する可能性があるので、細心の注意が必要です。記載される条項について専門家の立ち会いのもと、慎重に確認しておきましょう。
⑧クロージング
クロージングは、売り手の引き渡しと買い手の取得対価の支払いを行う場です。事業売却・事業譲渡は引き継ぎ準備に時間がかかること多いので、事業売却・事業譲渡契約書を締結日より一定の期間を設けて実施する方法が多くなっています。
⑨臨時報告書の提出(※有価証券報告書の提出義務がある場合)
有価証券報告書の提出義務がある場合は、内閣総理大臣に対して臨時報告書を提出しなくてはなりません。事業売却・事業譲渡の契約における提出義務の基準は以下の通りです。
【有価証券報告書の提出義務の要件】
- 事業売却・事業譲渡によって前年度末の純資産額が30%以上変動する場合
- 事業売却・事業譲渡によって前年度実績より売上高が10%以上変動する場合
⑩公正取引委員会への届け出
一定以上の規模を有する会社は、事業売却・事業譲渡における譲り受けの際に計画届出書を公正取引委員会へ提出する義務があります。買い手側の計画届出書の要件は以下の通りです。
【計画届出書の提出義務の要件】
- 国内売上高30億円超えの会社の事業の全部を譲り受ける場合
- 他の会社の中核事業を譲り受ける、かつ対象事業の国内売上高が30億円を超える場合
- 他の会社の事業場の固定資産又は重要部分を譲り受ける、かつ対象事業の国内売上高が30億円を超える場合
⑪株主への通知・公告
会社が事業の切り離しを行うと会社の株式価値が変動する可能性があるので、株主に対して事業売却・事業譲渡の事前通知・公告を行って、株式買取請求の機会を確保します。
通知・公告を行うタイミングは、事業売却・事業譲渡の手続きを始めたあたりです。期限は事業売却・事業譲渡の効力が発生する20日前です。
⑫株主総会の特別決議(※全事業・重要な事業の一部を売却する場合)
事業売却・事業譲渡の契約内容が一定の条件を満たす場合は、株主総会の特別決議における承認が必要になります。売り手と買い手で条件が若干異なります。
【売り手側の条件】
- 全ての事業または中核事業を譲渡する場合
【買い手側の条件】
- 対象会社の全ての事業を譲り受ける場合
⑬名義変更や認可などの各種手続き
事業売却・事業譲渡で移転する財産の名義変更です。不動産の取得時に不動産取得税、不動産の名義変更に登録免許税を納めて名義変更手続きを行います。
また、許認可が必要な事業を引き継ぐ際は、許認可の引き継ぎまたは再取得が必要になります。
事業売却・事業譲渡においては基本的に再取得するケースが多いので、事前に必要な手続きや方法を確認しておくとスムーズに進めることができます。
3. 事業売却・事業譲渡を行う際の注意点
事業売却・事業譲渡は、ほかの手法とは異なる方法・手続きが必要になるので、いくつかの注意すべきポイントがあります。この章では、特に重要なポイントを解説します。
【事業売却・事業譲渡を行う際の注意点】
- 資産・従業員・契約類など個別に手続きが必要
- 事業売却・事業譲渡には税金がかかる
- 一部の事業売却・事業譲渡の際は株主総会の特別決議が必要
①資産・従業員・契約類など個別に手続きが必要
事業売却・事業譲渡は包括承継ではないため、資産・従業員・契約類などに関して個別に手続きを取る必要があります。
資産に関しては事務的な方法・手続きで済みますが、従業員や取引先の契約に関しては必ずしも同意が得られるとは限らないので特に注意が必要です。
事業売却・事業譲渡の実施が正式に決定した段階で処遇に関する説明を行い、個別に同意を得る方法を取る必要があります。
②事業売却・事業譲渡には税金がかかる
事業売却・事業譲渡は売り手と買い手の双方に税金が課せられます。売却・譲渡後の資金運用や事業展開に支障が出る恐れもあるので、税金についても把握しておかなくてはなりません。
【事業売却・事業譲渡の税金】
- 法人税
- 消費税
- 不動産取得税
- 登録免許税
③一部の事業売却・事業譲渡の際は株主総会の特別決議が必要
事業売却・事業譲渡で全ての事業もしくは中核事業の譲渡する場合、株主総会の特別決議が必要です。
事業売却・事業譲渡では会社の経営権は手放しませんが、実質的に会社としての機能を失う可能性があるので、株主の合意が求められます。
なお、買い手側における株主総会の特別決議は、全ての事業を譲り受ける場合のみであり、中核事業の是非は関係ありません。
