エムアンドエーとは?わかりやすく解説!メリットや事例も紹介!

近年、企業のM&Aが頻繁に行われるようになり、M&A増加の傾向は中小企業でも見られるようになっています。そこでこの記事ではエムアンドエーとは何かについてわかりやすく解説します。また、エムアンドエーのメリットとは何かや成功するポイントなどについても紹介します。


目次

  1. エムアンドエー(M&A)とは
  2. エムアンドエーを行う際の主な流れ
  3. エムアンドエーにかかる期間
  4. エムアンドエーに必要な主な契約書解説
  5. エムアンドエーにかかる手数料・相談料ほか
  6. エムアンドエーのメリット
  7. エムアンドエーの際の注意点
  8. エムアンドエーが行われた事例
  9. エムアンドエーを成功させるポイント
  10. エムアンドエーの相談先
  11. まとめ

1. エムアンドエー(M&A)とは

エムアンドエー(M&A)とはについて

近年、企業の買収や合併は盛んに行われており、上場している大企業に限らず、中小企業でのM&Aも増加しています

そのような背景により、報道・メディアでエムアンドエー(M&A)という言葉を見聞きする機会も増えていますが、エムアンドエー(M&A)がどのようなものかがよくわからないという方もいるでしょう。

本記事では、エムアンドエー(M&A)とはどのようなものなのか、事例を交えてわかりやすく解説していきますが、まずはエムアンドエーの意味・歴史・目的などの基本的な事項を説明します。

エムアンドエーの意味

エムアンドエー(M&A)とは、英語のMerger and Acquisitionの略であり、直訳すると「合併と買収」という意味になり、企業同士の統合や子会社化、必要な事業だけの売買などが含まれます。

エムアンドエー(M&A)を行うためには多額の資金が必要になりますが、実際にエムアンドエー(M&A)が成功する確率は約20%といわれていわれ、得られるメリットも大きいですがリスクも伴います。

エムアンドエー(M&A)を成功させるためには、業界の動向や特徴を把握しておくだけでなく、注意すべきポイントを把握しておくことが大切です

エムアンドエー(M&A)を成功されるために意識しておくべきポイントについては、後の章でくわしく解説します。

エムアンドエーの歴史

日本で一番最初にエムアンドエー(M&A)が行われたのは、明治時代中期です。当時の日本は紡績産業が盛んでしたが、中国・インドの台頭や日清戦争後の物価高騰により紡績産業は次第に不況へと陥ることになります。

この不況を打破するために用いられた手段が、エムアンドエー(M&A)です。例えば、鐘淵紡績株式会社(カネボウ株式会社の前身)は、1900年前後に何度もエムアンドエー(M&A)を繰り返し、日本最大の企業にまで発展しました。

以降、エムアンドエー(M&A)は他業種や政府介入下でも行われるようになり、この流れが収まったのは終戦後です。

GHQ主導のもと財閥解体が行われたため、一時期エムアンドエー(M&A)の件数は大きく減少し、再びエムアンドエー(M&A)が注目されるようになったのはバブル期に入ってからです。

バブルの好調により、日本企業はたくさんの海外企業を買収しましたが、バブル崩壊後は不況を乗り切る手段としてエムアンドエー(M&A)が行われるようになりました。

現在では、安定的な企業成長を担保するための手段としてM&Aが用いられますが、中小企業の場合は後継者問題を解消する有効な手段としてもエムアンドエー(M&A)が行われています

エムアンドエーの目的

次は、エムアンドエー(M&A)の目的について解説していきます。エムアンドエー(M&A)を行う目的は、買い手側・売り手側によって異なるため、以下ではそれぞれの立場からみていきましょう。

買い手側の目的

企業が買収を行う目的には、事業基盤の強化や新規事業への進出などがあります。日本は将来的に人口が減少していくとみられており、日本のマーケットも縮小していくと予想されています。

そのため、グローバル企業として成長していくためには、海外進出が必要になります。しかし、一から海外進出を始めると時間がかかり、利益を獲得する機会を失う可能性もあるため、短期間で行う手段としてエムアンドエー(M&A)が活用されています。

また、近年は消費者の嗜好が多様化しているため、既存事業では売り上げを維持できるか見通せない状態になっており、このリスクを回避するために新規事業を立ち上げるケースもみられます。

しかし海外進出同様、新規事業の立ち上げも時間がかかるため、エムアンドエー(M&A)が活用されています。

売り手側の目的

企業が売却を行う目的には、事業承継や売却益の獲得などがあります。現在、中小企業の経営者は高齢化しています。

経営者の平均年齢は約60歳、引退年齢の平均が70歳といわれているので、今後さらに事業承継の件数は増加すると考えられます。

しかし、引退年齢になっても後継者がみつからない「後継者問題」を抱えいる経営者も多いのが現状です。

後継者問題を解決する手段としてエムアンドエー(M&A)が有効であり、エムアンドエー(M&A)を活用すれば、個人だけでなく法人に自社を引き継ぐことも可能になります。

