事業売却とはどんな意味?メリットや成功のポイント、従業員への対応などを紹介

事業売却とは、自社の事業を第三者の企業に売却することを指します。事業売却では、売却しない資産を選択して自社に残すことができるので、選択と集中により組織再編がしやすいです。ただし信頼できるM&A仲介業者に相談した上で、事業売却を成功させましょう。


目次

  1. 事業売却とは?概要を解説
  2. 事業売却における売り手側のメリットとは?
  3. 事業売却における買い手側のメリットとは?
  4. 事業売却のデメリットとは?
  5. 事業売却の成功事例を5選紹介!
  6. 事業売却を成功させるために必要なポイントとは
  7. 事業売却を行った際の従業員の処遇はどうなる?
  8. 事業売却に際して発生する会計処理の方法について
  9. 事業売却で発生する税金の種類には何がある?対策も紹介
  10. 事業売却の相談はM&A総合研究所に相談!
  11. まとめ

1. 事業売却とは?概要を解説

事業売却とは?概要を解説

事業売却とは、自社の事業を第三者の企業に売却することを指します。

事業売却の活用次第では、希望する資産を選択して自社に残すことができるので、選択と集中による組織再編がしやすいです。

ここからは、事業売却についてもう少し深く理解するために、以下の2項目に分けて解説します
 

  1. 事業譲渡と株式譲渡の違いについて
  2. 事業売却の相場・価格を算出する方法

これら2つの項目について押さえて、事業売却とはどんな手法なのか把握して自社のM&Aに活かしてください。それでは、それぞれの項目に関して順番に見ていきましょう。

①事業譲渡と株式譲渡の違いについて

事業売却と株式譲渡との大きな違いは、売却する資産を選択できるかどうかにあります。

事業売却では、交渉次第で希望する資産を選択して自社に残すことが可能です。一方で、株式譲渡では、全資産が売却対象となるので、希望する資産を残すことができません。

上記を比較すれば、事業売却にメリットを感じる人が多いと思いますが、株式譲渡と比較すると見えてくるデメリットもあるのです。

つまり、事業売却では、取引後のリスクを売り手側が負わなければいけない問題点もあります。言い換えれば、株式譲渡では、買い手企業が取引後のリスクを肩代わりしてくれるのです。

したがって、事業売却では、取引後に発生するリスクについても責任を負わなければならないことを把握しておきましょう。

上記のように、事業売却にはメリットとデメリットが潜んでいることを理解した上で、最適な手法でM&Aを実施することが大切です。

②事業売却の相場・価格を算出する方法

譲渡する資産の時価に営業権の価値を足して、事業売却の相場や価格を算出することが可能です。

営業権とは、無形資産の部類に分けられる事実関係を指します。営業権の算定方式は、事業が生み出す利益の2年~3年分で計算するのが一般的です。

ちなみに譲渡資産時価は、デューデリジェンス(買い手側が実施する調査)後に正確な金額が算出されることになります。

ところが、事業売却の正確な相場は固定されておらず、業界や時期・ニーズの変化によって変動するので注意してください。

売却事業の相場が知りたい場合には、M&A仲介会社であるM&A総合研究所にお声がけ下さい。様々な事業売却の経験を積んだアドバイザーが、わかりやすく質問にお答え致します。

以上、事業売却の概要について簡単に解説しました。
 

また、M&Aとはそもそもどういったものかについて、以下の記事では詳しく説明しています。メリットや流れ、注意点についても紹介していますので、ぜひ確認してみてください。

前述の通り、事業売却を活用することで、売り手側企業は様々なメリットを得ることができます。

ここからは、事業売却の売り手側のメリットについて見ていきましょう。

【関連】M&Aとは?メリットや流れ・費用を解説!仲介会社ランキングや成功事例も紹介!

2. 事業売却における売り手側のメリットとは?

事業売却における売り手側のメリットとは?