4. 事業売却・事業譲渡と株式譲渡・株式売却の違い
事業売却・事業譲渡とほかの手法を比較すると、方法・手続きに大きな違いがみられます。この章では、株式譲渡・株式売却との違いを、売却・譲渡側と買収・譲受側それぞれの視点から解説します。
売却・譲渡側から見た違い
まずは売却・譲渡側から見た方法・手続きの違いについて解説します。特別な方法・手続きが求められる場面が多いので確認しておきましょう。
【売却・譲渡側から見た方法・手続きの違い】
- 株主総会の特別決議に関する違い
- 移転資産・従業員・契約類に関する違い
- 税金に関する違い
①株主総会の特別決議に関する違い
株主総会の特別決議は、どちらの手法においても開催が必要になる場合があります。明確に違う点は開催が必要になる条件です。
事業売却・事業譲渡は、全ての事業もしくは中核事業を譲渡する方法の場合ですが、株式譲渡・株式売却は譲渡制限株式を譲渡・売却する場合です。
本来、株式の売買は自由化されていますが、第三者による悪意ある買収を防止する目的で会社の承認なくして売買ができないよう、譲渡制限株式とする場合があります。この場合、会社の承認を得るために株主総会の特別決議を開催します。
②移転資産・従業員・契約類に関する違い
事業売却・事業譲渡は移転資産・従業員・契約類に関して個別な手続きが必要です。譲渡範囲を自由に選択できるメリットがある反面、方法・手続きが煩雑になるデメリットも存在しています。
株式譲渡・株式売却は会社が保有する資産・従業員・契約類は全て自動的に承継されます。社に与える変化は経営者の入れ替わりのみなので特別な方法・手続きは不要です。
③税金に関する違い
売却・譲渡側はどちらの方法を用いた場合でも税金が課せられます。大きく異なる点は税金の種類と税率です。
【事業売却・事業譲渡の売却・譲渡側の税金】
- 法人税(30~40%)
【株式譲渡・株式売却の売却・譲渡側の税金】
- 所得税(15%)
- 住民税(5%)
- 復興特別所得税(0.315%)
買収・譲受側から見た違い
続いて買収・譲受側から見た方法・手続きの違いです。特に重視される方法・手続きに焦点をあてて解説します。
【買収・譲受側から見た方法・手続きの違い】
- 各種手続きに関する違い
- 負債・債権の引継ぎに関する違い
- 税金に関する違い
①各種手続きに関する違い
事業売却・事業譲渡と株式譲渡・株式売却で特に注意するべき点は、簿外債務の引き継ぎです。
簿外債務とは賃借対照表に記載されない債務のことであり、デューデリジェンスを通して徹底的に調査するべき潜在的リスクの一つです。
事業売却・事業譲渡の権利義務は個別な引き継ぎなので簿外債務の引き継ぎリスクは低いですが、株式譲渡・株式売却は会社の資産の全てを承継する方法なので、簿外債務の引き継ぎリスクが極端に上がります。
②負債・債権の引継ぎに関する違い
負債・債権の権利義務の引き継ぎに関して大きな違いがあります。株式譲渡は包括承継のため債権者の同意や債務者への通知は必要がありません。
事業譲渡の引き継ぎにおいて、負債に関しては債権者に通知を行った上で同意を得る方法を取る必要があります。債権に関しては債務者の同意を得る必要はありませんが、事前通知は必須です。
③税金に関する違い
買収・譲受側は事業売却・事業譲渡の方法を用いた場合のみ税金が課せられます。株式譲渡・株式売却においては税金が課せられません。
【事業売却・事業譲渡の買収・譲受側の税金】
- 消費税(10%)
- 不動産取得税(4%)
- 登録免許税(2%)
【株式譲渡・株式売却の買収・譲受側の税金】
- なし
5. 事業売却・事業譲渡と会社分割の違い
会社分割とは、会社の事業の全部あるいは一部を権利義務と共に譲渡する方法です。事業売却・事業譲渡と似た効果が得られる方法であることから、比較されることが多くなっています。
しかし、それぞれの方法には明確な違いがあります。この章では、それぞれの方法の法務面・財務面の違いを解説します。
法務面から見た違い
会社分割では、会社と従業員の間で取り交わされる労働契約に関して自動的に承継されます。ただし、労働者に与える影響が大きくなることが想定されるため、労働者を保護する目的の「労働契約承継法」が定められています。
労働者への通知・協議を通して理解を得なければならないという内容になっており、転籍に関して異議が申し立てられた場合は対応をしなくてはなりません。