また、経営難などの理由によって廃業を選択する場合は、事業を畳むためにさまざまなコストがかかりますが、エムアンドエー(M&A)であれば売却益を獲得することもできます。

エムアンドエー市場の動向

近年、エムアンドエー(M&A)市場は拡大傾向にあり、2018年のM&A成約件数は過去最高の3850件になりました。このまま増加傾向が続けば、2019年も2018年と同等もしくはそれ以上の件数になると予想されています。

また、この動向に合わせてM&A仲介業へ参入する企業も増加しており、現在では多くのM&A仲介会社が存在します。

自社がエムアンドエー(M&A)を行う場合、どの仲介会社が自社に適しているかを見極めることが大切です。

エムアンドエーが活発な業種

エムアンドエー(M&A)が活発な業種には、食品業や製造業など多くのものがありますが、ここでは建設業界と調剤薬局業界を取り上げてみていきましょう。

1.建設・設備工事業界

かつて、建設や設備工事を行う際は、それぞれの専門業者に発注して建設することが当たり前でした。しかし、近年ではワンストップで建設できる企業形態へと変化しつつあります。

ワンストップで建設できる形態では、1つの企業が電気工事や土木工事などの専門分野を有し、自社あるいはグループ内で建物が建設できるようになります。

この流れは、主に建設・設備工事業界の大手企業だけにみられており、大手企業では専門性の高い特定分野のM&Aを積極的に行っています。

2.調剤薬局業界

調剤薬局業界でも、エムアンドエー(M&A)が活発に行われています。中小規模の調剤薬局では、収益性や後継者の問題から積極的に売却するケースが増加しています。

また、規模の大きい調剤薬局も将来的な収益性の低下が見込まれており、顧客数を増やして成長しようとする戦略をとっています。

調剤薬局業界では、売り手・買い手の思惑が一致しているため、積極的なエムアンドエー(M&A)が行われており、その結果として大手企業が売り上げシェアを確実に伸ばしています。

エムアンドエーの手法一覧

エムアンドエー(M&A)には多くの手法があり、狭義的な意味・広義的な意味で以下のように分類することができます。ここでは、各手法の特徴について解説します。

【狭義的な意味でのエムアンドエー(M&A)手法】

  1. 買収
  2. 合併
  3. 分割

【広義的な意味でのエムアンドエー(M&A)手法】
  1. 資本提携
  2. 業務提携
  3. 技術提携
  4. 生産提携
  5. 販売提携
  6. 合弁企業設立

①買収

買収には、大きく事業譲渡と株式取得(譲渡・交換・移転)の2つに分類することができます

事業譲渡とは、必要とする事業だけについて売買を行うスキームであり、負債など不要なものは引き継がなくてよいことがメリットです。しかし、従業員など営業権以外の引継ぎは必須でないため、売買内容の確認や条件交渉をしっかりと行うことが大切です。

株式取得とは、買収先の株式を取得して経営権を移行するスキームのことです。エムアンドエー(M&A)のなかでは比較的手続きが簡便な点がメリットですが、包括承継になるため簿外債務を引き継ぐリスクがあることがデメリットです。

②合併

合併とは買収する会社が存続会社、買収される会社が消滅会社となってM&Aを行うスキームのことです。合併には大きく2種類あり、吸収合併と新設合併があります。吸収合併は存続会社が既存の会社であること、新設合併は存続会社が新設する会社であることを言います。

【関連】M&Aの形態「合併」と「買収」の違いは?メリット・デメリットを比較

③分割

分割とは、対象とする事業の権利義務について別会社に譲渡することをいいます。事業譲渡は営業権だけの売買ですが、分割では会社単位で譲渡(従業員や資産なども譲渡の対象)を行います。

分割は、既存企業による吸収分割分割により会社を新設する新設分割の大きく2つがあり、それぞれに分社型分割と分割型分割とがあります。

譲渡企業と譲受企業の関係が親子関係にある場合は分社型分割になり、兄弟会社のような関係になった場合は分割型分割になります。

④資本提携

資本提携とは、企業同士が株式など資本を持ち合い増資することをいいます。資本提携では企業同士の資本介入が行われるため、業務提携より強固な関係性が築かれます。

また、資本提携を行っている企業同士が、そのまま買収や合併に発展するケースもあります。

⑤業務提携

業務提携とは、資本の移動がないまま企業が共同で事業を行うことを言います。メリットは資本業務提携に比べて企業の独立性が保たれており、都合が悪くなった時には業務提携を簡単に解消させられることです。