事業売却の売り手側のメリットは、以下の3つです。
 

  1. 資金調達による組織再編が狙える
  2. 事業を存続させられる
  3. 承継内容を選択して売却できる

これら3つのメリットを押さえて、事業売却を検討してみましょう。

①資金調達による組織再編が狙える

1つ目のメリットは、資金調達による組織再編が狙える点です。

事業を売却することで、利益をあげることができます。そこで、事業売却で得た利益は、会社の資金として活用することが可能です。

これにより、採算が取れる分野に対して適切なリソースを割けるようになるので、効率的な運営を図ることもできます。

しかし、もしも廃業の手法を選んでしまうと、コストがかかるため、組織再編の足がかりになる資金が調達できません。

したがって、資金調達により効率的な資金再編を目指す場合には、事業売却を検討すると良いでしょう。

②事業を存続させられる

2つ目のメリットは、事業を存続させられる点です。

事業を存続させずに廃業してしまうと、コストがかかるだけでなく、ノウハウの消滅や雇用喪失など社会的な問題ともなりかねません。

それだけでなく、取引先にも多大な影響を与えてしまうため、廃業はできるだけ避けたい手段と言えます。

したがって、従業員の雇用や取引先を維持したい場合や、事業のノウハウを維持させたい場合には、事業売却を検討すると良いでしょう。

③承継内容を選択して売却できる

3つ目のメリットは、承継内容を選択して売却できる点です。

事業売却であれば、売却する資産を買い手側企業との話し合いで選択することができます。そのため、交渉次第では、希望の資産を自社に残すこともできるのです。

これにより、残した資産を足がかりとして、効率的な経営や組織再編を狙えるようになります。ちなみに、株式譲渡では、すべての資産を譲渡してしまうことが基本的です。

したがって、自社に残しておきたい資産がある場合には、事業売却を検討すると良いでしょう。

以上、事業売却の売り手側のメリットを紹介しました。

しかし、事業売却には、売り手だけでなく買い手側にもメリットがあります。

ここからは、事業売却の買い手側のメリットをまとめたので確認しておきましょう。

3. 事業売却における買い手側のメリットとは?

事業売却における買い手側のメリットとは?

事業売却の買い手側のメリットは、以下の3つです。
 

  1. 人材不足が解消できる
  2. 事業規模拡大が狙える
  3. 新規顧客やノウハウを獲得できる

これら3つのメリットを押さえて、売り手と買い手の双方にメリットとなる事業売却を目指しましょう。それでは、各メリットを確認していきます。

①人材不足が解消できる

人材不足が解消できる点が1つ目のメリットです。

たとえば、有資格者など優秀な人材の不足が問題となっているとき、最悪の場合だと廃業に追い込まれるケースが少なくありません。そのようなときに使えるのが、事業売却による買収です。

買い手側企業においては、有資格者を含め優秀な人材が多く在籍する事業を買収することで、自社の企業に必要な人材を確保することが可能となります。

②事業規模拡大が狙える

事業規模の拡大が狙える点もメリットの1つです。

主に実店舗を経営している会社が当てはまりますが、自社とは異なるエリアで店舗を展開している事業を買収することによって、事業エリアの規模を人材や技術、取引先や顧客とセットで大きく拡大することができます。

また、これから新規店舗を立ち上げるには多大な時間とコストがかかってしまうため、経営リスクも大きいことと比較すると、そのリスクを抑えながら事業拡大が狙えるのです。

さらには事業規模の拡大によって企業の知名度を大きく向上するのに加えて、企業のブランド力向上にも繋がります。

③新規顧客やノウハウを獲得できる

3つ目のメリットは、新規顧客やノウハウを獲得できる点です。

事業の買い手は、売却事業における取引先や顧客を一挙に獲得することができます。一から営業を開始する場合、ある程度の取引先や顧客を獲得してから事業が安定するまでに時間がかかってしまうことは少なくありません。

これにより、起動に乗るまでの間は赤字が続いたりすることもありますが、事業買収にはそれを防ぐメリットがあるのです。それだけでなく売り手の人材及びノウハウ、技術の確保に伴って、新規事業や事業の拡大を早めることが可能です。

以上、事業売却の買い手側のメリットを紹介しました。

ここまで読めば、事業売却には売り手と買い手の双方に様々なメリットがあることが理解できたはずです。

続いて、事業売却のデメリットについても確認しておきましょう。

4. 事業売却のデメリットとは?

事業売却のデメリットとは?