事業売却・事業譲渡は労働契約の引き継ぎを行う「譲渡型」と、譲渡側で一旦解雇して譲受側の雇用条件で雇う「再雇用型」があり、どちらを選択するかは交渉段階で決めておきます。
財務面から見た違い
それぞれの方法の財務面における大きな違いは取得対価です。事業売却・事業譲渡は原則現金ですが、会社分割は原則株式で支払われます。
既存の会社に分割する吸収分割の場合、現金払いを指定することもできますが、新設会社に分割する新設分割では新設会社の株主を確保するため、株式による払込が確定しています。
株式は売却することで現金にすることができますが、非上場会社の株式は株式市場で取引できないため換金性が悪いので、即座に資金が欲しい場合は注意しなくてはなりません。
6. 事業売却・事業譲渡の事例
この章では、事業売却・事業譲渡の方法を用いた事例を10選紹介します。
【事業売却・事業譲渡の事例】
- ココカラファインによるユーエス・ケミカルの事業譲受事例
- マーケットエンタープライズによるアグリステージの事業譲受事例
- インテージHDによる協和企画の事業譲受事例
- ヤマノHDによる東京山喜の事業譲受事例
- アジアゲートHDによるNSアセットマネジメントの事業譲受事例
- エムスリーによるヒューマの事業譲受事例
- レインズインターナショナルによるアスラポートの事業譲受事例
- ツルハHDによる江頭エーザイの事業譲受事例
- INCLUSIVEによるサッポロビールの事業譲受事例
- DDホールディングスによるエルフラットの事業譲受事例
1.ココカラファインによるユーエス・ケミカルの事業譲受事例
2020年6月、ココカラファインの連結子会社ココカラファインヘルスケアはユーエス・ケミカルの調剤薬局事業の一部を事業売却・事業譲渡により取得することを公表しました。売却価額は非公表です。
ユーエス・ケミカルは千葉県を拠点に調剤薬局を運営しています。循環器系の処方箋を主に、内科・外科・耳鼻咽喉科など、幅広い分野を取り扱っています。
ココカラファインは地域の健康増進する「健康サポート薬局」に注力しています。今回の事業譲受で獲得した千葉県の店舗で地域のヘルスケアネットワークの強化を図り、さらなる事業規模の拡大を推し進めます。
2.マーケットエンタープライズによるアグリステージの事業譲受事例
2020年5月、マーケットエンタープライズは、アグリステージのJUM全国中古農機市場に関する事業を事業売却・事業譲渡により取得することを公表しました。なお、売却価額は非公表です。
アグリステージは、農機具の販売・修理・レンタル事業を手掛けています。JUMは累計業者会員数600社を超える国内最大級規模であり、農機具マーケットに多大な貢献をもたらしています
マーケットエンタープライズは、アグリステージの中古農機具の販売チャネルと自社の経営資源を統合することで、さらなる付加価値を目指す見通しです。
3.インテージHDによる協和企画の事業譲受事例
2020年4月、インテージホールディングスは協和企画の処方箋データ事業を事業売却・事業譲渡により取得することを公表しました。売却価額は非公表です。
協和企画は国内有数のヘルスケア・コミュニケーション・エージェンシーです。医薬品の広告事業や医療機関とのタイアップ事業を手掛けており、ヘルスケア分野で目覚ましい成長をみせています。
インテージホールディングスは、グループが保有するファクトデータ事業と協和企画の処方箋データ事業を集約することで、業務効率化を図るとしています。
4.ヤマノHDによる東京山喜の事業譲受事例
2020年4月、ヤマノホールディングスは東京山喜の事業を事業売却・事業譲渡により取得することを公表しました。売却価額は非公表です。
東京山喜は、たんすや着物などの和装品リサイクルショップです。和装品リユースの先駆けとして事業拡大していましたが、コロナウィルス感染拡大の影響で経営が悪化し、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請しています。
ヤマノホールディングスは、自社の経営・店舗管理のノウハウを投下することで、獲得した事業の立て直しを図る見通しです。
5.アジアゲートHDによるNSアセットマネジメントの事業譲受事例
2020年4月、アジアゲートホールディングスはNSアセットマネジメントの不動産コンサルティング事業・不動産売買仲介事業・保険代理店事業を事業売却・事業譲渡により取得することを公表しました。売却価額は非公表です。