一方でデメリットは連携が強くない分、金銭面や技術面などの全面的な提供が受けられないことです。そのため、どこまで協力したいか・どの程度支援を受けたいかはどのような形で提携を結ぶかで判断することができます。

⑥技術提携

資本提携や業務提携にはいくつかの種類がありますが、ここでは技術提携・生産提携・販売提携についてみていきましょう。

まず、技術提携とは、他社が持っている技術資源を自社の技術開発や製造、販売などに活用することをいい、ライセンス契約と共同研究開発の2種類に分けることができます。

ライセンス契約では、技術特許について契約条件の範囲内で、自由に使用することを許諾し合います。一方の共同研究開発とは、複数の当事者が特定の技術あるいは製品の研究開発を分担し、協力して取り組んでいくことを目的としています。

⑦生産提携

生産提携とは、生産能力を強化することを目的として、生産工程や製造工程の一部を委託することをいいます。

一般的には製造委託契約が締結されることが多く、締結する際は製品の仕様・品質レベル・原材料・検収方法などが重視されます。

⑧販売提携

販売提携とは、販売に関連する要素の強化・拡充を目的とした提携をいい、他社が有しているブランドや販売チャネル、販売のため人材など販売資源を活用する点が特徴です。

主な販売提携には、販売店契約・代理店契約・OEM契約・フランチャイズ契約などがあります。

⑨合弁企業設立

合弁企業設立とは、複数企業の共同出資によって新会社の設立や経営をいいます。合弁企業は、ジョイントベンチャーとも呼ばれます。

過去に合弁企業設立を行って成功した企業には、Amazon・サイバーエージェント・LINEなどがあります。

2. エムアンドエーを行う際の主な流れ

エムアンドエーを行う際の主な流れについて

この章では、エムアンドエー(M&A)を行う際の流れについて解説します。一般的なエムアンドエー(M&A)は以下のような流れで進んでいきます。

  1. エムアンドエーの検討・相談
  2. エムアンドエーの戦略検討・資料作成・秘密保持契約
  3. エムアンドエー先へのアプローチ
  4. トップ同士の会談
  5. 意向表明書・基本合意書の作成及び、締結
  6. デューデリジェンスの実施
  7. 最終契約書の締結
  8. クロージング
  9. 統合プロセス

①エムアンドエーの検討・相談

まずは、エムアンドエー(M&A)の検討・相談をします。このタイミングは、経営者がエムアンドエー(M&A)の必要性を感じ始めた段階ともいえるでしょう

具体的には、本当にエムアンドエー(M&A)を行う必要があるのかについて検討し、どのように進めていくべきかをM&A仲介会社などの専門家に相談します。

②エムアンドエーの戦略検討・資料作成・秘密保持契約

エムアンドエー(M&A)を行うことを決め、M&A仲介会社などの専門家に相談をしたら、次は戦略検討・資料作成・秘密保持契約の締結をします。

まず、エムアンドエー(M&A)の戦略検討では、買収対象となる企業の業種や規模、買収によってどのようなシナジー効果が得られるかなどを具体的に検討・決定していきます。

エムアンドエー(M&A)の戦略はしっかり策定しておかなければ、成功する確率が大幅に下がってしまうため、自社のみで策定が難しい場合は専門家のサポートを受けるとよいでしょう。

その後、自社についての資料を作成しますが、エムアンドエー(M&A)の相手先企業を探す際は企業名を伏せた状態で選定をするため、わかりやすく作成することが大切です。

ここまで進んだら、仲介サポートを依頼するM&A仲介会社などの専門家と秘密保持契約を締結し、情報漏洩がないようにします。

③エムアンドエー先へのアプローチ

エムアンドエー(M&A)の交渉先となる企業がみつかったら、売り手・買い手の両社間で秘密保持契約を締結します。

M&A仲介会社を通して企業名がお互いに公開され(ネームクリア)たら、エムアンドエー(M&A)先への具体的なアプローチを行っていき、自社の目的に合った企業であるか、大きな問題を抱えていないかなどについて確認をします。

④トップ同士の会談

次は、トップ同士の会談が行われます。一般的にエムアンドエー(M&A)の行うか否かを最終的に決めるのは社長やM&Aプロジェクトの最高責任者です。

そのため、トップ同士で会談を行い、経営者目線での質問や経営理念の確認などを行います

⑤意向表明書・基本合意書の作成及び、締結

トップ会談を行いエムアンドエー(M&A)を行うことを決めたら、意向表明書を提出します。意向表明書の提出は義務ではありませんが、提出することによって後の交渉をスムーズに進めることができます。

両社が大筋でエムアンドエー(M&A)を行うことに合意したら、基本合意書の締結を行います。

基本合意書とは、M&Aの意思があることを示し、かつ独占交渉権や独占交渉期間について同意したことを示す契約書です

⑥デューデリジェンスの実施

買い手側は売り手企業に対してデューデリジェンスを実施します。デューデリジェンスとは企業監査のことです。

基本合意書締結までの交渉においてよさそうな企業であると判断しても、その企業が提出した資料に誤りがあったり、簿外債務を抱えていたりする可能性も考えられます。

もし、このような企業を買収してしまうと、買い手側の企業は以降の経営に大きなダメージを与えることにもなりかねません。

そのようなリスクを回避するため、買い手企業は各分野の専門家に依頼しデューディリジェンスを行い、売り手企業に問題はないか徹底的に調査します

【関連】M&Aでのデューデリジェンス(DD)の手続き方法!DD項目別に注意点も解説!