事業売却のデメリット・問題点として、以下の4つにまとめました。
 

  1. 手間や時間がかかる
  2. 人材流出のおそれがある
  3. マイナスの資産を売却できない場合がある
  4. 売却に伴い税金が発生する

これら4つのデメリット・問題点の対処法を押さえて、事業売却のリスクを回避しましょう。それでは、それぞれのデメリット・問題点を順番に見ていきます。

①手間や時間がかかる

1つ目のデメリットは、経営統合や会社統合の完了に時間がかかってしまう場合があることです。

通常、M&Aによる事業売却は、クロージングが行われるまでに3~6か月程度かかります。

しかし、条件交渉が難航してデューデリジェンスで問題が発生すると、クロージングが行われるまでに半年以上かかることもあるのです。

このように、事業を売却するときには、時間がかかる場合があることも想定しておきましょう。

出来るだけ早くクロージングをしたいなら、スピード感を大切にしているM&A仲介会社に相談するべきです。たとえば、M&A総合研究所では、事業売却に豊富な知識・経験を持つ会計士が専任に就き、交渉からクロージングを一括サポートしてもらえます。

スムーズな対応により、経営統合・会社統合までに平均で3か月でM&Aを行えることが強みです。事業売却や事業承継について検討している方は、M&A総合研究所に無料相談をしてみるのが良いでしょう。

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②人材流出のおそれがある

2つ目のデメリット・問題点は、人材流出のおそれがあることです。

従業員の立場からみると、突然の事業売却に悪いイメージを持ってしまったとしても不思議ではありません。

そのため、将来のことを考えた従業員は離職してしまうおそれがあります。それだけでなく、同様の理由で取引先まで契約解除を申し入れてくる可能性も考えられるのです。

人材流出や取引先離れの問題を回避するためにも、適切なタイミングで従業員や取引先に対して、事業売却についての説明を行ってください。

③マイナスの資産を売却できない場合がある

3つ目のデメリット・問題点は、マイナスの資産を売却できない場合があることです。

事業売却では、売却する資産は双方の合意のもと契約で決められることとなります。そのため、売却対象を柔軟に決められるのでメリットとなる反面、買い手側にマイナスの資産を売却できないデメリットともなるのです。

つまり、資産を売却できるかどうかは、買い手側の判断次第となります。また、もしも買い手側と交渉できたとしても、負債の継承には買い手側債権者の了承が必要です。

上記の理由から、資産・承継手続きには、手間や時間がかかることがあり、負債を売却できずに自社に残されるリスクがあることも把握しておいてください。

④売却に伴い税金が発生する

4つ目のデメリットは、売却に伴い税金が発生する点です。

事業売却は、資金調達が狙える手法ではありますが、売却することで税金が支払う義務が生じることも押さえておきましょう。事業売却で問題となる税金は、消費税・所得税・贈与税・法人税となります。

各税金は、それぞれ課税の仕組みが異なるので、1つ1つを詳細に把握しておかなくてはなりません。

以上、事業売却のデメリット・問題点まとめを紹介しました。

ここまで読んで、実際に事業売却にはどんな事例があるの?と気になる人もいるでしょう。

ここからは、事業売却における成功事例をまとめたので確認しておきましょう。

5. 事業売却の成功事例を5選紹介!

事業売却の成功事例5選

事業売却・事業譲渡の成功事例として、以下の5つを紹介します。
 

  1. オフィスコムとプラスの事例
  2. AKSとKeyHolderの事例
  3. サイバーエージェントとAbemaTVの事例
  4. ヤマノホールディングスとRIZAPの事例
  5. ニチレイとサントリー食品の事例

これら5つの事例を押さえて、自社の事業売却のイメージをしましょう。

①オフィスコムとプラスの事例

はじめに、2015年、オフィスコムがプラスにECサイト事業を売却した事例を紹介します。

オフィスコムは家具の通販サイトを運営する会社であり、プラスはオフィス家具の大手です。

事業売却の目的は、資金調達と従業員の雇用を維持することにありました。これにより、成長率を2倍にまで高めることができ、従業員の雇用が安定化したと報告されています。

結果として、事業売却により、前社長は長年注力した事業を手放すことになりましたが、企業の成長に大きく貢献することとなりました。

上記のように、私情に流されず適切な経営判断のもと事業売却を行えば、企業発展の有効策となることが示されています。

②AKSとKeyHolderの事例

2番目に、2018年、AKSがKeyHolderにアイドルグループSKE48事業を売却した事例を紹介します。

AKSは芸能プロダクションの経営を行う会社であり、KeyHolderは総合エンターテインメント事業を担う会社です。

事業売却の目的は、運営・管理事業のさらなる発展を図ることでした。

これにより、SKEグループを軸としながら、KeyHolderのエンターテインメント力を活かしたイベントの開設・運営や、エンタメコンテンツの企画・開発・制作事業が進められています。