NSアセットマネジメントは、不動産コンサルティング事業を中核とする不動産会社です。空き家の有効活用に着目することで不動産市場で大きな存在感を示しています。
アジアゲートホールディングスが掲げる「社会に貢献する企業体の創造」の達成を目指すため、空き家対策に定評がある不動産コンサルティング事業を獲得しました。
6.エムスリーによるヒューマの事業譲受事例
2020年3月、エムスリーはヒューマの被験者リクルートメント事業を事業売却・事業譲渡により取得することを公表しました。売却価額は非公表です。
ヒューマは、被験者支援事業やSMO事業を手掛ける被験者リクルートメント業界のパイオニアです。約60万人の会員を有しており、治験・臨床研究で得られたデータを会員に提供しています。
エムスリーは、グループが展開する各種医療サービスとの連携を強化することで、臨床試験事業のサービスの質向上を図ります。
7.レインズインターナショナルによるアスラポートの事業譲受事例
2020年3月、レインズインターナショナルはアスラポートの焼肉業態牛角事業を事業売却・事業譲渡により取得することを公表しました。売却価額は非公表です。
アスラポートは、焼肉店・居酒屋・ラーメン店の直営・FC事業を手掛けています。飲食店運営の大手JFLAホールディングスの傘下企業としてグループに貢献しています。
レインズインターナショナルは「牛角」や「しゃぶしゃぶ温野菜」を主力とするフランチャイズです。今回獲得した店舗はFC・直営店舗として経営するとしています。
8.ツルハHDによる江頭エーザイの事業譲受事例
2020年3月、ツルハホールディングスは江頭エーザイのドラッグストア1店舗を事業売却・事業譲渡により取得することを公表しました。売却価額は非公表です。
江頭エーザイは福岡・佐賀を拠点にドラッグストアを運営しています。医薬品の他、化粧品・雑貨・食品を扱うスーパーマーケットも運営しています。
今回獲得した福岡のドラッグストア店舗は地域医療の促進に繋げるとしており、顧客へ提供するサービスの質向上を目指す見通しです。
9.INCLUSIVEによるサッポロビールの事業譲受事例
2020年3月、INCLUSIVEはサッポロビールのウェブメディア事業を事業売却・事業譲渡により取得することを公表しました。売却価額は非公表です。
サッポロビールのウェブメディア事業は、北海道にフォーカスした「北海道 Likers」です。地元の活性化を目的として2012年に開始された事業です。
INCLUSIVEは獲得したウェブメディア事業と自社のデジタル領域における経営ノウハウを活用して、北海道の地域経済に貢献するとしています。
10.DDホールディングスによるエルフラットの事業譲受事例
2020年3月、DDホールディングスの連結子会社ゼットンは、エルフラットのウェディング事業を事業売却・事業譲渡により取得することを公表しました。売却価額は非公表です。
エルフラットは、愛知・岐阜・三重を拠点に結婚式場12施設を運営しており、今回の事業売却・事業譲渡で譲渡された施設は三重県の「YOKKAICHI HARBOR尾上別荘」です。
DDホールディングスは、収益性の高い施設を獲得することで自社のウェディング事業の強化を図るとしています。
7. 事業売却・事業譲渡の際のM&A仲介会社の選び方
事業売却・事業譲渡は方法・手続きが複雑なので、M&Aの専門家であるM&A仲介会社のサポートが必要不可欠です。
専門性の高いM&A仲介会社なら、方法・手続き以外に、事業売却・事業譲渡の正当性に関しても確かな見解を得ることができます。
この章では、事業売却・事業譲渡の方法を利用する際にM&A仲介会社を選ぶポイントを解説します。
【事業売却・事業譲渡の際のM&A仲介会社の選び方】
- 売却・譲渡する事業の専門的知識・M&A実績を持っている
- 売却・譲渡する事業の同規模の案件実績がある
- 事業売却・事業譲渡に関する幅広い知識・経験を持っている
- 手数料・相談料・報酬体系が分かりやすい
- 担当スタッフの対応・相性がいい
①売却・譲渡する事業の専門的知識・M&A実績を持っている
事業売却・事業譲渡を成功させるためには、対象事業に関する専門的な知識が欠かせません。業界事情に精通している専門家であれば、条件のよい買い手を探すやすくなります。
判断する方法は、公式サイトに公開されている実績を確認することです。多くのM&A仲介会社は自社のサイト上でいくつかの実績を公開しています。該当事業の実績があれば、専門的な知識を保有していると判断してよいでしょう。