⑦最終契約書の締結

デューデリジェンスの結果、買収先の企業に問題がないと判断したら、エムアンドエー(M&A)の最終契約書を締結します。

最終契約書を作成する前には、最終の条件交渉を行い、デューデリジェンスの結果を受けて取引金額の修正や、条件の追加・削除をします。

その内容を加えた最終契約書に両社が納得すれば、最終契約書を締結することになります。

⑧クロージング

クロージングとは、最終契約書締結を受けて、効力発生日にヒト・モノ・カネなどを移動させることをいいます。

具体的には、買い手側は売り手側に対して取引金額分の資金や株式発行などを行い、売り手側は買い手企業にヒトやモノなどを譲渡します。

⑨統合プロセス

最後は、クロージング後にシナジー効果を発揮するために統合プロセスを計画し、経営戦略に落とし込んでいきます

この統合プロセスとマネジメントのことを、PMI(Post Merger Integration)といい、統合プロセスにはハード面とソフト面の2種類があります。

ハード面には、社内システムの統合・人事評価の統合などがあり、ソフト面には、経営理念の共有や企業風土の統一などが含まれます。

エムアンドエー(M&A)のシナジー効果を発揮するためには、ハード面・ソフト面ともに統合する必要があります。

ソフト面の統合は従業員の内面に大きく影響するため、統合が完了するまでにはかなりの時間を費やすことになるので、経営者はそれを見通した戦略の構築が必要です。

【関連】M&Aのスケジュールや手順を表で解説!期間を早めることはできる?

3. エムアンドエーにかかる期間

エムアンドエーにかかる期間について

エムアンドエー(M&A)にかかる期間は平均6か月程度といわれていますが、これはM&A先を決定してからクロージングを行うまでの期間です。

先述のように、エムアンドエー(M&A)の流れのなかで、最も時間がかかる手続きはM&A先の選定と統合プロセスです。

M&A先の選定は、自社が設定した条件次第で必要になる期間が変わり、条件が厳しすぎると相手先が見つかるまでの期間は長くなり、条件が緩すぎると最善のM&Aができる可能性が低くなります。

統合プロセスについては、ハード面は通常3か月~半年程度で完了しますが、ソフト面は1年以上かかることもあります。

つまり、エムアンドエー(M&A)は相手先企業の選定からシナジー効果を得られるようになるまでに、2年程度要することにもなるため、経営者はこれらを踏まえたうえで戦略を策定し、エムアンドエー(M&A)を実施する必要があります。

4. エムアンドエーに必要な主な契約書解説

エムアンドエーに必要な主な契約書について

エムアンドエー(M&A)を進めるうえでは、いくつかの契約書を締結しなければなりません。この章では、エムアンドエー(M&A)に必要となる主な契約書について解説します。

①秘密保持契約書

秘密保持契約書とは、エムアンドエー(M&A)に関する秘密情報を、第三者(外部)に漏らさないことを約束する契約書です。

エムアンドエー(M&A)では、取引を行う企業と仲介する企業との間で契約を締結します。

エムアンドエー(M&A)を行う影響は大きく、上場企業の場合は株価の変動も考えられます。

ステークスホルダーに対する影響を最小限にとどめるためには、秘密保持契約を締結して情報漏洩を防ぐことが大切です

【関連】NDA/CA(秘密保持契約)って?雛形あり!

②基本合意契約書

基本合意契約書とは、エムアンドエー(M&A)における独占交渉権や独占交渉期間を決めるための契約書です。基本合意契約書を締結することは、エムアンドエー(M&A)意思があることを示すことになり、以降はほかの企業との交渉ができなくなります。

基本合意契約書の締結は、エムアンドエー(M&A)スケジュールでは中間地点で行います。仲介会社によっては中間金という手数料が設定されていますが、その場合は基本合意契約書を締結した時点で支払います。

③最終契約書

最終契約書とは、最終段階でM&Aの合意を示すために交わされる契約書です。M&A仲介会社によっては、合併契約書や正式契約書と呼ばれることもあるため注意しておきましょう。

最終契約書を締結する目的には、契約者同士の権利を守る・トラブル発生のリスクを排除するなどがあり、これをもってクロージングが行われます。

【関連】M&Aの最終契約書(DA)とは?雛形あり!