このように、事業売却は、ノウハウを融合させた企業発展を狙う有効策と言えるのです。

③サイバーエージェントとAbemaTVの事例

3番目に、2016年、サイバーエージェントがAbemaTVに映像配信事業を売却した事例を紹介します。

サイバーエージェントはメディアやインターネット広告を手掛ける会社であり、AbemaTVはインターネットテレビ局として展開する動画配信事業を担う会社です。

事業売却の目的は、AbemaTVに経営資源を注いで中核事業とすることでした。

これにより、多額の赤字を出しながらも他の黒字事業で埋め合わせながら運営し、将来の収益化を目指しています。

上記のように、事業売却は、事業を選択し集中するための有効策としても活用できるのです。

④ニチレイとサントリー食品の事例

4番目に、2009年、ニチレイがサントリー食品に子会社ニチレイフーズのアセロラ飲料事業を売却した事例を紹介します。

ニチレイは加工食品事業を扱う会社であり、サントリー食品は国内外で食品事業を展開する会社です。

この事業売却により、ニチレイは事業の存続を望んだ結果、販売網の広さを活かせサントリー食品に成長を託しました。

サントリー食品は、同様の理由でJTの飲料事業も買収しています。

このように、事業の存続を託す形で事業売却が採用されることも珍しくありません。
 

⑤楽天とオーネットの事例

最後に、2018年、楽天がオーネットにウェディング事業を売却した事例を紹介します。

楽天はEC・フィンテック・デジタルコンテンツ・通信など幅広いサービスを展開する会社であり、オーネットは結婚情報サービス事業です。

事業売却の目的は、シナジー効果を狙うことでした。

これにより、2018年12月、楽天はオーネットを投資ファンドに株式譲渡しています。上記のように、事業売却により企業価値を高めて売却するための手法としても活用できるのです。

以上、事業売却の成功事例を紹介しました。

ここまで読んで、事業売却を検討する人も多いはずです。

しかし、事業売却を成功させるためにはポイントを押さえておく必要があります。

ここからは、事業売却を成功させるためのポイントをまとめたので確認しておきましょう。

6. 事業売却を成功させるために必要なポイントとは

事業売却を成功させるために必要なポイントとは

事業売却を成功させるためのポイントは、以下の5つです。
 

  1. 売却事業で利益を出しておく
  2. 経営基盤を安定させておく
  3. 無形資産価値を高めておく
  4. 買い手にはシナジー効果の高い企業を選ぶ
  5. 子会社化して会社売却を狙う

これら5つのポイントを押さえて実施することで、事業売却の成否に大きく影響します。それでは、それぞれのポイントを順番に見ていきましょう。

①売却事業で利益を出しておく

売却する事業で、できる限りの利益を出しておきましょう。

売却する事業で利益を出せば、売却額の引き上げができます。買い手側企業から見ると、以前から利益が安定しており、今後も利益の計上が見込める事業を買収したいと思うのは、当たり前です。

買い手側企業に魅力を感じてもらうためにも、売上を確実に上げつつ、無駄な経費を削ることで利益を確保しましょう。

そして、将来的な利益を買い手側にきちんとアピールできれば、事業売却の成功に繋がるはずです。
 

②経営基盤を安定させておく

2つ目のポイントは、経営基盤を安定させておくことです。

前述しましたが、買い手側企業からみれば、安定している事業は魅力的に見えます。そのため、利益や財務の分野だけでなく、法務分野においても安定化させておくことを目指しましょう。

買い手側からしてみれば、小さなリスクが発見されただけでも、買収を渋ることがあるかもしれません。買い手側では、事業の買収に際し、以下の項目を必ずチェックするはずです。
 