②売却・譲渡する事業の同規模の案件実績がある
事業売却・事業譲渡の方法を利用するなら、M&A仲介会社が得意とする規模にも注目です。M&A仲介会社は大規模を専門に請け負うところもあれば、小規模を得意とするところも存在します。
同規模実績の有無を確認する方法は、公式サイトで公開されている実績をみておくことです。当事会社の売上高や取引価格も公開されていることがあるので、具体的な規模を確認することもできます。
③事業売却・事業譲渡に関する幅広い知識・経験を持っている
事業売却・事業譲渡はほかの手法と比較すると、方法・手続きが煩雑になっています。M&A仲介会社が幅広い知識・経験を持っていないと満足したサポートは期待できません。
判断方法は問合せの際の対応で見極めるなどの方法が考えられます。得意とする業種や規模とは違って目に見えるものではないので判断する方法は難しいですが、重要な要素です。
④手数料・相談料・報酬体系が分かりやすい
事業売却・事業譲渡の仲介手数料は、M&A仲介会社によって採用する報酬体系が異なります。報酬体系の事前確認をしておかないと成約後の高額手数料を請求されてしまう可能性もあります。
また、成功報酬の計算方法は何をベースとするのかによっても合計金額に差が生じるので、その点も併せて確認しておくとよいでしょう。
自社サイトに料金体系を明記している仲介会社であれば、安心して相談することができます。もし明記されていない場合は、直接問い合わせをして確認しておくことが大切です。
⑤担当スタッフの対応・相性がいい
担当スタッフは、相談から成約までの全体的な流れや方法ををサポートする役割を果たすので、何度もやり取りを繰り返すことになります。
こちらの要望に対して適切な対応を取ってくれるスタッフであれば、安心して進行を任せることができます。もし対応・相性が悪いと感じたら、担当スタッフの交代を申し出ることも検討するとよいでしょう。
8. 事業売却・事業譲渡の際におすすめのM&A仲介会社
事業売却・事業譲渡は方法・手続きが特徴的なM&A手法です。成約までにさまざまな方法・手続きを必要とするので、不備なく進めるためには専門家の知識が欠かせません。
事業売却・事業譲渡をご検討の際は、M&A総合研究所にご相談ください。事業売却・事業譲渡に関する専門的な知識を保有するアドバイザー・会計士・弁護士がサポートにつき、適切な方法で成約を目指します。
料金体系は完全成功報酬制を採用しています。事業売却・事業譲渡が成約するまで一切の手数料が発生しないので安心してご相談いただけます。
無料相談は24時間お受けしています。事業売却・事業譲渡の実施をご検討の際は、どうぞお気軽にご連絡ください。
9. まとめ
事業売却・事業譲渡の方法・手続きについて解説しました。数あるM&A手法のなかも特別な方法を取る場面が多くなっており、煩雑な印象を受けることも多いです。
当事者間で進めることも不可能ではありませんが、方法・手続きに関して専門家のアドバイスを受けて進めるのが一般的です。
事業売却・事業譲渡を実施する際は、必要に応じて専門家に相談することでよい結果を得られやすくなります。
【事業売却・事業譲渡の方法・各種手続き】
- 事業売却・事業譲渡について専門家に相談
- 事業売却・事業譲渡先候補に打診
- 意向表明書を受け取り交渉開始
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスの実施
- 取締役会決議
- 事業売却・事業譲渡契約書を締結
- クロージング
- 臨時報告書の提出(※有価証券報告書の提出義務がある場合)
- 公正取引委員会への届け出
- 株主への通知・公告
- 株主総会の特別決議(※全事業・重要な事業の一部を売却する場合)
- 名義変更や認可などの各種手続き
【事業売却・事業譲渡を行う際の注意点】
- 資産・従業員・契約類など個別に手続きが必要
- 事業売却・事業譲渡には税金がかかる
- 一部の事業売却・事業譲渡の際は株主総会の特別決議が必要
【事業売却・事業譲渡の際のM&A仲介会社の選び方】
- 売却・譲渡する事業の専門的知識・M&A実績を持っている
- 売却・譲渡する事業の同規模の案件実績がある
- 事業売却・事業譲渡に関する幅広い知識・経験を持っている
- 手数料・相談料・報酬体系が分かりやすい
- 担当スタッフの対応・相性がいい