5. エムアンドエーにかかる手数料・相談料ほか

エムアンドエーにかかる手数料・相談料について

エムアンドエー(M&A)の成功確率を高めるためには、M&A仲介会社など専門家のサポートは不可欠ともいえます。この章では、M&A仲介会社を利用した場合にかかる手数料や相談料について解説します。

手数料や相談料がかかる理由

仲介会社が手数料や相談料を設定している理由には、M&A仲介業界のビジネスモデルが関係しています。

M&A仲介業は関係会社について調べる必要がありますが、以前はインターネットが発達していなかったため、情報探索には多くの費用が掛かっていました

また、当時M&Aの成約件数や手数料が少なかったため、完全成功報酬制すると赤字となってしまい、M&A仲介業を行うことができませんでした。

そのデメリットを解消するために手数料や相談料などを設定し、ビジネスとして成り立たせようとしました。

現在は、インターネットの発達により簡単に情報検索できることやM&Aを行う企業が増えてきたことから、手数料や相談料を無料にしても経営できるようになっています。

手数料や相談料ほかの相場

相談料は数千円~1万円程度、着手金は50~~100万円、中間金は50~200万円が、それぞれの相場となっています

しかし近年は、M&A仲介会社の増加による競争激化やインターネットの発達により、相談料や手数料を無料にしている会社が増えています。

【関連】M&A仲介手数料の相場はどれくらい?手数料の種類とお得な仲介会社を紹介

6. エムアンドエーのメリット

エムアンドエーのメリットについて

次はエムアンドエーのメリットについて紹介します。

買い手側のメリット

M&Aを行ったときに得られる買い手側のメリットはたくさんありますが、この記事では以下の5つについて紹介します。

  1. 事業拡大
  2. 新規事業への参入
  3. 優秀な人材やノウハウの獲得
  4. 新規顧客・取引先の獲得
  5. M&A手法により必要な事業だけを獲得

①事業拡大

1つ目のメリットは事業拡大です。調剤薬局業界など収益性の低い事業にみられる目的です。事業を拡大することで生産能力や顧客数を増加させることができるため、売上高や利益を増やすことができます

また、事業規模を拡大することによって一括仕入によるコスト削減や資金調達が容易になるなどのメリットもあります。

②新規事業への参入

2つ目のメリットは新規事業への参入です。先行きの不透明性を理由に経営を多角化し、リスクヘッジの戦略をとろうとする企業もあります。しかし、新規事業を立ち上げるためには資金だけでなく、ある程度の時間や適した人材も必要になります。

万が一、新規事業に失敗すると大きな損害を被ることになりため、新規事業の立ち上げはハイリスクハイリターンであると言えます。しかし、M&Aにより新規事業に参入することである程度の資金は必要になりますが、人材の獲得・時間の短縮が可能になるため、経営戦略を策定しやすくなります。

また、すでに事業化されているものを購入するため、一からの立ち上げに比べて失敗した時のリスクを大きく減らすことができます

③優秀な人材やノウハウの獲得

3つ目のメリットは優秀な人材やノウハウの獲得です。年々労働人口が減少しているため、人材を確保することが難しくなっています。特に有資格者など専門性の高い優秀な人材を確保することが困難になっています

このような現状があるため、優秀な人材の獲得を目的としてM&Aを行うケースが増加しています。ノウハウについては各企業が持っている強みとしてとらえることができます。経営ノウハウや生産・研究開発のノウハウなど企業ごとで利益を生み出すためのノウハウを持っています。

これらをM&Aにより獲得し、自社のノウハウと組み合わせることでシナジー効果を生み出し、さらに利益を生み出すことが可能になります

④新規顧客・取引先の獲得

4つ目のメリットは新規顧客・取引先の獲得です。ほとんどの場合、合併や買収を行うことでM&A先の顧客・取引先をそのまま獲得することができます。これにより売上高を増やすことができます。

また、その新規顧客・取引先をグループ内の別事業の商品やサービスをあっせんし、その事業に対しても顧客・取引先にさせることもできます。このようにM&Aにより新規顧客・取引先を獲得することで様々な効果が得られます。

⑤M&A手法により必要な事業だけを獲得

5つ目のメリットはM&A手法により必要な事業だけを獲得できることです。M&Aは原則、包括承継です。M&A先の企業が抱えているトラブルや簿外債務などすべてを引き継ぐ必要があります。トラブルや問題の程度によりますが、その程度が大きすぎると自社が経営難に陥る可能性があります。