  1. 訴訟問題を抱えているか
  2. 取引先との契約に不具合はあるか
  3. 会計処理が適正に行われているか
  4. 簿外債務はあるか

事業売却の際には、上記4項目を中心に、リスクがないことをアピールできる状況にしておいてください。

③無形資産価値を高めておく

3つ目のポイントは、無形資産価値を高めておくことです。

無形資産とは、直接目に見えない資産のことで、高い技術力や経験豊富な人材などを指します。無形資産の価値を高ければ、事業の売却価格を大きく上げることが可能です。

そのため、無形資産価値を高められるように、技術力や即戦力となる人材を確保しておくようにしましょう。また、貴重な人材を流出させないためにも、あらかじめ従業員に説明して、事業売却について納得してもらうことも大切です。

④買い手にはシナジー効果の高い企業を選ぶ

買い手には、シナジー効果の高い企業を選びましょう

シナジー効果は、企業統合で得られる相乗効果のことです。シナジー効果の高い企業と統合した場合、2社がそれぞれで生む以上の利益を計上できるようになる可能性が高いと言えます。

そのため、買い手側の企業はシナジー効果が狙える企業の買収を望むので、売却額は上昇する傾向にあります。

上記の理由から、売却の交渉時には、買収側の企業に対し、シナジー効果をアピールしていくことが大切です。しかし、自社とのシナジー効果が期待できる企業を選ぶには、専門的知識が必要となります。

したがって、必ず仲介会社に相談の上、相性が良い買い手企業を選択しましょう。

 

以下の記事では、M&Aによってシナジー効果が得られた事例を紹介しています。どのような効果が得られて、どのような戦略をとるべきなのかなども紹介しているので、ぜひ確認してみてください。

【関連】M&Aによるシナジー効果の成功事例10社を具体例で紹介!

⑤子会社化して会社売却を狙う

5つ目のポイントは、売却予定の事業を子会社化し、会社として売却することです。

事業売却ではなく会社売却に切り替えることで、資産すべてを売却できるようになります。これにより、不要資産を自社に残すことなく、まとめて譲渡可能です。

会社売却に切り替えることは、買い手側企業にとってもメリットとなります。買い手側企業にとって必要となる資産を全て入手できるためです。

また、事業を子会社化して売却することで、自社はそのまま存続できるという点もメリットとなることも押さえておきましょう。したがって、不要資産を残さずに売り切りたい場合や、売却後も自社を存続させたい場合には、子会社として会社を売却する選択肢を検討してみてください。

以上、事業売却を成功させるためのポイントを紹介しました。

また、以下の記事では実際にM&Aで事業売却をする際のスケジュールについて紹介しています。具体的なスケジュールを知ることで、いつから準備を始めれば良いかなどがハッキリとわかるようになるので、興味がある人は確認してみてください。

【関連】M&Aのスケジュールや手順を表で解説!期間を早めることはできる?

紹介したポイントを押さえておくことで、事業売却の成功に繋げることができます。ところが、事業売却にはデメリットや問題点も潜んでいるので知っておくべきです。

ここからは、事業売却後における従業員の処遇について紹介します。

7. 事業売却を行った際の従業員の処遇はどうなる?

事業売却を行った際の従業員の処遇はどうなる?

これまで、事業売却を成功させるポイントや事例、メリットやデメリットについて紹介してきました。しかし、事業売却をしたいけど「従業員の処遇はどうなる?」と気になる経営者は多いでしょう。

こちらでは、事業売却時における従業員の処遇を紹介します。事業売却時の処遇におけるポイントは、主に以下の通りです。

 

  • 働き続けることは可能
  • 労働契約の引継ぎはされない
  • 移籍や退職を検討する従業員へ対応を行う

1つずつ、確認していきましょう。

働き続けることは可能

事業売却後にも、従業員は買い手企業にそのまま引き継がれることが一般的です。事業売却後、自社の従業員は給料が上がるなどより良い処遇で働ける例が多いと言えます。

その理由は主に以下の2つです。

 

  1. 買い手企業は売り手企業よりも資本金などの会社規模が大きいから
  2. ノウハウや経験を持つ従業員は優遇されるから

1つ目の理由は、買い手企業は売り手企業よりも資本金などの規模が大きいからです。会社売却後における売り手企業側の従業員に支払われる給料は、買い手企業に合わせることが多いので、給料が上がるケースが多いと言えます。