M&Aの包括承継にはこのようなリスクがあります。しかし、M&A手法によっては必要な事業だけを獲得できるものもあります。それが事業譲渡・会社分割です。すでに紹介しましたので、説明は割愛しますが、リスクを極力回避したM&Aを行う場合はこのようなM&A手法があることを知っておく必要があります

売り手側のメリット

M&Aを行ったときに得られる売り手側のメリットも同様にたくさんありますが、この記事では以下の5つについて紹介します。

  1. 後継者問題の解決
  2. 従業員の雇用確保
  3. 売却益の獲得
  4. 廃業コストの削減
  5. M&A手法により債務負担の解消

①後継者問題の解決

売り手側のメリット1つ目は後継者問題の解決です。後継者問題は事業を引き継ぐ後継者が見つかっていない会社が抱えている問題で中小企業でよく見られています。近年は将来の不透明性から積極的に事業を引き継ぎたいと思っている後継者を見つけにくくなっています。

また、後継者の探索から育成し、事業を完全に引き継ぐまでには5年以上かかるのですが、引継ぎの開始時期が遅れてしまい、廃業せざるを得ない経営者も出てきています。そのような後継者に関する問題を解決する方法としてM&Aによる事業承継があります。

M&Aによる事業承継では仲介会社に任せれば一から後継者探しをする必要はありません。また、最短で6か月と短期間で事業承継を完了させることができます。

②従業員の雇用確保

2つ目のメリットは従業員の雇用の確保です。廃業するという選択肢をとった場合、問題となることは従業員の雇用です。今までお世話になった従業員を会社都合で解雇し、就職先をとにかく探してくれというのはあまりにも無責任です

つまり、従業員のことを考えた場合、簡単に廃業することはできません。その点、M&Aにより包括承継で事業を売却することで従業員も引き継がれます。従業員の雇用が確保できるため、このことについて考える必要はなくなります。

③売却益の獲得

3つ目のメリットは売却益の獲得です。廃業する際、様々な手続きが必要になるため費用が掛かります。つまり、ある程度の資金がなければ廃業することもできません。その点、M&Aによって売却することで売却益を獲得することができます。

特に強みがある、ノウハウがあるなどをアピールすることができれば、多額の売却益が獲得できる可能性があります

④廃業コストの削減

4つ目のメリットは廃業コストが削減できることです。ほども紹介したように廃業には費用が掛かります。しかし、M&Aにより事業を売却することで廃業する必要がなくなるため、それにかかる費用を削減することができます

⑤M&A手法により債務負担の解消

5つ目のメリットはM&A手法により債務負担が解消されることです。特に中小企業の経営者は個人保証や担保を抱えています。しかし、事業譲渡や会社分割の場合、必要なものしか譲渡の対象とならないため、経営者の個人保証や担保は抱えたままになります。

一方、合併や買収など包括承継を伴うM&A手法の場合、事業や資産だけでなく、負債や個人保証なども引き継ぐことになります。個人保証や担保を抱えている経営者が事業承継や事業売却を行う場合は、包括承継できるM&A手法を選ぶようにしましょう

7. エムアンドエーの際の注意点

エムアンドエーの際の注意点について

エムアンドエーを行う際は、どのような点に注意して進めればよいのでしょうか。この章では、エムアンドエーの際に注意点すべき3つのポイントについて解説します。

  1. 仲介会社などの利用には手数料などがかかる
  2. 企業価値評価の算定方法にはいろいろある
  3. エムアンドエーには税金がかかる

①仲介会社などの利用には手数料などがかかる

1つ目の注意点は仲介会社などを利用する際に手数料がかかることです。M&A専門家の知識や経験を生かしたサービスを利用するため、その対価は当然支払う必要があります。しかし、仲介会社によっては料金体系が複雑であるため、それを理解できたところもしくは料金体系が明確なところを選びましょう。

近年は仲介会社の増加による競争激化やインターネットの発達により料金体系が明確化・簡素化されている傾向があります。一番多い料金体系はM&A総合研究所のようなクロージングが行われるまでの手数料は一切頂かず、クロージングが行われた際の成功報酬は取引金額に応じていただくというものです

②企業価値評価の算定方法にはいろいろある

2つ目の注意点は企業価値評価の算定方法にはいろいろあることです。M&Aの取引金額は企業価値評価額をもとに算出します。その計算方法を1つしか知らなかった場合、取引金額について大きく損をすることになります

企業価値評価額を算出する方法には大きく分けて、インカムアプローチ・コストアプローチ・マーケットアプローチの3種類あります。インカムアプローチは、将来の収益性や期待を考慮して算出する方法で、コストアプローチは財務諸表をもとに算出する方法です。

マーケットアプローチは対象企業と同規模同業種の企業を参考に企業価値評価額を算出する方法です。どの計算方法を用いるかはすべての方法で計算したうえで自社に有利な評価額をアピールしましょう。

【関連】M&Aによる企業価値評価の算定方法を種類別に徹底解説!

③エムアンドエーには税金がかかる

3つ目の注意点はエムアンドエーには税金がかかることです。売却益を獲得した場合、その利益に対して税金がかかります。個人の所得として利益を獲得した場合、所得税がかかりますし、法人の所得として利益を獲得した場合、法人税がかかります。

また、株式譲渡によって利益を獲得した場合、一律で20.315%の税金がかかります。M&Aによる売却益をどのような形で獲得したかによって課税される税金が異なるため、詳しいことは税理士に聞くようにしましょう

8. エムアンドエーが行われた事例

エムアンドエーが行われた事例について

続いてはエムアンドエーが行われた事例について5つ紹介します。

①株式会社ファーストリテイリングによるエムアンドエー

1つ目に紹介する事例は株式会社ファーストリテイリングによるエムアンドエーです。ファーストリテイリングはユニクロやGUなど自社ブランドを展開しています。それと並行して積極的にM&Aを進め、新規ブランドを獲得しています。ファーストリテイリングのM&A戦略は2本の柱で成り立っています

1つ目は海外や新市場でユニクロのビジネスのプラットフォームを獲得することです。これにより店舗開発や人材育成など短期間で高水準に高められるというメリットがあります。2つ目は新ブランドを買収し、事業ポートフォリオを強化・拡充することです。

この戦略の下で買収された企業にはビューカンパニー(婦人靴専門店)、ネルソン・フィナンス(ヨーロッパでフレンチカジュアルブランドを展開している企業)などがあります

②株式会社ZOZOによるエムアンドエー

2つ目に紹介する事例は株式会社ZOZOによるエムアンドエーです。ZOZOはZOZOTOWNを運営する会社として知られており、2019年にはヤフーに買収された会社としても知られています。ZOZOは前身のスタートトゥデイの時代から積極的なM&Aを行っていました。

一番最初に行ったM&Aはファッションアイテムオークションサイト「CROWN JEWEL」を運営するクラウンジュエルへの出資です。出資の結果、ZOZOTOWNで商品を購入した顧客がCROWN JEWELで売り、その代金で再度新しい商品を購入するというサイクルが生じ、M&Aに成功しています

これを皮切りにブラケット社、ヤッパ社、ECサイト構築サービスを提供しているアラタナ社などを買収し、EC事業をベースとした新システムの構築に成功しています。

③ソフトバンクグループによるエムアンドエー

3つ目に紹介する事例はソフトバンクグループによるエムアンドエーです。ソフトバンクは携帯事業を行っていたり、プロ野球チームを持っている会社として知られています。

また、M&Aを積極的に行う会社としても知られており、2019年の中間決算ではウィーワークへの巨額投資により7000億円の赤字を計上し、話題になっていました。そのソフトバンクグループは同志的結合という哲学に基づいて戦略が策定されています

同志的結合とは買収される側と買収する側が同じ志のもと、お互いを尊重しあうことで成長していくということです。このM&A戦略の下、ヤフージャパンへの共同出資、ボーダフォンの子会社化、ZOZOの買収など数多くの有名企業とエムアンドエーを行っています

④楽天グループによるエムアンドエー

4つ目に紹介する事例は楽天グループによるエムアンドエーです。楽天はウェブサイトで商品を販売するECサイトの事業会社として創業しました。上場後は積極的にM&Aを行い、事業規模を拡大させました。楽天グループのM&A戦略は楽天経済圏の構築です

楽天経済圏とは楽天市場を核として様々なサービスをインターネット上でワンストップで提供することを目的にした戦略のことです。この戦略をもとにイーバンク銀行の子会社化、あおぞらカードの買収、フリマアプリのフリルの買収など様々なエムアンドエーを行っています

⑤JTによるエムアンドエー

最後に紹介する事例はJTによるエムアンドエーです。JTは旧日本専売公社のたばこ事業から民営化され、引き続きたばこ事業を行っている会社です。初めは日本市場でたばこを販売していましたが、将来的に売り上げが低下することは明白でした。そこでJTは生き残るためにクロスボーダーM&A戦略をとります

海外のたばこ会社を積極的に買収し、大きく成長させることに成功しました。クロスボーダーM&A戦略の成功の秘訣は銀行やコンサルタントに頼らないことだと言われています。

M&Aを担当する従業員は自社の経営理念や当事者意識を強く持つことで自社が希望する企業と買収することができていますし、そのような方向へ成長させることに成功しています。JTはイギリスのギャラハーやアメリカのレイノルズ・アメリカンなど数々のたばこ会社を買収しています。

9. エムアンドエーを成功させるポイント

エムアンドエーを成功させるポイントについて

最後にエムアンドエーを成功させるポイントについて4つ紹介します。

①M&A戦略

1つ目のポイントはM&A戦略を明確にすることです。M&Aの成功確率は20%だと言われています。M&Aに成功すると得られるものは大きいですが、失敗すると多額の損失を被ることになります。