2つ目は、ノウハウや経験を持つ従業員は待遇が優遇されることが多いからです。買い手企業は売り手企業が持つ専門分野のスキルやノウハウを持っていなかったり、増強することが目的で事業売却をしている企業を探しています。

ですので、売り手企業の中堅社員やベテラン社員でも、専門分野のスキルやノウハウを身に着けていると即戦力として優遇されるのです。

リストラされるケースもある

事業売却後に従業員がリストラされるケースがあることも覚えておかなければなりません。事業売却の際、従業員をリストラできないような契約を結ばなければ、売り手企業の従業員をリストラすることは可能だからです。

買い手企業が従業員を必要以上に引き継いだ場合、売り手企業の従業員をリストラすることがあります。しかし、買い手企業は必要なスキルやノウハウを持つ従業員をリストラすることはほぼ無いですが、専門性が無い従業員はリストラされやすい傾向にあるのです。

労働契約の引継ぎはされない

事業売却では労働契約の引継ぎについて、売り手と買い手の合意のもとで買い手側に移籍・転籍させる従業員に個別の同意書を残す必要があります。

事業売却は権利や義務が包括的に承継されず、事業を構成する各権利や義務の承継は売り手と買い手、従業員などの同意が必要だからです。

ですので、事業売却で従業員の処遇が決まり次第、個別の同意書を作成するようにしましょう。

移籍や退職を検討する従業員へ対応を行う

事業売却の際に、移籍や退職を検討する従業員に対応を行わなければなりません

 

  • 移籍を反対する社員への対応について
  • 退職を検討している社員への対応について

移籍と退職で対応の方法が異なりますので1つずつ見ていきましょう。

移籍を反対する社員への対応について

事業売却時に買い手企業が新たに結ぶ労働契約については、従業員の同意が得られなければ締結することはできません。もし、従業員が事業譲渡に納得がいかなければ転籍拒否をして、離職してしまう可能性もあります

買い手企業が売り手企業の従業員と新たに労働契約が結べない場合、売却側の雇用契約で予想される範囲内で人事異動を行い、労働条件に不利益が出ない場合に売り手企業へ籍を置いたまま出向させることが可能です。

このように、移籍に反対する社員については、売り手企業から買い手企業への出向という形で対応することも考えられます。

退職を検討している社員への対応について

事業売却では、従業員との雇用契約は買い手企業に引き継がれません。ですので、買い手企業に移籍させる従業員との雇用契約は終了となります。

この場合、移籍前の給与や退職金は売り手企業が支払う必要があるのです。そして、買い手企業に移籍する従業員は個別に新たな雇用契約を結ぶ必要があります。

ですが事業譲渡の場合、その事業が継続されるため従業員の仕事内容はこれまでと同様であることが殆どです。ですので、買い手企業が賃金や就業時間、就業場所などの条件を移籍前と同様にして雇用契約を再度締結することが一般的とされています。

ただし、労働条件は従業員によって異なることもあるため、一人ひとりに意思確認をする必要があるのです。

8. 事業売却に際して発生する会計処理の方法について

事業売却に際して発生する会計処理の方法について

次に、事業売却に際して発生する会計処理について見ていきましょう。

事業売却をした場合、会計処理も適切に行う必要があります。

売り手企業と買い手企業で会計処理の方法が異なるので、それぞれの会計処理について確認していきましょう。

売り手企業が行う会計処理

まず、売り手企業における会計処理の方法を確認しましょう。通常、事業売却後に生じた損益を仕訳処理します。

以下は仕訳の具体例です。

 

  • 譲渡資産の帳簿価格 1,000万円
  • 譲渡負債の帳簿価格 600万円
  • 付随費用 50万円
  • 譲渡価格 1,500万円
 
借方 貸方
譲渡負債 600万円 譲渡試算 1,000万円
付随費用 50万円 現預金 50万円
現預金 1,500万円 移転損益 1,000万円

以上のように、譲渡益と譲渡損は移転損益という科目で会計処理します。

 

実際の取引時には、譲渡資産名は詳細な科目を入れなければなりませんので、税理士や会計士と相談して会計処理を進めましょう。

買い手企業が行う会計処理

次に、買い手企業における会計処理の方法について紹介します。事業売却における会計処理では、のれんの計上が重要です。

のれんとは、買収した事業のブランド力やノウハウ、従業員の能力や特許の価値を指します。会計処理には、買収した事業における時価の純資産と、取得にかかった金額の差額を計上するのです。