つまり、簡単に失敗できないため、M&Aによって何が得られるのか、どのようにしたらそれが得られるのかなどM&A戦略をしっかりと策定する必要があります。先ほど紹介したエムアンドエーに積極的な企業はいずれもM&A戦略が明確であるため、M&Aに成功する確率が高くなったと考えられます。

このようにM&A戦略を策定することはとても重要なことであると言えます。

②デューデリジェンスの徹底

2つ目のポイントはデューデリジェンスの徹底です。デューデリジェンスとは企業監査のことで、売却企業について徹底的に調査します。デューデリジェンスは基本合意書締結後に実施されるのですが、それまでは売却企業が作成した資料や質疑応答に対して企業を見極めることになります。

しかし、多額の売却益を獲得したいなどの理由で虚偽の申告をしたり、簿外債務を抱えている可能性があります。そのトラブルや簿外債務の額が大きすぎると買収企業が経営難に陥る可能性があります。それを防ぐために徹底したデューデリジェンスを実施します。

③統合プロセス(PMI)

3つ目のポイントは統合プロセス(PMI)です。統合プロセスはM&Aスケジュールの中で一番最後、クロージングの後に行われます。統合プロセスはM&Aの手続きの中で一番困難であると言われています。その理由はソフト面の統合があるからです。

クロージングが行われてからシナジー効果が表れるまでにハード面とソフト面の統合が必要になります。ハード面は社内システムの統合のことです。一方、ソフト面は企業理念の共有など従業員の考え方に依存するところがあるので簡単に統合することはできません。

戦略的にソフト面の統合を進めるか、もともと企業理念が近い企業を買収して、統合プロセスの成功確率を高めるようにしましょう

【関連】M&A・買収のリスクの種類!買い手・売り手サイドから解説!PMIが一番のリスク?

④仲介会社などの利用

4つ目のポイントは仲介会社などの利用です。会社法などの法令に違反しないようにM&Aを実施する、財務会計が正しいか判断する必要があるなどM&Aには莫大な知識が必要になります。そのため、会社の経営陣だけではM&Aを成功させることは困難であると考えられます。

その点、M&A仲介会社にはM&Aに関して専門的な知識を有したアドバイザーが在籍していますし、実績やノウハウも有しています。これらのことを考慮するとM&A仲介会社に依頼することでM&Aの成功確率は高まると考えられます。M&Aを考えている経営者の方は積極的に仲介会社などを利用するようにしましょう。

10. エムアンドエーの相談先

【関連】【2020年最新】M&A仲介会社ランキングを企業規模ごとに公開!
エムアンドエーの相談先について

中小企業がエムアンドエーを行う際にまず相談するところはM&A仲介会社になります。M&A仲介業を行っている会社はたくさんあります。各会社には取引を行う金額や業種など得意分野が異なっています。そのため、自社やM&A先の事業規模・業種などを考慮してM&A仲介会社を選ぶ必要があります

これらM&A仲介会社の中で一番おすすめするのがM&A総合研究所です。M&A総合研究所では、M&Aの豊富な知識・経験を持つアドバイザー・長年会計業務に携わっている会計士・法的サポートの弁護士の3名によるフルサポート体制を提供しています

また、手数料・料金体系は完全成功報酬制を採用しており、成約するまで一切の費用が発生しないため、最終的に必要となる経費が初期段階から明瞭化されています

無料相談は24時間年中無休でお受けしていますので、M&Aの依頼・ご相談はM&A総合研究所へお気軽にお問い合わせください。

M&A・事業承継ならM&A総合研究所
電話で無料相談
03-6455-5875
WEBで無料相談
M&Aのプロに相談する

11. まとめ

エムアンドエー まとめ

今回はエムアンドエーについて解説してきました。この記事で解説した内容は以下のようになります。

  • エムアンドエーの意味・目的・手法について
  • エムアンドエーを行う際の主な流れについて
  • エムアンドエーにかかる時間や手数料について
  • 買い手側・売り手側におけるエムアンドエーのメリット・注意点について
  • エムアンドエーを成功させるポイントについて

M&Aや事業継承を行う際は、M&Aに関する知識や経験だけでなく、その業界に関して精通している必要があるため、専門家に相談しながら進めていく必要があります。

M&A総合研究所では、M&Aや事業継承に関する実績豊富なアドバイザー・M&Aに精通した会計士・弁護士がM&Aチームを編成し、フルサポートいたしますので、スムーズな事業継承が可能です。M&Aや事業承継を行う際にはぜひM&A総合研究所にお問い合わせください。

関連する記事

人気の記事

人気の記事ランキング

新着一覧

最近公開された記事