以下は仕訳の具体例となります。

 

  • 譲受資産の時価 700万円
  • 譲受負債の時価 300万円
  • 取得原価1,500万円
 
借方 貸方
譲受資産 700万円 譲受負債 300万円
のれん 1,100万円 現預金 1,500万円

のれんは、20年以内で均等償却します。売却後も毎年処理が必要なので、その点も覚えておきましょう。

9. 事業売却で発生する税金の種類には何がある?対策も紹介

事業売却で発生する税金の種類には何がある?対策も紹介

事業売却の手法として活用される事業売却では、時価よりも高値で事業を売却できた場合、その利益分に対して税金が発生します。

事業を売却するときに発生する税金は、以下の3つです。
 

  1. 消費税
  2. 所得税や贈与税(個人の場合)
  3. 法人税(法人の場合)

これら3つの税金や対策方法について理解しておきましょう。それでは、それぞれの税金について詳しく見ていきます。

①消費税

事業を売却すると消費税が発生します。これは事業売却が売買契約に当たるためです。

しかし、対象となる売却資産のすべてが消費税の課税対象となるわけではありません。

譲渡資産には課税資産と非課税資産があり、土地・有価証券・債権などの非課税資産には、消費税が発生しないことを押さえておきましょう。

なお、買い手側に課税される消費税についても、同様に計算されます。

 

②所得税や贈与税(個人の場合)

売り手側が個人の場合、事業を売却すれば、所得税や贈与税も発生します。

対象事業を時価よりも高値で売却すると、時価から取得金額を差し引いた分の利益と、売却金額から時価を差し引いた分の利益に対して、それぞれ税金がかかるので注意が必要です。

まず、前者の利益に対しては譲渡所得税がかかり、対象事業に対して20.315%(所得税が15.315%、住民税が5%)分が課税されます。

後者の売却金額から時価を差し引いた分の利益については、譲渡相手が個人だと贈与税が発生するのです。

譲渡する相手が法人で雇用関係がある場合は給与所得として、雇用関係のない場合は一時所得として計算され、税額が算出されます。

③法人税(法人の場合)

売り手側が法人であれば、対象事業を時価や時価よりも高値で売却しても、取得金額との差額分が利益として計上され、その利益額に対して法人税が発生するのです。

法人税は、法人が時価よりも安値で対象事業を売却した場合、損失分を損金として算入して減税することが可能なことを押さえておきましょう。

売却相手が法人もしくは雇用関係のない個人の場合は寄付金として、雇用関係がある個人であれば賞与扱いとして損金に算入できます。

以上、事業売却で発生する税金について紹介しました。

ここまで読んで、自社だけで事業売却手続きを完了させるのは、手間や時間がかかり大変であると感じた人も多いはずです。

そのため事業売却は、信頼できるM&Aの専門家に相談することが重要と言えます。

最後に、事業売却を検討する際におすすめの相談先について確認しておきましょう。

10. 事業売却の相談はM&A総合研究所に相談!

事業売却の相談はM&A総合研究所に相談!

事業売却を成功させるためには、M&A仲介会社など専門家のサポートが不可欠になります。

自分だけで事業売却を行おうとするのはトラブルになりかねないのでやめておくべきです。専門家に相談することで、スピーディなクロージングも狙えます。

しかし、「M&A仲介会社に心当たりがない」という方も多いのではないでしょうか。

例えば、M&A総合研究所であれば、企業買収・事業売却に精通した会計士が専任につき、交渉からクロージングまで一括サポートすることが可能です。

また、着手金や中間報酬は不要の完全成功報酬型を採用しており、手数料は業界最安値水準で対応しております。無料相談も行っていますので、事業の売却についてお考えの方は是非一度お声がけ下さい。

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11. まとめ

事業売却とは、自社の展開する事業を第三者の企業に売却することを指します。事業売却では、売却しない資産を選択して自社に残すことができるので、選択と集中により組織再編がしやすいです。

ただし、自社だけで事業売却手続きを完了させるのは、手間や時間がとてもかかり大変です。

信頼できるM&A仲介業者に相談した上で、事業売却を成功させましょう。

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